2005年10月17日

自転車を漕ぐ

【1030】
自転車を漕ぐ
 Yeemar
 - 05/9/11(日) 19:11 -
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自転車を漕ぐという言い方がおかしいという子を詠んだ短歌。その子は「自転車」は「乗る」とか「運転する」とかいうわけでしょうか。
自転車を漕ぐといふ歌句{かく}を子らわらふ辞書を示せばこれをしも嗤{わら}ふ
〔『含紅集』の「昭和三十三年」の章、『日本詩人全集29』(新潮社)p.41による〕




【1033】
Re:自転車を漕ぐ
 NISHIO
 - 05/9/12(月) 6:27 -
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▼Yeemarさん:
>「自転車」は「乗る」とか「運転する」とかいうわけでしょうか。


より厳密には、「自転車に乗ってペダルを漕ぐ」でしょうね。

自転車を舟と同じく「漕ぐ」というに至った経緯に興味があります。
ペダルを櫓に見立てたのか、乗ったまま人力(脚力)で推進する共通点からか。
そういえばブランコも「漕ぐ」といいます。

# 名古屋あたりでは「けったくる」。



【1034】
Re:自転車を漕ぐ
 岡島昭浩
 - 05/9/12(月) 14:03 -
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名古屋で自転車を「ケッタ」というのが理解できない、というような質問から学生さんから出て、次のように答えた記録が、たまたま残っていました。

Q:名古屋の自転車:ケッタ。「蹴る」と自転車が結びつかない。
A:自転車を「こぐ」行為は、船を漕ぐのとは全く違う動きですが、自転車が出来るまではなかった動作を、〈乗り物を前に進める〉という共通点から、「こぐ」という動詞を使って表しているわけでしょう。それに対して「ける」は、〈足を使ってものを前に進める〉という共通点で、その動詞を採用したのでしょう。「自転車をふむ」と言っている地方もあったかと思います。(なお、日本に入ってきた自転車は、足で地面を蹴って進むもの(ドライジーネ)ではなく、ペダルが付いていたものだったと思われます。佐野裕二『自転車の文化史』中公文庫)


「自転車をふむ」は、今調べると次のページにありました。熊本日日新聞に載ったそうです。http://www1.ocn.ne.jp/~haibis/douwa.htm
五分ほど行くと、あのいやな上り坂にさしかかりました。自転車をふむのはつらいので、そこだけは歩いて進みます。




【1035】
Re:自転車を漕ぐ
 NISHIO
 - 05/9/13(火) 4:21 -
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▼岡島昭浩さん:
>自転車が出来るまではなかった動作を、〈乗り物を前に進める〉という共通点から、「こぐ」という動詞を使って表しているわけでしょう。


御教示ありがとうございます。なるほど納得できました。

日本に初めて入ってきた自転車の推進方式は、「自転車文化センター」のサイトの図版や説明には明記されていません。

>「自転車をふむ」は、今調べると次のページにありました。


「自転車をふむ」はまさか存在しないだろうと思っていました。意外です。
  ○櫓を漕ぐ ⇔ ○ペダルを漕ぐ ⇔ ○ペダルを踏む
  ○舟を漕ぐ ⇔ ○自転車を漕ぐ ⇔ △自転車を踏む

漢字表記の「自転車を踏む」は、84件ほど見つかりました。
中にこんなのもありました。札幌方言「こぐ」の標準語訳が「踏む」だそうで…。
http://sapporo.client.jp/kotoba/k.htm
リンク先が開けないので、キャッシュから拾って引用します。
こぐ
【意味】(1)踏み分ける (2)踏む
【用例】(1)雪をこいでこ。 (2)自転車をこぐ。
【標準語訳】(1)雪を踏み分けて行きましょう。 (2)自転車を踏む。
【解説】「こぐ」も「投げる」と同様に、言葉が広い意味で用いられるようになった例の一つである。本来、「こぐ」は「漕ぐ」で舟を漕ぐものであっただろう。その海をまっすぐに進む様子から「雪を漕ぐ」用例が生まれたものだろうか。「雪漕ぎ」といった名詞もある。同様の使い方は、青森、秋田、岩手、宮城、新潟などでもみられる。




【1038】
Re:自転車を漕ぐ
 岡島昭浩
 - 05/9/13(火) 10:19 -
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ブランコのことを考えると、〈体の動きで、乗り物を動かす〉と言ったことでしょうか。

「踏む」については、「ける」の意味で「ふむ」を使う方言もあり(柴田武『生きている日本語』など)、それとの関連も考えねばなりますまいが、「自転車をふむ」は、もっと広そうですね。

明治には、「自転車を駆る」という言い方もあったようです。これは「馬を駆る」からの転用でしょう。
もし自転車を駆り、または扁舟に棹さして、遠近の地方を探《さぐ》らば、さらにいっそう懐古《かいこ》の情を動かすに足るものあらん
『田園都市と日本人』講談社学術文庫p300

〔明治27年2月17日 東京日日〕
 第三回自転車郊遊 日本輪友会にては、明十八日を期して、亀井戸、本下川、向島等の各地へ自転車を駈り、会員の観梅野乗りを試むる由にて、当日午前十時までに神田区錦町の吉村方に待ち合わする予定なりと。
『明治ニュース事典5』毎日コミュニケーションズ



【1039】
自転車を……
 岡島昭浩
 - 05/9/13(火) 11:19 -
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これは、東京でしょう。ちょっとびっくり。
恋人どうしなのだろうか、楽しげに語らいながら自転車を踏む若い二人が、われわれの車を追い抜いていった。
(星新一「生活維持省」『ボッコちゃん』)
父親の星一は福島出身だったと思いますが。


 新たに気になったこと。

自転車に乗らずに、自転車と共に歩くことを、「自転車を押す」とも「自転車を引く」ともいう。体の横に置いて共に進行するわけですから、押すとも引くとも言えそうです。私の意識ではハンドル部分を押すように動かしているように思いますが、軽めの自転車であれば引くこともあるようにも思います。

牛馬は押すものではなく引くものですから、それとの連想もありそうです。



【1040】
Re:自転車を「ころがす」
 Yeemar
 - 05/9/13(火) 20:16 -
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冒頭発言の歌集『含紅集』はだれの作か、このスレッドに記すのを忘れました。吉野秀雄です。

▼岡島昭浩さん:
>自転車に乗らずに、自転車と共に歩くことを、「自転車を押す」とも「自転車を引く」ともいう。


私は「自転車をころがす」と言います。

ところが、周囲に聞いてみると、「ころがす」というのは「のる」ということであって、「単車をころがす」といえば「単車に乗る」ということだそうです。

私が日本語を習ったのは主に母からですから、母に電話して確認してみますと、「自転車をころがす」というのは、自転車と共に歩くことであると、自信を持って言明していました。父は、自転車に乗ることであろうと言いました。父は香川県出身、母は埼玉県出身であります。



【1042】
Re:自転車を漕ぐ
 UEJ
 - 05/9/13(火) 23:05 -
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> 本来、「こぐ」は「漕ぐ」で舟を漕ぐものであっただろう。
> その海をまっすぐに進む様子から「雪を漕ぐ」用例が生まれたものだろうか。
> 「雪漕ぎ」といった名詞もある。


山用語で「藪漕ぎ(やぶこぎ)」というのもあります(広辞苑にも載っていた!)。
これなどまさに「藪の海を進む」という感じが出ている言葉ですね。



【1043】
Re:自転車を「ころがす」
 岡島昭浩
 - 05/9/15(木) 0:42 -
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▼Yeemarさん:
>ところが、周囲に聞いてみると、「ころがす」というのは「のる」ということであって、「単車をころがす」といえば「単車に乗る」ということだそうです。


「チャリンコ転がして行った」と、さだまさしが「木根川橋」で歌っていましたね。
これは、乗って行くのだろうと理解していました。

自転車はそれしか知りませんが、車ならあります。

『現代日本語用例集』に「車を転がす」があるようなのですが、行方不明。

新潮のCD-rom関係では、井上ひさし『下駄の上の卵』「院長なぞ東京まで車をころがしてたっぷり別れを惜しむことができたのだからまだいい。」、曾野綾子『太郎物語』「お父さんは、これから、うちまで車を転がして帰るという大事業が残ってる」

他に、
高樹のぶ子『百年の預言』 第172回 解かれる謎(32)「真賀木は女の指示どおりに、車を転がして来たのだ。」

宮部みゆき『我らが隣人の犯罪』文春文庫
p168 車を転がして遠出する

といったところ。

新明解の五版で、
〔広義では、自動車を運転することや、物事を ひとまず先へ進めることをも指す。例、「車を転がして来る/一転がし転がしておいて」〕
とあるんですね。



【1045】
Re:自転車を漕ぐ
 道浦俊彦
 - 05/9/15(木) 10:02 -
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関連ですが、以前「平成ことば事情1178」で、「自転車を押す・引く」と題して、こんなの書きました。
*************************************
新聞用語懇談会放送分科会でご一緒させていただいているS放送のIさんから質問のメールがきました。
「先日ローカルニュースで自転車の人がひき逃げされる事件がありました。その原稿で、『被害者は路側帯を、自転車を引いて歩いていたところ』という表現があったのですが、『自転車は「引く」ではなく「押す」ではないか?』という疑問が出ました。重さで判断して『オートバイは「押す」、自転車は「引く」』という人もいました。自転車の場合はどちらなんでしょうか?」
というものでした。ははあ、なるほど。私は個人的には「自転車を押す」ですね。「引く」とは言わないな。とりあえず、いつものようにインターネット検索のgoogleで調べました。
「自転車を押す」=759件
「自転車を引く」=  98件       (2003年5月13日調べ)
で、やはり私と同じ感覚の方の方が多いようです。7:1くらいで「押す」人の方が多いようです。
「自転車を引く」を使っている人を見てみると(全部ではないですが)、長野県、山梨県の人が使っているようです。もしかしたら方言かも?
NHK放送文化研究所の塩田さんにメールしたところ、
「個人的な感覚としては、上り坂でこげなくなった自転車には『押す』を使う気がする。『引く』は『押す』よりも、『力を込めて』というニュアンスがないように感じる。私としては『自転車を引く』は言わないと思う」
というメールが返ってきました。
他のもの、例えば、「大八車」は「引く」ですね。「手押し車」は、文字どおり「押す」です。そこから考えると、自転車のハンドルとその人の位置関係が問題になってくるのではないでしょうか。ハンドルより前にいれば「引く」、ハンドルより後ろにいれば「押す」。これでどうでしょうか?普通はハンドルより後ろにいるでしょうから、「押す」を使う人の方が多いのではないでしょうか。「引く」を使う人は、位置は関係なしに、「動力としての人」が、自分だけでは動かない自転車を「牽引」している、というふうに考えているのではないでしょうか。
皆さん、ご意見お待ちしていまーす!!
2003/5/18




我事におゐて

【1044】
我事におゐて
 Yeemar
 - 05/9/15(木) 2:52 -
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宮本武蔵が書き残した箇条書きの文章「独行道」の中に
「一 我事におゐて後悔をせす」
という一箇条があります(熊本県立美術館蔵、正保2年、こちらで画像検索可能)。

これは、岩波文庫『五輪書』の「独行道」(p.165)では「我{われ}事におゐて後悔をせず。」とルビが振られています。

私は「我{わが}事において」と読むべきものではないかと思います。つまり、「自分のことに関しては後悔しない(他人のことについては、ああもすればよかったろうに、と同情することはあるかもしれないが)」という意味になります。

もし「われ」と読むとすれば、これは主語ということになりますが、他の条には「我」という主語がないのに、この条だけにあるというのはへんです。それに、「ことにおいて」という言い方が不自然です。「われ、何ごとにおいても後悔せず」ならわかるのですが。「われ」と読むことには、何か理由があるのか、わかりません。

ネットでは、「我、事において」と書いている人(「われ」派)と、「我が事において」と書いている人(「わが」派)といます。


「放香」システム

【1023】
「放香」システム
 みさお
 - 05/9/8(木) 22:08 -
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http://www.asahi.com/culture/update/0903/002.html
映画館でチョコの匂いが出る機械とのこと。
放香という言葉がなにかあまりよいイメージを抱けないのは
なぜでしょうか?放というのが投げ出すとか放つという意味
があるからでしょうか、なにかこう、香りがただようという
イメージが表現されていないからでしょうか?



【1026】
Re:「放香」システム
 岡島昭浩
 - 05/9/10(土) 11:46 -
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▼みさおさん:
>放香という言葉がなにかあまりよいイメージを抱けないのは
>なぜでしょうか?


