われはロボット
岡島昭浩
- 04/9/7(火) 22:20 -
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「I,robot」という映画の題名を聞き、「われはロボット」やな、と思いました。
書店では、新しく訳されたらしい『アイ・ロボット』角川文庫と『わたしはロボット』創元推理文庫が置かれていた。私は『われはロボット』という言い方をどこで覚えたのだろうと思って調べてみると、ハヤカワ文庫SFが『われはロボット』を出したのは、昭和五十八年だからそれではない、もっと古いはず。ハヤカワSFシリーズ1963、いやぁ、これではなさそうが、このように訳したのはこれが古いところなのか。小尾芙佐訳。
ポプラ社のSFシリーズ、昭和47。これ、中学の図書館にあったかなぁ。
本ではなく、入門書で題名に触れたのかも知れません。「I,robot」という原題とセットで認識しましたし。
「I am a robot.」でなく、「I,robot」というのが、ロボットらしい非人間的な言葉遣い(切りつめた言い方)を想起させ、それを「われはロボット」と訳したのだろう、と思っていましたが、今、思うに〈役割語〉的ですね。
「おれロボット」とか「拙者ロボット」では、どうもそれらしくありませんし、「わたしロボット」では女性的と思われ兼ねない。「われはロボット」ってのは、まあ、落とし所といいますか。
古めのSFで、未来人だとかのしゃべる言葉は、格助詞が省略されたりしますが、あれは向こうのSFの、こういう「I,robot」式の言い方の影響なのか、それとも日本語に内在するものなのか、どうなのでしょう。
【344】
未来人的しゃべり
岡島昭浩
- 04/9/8(水) 0:29 -
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たしか眉村卓にあったはずだと思い、文庫本棚のSF段を漁ると『産業士官候補生』ハヤカワ文庫JAがあり、これだ、と思いましたら、やはりそう。これは、
頭の回転が速くなってきたのがわかり、それとともに、ありきたりの話し方では、まどろこしいような気分になるという設定でした。「私、表情訓練の要」「感情・必要以上に反映。筋肉コントロール自習」という感じ。
#この本の目次で「スラリコ・スラリリ」という文字列を見たときに感じた懐かしさ。全く忘れていたのに、すぐに頭の中で「ヒルルト・リリリ」という、後続の文句が浮かんできた。メロディーもないのに。
【364】
Re:未来人的しゃべり
岡島昭浩
- 04/9/13(月) 23:20 -
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小松左京「せまりくる足音」という短編がありました。「未来人的しゃべり」というよりも、若者の俗語が激しくなって行ったもの、というべきかもしれませんが。
「あんた、スゲイカ……」
おそらく、「すげーいかす」の意味ですが、「いかす」はともかく、略し方は現在の若者語のようです。
1968年の作品。新潮文庫『アダムの裔』、集英社文庫『実験小説名作選』(筒井康隆編)に収録。