放尿・放屁はもとより、放言・放蕩・放漫・放埒など、悪いイメージの語が想起されるからではないでしょうか。放物線の「放物」のように、悪くない意味で、意図的に放るものもありますが、「放−」の多くは、意図せず出てしまう、という意味で使われているように思います。「放射」も元々は悪くないイメージだったのでしょうが、放射能などから、やはりこれも悪いイメージを持ってしまいそうです。



【1027】
Re:「放香」システム
 道浦俊彦
 - 05/9/10(土) 16:34 -
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「放課後」の「放課」には悪いイメージはありませんが、「放火」には悪いイメージがありますね。(イメージと言うか、そのものが、悪いのですが。)
祇園祭の「放下鉾」の「放下」には特に悪いイメージはありません。



【1028】
Re:「放香」システム
 Yeemar
 - 05/9/11(日) 11:42 -
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私は、「はなつ」ということばをいい匂いににも使えるのか、もしかすると、「悪臭をはなつ」のように悪い場合により多く使うのかもしれない、それで「放香」にみさおさんが違和感をお持ちになったのではないか、と問題設定しました。

しかし、そうでもないようです。手元のデータを見てみると、いい匂い・悪い匂いがほぼ半々でありました。

放送の「放」は悪い感じはしません。

私は「放香」ということばについてはっきりした好悪のイメージを持ちませんが、いかにも日本製漢語という気はします。中国語では、「芳香を放つ」は「散発芳香」だそうですが(小学館日中辞典)、それならば「散香システム」でもよいかもしれません。

注・元の記事:
この放香システムを扱う企画・販売会社は今後、映画のほか展示会やイベントでの有力な演出手法として売り込んでいくという。
〔映像に合わせチョコの香り 映画館に「放香」システム〕(「asahi.com」2005.09.03.08:01)




【1032】
Re:「放香」システム
 NISHIO
 - 05/9/12(月) 0:40 -
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▼Yeemarさん:

>私は「放香」ということばについてはっきりした好悪のイメージを持ちませんが、いかにも日本製漢語という気はします。中国語では、「芳香を放つ」は「散発芳香」だそうですが(小学館日中辞典)、それならば「散香システム」でもよいかもしれません。


Googleで "放香" を検索すると、日本語のページは件の「放香」システムと神戸の茶商「放香堂」が大半、その他が数件。
あとは中国語(簡体字・繁体字)のページばかりです。中国語で「放香」はどういう意味なのでしょう。「放香屁」というのもあります。『大漢和辞典』の「放」の項にも「放香」は見当たりません。気になります。

「芳香を放つ」ものといえばトイレなどの芳香剤が思い浮かびます。最近は消臭剤ばかりで芳香剤は数点しかありませんが、パッケージの説明は「発散させます」「漂わせます」「広がります」など。「放つ」という言葉はありませんでした。

「香りを放つ」「放香」に代えて、ほんのり漂わせるようすにふさわしい語はないでしょうか。
「散香(さんこう)」はキリスト教の儀式にあるようです。「散香(さんか)」は森博嗣の小説に登場する戦闘機の名前…。


余談ですが、こちらはインターネット経由で遠隔制御できる「調香器」。
http://www.ntt.com/release/2005NEWS/0005/0523.html
『OCNブロードバンドコンテンツに連動した「香り配信サービス」の実用化開始について』


疑わしい語源説の出所

【657】
疑わしい語源説の出所
 Yeemar
 - 05/1/10(月) 14:16 -
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旧会議室に語源のスレッドは少なからずありますが、ここではとりわけ
 「しかと」「くだらない」語源説の出所
 「しかと」「くだらない」語源説の出所 #
と関連し、疑わしい語源説がどこから来たか(または現在どこで言われているか)についての話をしたいと思います。

別スレッドで田島さんご紹介の「新春! 日本語で遊ぼう ココリコのお笑いコトバの大語源」の「ぎょっとする」「へべれけ」とも関連します。

ことばについての伝説」にも関連しますが、ここでは語源説にしぼります。

ちなみに、旧会議室では語源に関し「がめる」「たわけ」「ださい」「ずばぬける」「ちゃら」「ぼったくり・ぼる」「むし(虫)」「ことぶき」「エッチ」「ばったもの」「(鼻を)かむ」「こけし」「みいはあ〔ミーハー〕」などが話題になっています(これで全部に非ず)。



【658】
Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ)
 Yeemar
 - 05/1/10(月) 14:19 -
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「かわりばんこ」の語源は何か?

――このような疑問を、私はまったく抱いたことがありませんでした。ほとんど疑問の余地がないように思われます。

「こ」は接尾語でしょう。互いに取り替えることを「取り替えっこ」、互いに追いかけることを「追いかけっこ」、互いに恨むことを「恨みっこ(なし)」と言います。それと同じく、互いに順番を替わることを「替わり番こ」というのでしょう(辞書を見ると「こ」は「事」の略であるようです)。

もっとも、「番」は名詞で、「追いかける」「取り替える」などの動詞に「こ」がつくのとは異なっています。その点について探求の余地があるとはいえ、母語話者ならば「かわりばんこ」の「こ」と「取り替えっこ」の「こ」は「同じだろうな」と自然に意識しこそすれ、「ばんこ」の意味が分からぬ、という方向には行かないはずです(語構成は「かわり番+こ」であって、「かわり+番こ」ではないでしょう)。

ところが、ウェブを見ると、「かわりばんこ」の「ばんこ」は、たたら製鉄の「番子」からといいます。
・タタラ製鉄〔略〕の労働者の事を「バンコ」(番子とも書く)と言っていたのだ。ここから転じて、交代で何かをする「かわりばんこ」という言葉が生まれたのだ。(オジサンのへや>雑学の小部屋>かわりばんこ
・このたたらを踏む人は「番子(ばんこ)」と呼ばれ、交替制で三昼夜にわたり連続送風する過酷な労働だったそうです。これを語源に交替で何かをする時の「かわりばんこ(代わり番子)」という言葉が生まれたといわれています。(国土交通省中国地方整備局 中国幹線道路調査事務所 調査課 MichiMag ちょっといい噺{はなし}(PDFファイル))
・ ふいごを踏んで風を送る送り手のことを番子(ばんご)〔ママ〕と言ったが、30分も踏むと疲れてしまうので代わる代わる行った。ここから「かわりばんこ」という言葉ができたという。(自転車・峠おやじ>TOURING REPORT>出雲の旅(2003.5.27)6〔島根県飯石郡吉田村「鉄の歴史博物館」のビデオ説明によるか〕)
また、昨年の大晦日に放送のテレビ朝日「コドモのギモン2」でも、「かわりばんこって何だろう?」という疑問が取り上げられています。「かわりばんこ」は「たたら製鉄の労働者から来ている!」という結論になってはいないだろうかとおそれます。

番組をご覧になった方はおられますか。



【665】
Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ)
 skid
 - 05/1/11(火) 23:58 -
----
▼Yeemarさん:
>「かわりばんこ」の語源は何か?
>また、昨年の大晦日に放送のテレビ朝日「コドモのギモン2」でも、「かわりばんこって何だろう?」という疑問が取り上げられています。「かわりばんこ」は「たたら製鉄の労働者から来ている!」という結論になってはいないだろうかとおそれます。
>番組をご覧になった方はおられますか。


見ました。
たたら製鉄の労働による説でした。



【668】
Re:へべれけ
 益山 健
 - 05/1/12(水) 10:31 -
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「へべれけ」の語源説は木村鷹太郎「希臘羅馬神話」に由来するとのことです。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~windharp/v2_07.htm



【669】
Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ)
 Yeemar
 - 05/1/12(水) 10:32 -
----
▼skidさん:
>見ました。
>たたら製鉄の労働による説でした。


やはりそうでしたか。ありがとうございます。

「語源の根拠はどうでもいい」という考え方が流行しているのでしょうか。もっとも、「このような民間語源がある」という紹介の仕方であれば、がぜん、情報の価値は高まります。「学問的には疑わしいが、人々の間に広まっている説である」という情報は、これはこれで貴重なものです(さればこそ、私もここに書きつけておきたいのです)。

先の、『新春! 日本語で遊ぼう ココリコのお笑いコトバの大語源』のリンクが誤っていました。ただしくはこちらです。

「ココリコ」にしろ「コドモのギモン」にしろ、アナウンサーが何らかの保留、エクスキューズをつけて謙虚に紹介したのなら、私も納得します。

私はごく素朴に「ぎょっ」も「へべれけ」も擬態語だろうと思います。「ぎゃっと驚く」「べろべろに酔う」とも関連があるでしょう。しかし、中国の楽器や女神ヘーベと無関係という証拠を出せ、と言われると困ります。

skidさん、田島さん、よろしければ番組のまとめ方(保留の有無など)はどんなふうだったか、お聞かせいただければと思います。



【670】
Re:へべれけ
 Yeemar
 - 05/1/12(水) 10:43 -
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▼益山 健さん:
>「へべれけ」の語源説は木村鷹太郎「希臘羅馬神話」に由来するとのことです。
>http://www2s.biglobe.ne.jp/~windharp/v2_07.htm


ちょっと離れたブランチ(こちら)で私は「「べろべろに酔う」とも関連があるでしょう」と不用意なことを書きましたが、上記からのリンク先のmassangeana氏の「「へばる・へたばる」などとの関係をまず考える方が生産的ではないか」との説はごもっともと思います。



【707】
Re:疑わしい語源説の出所 ズボン
 岡島昭浩
 - 05/1/28(金) 1:37 -
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1/26の「トリビアの泉」で、ズボンの語源が、「ズボンと入るから」であると放送されたそうです。コメントしたのは服飾関係の人ということでした。

説の出所は『言泉』とのこと。みてみましたら、
ずぼん 洋袴【名】『幕末の頃、幕臣大久保誠知といふ人のこれを穿けば、ずぽんと足のはいるとて言ひ初めたる語なりといふ』 洋服の下部。足に穿つもの。形、股引に似たり
とありました。「といふ」を、「はい、確かに」とは言えましょうかね。

『ことばの泉』には、その説はありませんでした。(初版21版)</p>
ずぼん [名] 【英語】 洋服の一部分にて、足に穿つもの。形、ももひきに似たり
と、英語にされています。
『ことばの泉 補遺』にもありません。

『大言海』などの、フランス語のjupon説は、服飾業界では否定されているということでした。



【713】
Re:疑わしい語源説の出所 ズボン
 NISHIO
 - 05/1/31(月) 1:18 -
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▼岡島昭浩さん:
>『大言海』などの、フランス語のjupon説は、服飾業界では否定されているということでした。


手もとの語源薀蓄本と古い服飾用語辞典はいずれもjupon説を採っています。2000年に服飾用語辞典の新版が出ていますが、そちらは確認していません。

実用服飾用語辞典 増補版』(山口好文編、文化出版局、昭和52年7月25日)
ズボン
 フランス語のジュポン(jupon)がなまってできた外来語で英語のトラウザーズ(trousers)。腰回りと二本の脚部をもつ外衣の総称。スラックス、パンタロン、ニッカーボッカーズ、トランクス、パンツなどがこれに属する。

生活のことば語源読本』(杉本つとむ著、雄山閣出版、昭和52年8月15日)
〈ズボン〉
――これはフランス語の jupon <ジュポン> 語源的には女性のペチコートと同じ下につけるもので、明治に出版された『洋装読本』にも〈此ジュポンとは下袴とか腰巻の意味である〉と解説されている。いわば、今の〈ズボン下〉に相当するのが、ジュポンだったわけだ。

暮らしのことば語源辞典』(山口佳紀編、講談社、1998年5月25日)
ズボン
 下半身にはく二股に分かれた洋服。語源はフランス語の jupon だが、このジュポンとは女性用の腰から下のスリップ、つまりペチコートのことである。jupon の語源はアラビア語の djubba であり、これは男性が身にまとうゆったりした衣服のこと。
 ズボンは幕末の頃から用いられているが、漢字表記は「洋袴・細袴・股袴・下袴・袴服・穿袴・短袴・服筒・下服」などさまざま。(佐々木文彦)

『大辞林』と『新辞林』は両方を挙げていますが断定はしていません。
ズボン
〔(フランス) jupon からか〕
 主に男子の衣服で、両足を別々に包む形で下半身にはくもの。スラックス・パンタロンなどの総称。〔明治時代には「洋袴・段袋(だんぶくろ)」ともいった。語源は幕臣大久保誠知が「ずぼんと足がはいる」といったことに由来するとの説もある〕)

根拠を挙げてjupon説を否定しているのは下記の一篇だけでした。

新装版 事物起源辞典(衣食住編)
(朝倉治彦・安藤菊二・樋口秀雄・丸山信、東京堂出版、2001年9月20日)
ズボン
 男子の洋服で下半身にはくもの。江戸時代の末、洋式調練の行なわれたころ、西洋風の軍服のズボンをまねた陣股引、のちに細袴、俗に「だんぶくろ」と称するものをはいた。これを、ズボンと足がはいるからズボンだと、幕臣の大久保誠知があだ名をつけたことからこの称呼ができた(落合直文編『ことばのいずみ』)。文久以降明治元年ごろまで、この段袋服は一着白銀二分、仕立に一日半費やしたといわれる。明治三年の海軍下等士官以下の軍服の達しにも「水夫ハ紺ヘル胴服黒ヘルヅボンの事」とあるように、称呼が用いられたが、政府の公文書では、その後久しく袴の字を用い、陸軍などはズボン下のことを「袴下<こした>」と称していたことは周知のとおりである。しかし、戦後、制服に関する規定にも正式にズボンとしるすようになった。明治二年ころの都々逸の中に、「絆纏股引着た勇<いさみ>より卒着<ちよつき>ヅボンの好男<いろおとこ>」と、すでにうたわれている。ところが、明治四年一〇月東京茅場町の柳屋洋服店の広告に、「奇なり妙なり世間の洋服、頭に普魯西<プロシヤ>の帽子をかぶり、足に仏蘭西<フランス>の沓を穿き、筒袖(上衣)は英吉利<イギリス>海軍の装ひ、股引<ダンブクロ(ズボン)>は亜米利加<アメリカ>陸軍の礼服……」と、当時の洋服姿の異様さを皮肉っている。ズボンということばが定着するのは三〇年代になってからではないかと思われ、またフランス語のジュポン(jupon)の転化だという説があるが、ジュポンは婦人の下ばきであるから、それを武士ともあろう者が軍服の名称に用いるわけがない。またフランスから教官がきて、フランス風の軍服を着た伝習隊ができたのは慶応三年で、ズボンの俗称はそれ以前から行なわれていた。第一、当時フランス婦人の来朝はきわめて少なく、横須賀軍港構築のためにきていた技術団の夫人ぐらいなものであったから、ジュポンの名も実物も知る機会はなかったはずである。幕末フランス語入門書には、この訳はなく、明治四年長崎の好樹堂訳、上海版の『和仏辞典』に、はじめて「jupon」の語が出てくるが、訳は「下着」となっている。
 【参考】「日本洋服沿革史」(『被服文化」62号)昭35・4




【714】
Re:疑わしい語源説の出所 ズボン
 岡島昭浩
 - 05/1/31(月) 23:58 -
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▼NISHIOさん:
>根拠を挙げてjupon説を否定しているのは下記の一篇だけでした。
>
>『新装版 事物起源辞典(衣食住編)』


有り難うございます。トリビアの情報のソースは、恐らくこれでしょうね。

出演打診があったという、ある人からの情報では、スタッフは『ことばのいずみ』に典拠がある、と言っていたそうですから。実際には『言泉』なのに。

今度は、「チョッキは、ちょっと着るからチョッキ」などが登場したりしないことを望みたいです。



【795】
Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ)
 skid
 - 05/4/14(木) 1:44 -
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テレビ朝日「マシューTV」の「なまり亭」とかいうコーナーで、金田一秀穂先生が「ばんこ」はポルトガル語とおっしゃっていました。
踏み台のことをいう「ばんこ」とは、英語で「ベンチ」なんだそうです。



【796】
Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ)
 道浦俊彦
 - 05/4/14(木) 10:54 -
----
▼skidさん:
>テレビ朝日「マシューTV」の「なまり亭」とかいうコーナーで、金田一秀穂先生が「ばんこ」はポルトガル語とおっしゃっていました。
>踏み台のことをいう「ばんこ」とは、英語で「ベンチ」なんだそうです。


踏み台のことをいう「ばんこ」はポルトガル語起源で、英語の「ベンチ」のことだというのは、そうだと思います。北原白秋の「柳川風俗詩」(多田武彦作曲の男声合唱組曲にもなっていますが)の中にも「バンコ」は出てきます。九州の方言にも取り入れられているのではないでしょうか。
ただ、それと「かわりばんこ」が関係あるのかどうかはわかりません。「代わり番こ」で「こ」は、接尾語的なのだと、私は思っていました。



【798】
Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ)
 skid
 - 05/4/17(日) 5:04 -
----
話が逸れますけれど、サルティンバンコは

  中世のイタリア語で「ベンチを飛び越える」という意味。
  総称は「大道芸人」。

だったんですね。



【818】
Re:疑わしい語源説の出所(むごい)
 Yeemar
 - 05/5/9(月) 6:51 -
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べつに転職しようというわけではありませんが、ひやかしで「毎日キャリアナビ」というサイトにある「適性診断」の中の「言語能力(仕事の基礎的能力診断)」というのを試みました。自分の言語能力はどれくらいか?

テストは、次々に現れる文章を読んで、後の設問から「筆者の主張に一致しているもの」「そうでないもの」を選ぶというものです。

ところが、その第1問の文章の冒頭にこうあったのでおどろきました。
 ムゴイという言葉に興味をもって語源を調べた。やっぱりそうである。モンゴイという言葉、蒙古人のような、という語源をもつ。
 元々、日本人は他の民族に比べ、美的感受性において優れ、残酷さにおいて劣るところがある。最近の遺跡の発掘でも、縄文人と弥生人の戦いの規模は小さかったようだ。静かに同化と棲み分けが行われていったようだ。南米における征服とは違っている。
 意外に思う人が多いだろうが、カリスマには「人を残酷に扱う性質」が共通してみられる。ムゴイ仕打ちを平気でするのである。
〔*以下略。HTMLで書かれていないらしく、コピーアンドペーストができません。〕
「むごい」の語源について「やっぱりそうである」とあっさりへんな結論を下しているので、急に読む気が失せました。「元々、日本人は……」という類型化に首をかしげたり、「残酷さにおいて劣る」などというおかしな表現にいちいち立ち止まって考えたりしているうちに、持ち時間を消費してしまいました。

診断結果は「読解力はあるものの、理解するのが遅い」ということでした。



【988】
Re:疑わしい語源説の出所(くだらない)
 Yeemar
 - 05/8/7(日) 21:59 -
----
> 「しかと」「くだらない」語源説の出所
> 「しかと」「くだらない」語源説の出所 #
>と関連し、


その「くだらない」ですが、司馬遼太郎『菜の花の沖〔新装版〕(一)』(文春文庫)〔単行本は1982年刊〕p.305に以下のようにあります。
 江戸という都市の致命的な欠点は、その後背地である関東の商品生産力が弱いことであった。
 これに対し、上方および瀬戸内海沿岸の商品生産力が高度に発達していたため、江戸としてはあらゆる高価な商品は上方から仰がねばならなかった。しかも最初は陸路を人馬でごく少量運ばれていたこともあって、上方からくだってくるものは貴重とされた。
「くだり物」
 というのは貴重なもの、上等なものという語感で、明治後の舶来品というイメージに相応していた。これに対し関東の地のものは「くだらない」としていやしまれた。これらの「くだりもの」が、やがて菱垣船の発達とともに大いに上方から運ばれることになる。
司馬氏のことですから相当調べた上の記述と思われますが、何を参考にした記述でしょうか。



【1029】
Re:疑わしい語源説の出所(強羅)
 Yeemar
 - 05/9/11(日) 19:04 -
----
出所というわけではありませんが、地名の「強羅」の語源説が「故事附けにして〔も〕ややおもしろし」という吉野秀雄の以下の短歌を知りました。
強羅{がうら}の地名がgo roundの訛{なま}りとは故事附{こじつ}けにしてややおもしろし(箱根の歌)
〔『含紅集』の「昭和三十二年」の章、『日本詩人全集29』(新潮社)p.41による〕




【1031】
Re:疑わしい語源説の出所(強羅)
 Yeemar
 - 05/9/11(日) 19:11 -
----
正誤
×「昭和三十二年」の章
○「昭和三十三年」の章




▼疑わしい語源説の出所 Yeemar 05/1/10(月) 14:16
   ┣Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ) Yeemar 05/1/10(月) 14:19
   ┃  ┗Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ) skid 05/1/11(火) 23:58
   ┃     ┗Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ) Yeemar 05/1/12(水) 10:32
   ┃        ┗Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ) skid 05/4/14(木) 1:44
   ┃           ┗Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ) 道浦俊彦 05/4/14(木) 10:54
   ┃              ┗Re:疑わしい語源説の出所(かわりばんこ) skid 05/4/17(日) 5:04
   ┣Re:へべれけ 益山 健 05/1/12(水) 10:31
   ┃  ┗Re:へべれけ Yeemar 05/1/12(水) 10:43
   ┣Re:疑わしい語源説の出所 ズボン 岡島昭浩 05/1/28(金) 1:37
   ┃  ┗Re:疑わしい語源説の出所 ズボン NISHIO 05/1/31(月) 1:18
   ┃     ┗Re:疑わしい語源説の出所 ズボン 岡島昭浩 05/1/31(月) 23:58
   ┣Re:疑わしい語源説の出所(むごい) Yeemar 05/5/9(月) 6:51
   ┣Re:疑わしい語源説の出所(くだらない) Yeemar 05/8/7(日) 21:59
   ┗Re:疑わしい語源説の出所(強羅) Yeemar 05/9/11(日) 19:04
      ┗Re:疑わしい語源説の出所(強羅) Yeemar 05/9/11(日) 19:11

新海物語の読み方は

【994】
新海物語の読み方は
 みさお
 - 05/8/10(水) 23:14 -
----
パチンコの機種名だと思いますが、「発音」されたのを聴いた事はありません。海物語というのがあるので読みは「うみものがたり」なんで「新」の方は「しんうみものがたり」なんでしょうが、「しんかいものがたり」が正しいのでしょうか、でも「深海物語」になってしまうのでやはり「しんうみ」なのでしょうか?なんかしんうみというのも気持ち悪いのですが・・・。日本語としても正しいのでしょうか?この名前、TVなど公式の場で読まれた例というのもあるのでしょうか?深夜番組などではあるのでしょうね。



【995】
Re:新海物語の読み方は
 Yeemar
 - 05/8/11(木) 4:19 -
----
▼みさおさん:
>海物語というのがあるので読みは「うみものがたり」なんで「新」の方は「しんうみものがたり」なんでしょうが、


公式ホームページを見ると、「三洋パチンコパラダイス 新海おかわり」に「SHIN UMI」とローマ字が振られており、したがって、「しん うみものがたり」らしいことがわかります。
http://www.irem.co.jp/official/pp9/index.html

1980年代、「松」(管理工学研究所)というワープロソフトがあり、やがてバージョンアップされて「新松」になりました。「しんまつ」と読み、「しんしょう」ではありませんでした。「松(まつ)」も「海物語」も固有名詞(商品名)なので、読み方は変わらないのでしょう。



【996】
Re:新海物語の読み方は
 みさお
 - 05/8/13(土) 10:15 -
----
ありがとうございます。「しんうみ」なんですね。おそらく巨大な産業なのに一度としてその発音を聞いていないというのに興味をひかれました。日本語の発音的には「ん」の次って「う」が続いたりするというのは珍しいのでしょうか?なんか気になる言葉です。しんうみ、しんうみ・・・。



【1019】
Re:新海物語の読み方は
 UEJ
 - 05/8/30(火) 23:37 -
----
「大海物語」というのも出たようです。
http://www.sanyobussan.co.jp/products/pk_greatsea/



【1020】
Re:新海物語の読み方は
 Yeemar
 - 05/8/31(水) 16:38 -
----
▼UEJさん:
>「大海物語」というのも出たようです。
>http://www.sanyobussan.co.jp/products/pk_greatsea/


このページから見られる「プロモーションムービー」なるものを再生したところ、
「おおうみものがたり、たんじょう!」
と言っていました。



【1024】
Re:新海物語の読み方は
 みさお
 - 05/9/8(木) 22:10 -
----
あくまでも「うみ」の発音にこだわるわけですね。
「たいかい」ではないんですね。
日常生活を続けていていつかこの言葉の発音を
耳にする日がくるのでしょうか?



【1025】
Re:新海物語の読み方は
 skid
 - 05/9/9(金) 10:56 -
----
▼みさおさん:
>あくまでも「うみ」の発音にこだわるわけですね。
>「たいかい」ではないんですね。


この名称は「海(うみ)物語」に対する「新」や「大」だから、新「海物語」、大「海物語」なのでしょう。
「新海」「大海」というくくりで読むべきものではないと思います。


「携帯」という略語

【1011】
「携帯」という略語
 アーム・ジョー
 - 05/8/25(木) 6:27 -
----
道浦アナのHPに、携帯電話を「携電」と略さず「携帯」と略すことへの
コメントが書かれていて、興味を持ちました。他にもこういう略し方の
語があったような気がしたからです。で、思い出してみました。

そうそう、国立競技場を「国立」って言いますよね。聞くたびに、国立の
何なんだよ?とつっこみたくなります。ま、これは主にサッカー関係の
報道で使われてますが。サッカー繋がりでは、サッカー日本代表をただ
「代表」と言ったりもします(こちらは語の後半をとったパターン)。
ちょっと下世話な例では、性感マッサージを「性感」。これも携帯と
同じパターンの略し方です。風俗で語るなら、もっと王道のソープランド。
これも「ソープ」で通ってます。遡って、ソープの「先祖」であるトルコ
風呂もやはり「トルコ」でした。

他にも、複合語(合成語)の前半分または後半分をとった略語、結構あり
ます。専売公社(現JT)を「専売」。東京ドームを「ドーム」。オール・
ナイト(徹夜)を「オール」(これは「徹夜で遊ぶ」ことを指す若者語)。
軟式野球(テニス)、硬式野球(テニス)をそれぞれ「軟式」「硬式」と
呼ぶのも、似たようなことでしょう。
私と同じ50代(以上)の方なら、これご記憶ですか? その昔、トラン
ジスターを使った小型(携帯)ラジオが商品化された当時、そのトラン
ジスター・ラジオを単に「トランジスター」と言っていたように思います。

さて、私の勝手な説ですが、上記の各例は「略語」というより「象徴語」
とでも呼んだほうがいいように思います。つまり、これらは、その「物」の
本質を象徴する部分だけを呼び名として使用しているのではないか、という
意味で、ですが。
例えば東京ドーム。「東ド」などと略してもなんか語呂が悪い。かといって
「東京」じゃ意味不明なので「ドーム」。国立競技場を「国競」とやったん
じゃ、なんだかなー、ってわけで「国立」。これ、まさか「競技場」だけ
で呼ぶわけには行きませんからね。性感マッサージも「性マ」といった
略語が定着する前に、手っ取り早く「性感」だけで通されてしまった。
これも「マッサージ」だけ取るわけには行かないですよね。



【1013】
Re:「携帯」という略語
 Yeemar
 - 05/8/25(木) 23:12 -
----
▼アーム・ジョーさん:
>道浦アナのHPに、携帯電話を「携電」と略さず「携帯」と略すことへの
>コメントが書かれていて、


「携電」のキーワードで、道浦さんのホームページを検索してみましたが、該当の文章が出てきませんでした。探し方が悪いのでしょうか。

私自身は、「携電」の語を新聞で見たことはあります。
それだから棺に携電入れといて
前橋市 秋山林次郎
〔略〕
五句、蘇生事件以後。〔朝日川柳〕(「朝日新聞」2002.01.27 p.14)
はやく岡島さんの報告もあります(こちら)。

「携帯」の類例は、「仮設住宅」を「仮設」、「スーパーマーケット」を「スーパー」(以上、佐竹秀雄『サタケさんの日本語教室』p.15)。また、「定期券」を「定期」、「活動写真」を「活動」、「新派劇」を「新派」(以上、相澤正夫「「ケータイ」にひとこと」『日本語学』2000.10 p.79)など。私は、「変態性欲」を「変態」というのを思いつきました(品性が表れています)。

「総理大臣」に「総理」と呼びかけるのも、おなじく、特徴をしめす部分だけを残してあとを省略したものでしょう。一方、「財務大臣」には「財務」とは呼びかけず、「大臣」というので、これは特徴をしめす省略法とはいえないでしょう。アーム・ジョーさんの挙げられた「代表」も、「大臣」と同様の省略法でしょう。



【1014】
Re:「携帯」という略語
 NISHIO
 - 05/8/26(金) 4:59 -
----
▼Yeemarさん:
>「携電」のキーワードで、道浦さんのホームページを検索してみましたが、該当の文章が出てきませんでした。探し方が悪いのでしょうか。


『平成ことば事情』ウォッチャーのワタクシですが、「携電」は見覚えありません。
「ケータイ」というに略し方についてのコメントはいくつかありますね。
----------------
◆ことばの話1676「歩き電話」
でも最近は携帯電話のことを「電話」とは略さずに、「ケータイ」といいますよね。
----------------
◆ことばの話318「地上波テレビ」
携帯電話のことを「ケータイ」と呼ぶのはもうすっかり定着しました。(中略)「ケータイ」が「電話」としてよりも「携帯端末」としてメールやインターネットに使用されることが多くなった現在から考えると、「実にうまく省略したなぁ」という感じがします。
----------------

『新明解6版』には「携帯」の項に“「携帯電話」の略”が載っています。“「ケータイ」と書かれることが多い”とも。
『デイリー新語辞典』では、「携帯」で始まる32語中の18語が携帯電話関連です。「携帯カメラ」が“携帯できるカメラ”(←ふつうか)ではなく、“カメラ付き携帯電話の俗称”というのがいかにも現代的です。「携帯端末」としての機能が増えすぎて、もはや「電話もできるケータイ」が冗談ともいい切れない模様。

ケータイ関連の略称といえば、ごく最近の朝日新聞社会面に、こんな見出しの記事がありました。
 “携帯テレ電 「ワン切り」にご注意! 有料サイトへ誘導”

Googleでも「テレ電」は相当数ヒットします。
#「テレビジョン」+「テレフォン」なら「テレテレ」ぢゃあないか、と。(英語は“TV phone”)


>「携帯」の類例は、(中略)「変態性欲」を「変態」というのを思いつきました(品性が表れています)。


# ドキッ

「特徴をしめす部分だけを残してあとを省略したもの」は、何の「特徴」を示すのか特定できないのが問題ですね。

「携帯」… 「―灰皿」か「―ラジオ」か。
「スーパー」… 「―マン」ではない。「―インポーズ」かもしれない。
「定期」… 「―検診」「―考査」ではない。「―預金」かもしれない。
「冷やし中華」… 「―丼」「―饅」ではない。
「電卓」… 「電動麻雀卓」ではない。
「デニム」… ニーム産の―?
「空き巣」… 「入られるほう(家)」か「入るほう(人)」か?

ボケネタにはなりますが。



【1017】
Re:「携帯」という略語
 アーム・ジョー
 - 05/8/30(火) 1:38 -
----
▼Yeemarさん、NISHIOさん:

●レスありがとうございます。

>▼アーム・ジョーさん:
>「携電」のキーワードで、道浦さんのホームページを検索してみましたが、該当の文章が出てきませんでした。探し方が悪いのでしょうか。


●すみません! 全く私の記憶違い/思い込みでした。『平成ことば事情』には、NISHIOさんご指摘のとおり「携帯をケータイと略す」件について書かれているだけでしたね。

>私自身は、「携電」の語を新聞で見たことはあります。
>それだから棺に携電入れといて
>前橋市 秋山林次郎
>五句、蘇生事件以後。〔朝日川柳〕(「朝日新聞」2002.01.27 p.14)


●私は朝日新聞を長年購読していますが、携帯電話の普及当初より同新聞は長いあいだ、頑なに(?)「携電」という略語を使用していました。しかし世間で全く定着していないことに気が付いたのか、ある時を境にパッタリ使わなくなりました。上の記事の頃(2002年1月)は、恐らく朝日の「携電」の末期だと思われます。

>「携帯」の類例は、「仮設住宅」を「仮設」、「スーパーマーケット」を「スーパー」(以上、佐竹秀雄『サタケさんの日本語教室』p.15)。また、「定期券」を「定期」、「活動写真」を「活動」、「新派劇」を「新派」(以上、相澤正夫「「ケータイ」にひとこと」『日本語学』2000.10 p.79)など。私は、「変態性欲」を「変態」というのを思いつきました(品性が表れています)。
>「総理大臣」に「総理」と呼びかけるのも、おなじく(以下、勝手に後略)


●沢山の例を挙げていただき、喜んでおります。こんなにあったんですね!自分の引用の貧困さを恥じております。
他に、「決勝」という語。これを何の違和感もなく使っていますが、本来は「決勝戦」、「決勝の試合」というべきところ、「決勝」だけで定着したのでしょうね。「決勝」自体には「戦い」という意味は含まれませんから。


恐怖漫画と恐怖映画

【999】
恐怖漫画と恐怖映画
 高橋半魚
WEB
 - 05/8/17(水) 16:47 -
----
ご無沙汰しています。苦しい時の岡島先生&皆様頼みですみません。
「恐怖漫画」という言葉は楳図かずおが作ったと言われています。それまでは「怪奇漫画」や「スリラー漫画」はあったが、それらは見た目の怖さにすぎず、心理に訴えかけるような怖さを描く漫画として、その語を作った、と。1961年10月頃刊の貸本漫画雑誌「虹」に発表した「口が耳までさける時」という作品で、この作品を「恐怖マンガ」としてお届けします、と楳図自身が書いています。その語の作風・志向性としても、まあ、納得していいと思っています。
 私が気になるのは、「恐怖映画」という言葉です。1961年以前に、普通に使われていたのでしょうか。
 他に、「恐怖小説」とは、あまり言いませんよね。

(なお、明後日から出張するので、お返事遅れるかもしれません。申し訳ありません)


【1000】
Re:恐怖漫画と恐怖映画
 岡島昭浩
 - 05/8/18(木) 13:04 -
----
半魚さん、お久しぶりです。

▼高橋半魚さん:
> 私が気になるのは、「恐怖映画」という言葉です。1961年以前に、普通に使われていたのでしょうか。


「普通に」かどうかは分かりませんが、夢野久作『ドクラマグラ』で使われています。比較的最初の方の「卷頭歌」の少し後に、「『胎児の夢』と題する恐怖映画」と。他に、「恐怖劇」という言葉も見えます。

> 他に、「恐怖小説」とは、あまり言いませんよね。


江戸川乱歩がよく使っているようです。昭和10年の『改造』十月号に載った「日本探偵小説の多様性について」でも、
例へば異常な犯罪の経路を描いたもの、犯罪その他異常な事件の恐怖を主眼とするもの、怪奇なる人生の一断面を描いたもの、精神病者又は変質者の生活を描いたもの、ビーストン風の「意外」の快感に重点を置くものなどは、犯罪小説、怪奇小説、恐怖小説などに属するものであつて、探偵小説とは云へない。
とあります。

昔、英国で流行したそうです。

で、よく知らないのですが、どちらも翻訳語ではないのでしょうか。



【1001】
Re:恐怖漫画と恐怖映画
 高橋半魚
WEB
 - 05/8/18(木) 16:25 -
----
▼岡島昭浩さん:

 ほんとに頼りになります、なりました。
そうですか、「恐怖小説」もありましたか。
 方向性も見えてきた感じがします。僕としても、今後、用例を増やしていきたいと思います。翻訳語だとすると、ゴシック小説だとか、そんな感じなのでしょうか。あと、ポーなどは、楳図自身も読んでいます。

 ご教示頂いたものを、論文ですこしだけですが、使わせていただく事になるかも知れません。予め、ご報告申し上げておきます。ありがとうございました。



【1003】
「恐怖小説」用例追加
 岡島昭浩
 - 05/8/19(金) 12:07 -
----
江戸川乱歩『幻影城』「再版に際して」(江戸川乱歩推理文庫51のp11による)

読物時事 昭和二三・八・一(海外恐怖小説特集) 金剛石レンズ(オブライエン) 幽霊(モーパッサン) 死刑執行人(バルザック) 蝋燭の恐怖(コリンズ) いずれも訳者名なし


同書p40
セイヤーズは「探偵、怪奇、恐怖小説集」第一集の作品配列に於て一種の分類を行っている

ただし、原題の"Great short stories of detection, mystery and horror"(webcat)からも分かるように、「(探偵、怪奇、恐怖)小説集」。

同書p51
心理的スリル派(この派は多くの場合同時にサスペンス派でもある。映画「断崖」や最近の「窓」などから類推し得るような犯罪恐怖小説。

「恐怖映画」に、おしい用例。

p285-349は「怪談入門」。恐怖小説の歴史などが書かれています。

p397(「探偵小説叢書目録」)
「アルス・ポピュラー・ライブラリー 自大正十、十一年頃〜至同十四年」に、「フレデリック「恐怖の映画」」が採録されている、と。



【1004】
Re:恐怖漫画と恐怖映画 状況証拠ばかりでごめんな...
 佐藤
 - 05/8/19(金) 21:10 -
----
> 私が気になるのは、「恐怖映画」という言葉です。1961年以前に、普通に使われていたのでしょうか。


 『日本大百科全書』(小学館)に「恐怖映画」の項があるのですが、この言葉の日本での使われ方などは触れてないのが残念です(参考文献に、S・S・プロウアー著、福間健二・藤井寛訳『カリガリ博士の子どもたち――恐怖映画の世界』(1983・晶文社)があがってました)。

 また、「1910年ごろからのドイツ表現派映画には、芸術的恐怖映画ともいうべき不気味な作品がある。30年代には、アメリカのユニバーサル映画が製作した『ドラキュラ』『フランケンシュタイン』『狼男(おおかみおとこ)』などがヒット、シリーズ化され、いまや恐怖映画の古典となっている」とあり、この種の映画が古くからあったことが分かりました。
 
 これらの映画が日本にも上陸してくると「恐怖映画」という言葉が誕生しそうです。とりあえず大正期から続いている『キネマ旬報』のDBだと、題名に「恐怖」のはいった作品が1919年から見られました(作品の完成年なのか、キネ旬に紹介された年なのか不明)。
 ・ 恐怖の瞬間 1919
 ・ 恐怖島 1920
 ・ 恐怖市場 1920
 ・ 恐怖の家 1922
 ・ 恐怖の一夜 1922 (以下省略。全100作品ヒット)
この頃以降には、「恐怖映画」という語の生まれる素地ができたことになります。なお、「活動(写真)」が「映画」に取って変わられるのは関東大震災(1923)ごろからだそうです(日国2による)。



【1012】
Re:「恐怖小説」用例追加
 高橋半魚
WEB
 - 05/8/25(木) 19:00 -
----
 岡島さん、佐藤さん、ありがとうございました。
乱歩「幻影城」は、じつは楳図が10代の頃に読んでいる本の一つでした。
ご教示を参考にして、今回、初めて読みました。いや、もっと早く読んで
おくべき本でした。楳図作品のいくつかについて、元ネタの推測もできま
した。^^;
 佐藤さんにお示しいただいた恐怖映画も含めて、horror という言葉
の訳語のようですね。この、horror=恐怖、の内実をどう理解し構築した
かというような点が、作家的な問題なわけで、かなり方向性が見えてきま
した。ありがとうございました。


仮名遣異聞「泥鰌」

【985】
仮名遣異聞「泥鰌」
 佐藤
 - 05/8/6(土) 21:07 -
----
 杉浦日向子氏が若くして世を去りましたね。最近、彼女にかかわる文章をあちこちで見かけます。そのなかに、泥鰌の仮名遣いに触れるものがありました。生きてるときは「どじやう」で、食材になると「どぜう」と記すというのが、『大江戸美味草子』にあるとか。どこまで裏が取れるか、興味があります。
http://www.asahi-net.or.jp/~wh4k-bnb/dosa/2001/20010714.html

 純粋に仮名遣いの問題としては、そんな馬鹿なということになりますが、語形の異なり並みに見れれば、ありかなと思います(もちろん、発音上は同一でしょう)。類例はあるものか。



【1006】
Re:仮名遣異聞「泥鰌」
 NISHIO
 - 05/8/20(土) 5:34 -
----
▼佐藤さん:
>生きてるときは「どじやう」で、食材になると「どぜう」と記すというのが、『大江戸美味草子』にあるとか。どこまで裏が取れるか、興味があります。


『大江戸美味草むまそう子』(新潮文庫)p.62-64
 ところで、「どじやう」「どぜう」では、「どじょう」本人の状態が異なっていることを付記したい。「どじやう」は、「どじょう」が存命中の呼称で、「どぜう」は「どじょう」が食い物になった呼称である。それだから、たんぼに「どぜう」はいないし、はふはふつつく鍋に「どじやう」はいない。耳できいて、どじょうがどんな段階にあるか即わかるようになっている。それほど、江戸人とどじょうは付き合いが深かったのだ。再三出た「どじやう汁」は、生きたのをいきなり調理するから、あくまでも「どじやう」であり、対して「どぜう鍋」は、あらかじめ骨までやわらかく下茹でした姿煮や、裂いて頭を落とし、骨や内臓をきれいに取り除いた開き身をもちいるから、すでに「どじやう」ではなく、食材としての「どぜう」なのである。
「どじやう(土壌)」ではなく「どぢやう(泥鰌)」ではないか、という話はさておき、
「どぜう」の表記の元祖駒形どぜうを始め、東京のどじょう料理店のお品書きは、ほとんどが「どぜうなべ(鍋)」と「どぜう汁」となっています。
昭和創業の桔梗屋だけは「どじょう鍋」で「どじょう汁」は記載なし。ここだけが生きたままのどじょうを出しているというわけでもなさそうですが…。

・駒形どぜう(浅草駒形) 享和元年(1801)
  http://www.dozeu.co.jp/
  (「どぜう」の由来http://www.dozeu.co.jp/yurai.html
・どぜう伊せ喜(深川高橋) 明治20年(1887)
  http://www.iseki-dozeu.com/
・どぜう飯田屋(合羽橋) 明治36年頃(1903)
  http://www.asakusa-umai.ne.jp/umai/iidaya.html
・どぜうひら井(吾妻橋) 明治36年(1903)
  http://www.hanako-net.com/omise/detail.jsp?id=73008103&gosu=0
・どぜう桔梗屋(両国) 昭和8年(1933)
  http://sdi.co.jp/kikyou/


>類例はあるものか。


「どじょう」を一般名詞、「どぜう」を固有名詞(もとは駒形の商標?)と考えると、
似たような例はいくつかあります。

【プディング】
  卵・牛乳・砂糖・香料などを混ぜ、蒸し焼きにして柔らかく固めた洋菓子。プリン。
  パン・米・果物などを加えたものもある。「カスタード‐―」 (広辞苑)
【プリン】
  プディングの訛。カスタード‐プディングのこと。(広辞苑)
  1967年にハウス食品工業(株)(当時)が発売した「プリンミクス」が起源(推測)。
  http://housefoods.jp/products/catalog/index.php?cat=1,1111,1110
  現在でもカスタードは「プリン」(主に安価な量産品)、その他は「プディング」が一般的。

【スナップエンドウ】
  1970年代に米国で育種された莢も実も食べるタイプのエンドウ。英名:snap bean, sugar snap.
【スナックエンドウ】
  1979年に(株)サカタのタネが「スナックえんどう」の品種名で発売したのが起源。
  1983年に農水省が統一名称を「スナップエンドウ」と定めたが、市場では未だに混乱している。

【エシャロット】
  小型のタマネギに似たヨーロッパ産の香味野菜。仏名:eshalote, 英名:shallot.
【エシャレット】
  若採りラッキョウを髷状に束ねたもの。1955年頃に浜松の組合から「根ラッキョウ」の名で
  出荷された新商品を、東京中央青果常務の川井彦二氏が「エシャレット」と命名した。
  本物のエシャロットと区別のため「エシャ」「エシャラッキョウ」などと呼ぶこともあるが、
  逆に本物のほうが「ベルギーエシャロット」「ベルギーエシャ」と表示されることが多い。

「どじょう」は生物(生き物・生もの)、「どぜう」は加工した食材、とする観点では…

【サケ】と【シャケ】
  半分冗談でしょうが、前者をシャケと呼ぶのは聞かないような気もします。
  方言でもなさそうです。「酒」とはアクセントで区別できるので問題ないはず。
   広辞苑: サケの転。
   大辞林: 「さけ(鮭)」に同じ。
   新明解: 〔口頭〕魚のサケ。
   岩波 : →さけ(鮭)
   日国 : 「さけ(鮭)」に同じ。
   大言海: さけノ訛。

【スルメイカ】と【するめ】
  スルメイカの他に、ヤリイカやケンサキイカなども、するめに加工される。

【てれすこ】と【すてれんきょう】
  お後がよろしいようで…




【1007】
Re:仮名遣異聞「泥鰌」
 岡島昭浩
 - 05/8/20(土) 16:55 -
----
発音は同じだけれど、表記で書き分ける、という視点で行けば、「バレエ」と「バレー」とか、「ボウリング」と「ボーリング」とか、外来語系のものが思い浮かびます。

あと、無理矢理探せば、〈いやなおやじ〉を「おぢ」と書く、という風習が、数年前のどこかにあったような気がします。叔父・伯父は「おじ」だろうけれど。

「痔」だけは「ぢ」と書く、というのはちょっと違いますが、これが現代仮名遣だと思っている人もいるようで。



【1008】
Re:仮名遣異聞「泥鰌」
 佐藤
 - 05/8/22(月) 13:42 -
----
▼NISHIOさん:
 「どじやう」は、「どじょう」が存命中の呼称で、「どぜう」は「どじょう」が食い物になった呼称である。(中略)耳できいて、どじょうがどんな段階にあるか即わかるようになっている。


原文提示、ありがとうございます。ううむ。完全に言い分けていたと考えてますね。んん、そうだろうか。



【1010】
Re:仮名遣異聞「泥鰌」
 NISHIO
 - 05/8/24(水) 2:52 -
----
「どぜう」の同類で、「お嬢様」を「おぜうさま」と書く例を思い出しました。
また、「おたく」を「ヲタク」「ヲタ」と省略するのも相当あるようです。

■お嬢様
 "おぜう様"     236 件
 "おぜうさま"   1,230 件   "おぜうさん"    732 件
 "おぜうサマ"     7 件   "おぜうサン"    22 件
 "おじゃうさま"   22 件   "おじゃうさん"   117 件   
 "おじやうさま"    1 件   "おじやうさん"    2 件
 "おじゃう様"     8 件   
 "おじやう様"     - 件
 "おぢゃうさま"    6 件   "おぢゃうさん"   98 件
 "おぢやうさま"    - 件   "おぢやうさん"    2 件
 "おぢゃう様"     5 件   
 "おぢやう様"     - 件

 "お嬢様"    710,000 件
 "お嬢さま"   69,800 件   "お嬢さん"   639,000 件
 "お嬢サマ"     703 件   "お嬢サン"     587 件
 "御嬢様"     4,910 件 
 "御嬢さま"     104 件   "御嬢さん"     559 件
 "御嬢サマ"      4 件   "御嬢サン"     23 件
 "おじょう様"    489 件
 "おじょうさま"   890 件   "おじょうさん"  7,840 件
 "おじょうサマ"   28 件   "おじょうサン"   45 件

■泥鰌
 "どぜう"    22,900 件
 "どじょう"  1,190,000 件
 "どじよう"     107 件
 "どじゃう"     104 件
 "どじやう"     89 件
 "どぢゃう"     55 件
 "どぢやう"     114 件

■御宅(全く別の語彙を相当数含むと考えられます。)
  "おたく"   328,000 件
  "オタク"   812,000 件
  "オタ"    359,000 件
  "ヲタク"   259,000 件
  "ヲタ"    697,000 件




# せざるおえない

【1002】
# せざるおえない
 Yeemar
 - 05/8/19(金) 7:53 -
----
せざるおえない
の続きです。

最近、大学生のレポート(ワープロ文章)に、「やむ負えない時にだけ、」と書いてありました。



【1005】
Re:# せざるおえない
 NISHIO
 - 05/8/19(金) 21:16 -
----
「やむ‐おえない」とか「やもう‐えない」だと思っている人が少なくないようですね。耳で覚えて勝手に字を当てたと思しき表記をしばしば目にします。
Google検索結果。

"やむを得ない" 1,050,000 件    "やむを得ず"  387,000 件
"やむをえない"  173,000 件    "やむをえず"  78,700 件
"やむお得ない"    150 件    "やむお得ず"    79 件
"やむおえない"   7,930 件    "やむおえず"   9,210 件
"やむ終えない"   5,130 件    "やむ終えず"   4,470 件
"やむ負えない"    476 件    "やむ負えず"    215 件
"やむ追えない"    53 件    "やむ追えず"    52 件

"止むを得ない"  88,800 件    "止むを得ず"  43,900 件
"止むをえない"   3,450 件    "止むをえず"    568 件
"止むお得ない"    22 件    "止むお得ず"    11 件
"止むおえない"    296 件    "止むおえず"    250 件
"止む終えない"    723 件    "止む終えず"    782 件
"止む負えない"    235 件    "止む負えず"    107 件
"止む追えない"    116 件    "止む追えず"    25 件

"已むを得ない"    908 件    "已むを得ず"    544 件
"已むをえない"    56 件    "已むをえず"    38 件
"已むお得ない"     5 件    "已むお得ず"     2 件
"已むおえない"     8 件    "已むおえず"     5 件
"已む終えない"    33 件    "已む終えず"    36 件
"已む負えない"     5 件    "已む負えず"     1 件
"已む追えない"     - 件    "已む追えず"     1 件

"病むを得ない"    39 件    "病むを得ず"    30 件
"病むをえない"    16 件    "病むをえず"     9 件
"病むお得ない"     - 件    "病むお得ず"     - 件
"病むおえない"     4 件    "病むおえず"     4 件
"病む終えない"    35 件    "病む終えず"    42 件
"病む負えない"    40 件    "病む負えず"     6 件
"病む追えない"     1 件    "病む追えず"     - 件


"やもう得ない"    226 件    "やもう得ず"    64 件
"やもうえない"    602 件    "やもうえず"    443 件
"やもお得ない"     1 件    "やもお得ず"     - 件
"やもおえない"    185 件    "やもおえず"    235 件
"やも終えない"    13 件    "やも終えず"    27 件
"やも負えない"     5 件    "やも負えず"     5 件
"やも追えない"     2 件    "やも追えず"     9 件

"止もう得ない"    95 件    "止もう得ず"    17 件
"止もうえない"    13 件    "止もうえず"     9 件
"止もお得ない"     1 件    "止もお得ず"     - 件
"止もおえない"     2 件    "止もおえず"     - 件
"止も終えない"     - 件    "止も終えず"     1 件
"止も負えない"     - 件    "止も負えず"     - 件
"止も追えない"     - 件    "止も追えず"     - 件

"已もう得ない"     2 件    "已もう得ず"     1 件
"已もうえない"     - 件    "已もうえず"     - 件
"已もお得ない"     - 件    "已もお得ず"     - 件
"已もおえない"     - 件    "已もおえず"     - 件
"已も終えない"     - 件    "已も終えず"     - 件
"已も負えない"     - 件    "已も負えず"     - 件
"已も追えない"     - 件    "已も追えず"     - 件

"病もう得ない"     - 件    "病もう得ず"     1 件
"病もうえない"     - 件    "病もうえず"     - 件
"病もお得ない"     - 件    "病もお得ず"     - 件
"病もおえない"     - 件    "病もおえず"     - 件
"病も終えない"     - 件    "病も終えず"     - 件
"病も負えない"     - 件    "病も負えず"     - 件
"病も追えない"     - 件    "病も追えず"     - 件




地名の表記

【978】
地名の表記
 佐藤
 - 05/8/6(土) 13:46 -
----
カタカナ地名の姉妹編です。カタカナ地名は岡島さんの周到なリストアップでかなり進展したのでした。方言文字なども抑えておければ便利かと思い、立ててみました。

最近気づいたものを一つ。「北海道江別市豊幌はみんぐ町」。こういう名の町があると思っただけで、嫌な気分から解放される気がします。
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=all&nl=43/07/57.726&el=141/37/48.579&scl=25000&bid=Mlink



【998】
Re:地名の表記
 NISHIO
 - 05/8/15(月) 5:22 -
----
カタカナ地名の最新版です。市区町村名・コードは2005年8月1日現在のもの。

都道府県   市区町村 丁町名・大字・字 
01 北海道  104 札幌市白石区流通センター1〜7丁目 
01 北海道  108 札幌市厚別区下野幌テクノパーク1〜2丁目 
01 北海道  204 旭川市パルプ町  ★日本製紙(旧・山陽国策パルプ)旭川工場
01 北海道  204 旭川市パルプ町一条1〜8丁目 
01 北海道  204 旭川市パルプ町二条2〜9丁目 
01 北海道  204 旭川市パルプ町三条7〜9丁目 
01 北海道  228 深川市納内町グリーンタウン 
01 北海道  303 石狩郡当別町スウェーデンヒルズ 
01 北海道  303 石狩郡当別町太美スターライト 
02 青森県  203 八戸市卸センター1〜2丁目 
02 青森県  203 八戸市北インター工業団地1〜6丁目 
03 岩手県  201 盛岡市流通センター北1丁目 
03 岩手県  206 北上市流通センター 
03 岩手県  322 紫波郡矢巾町流通センター南1〜4丁目 
06 山形県  201 山形市流通センター1〜4丁目 
06 山形県  202 米沢市アルカディア1丁目 
07 福島県  202 会津若松市インター西  ★磐越自動車道・会津若松IC
09 栃木県  205 鹿沼市流通センター 
10 群馬県  205 太田市スバル町  ★富士重工・群馬製作所
11 埼玉県  101 さいたま市西区プラザ 
12 千葉県  211 成田市ウイング土屋 
12 千葉県  212 佐倉市ユーカリが丘1〜7丁目 
12 千葉県  212 佐倉市ユーカリが丘2丁目 
12 千葉県  212 佐倉市南ユーカリが丘 
14 神奈川県 201 横須賀市グリーンハイツ 
14 神奈川県 201 横須賀市ハイランド1〜5丁目 
15 新潟県  201 新潟市流通センター1〜6丁目 
15 新潟県  201 新潟市流通センター2丁目 
15 新潟県  213 燕市物流センター1〜4丁目 
16 富山県  202 高岡市オフィスパーク 
16 富山県  209 小矢部市フロンティアパーク 
16 富山県  209 小矢部市メルヘンランド
16 富山県  381 射水郡小杉町流通センター下条1丁目
16 富山県  381 射水郡小杉町流通センター青井谷1〜2丁目
16 富山県  382 射水郡大門町流通センター水戸田1〜3丁目
17 石川県  204 輪島市マリンタウン
17 石川県  365 河北郡内灘町字アカシア1〜2丁目
17 石川県  365 河北郡内灘町字ハマナス1〜2丁目
18 福井県  426 丹生郡清水町グリーンハイツ1〜10丁目
18 福井県  501 三方上中郡若狭町若狭テクノバレー
19 山梨県  208 南アルプス市 
19 山梨県  212 上野原市コモアしおつ1〜4丁目
20 長野県  201 長野市アークス
20 長野県  207 須坂市大字須坂須坂ハイランド町
20 長野県  321 北佐久郡軽井沢町大字発地ニュータウン
20 長野県  461 南安曇郡豊科町大字高家アルプス団地
20 長野県  461 南安曇郡豊科町大字田沢アルプス団地
20 長野県  485 北安曇郡白馬村大字北城エコーランド 
20 長野県  541 上高井郡小布施町大字小布施クリトピア 
21 岐阜県  201 岐阜市コモンヒルズ北山 
21 岐阜県  304 羽島郡柳津町流通センター1〜3丁目 
22 静岡県  101 静岡市葵区流通センター 
22 静岡県  206 三島市富士ビレッジ 
23 愛知県  211 豊田市トヨタ町  ★トヨタ自動車・本社工場
23 愛知県  216 常滑市セントレア1〜5丁目  ★中部国際空港(セントレア)
24 三重県  207 鈴鹿市鈴鹿ハイツ 
24 三重県  210 亀山市アイリス町 
24 三重県  210 亀山市関町富士ハイツ 
24 三重県  216 伊賀市阿山ハイツ 
24 三重県  216 伊賀市川合東山タウン 
26 京都府  206 亀岡市千代川町川関トビノス 
27 大阪府  204 池田市ダイハツ町  ★ダイハツ工業・本社工場
27 大阪府  219 和泉市テクノステージ1〜3丁目 
27 大阪府  362 泉南郡田尻町りんくうポート南  ★関西国際空港
27 大阪府  362 泉南郡田尻町りんくうポート北 
28 兵庫県  204 西宮市山口町阪神流通センター1〜3丁目 
28 兵庫県  204 西宮市名塩ガーデン 
28 兵庫県  219 三田市テクノパーク 
33 岡山県  202 倉敷市倉敷ハイツ 
33 岡山県  445 浅口郡里庄町大字新庄グリーンクレスト 
34 広島県  104 広島市西区商工センター1〜8丁目 
34 広島県  202 呉市安浦町中央ハイツ 
34 広島県  302 安芸郡府中町瀬戸ハイム1〜4丁目 
35 山口県  201 下関市ゆめタウン 
35 山口県  203 山口市大字朝田山口県流通センター 
35 山口県  212 柳井市ニュータウン南町 
35 山口県  216 山陽小野田市セメント町  ★太平洋セメント(旧・小野田セメント)
35 山口県  402 吉敷郡小郡町大字上郷流通センター西 
35 山口県  402 吉敷郡小郡町大字上郷流通センター東 
36 徳島県  204 阿南市中林町サンライズヒル 
37 香川県  201 高松市サンポート 
39 高知県  209 土佐清水市グリーンハイツ 
39 高知県  210 四万十市中村丸の内丸の内ハイランド 
39 高知県  323 香美郡土佐山田町テクノパーク 
40 福岡県  220 宗像市アスティ1〜2丁目 
41 佐賀県  204 多久市北多久町メイプルタウン 
42 長崎県  201 長崎市エミネント葉山町 
42 長崎県  201 長崎市ダイヤランド1〜4丁目 
42 長崎県  202 佐世保市ハウステンボス町  ★ハウステンボス
42 長崎県  204 諫早市多良見町シーサイド 
42 長崎県  367 南高来郡小浜町マリーナ 
44 大分県  201 大分市大字鴛野サンシャイン敷戸 
44 大分県  201 大分市大字旦野原旦の原ハイツ西 
44 大分県  201 大分市大字旦野原旦の原ハイツ東 
44 大分県  201 大分市大字中判田高江ハイツ 
44 大分県  201 大分市大字田尻天領ハイツ 
44 大分県  201 大分市大字東明野明野ハイツ 
44 大分県  207 津久見市セメント町  ★太平洋セメント
46 鹿児島県 211 加世田市ハーモニー 

流通センターのほか、バブル期に各地にできたテクノパークやオフィスアルカディアの名前、不動産業者が付けた宅地の名前をそのまま付けたものが目立ちます。
個人の住所としては、ちょっと恥ずかしいかもしれません。

ちなみに、カタカナの自治体名・丁町名・大字・字名をMapionで抽出してみたところ、前記を含めて4315件ありました(丁目の異なるものも1件ずつ数えて)。
このほか、「ノ・ツ・ケ・ガ」を含む地名が1万8千322件ありました。「ノ」が約1万2千件、「ケ・ガ」が5千6百件ほどです。
漢字の「ヶ」や平仮名の「の・つ・が」は数えていませんが、送り仮名の「上ミ・下モ・下タ・下リ・向イ・後ロ・新シ」等はカタカナ地名の4315件に含みます。



ムチはしなう?しなる?

【954】
ムチはしなう?しなる?
 道浦俊彦
 - 05/7/27(水) 18:06 -
----
「しなう」と「しなる」、「しなう」の方が古い言葉のようですが、意味の違いや使い分けはあるのでしょうか?
私は「ムチ(鞭)」は「しなう」の方が合うような気がするのですが。「木の枝」は断然「しなる」です。
そして、ともに過去形は「しなった」で良いのでしょうか?



【956】
Re:ムチはしなう?しなる?
 Yeemar
 - 05/7/27(水) 23:48 -
----
▼道浦俊彦さん:
>「しなう」と「しなる」


ほかに、ごはんを「よそう」と「よそる」、赤ん坊を「負ぶう」と「負ぶる」、いずれも前者が古く、後者が俗語的という感じがします。私の場合、意味による使い分けをするかどうかは、あいまいです。

活用はいずれも五段活用で、過去形は「しなった」「よそった」「負ぶった」でいいでしょう。つまり、過去形では終止形が「う」か「る」か分からないところから、交替が起こったのでしょう。

見坊豪紀『〈'60年代〉ことばのくずかご』(筑摩書房)p.57によれば
「しなう」は辞書にある。「しなる」はない〔Yeemar注、当時の話〕。が、「しなる」は、「しなう」と同じくらいに新聞では使われているらしい。
オリンピック〔Yeemar注、東京〕期間中、「しなう」6例「しなる」5例「しなり」(名詞)1例を新聞から採集した。
とのことです。



【958】
Re:ムチはしなう?しなる?
 道浦俊彦
 - 05/7/28(木) 8:33 -
----
『はなしのくずかご』によると、1960年代には、もう「しなる」が出てきていたのですね。じゃあ、もう「しなう」の方が詩か何か出ないと見られない言葉になっているのでしょうね、おそらく。



【971】
Re:ムチはしなう?しなる?
 POP3
 - 05/7/31(日) 9:58 -
----
▼道浦俊彦さん:
>『はなしのくずかご』によると、1960年代には、もう「しなる」が出てきていたのですね。じゃあ、もう「しなう」の方が詩か何か出ないと見られない言葉になっているのでしょうね、おそらく。


童謡「船頭さん」の歌詞に

 元気いっぱい櫓がしなる

とあります.
 
作曲:河村光陽(1897-1946)
作詞:武内俊子(1905-1945)

だそうですから戦前にも「しなる」は登場していたのでしょう.

余談ですが,この歌詞を聞いて僕は「ろがす」という動詞があると思って
いました.



【972】
Re:ムチはしなう?しなる?
 Yeemar
 - 05/7/31(日) 11:29 -
----
▼POP3さん:
>戦前にも「しなる」は登場していたのでしょう.


「船頭さん」は「昭和十六年七月キングレコード」ということですね(『童謡』野ばら社1983)。



【973】
Re:ムチはしなう?しなる?
 佐藤
 - 05/8/1(月) 18:05 -
----
▼道浦俊彦さん:
>『はなしのくずかご』によると、1960年代には、もう「しなる」が出てきていたのですね。


 方言差も考えたいところ。ここ十年くらいの論文で、誰のだったかで見た気がします(柴田武先生? 手紙で調査依頼が来たような記憶が……)。また、津軽方言などでは、共通語・東京語のワ行五段活用が、規則的にラ行五段活用化しているのは夙に有名。ただし、ここ10〜20年ほどのあいだで急速に共通語化が進んでいるようなので、若年層ではどんなものか。



【997】
Re:ムチはしなう?しなる?(しゃくる)
 Yeemar
 - 05/8/13(土) 18:02 -
----
>ほかに、ごはんを「よそう」と「よそる」、赤ん坊を「負ぶう」と「負ぶる」


「しゃくる」と「しゃくう」というのもあり、前者は「さくる」の転、後者は「杓」+「う」という、名詞の動詞化でしょうか。ところが混用もされます。
 扉口で一度振り返った伊作を、天上は凝と見遣り、そうして、(もう行け)というように顎を掬{しゃく}うようにした。(森茉莉「甘い蜜の部屋」〔1975年発表〕『新潮現代文学62』1981.04.15発行 p.259)
「しゃくう」は、『大辞林』第2版によれば「手やひしゃくなどで液体や粉などをすくい取る。しゃくる」という意味しかありません。ところが、ここの「しゃくう」は、『大辞林』第2版の「しゃくる」(4)「あごを軽く突き出すようにして上げる。人に横柄に指示する時の動作」と同様の意味で用いられています。


雰囲気。 #

【300】
雰囲気。 #
 Yeemar
 - 04/8/19(木) 6:53 -
----
女王・蝶々
雰囲気。
雰囲気。――続
などに関連するものと思います。

「女王→じょうおう」の類例として「目一杯→めいいっぱい」。
(笹を)めいいっぱい伸ばしてから抜くのは意外に面白いし、
学生の文章です。書き手は関西出身(1音節語の長呼)なのかどうか、分かりません。「せいいっぱい」からの類推もあるか。「Google」では「"めいいっぱい" の検索結果 約 10,400 件」となり、少なくありません。



【301】
Re:雰囲気。 #
 道浦俊彦
 - 04/8/19(木) 9:17 -
----
関西弁は単音を引っ張って2音にしますね。目エ、手エ、背エ、日イ、間ア、蚊アなどなど。それとの関連は銅なんでしょうか?いや、どうなんでしょうか?(五輪のせいか?)



【302】
Re:雰囲気。 #
 KS
 - 04/8/19(木) 10:55 -
----
▼道浦俊彦さん:
>関西弁は単音を引っ張って2音にしますね。目エ、手エ、背エ、日イ、間ア、蚊アなどなど。それとの関連は銅なんでしょうか?いや、どうなんでしょうか?(五輪のせいか?)


私(関西人)も「じょうおう」と伸ばして発音しています。
 「じょ」を長音にして「じょう」のようにも思いますが、「女王」のアクセントで見ますと「じょおう」の場合は「王」にアクセントを置いて発音しますが、「じょうおう」の場合は(関西風)しり下がりのイントネーションで発音しています。
 「じょうおう」と伸ばして云う場合に「おう」にアクセントを置いて、しり上がりに発音するのは(私には)かなり難しく変な感じです。
 「女」の文字は「じょ」と発音するのが殆どで「じょう」と発音するのは「女王=じょうおう」の場合だけのような気がします。「じょうおう」は発音の方言なんでしょうか?。
 ところで、このメールを打ってて発見したのですが「じょうおう」と入力しても、ちゃんと「女王」に変換してくれました。流石、関西のパソコンです!?。



【303】
Re:目一杯
 佐藤
 - 04/8/19(木) 15:33 -
----
▼Yeemarさん:
>「女王→じょうおう」の類例として「目一杯→めいいっぱい」。


東日本出身の私も言いますね。メイッパイも使うけれど。類例に「ひいじいさん/ひいばあさん」。2拍1音節で揃えようとする力が働くのか。

「ふいんき」の類例は「さざんか」(山茶花)。あと30年もすると山茶花のように、「ふいんき」が正しい形になるのかもしれませんね。変化の終着点を見てみたい気もします。



【352】
Re:雰囲気。 #
 NISHIO
 - 04/9/10(金) 1:06 -
----
▼KSさん:
> 私(関西人)も「じょうおう」と伸ばして発音しています。


その昔、fj.jokes(だったか)で、「嬢王(じょうおう)」が流行したことがありました。

・・・が、関西特有というわけでもないと思います。

見坊豪紀『ことばのくずかご』(ちくまぶっくす15, 筑摩書房, 1979年8月23日初版)
(29)ジョオウか? ジョウオウか? 〔75.7 64〜65〕
エリザベス女王ご滞在中の一週間、ラジオ・テレビ各局の多数派は、NHKのアナウンサーも含めてジョーオー。〔NHKの『日本語発音アクセント辞典』はジョオ¬ー〕 そして「じょうおう」を載せる辞書は、『三省堂国語辞典』第二版『日本国語大辞典』の少数派。
ジョーオーに関する最高の証人は天皇だ。
英国ジョーオーエリサ〔?〕ベス二世陛下
ジョーオー陛下ならびにエジンバラ公(NHK総合テレビ75年5月7日19時59分「ニュースセンター特集」宮中晩さん会でのごあいさつ文)


# あ、天皇家は京都弁か…



【925】
Re:目一杯
 道浦俊彦
 - 05/7/11(月) 11:05 -
----
▼佐藤さん:
>「ふいんき」の類例は「さざんか」(山茶花)。あと30年もすると山茶花のように、「ふいんき」が正しい形になるのかもしれませんね。変化の終着点を見てみたい気もします。


『バカにみえる日本語』(誤字等日本語研究会・著、辰己出版:2005、6、1)という本の最初に取り上げられているのが「ふいんき」です。
Google検索では「ふいんき」が53%(2万3300件)、「ふんいき」が47%(2万0400件)だったと記されています。また「亜種」として「不陰気」「雰因気」「雰陰気」「風陰気」「風囲気」「分陰気」「負陰気」「不囲気」などもあったということです・・・。



【926】
Re:目一杯
 Yeemar
 - 05/7/12(火) 14:26 -
----
▼道浦俊彦さん:
>『バカにみえる日本語』(誤字等日本語研究会・著、辰己出版:2005、6、1)


この本を道浦さんにお教えいただき、目次をデータ化してみました。この本は、もともとはインターネット「誤字等の館」に掲載された文章をもとにしたもののようですね。


●誤字等日本語研究会『バカにみえる日本語』辰巳出版株式会社 2005.06.01(注・〔 〕内は検索用に私が加えた参考語形。必ずしもそれだけが正用という意ではない)

1:ふいんき〔雰囲気〕/惜しい間違い
2:こんばんわ/「こんにちわ」派の先生/「こんにちは」と「こんばんは」
3:完壁〔完璧〕/和氏の璧
4:寸暇を惜しまず/寝る間も……
5:至上命題/ほんとに「至上」ですか?
6:思考錯誤〔試行錯誤〕/至高の嗜好を試行する
7:笑う角には〔笑う門には〕/鬼にも衣装?
8:そのとうり〔そのとおり・その通り〕/「とぅ」は何と読む?
9:うる覚え〔うろ覚え〕/裏の記憶?
10:出る釘は打たれる〔出る杭は打たれる〕/「打つ」のは何のため?
11:徴妙〔微妙〕/「税金徴収」は取りすぎ?
12:コミニュケーション〔コミュニケーション〕/間違えるのは「マスコミ」のせい?
13:ギブス〔ギプス〕/バネ仕掛けのギプス
14:忘備録〔備忘録〕/防忘録
15:同音意義語〔同音異義語〕/批判のつもりが……?
16:不詳の息子〔不肖の息子〕/不詳の身ながら
17:手持ちぶたさ〔手持ちぶさた・手持ち無沙汰〕/五豚さ〔ごぶさた〕
18:責任追求〔責任追及〕/原因追求
19:できかねません/「できかねる」は自己保身の言葉
20:前面リニューアル〔全面リニューアル〕/全面に集中せよ
21:アボガド〔アボカド〕/国のお墨付き?
22:濡れ手に泡〔濡れ手に粟〕/濡れ手にバブルとあぶく銭
23:どこにでも偏在する〔遍在〕/次に曲がるのは?
24:先立つ不幸〔先立つ不孝〕/不孝の手紙?〔不幸の手紙〕
25:年棒〔年俸〕/給料は年捧制〔年俸制〕
26:領布〔頒布〕/目で覚えるか、耳で覚えるか
27:自分では役不足〔力不足〕/敵をほめるヒーロー?
28:保障書〔保証書〕/共同で保障します
29:全知全能を傾けて〔全身全霊〕/神は全治なり?
30:一瞬先は闇〔一寸先は闇〕/一寸法師の身長は?
31:ファンタジック〔ファンタスティック〕/英語との併記
32:負けるとも劣らない〔勝るとも劣らない〕/負けじ魂、ここに
33:とんでもありません〔とんでもない〕/滅相もありません
34:国敗れて山河あり〔国破れて山河あり〕/杜甫と芭蕉と藤原氏
35:まぎわらしい〔まぎらわしい・紛らわしい〕/入れ替えは新語を生む?
36:汚名挽回〔汚名返上〕/汚名を手に入れたい人とは



【979】
「退院」
 佐藤
 - 05/8/6(土) 17:39 -
----
 この種のものはまだ出てなかったでしょうか。
 私は、「退院・隊員」を〔ta:iN〕と発音しがちのようです。〔i〕が二つ並ぶのは厄介で、「退院」は前の母音を伸ばすように変わりますが、それでも存在の痕跡が主張されます。が、「体育」だと〔i〕を一つ落とすところまでいってしまう(この2種の差は、アクセントの位置が関与?)。
 こうした変化は、中世・近世では〔u〕が後ろにくる連母音が融合(異化をともなうものもあり)・長音化しましたが、近世以降だと〔i〕が後ろにくるものに変化がありますね(もちろん、方言による遅速はあります)。それと関連するものか。
 入試問題などで「読み仮名を記しなさい」という表現を見ることがあります。面妖な言い方だなと思っていました。が、単に「読みを記しなさい」としか書いてない場合、「退院→たあいん(たーいん?)」を×にできませんね(理屈をこねれば)。そうした事態への対策として「読み仮名」という術語(?)に、「漢字の読みの本来の仮名表記」の意味を込めて使っているのかも…… と思うことがあります。



【982】
Re:「退院」
 道浦俊彦
 - 05/8/6(土) 19:18 -
----
「体育」「体育館」が「たいく」「たいっかん」(あるいは「たいくかん」)となるのもあるのではないでしょうか。



【984】
Re:「退院」
 佐藤
 - 05/8/6(土) 20:58 -
----
▼道浦俊彦さん:
>「体育」「体育館」が「たいく」「たいっかん」(あるいは「たいくかん」)となるのもあるのではないでしょうか。


「「体育」だと〔i〕を一つ落とすところまでいってしまう」として触れてますよ。



【986】
Re:「退院」
 道浦俊彦
 - 05/8/6(土) 21:32 -
----
あ・・・失礼しました。
では、こんなのはいかがでしょうか。
「田園」(でんえん)が「でーえん」、「単音」(たんおん)が「たーおん」、「山陰」(さんいん)が「さーいん」のように撥音の「ん」をしっかり発音できないので、長音のように聞こえる曖昧な発音になる傾向がある、というのは。

昔、祇園祭の中継のリポーターが、祭に来ている人に、
「どちらからいらっしゃったんですか?」
と聞いたところ、その人は、京都市内の、
「西院(さいいん)」
と答えたのに、リポーターは、
「山陰(さんいん)」
と聞き取ってしまい、
「まあ、遠くからいらっしゃったんですねえ。」
と言っていたことを思い出しました。
母音にはさまれた「ん」は発音しにくいし、また聞き取りにくい、ということでしょうか。
また、同じ母音がつながる場合には、はっきりと言い直さないと長音になってしまってダラシがなく聞こえると、若手アナには指導しています。



【989】
Re:「退院」
 佐藤
 - 05/8/8(月) 13:01 -
----
▼道浦俊彦さん:
>「田園」(でんえん)が「でーえん」、「単音」(たんおん)が「たーおん」、「山陰」(さんいん)が「さーいん」のように撥音の「ん」をしっかり発音できないので、長音のように聞こえる曖昧な発音になる傾向がある、というのは。


 それは済ませたつもりでおります。↓
  http://www.gifu-u.ac.jp/~satopy/kini085.htm#5

 私自身は、いまのところ「田・単・山」のンは長音化しないようです。いや、かすかに「山陰」の中の撥音が弱まっているかもしれません。ただ、同じ発音になるはずの「産院・参院」ではそうではなさそう。少なくとも意識の上では。

 おそらく、他の語(ことに対義語)との区別をはかろうとして撥音をきちんと保とうとしているのかな、と思っています。「山陰」の場合、「山陽」と対になりますが、発音のしやすい後字部末尾での言い訳(イン/ヨー)なので前字部の撥音はぞんざいでもいい。が、「産院/参院」では、区別する部分が前字部にくるので(参考:医院・病院……/衆院)きちんと発音しようとしている。ただ、これもぞんざいな発音になったとしても、他の語と紛れなさそうなので、単に気分の問題なのかもしれません。



【990】
Re:「退院」
 道浦俊彦
 - 05/8/8(月) 15:19 -
----
今日の新人アナ研修の中で原稿を読ませていたら、「店員」をあいまいに発音していたので、「てーいん」に聞こえました。「店員」の最初の「ん」と次の「い」をキッチリ発音しないと「定員」なってしまいます。歯の治療で麻酔を打ったあとにしゃべっているような感じです。



【991】
Re:「退院」
 佐藤
 - 05/8/9(火) 16:44 -
----
▼道浦俊彦さん:
>今日の新人アナ研修の中で原稿を読ませていたら、「店員」をあいまいに発音していたので、「てーいん」に聞こえました。「店員」の最初の「ん」と次の「い」をキッチリ発音しないと「定員」なってしまいます。


 研修、お疲れさまです(←誤用?)。前に他局の新人研修の様子を見たことがありますが、指導役が「君たちなんか、いらないんだ!」と言っているところから見だしたのでビックリしたものでした。でも、その気持ち(というか指導法)はよく分かります。新人の頭には「就職戦争に勝ち抜いた勇者なんだぜ、へへん!」といった思い上がりもないとは言えない。いつまでたってもそのような状態では、先輩たちが(必死の思いで)つかんできた技術を正当に評価することもできず、ひいては技術習得へのモチベーションを低下させることでしょう。「お前たちは、力も見識もない、ただの若者にすぎないのだ」、そう、初期段階で印象的に教えておけば、内省のきっかけとなり、自覚をもつことにもつながる。そして未熟さを知れば技術習得にもはずみがつき、結局、時間の節約にもなります。「最初の一喝」は効率的な指導法かもしれないなと思い直しているところです(ウチでもやろうかなぁ)。

 ところで、もう一押し。変化の最前線では何が起こっているかを観察したいですね。
 いま、「サンイン」が「サーイン」になりつつあるわけですが、そこで何が起こっているかを知りたい。全体的な傾向もそうですけれども、結局は、一人の人間において、どこまで進んでいるかということが知りたいですね。今だからできる検討です。5年・10年たってから振り返ってももう遅い。自分の変化がどこまで進んでいたかすら、忘れているでしょう。それではつまらないので、今の段階で書き留められたらいいな、と思うわけです。
 で、私の場合、「サンイン」であるべき発音のうち、「山陰」と「産院・参院」で違いがありそうだということまで確認できました。その進度の差の由来も見てみた、ということになります。道浦さんの内省で気づいたことがあれば、お書き込みください。



【992】
原因
 skid
 - 05/8/9(火) 22:22 -
----
つい「げいいん」とタイプしてしまいます。
鯨飲したことはないけれど、口でもそう言ってます。
物質も「ぶしつ」としか言わなくなりました。


ハモる ―名詞の動詞化―

【929】
ハモる ―名詞の動詞化―
 Yeemar
 - 05/7/13(水) 16:47 -
----
金田一春彦・安西愛子編『日本の唱歌(中)』(講談社文庫)p.292に「朝はどこから」の歌について
安西と岡本とがハモッて歌ったのが、当時はまだ珍しい試みで新鮮な感じを与えた。
とあります。この文庫の初版は「昭和54年7月15日」。このころから「ハモる」はあるのか、意外に古いと思いました。

『日本国語大辞典』の「ハモる」には用例がありません。

名詞の動詞化の例については、だいぶ前に、「トラブる」の先祖というページに書きつけたことがあります。ほとんどは知られた例ですが、中には珍しいと思ったものも入れたつもりです。



【930】
Re:ハモる ―名詞の動詞化―
 岡島昭浩
 - 05/7/13(水) 21:03 -
----
▼Yeemarさん:
>「昭和54年7月15日」。このころから「ハモる」はあるのか、意外に古いと思いました。



私が中学生の頃、昭和48年から51年頃ですが、福岡の民放、RKBラジオで、大人気番組「スマッシュ11(イレブン)」というのがありました。その中で、「○○○ないコーラス」というコーナーがありました。一語化して言っており、下がり目はコの後。聴取者が集まって、なにか歌を歌い、それを編集して放送する、というコーナーでした。


この「○○○ないコーラス」が何と言っているのか分からず、
「真駒内コーラス」?
「浜もないコーラス」?
「たまらないコーラス」?
と、首を傾げておりました。

これが「ハモらないコーラス」だったんです。多分、音楽愛好者の間では、早くから使われていたものだろうと思います。



【960】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和35年!
 佐藤
 - 05/7/30(土) 11:25 -
----
昭和35年発生説、発見。我等、ハモるとともに生まれし者達?
http://www.geocities.jp/showahistory/history5/showa35.html

歌声喫茶が発祥の場。昭和35年に「使われ(てい)た」ということでしょうから、もう少しさかのぼれるか。ただ、回想録のような書きぶりなので、思い違いも考えられますね。他の証言もほしい。



【961】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和35年!
 道浦俊彦
 - 05/7/30(土) 13:30 -
----
大学のOB合唱団で男声合唱をやっていますが、昭和20年代後半卒業の先輩たちも「ハモる」はごくフツウに使っていますね。新たに覚えた言葉、というようでもなく、学生時代から使われていると思われます。
今度、ご本人たちに直接伺って確認しておきます。



【962】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和35年!
 道浦俊彦
 - 05/7/30(土) 14:49 -
----
『日本俗語大辞典』(米川明彦編、東京堂出版)に載っている「ハモる」の用例で一番古いのは、1955年(昭和30年)8月28日号の 『週刊読売』の記事で、「『みんなで”若者”でもハモろうぜ』(”ハモるは合唱する。ハーモニーの転)左翼学生の隠語」
だそうです。
また、昭和31年初版・昭和48年22版の楳垣実『隠語辞典』(東京堂出版)にも学生語として「ハモる」が載っていました。意味は「合唱する」。

ただ、現在私が使っている「ハモる」は、単に合唱するのではなく、和音を聞かせるものを「ハモる」と言います。斉唱は、合唱ではありましょうが「ハモる」ではありません。



【965】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和30年!
 佐藤
 - 05/7/30(土) 19:03 -
----
▼道浦俊彦さん:
>『日本俗語大辞典』(米川明彦編、東京堂出版)に載っている「ハモる」の用例で一番古いのは、1955年(昭和30年)8月28日号の 『週刊読売』の記事で、「『みんなで”若者”でもハモろうぜ』(”ハモるは合唱する。ハーモニーの転)左翼学生の隠語」
>だそうです。


ありがとうございます。歌声喫茶を生み出した「うたごえ運動」(↓)の産物のようですね。するとさらにさかのぼるか。上限は1948年?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%86%E3%81%9F%E3%81%94%E3%81%88

「ハモる」という言い方は、岡島さんやYeemarさんの受け取り方からすると、生まれてから現在まで必ずしも拡大の一途をたどった訳ではないようですね。ある時期に拡大してまた収束して、現代にみるように定着した、という筋でしょうか。あるいは大学生の隠語として長らく保たれたということか。



【966】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和30年!
 道浦俊彦
 - 05/7/30(土) 19:09 -
----
昭和35年大学卒業の先輩から返事が返ってきました。それによると、

「現役の頃は、ごく自然に『ハモる』を使っていました。またジャズメン達が使っていた 「C千」(=1000)、「G百」(=500)など、金銭に関する表現や、「ジャズ」を「ズージャ」というように語順を入れ替える表現なども仲間内で隠語として結構使っていました。」

早稲田大学グリークラブ(男声合唱団)での話です。「現役の頃」と言うのは、「昭和31年から35年」にかけて、「1956年から1960年」です。



【967】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和30年!
 道浦俊彦
 - 05/7/30(土) 21:36 -
----
さらに昭和34年(1959年)卒業の先輩からです。

「定かではありませんが、私の記憶ではグリークラブ現役当時(昭和30年から34年)から使われていたように思います。いつ頃からかと言われると、一寸困りますが・・・。21号館共通教室裏手の部室で、現在ボニージャックスの西脇さんや高橋さん玉田さん達が、何人か集まっては暇があれば何かを歌っているのを見かけて、
『あー、またハモッてるネ』
などと云っていたような気がします。」

とのことです。



【968】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和30年!
 道浦俊彦
 - 05/7/30(土) 21:40 -
----
「うたごえ運動」で歌われたものは、どちらかというと「斉唱」のようにユニゾン(同じメロディ)で歌うものか、せいぜい2部合唱ぐらいが多かったのではないでしょうか?それだと「ハモる」感覚とは、ちょっと違うかなと思うのですが・・・。
「コード」がバシッと決まってこそ、「ハモった」と言えるような気がします。



【969】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 語義・語感
 佐藤
 - 05/7/30(土) 22:02 -
----
▼道浦俊彦さん:
>「うたごえ運動」で歌われたものは、どちらかというと「斉唱」のようにユニゾン(同じメロディ)で歌うものか、せいぜい2部合唱ぐらいが多かったのではないでしょうか?それだと「ハモる」感覚とは、ちょっと違うかなと思うのですが・・・。
>「コード」がバシッと決まってこそ、「ハモった」と言えるような気がします。


私も「ハモる」を使うときは、和音(三度とか六度?とか)が成立したときが主です。ちゃんとした(?)不協和音でも言いそうです(「音程が合っていない」とは別)。ただ、俗に「単に同じ言葉を同時に発話した(歌ですらない!)」場合でも使ってますね。そして、それを承知の上で、ちょっとだけ後ろめたさを覚えつつ、使うこともあります。

「ハモる」の許容度などを調べるのも面白そうですね。どこで線が引けるか、とか。
 A正式な不協和音でひびく
 Bきれいな和音(不協和音除く)がひびく
 C4声部(以上? 分からん)でうたう
 Dせいぜい2声部程度でうたう
 Eともかく皆で一緒にうたう
 F偶然、同時に同じ言葉をいいあう
程度差順に並べたつもりですが、BとCのあいだで、状態をいうのか、行為をいうのかという大きな境界ができますね。



【970】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和30年!
 Yeemar
 - 05/7/31(日) 0:21 -
----
▼佐藤さん:
>「ハモる」という言い方は、岡島さんやYeemarさんの受け取り方からすると、生まれてから現在まで必ずしも拡大の一途をたどった訳ではないようですね。


私は1979年の例を見て「意外に古い」と思ったのですが、よく考えてみれば、私は中学生の時、1982年に音楽の先生が「ハモる」を使っているのを聞いた覚えがあります。そして、意味もすぐに分かりました。ですから、実際には79年の例は、私にとっても3年さかのぼったにすぎませんでした。考えが足りませんでした。



【974】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和30年!
 道浦俊彦
 - 05/8/2(火) 16:37 -
----
昭和23年(1948年)入学の先輩から、返事が来ました。

「入部時には既に使われていた記憶があります。終戦間もない頃。当時、指揮者は磯部俶さん、一年上には故・関屋晋さんがいました。よく『ハモってないな』とか『ひとつハモるか』という風に使っていました。」

とのことです。



【975】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和30年!
 佐藤
 - 05/8/2(火) 17:01 -
----
▼道浦俊彦さん:
>昭和23年(1948年)入学の先輩から、返事が来ました。
>
>「入部時には既に使われていた記憶があります。終戦間もない頃。当時、指揮者は磯部俶さん、一年上には故・関屋晋さんがいました。よく『ハモってないな』とか『ひとつハモるか』という風に使っていました。」


 あっさり理論的上限(=うたごえ運動発祥)の例まで出ましたね。
 ひょっとすると、合唱はじめ音楽に(準)専門的に関わる人には、早くから使われていたのでしょうか。で、うたごえ運動の広がりとともに昭和30年代あたりから「ハモる」が専門外の人にも広がりだした……

 いまさら言うのもあれなんですが、「ひとつハモるか」のような使い方、恐らくは「二声部以上で合唱する」の意味だと思うのですが、私にとっては初めて接する用法です。さきに語義などを何段階かに分けましたが、「合唱する」系のいくつかのブランチは、私にとっては実感のわかない用法です。



【976】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和30年!
 道浦俊彦
 - 05/8/2(火) 18:46 -
----
うちのOB合唱団の最高齢の「大」先輩は、なんと、
昭和12年(1937)”卒業”
の92歳!現在、間接的に「現役時代に『ハモる」を使っていたかどうか?」を確認してもらっているところです。



【977】
Re:ハモる ―名詞の動詞化― 昭和30年!
 道浦俊彦
 - 05/8/5(金) 10:00 -
----
さらに古い時代の先輩の話が聞けました。

「昭和24年卒の先輩は所謂「特攻帰り」で、当時航空隊の長靴を履いて通学しておられたように思います。学徒出陣で戦闘機に乗っていたということでした。

その学生時代に「ハモる」を使っていたということですから、昭和17、8年(1942、43年)頃には間違いなく使われていたということになります。磯部さんは17年卒ですからその頃は普通に使っていたのではないでしょうか。
それ以前については残念ながら不詳です。」


チェゲバな服

【939】
チェゲバな服
 道浦俊彦
 - 05/7/16(土) 20:20 -
----
10代と思われる若い夫婦が3組も、
「チェゲバな服」
という表現をするのを聞いたと、うちの後輩アナウンサーが言ってきました。若者本人たちに聞いても、
「ニューヨーク・ヤンキースの服(ユニフォームか?)」
「ゆったりとした服」
「ラップ系の人が着ているような服」
「帽子を斜めにかぶる」
と言うような答えしか返ってこなくて、どう言う意味か、なぜそのように言うのか、わからなかったそうです。
ネットで検索すると「チェ・ゲバラ」を略して「チェゲバ」というケースがあるかのようですが、一体この言葉の意味、出自はどこにあるのでしょうか?
ご存知の方、ご教示ください。



【949】
Re:チェゲバな服
 後藤斉
 - 05/7/20(水) 11:54 -
----
▼道浦俊彦さん:
>10代と思われる若い夫婦が3組も、
>「チェゲバな服」
>という表現をするのを聞いたと、うちの後輩アナウンサーが言ってきました。
>一体この言葉の意味、出自はどこにあるのでしょうか?


よくわかりませんが
http://216.239.63.104/search?q=cache:http%3A//www.deodeo.com/jp-bin/cd_detail.exe%3Fmode%3D0%26productno%3DVICP62887
>ファッション(マンバ、センターGUY)音楽(トランス)、言語(「チェゲバ」など)・・・誰もが興味を持っている。最先端の若者文化を総合的に理解できてしまう刺激的な一枚!

だそうです。現在のこのページ
http://www.deodeo.com/jp-bin/cd_detail.exe?mode=0&productno=VICP62887
からは「チェゲバ」が消えています。



【964】
Re:チェゲバな服
 道浦俊彦
 - 05/7/30(土) 14:53 -
----
平成ことば事情2234に「チェゲバな服」について書きました。反応を待っていますが、今の所、何も反応なし、です。


「パトラッシュ」と「パトラッシェ」

【931】
「パトラッシュ」と「パトラッシェ」
 道浦俊彦
 - 05/7/14(木) 9:50 -
----
ご存知、『フランダースの犬』の主人公の犬の名前ですが、ポプラ社のこども向けの本(大石真・文)を読んでいたら、
「パトラッシェ」
と書いてありました。私が慣れ親しんだ(それほどでもないけど)名前は、
「パトラッシュ」
です。これはどちらが正しいのでしょうか?
「アタッシュ・ケース」とアタッシェ・ケース」のようなケース(事例)なのでしょうか?



【937】
Re:「パトラッシュ」と「パトラッシェ」
 益山 健
 - 05/7/15(金) 8:28 -
----
ほかに「シュワルツネガー」と「シュワルツェネガー」も同類でしょうか。

フランダースの犬の人名については以前ほかのところで話題になったことがあるのですが, そもそも Nello とか Patrasche とかいう名前はベルギーにはないらしい(原文は英語)ので, 正解のわかりようがないのかもしれません。ただオランダ語で語末の e を読まない理由はないでしょうね。



【963】
Re:「パトラッシュ」と「パトラッシェ」
 道浦俊彦
 - 05/7/30(土) 14:52 -
----
「平成ことば事情2226」に「パトラッシュ」と「パトラッシェ」を書きました。


アフガン

【932】
アフガン
 道浦俊彦
 - 05/7/14(木) 18:50 -
----
先日、赤ちゃんの「おくるみ」のことを「アフガン」と言うことを初めて知りました。なぜ「アフガン」なんでしょうか?



【933】
Re:アフガン
 岡島昭浩
 - 05/7/14(木) 22:54 -
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▼道浦俊彦さん:
>先日、赤ちゃんの「おくるみ」のことを「アフガン」と言うことを初めて知りました。なぜ「アフガン」なんでしょうか?


アフガンコートって何でしたっけ。
ともかく毛糸の何かではないでしょうか。

アフガンとカシミールって近いですね。カシミヤを思い出します。



【934】
Re:アフガン
 岡島昭浩
 - 05/7/14(木) 22:56 -
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>▼道浦俊彦さん:

>>先日、赤ちゃんの「おくるみ」のことを「アフガン」と言うことを初めて知りました。なぜ「アフガン」なんでしょうか?


infoseek辞書
の、「また、肩掛け」のあとに、「また、おくるみ」を追加せねばならないわけですね。



【935】
Re:アフガン
 skid
 - 05/7/15(金) 6:50 -
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たまたま図書室から『田中千代 服飾事典』同文書院(1981、新増補版)を手元に出してあったので引きました。

アフガン[Afghan]ウールの柔らかい毛布、あるいは肩かけの一種。普通は編物でつくられ、ベッドの上かけなどのようなおおいや、おくるみとして用いられる。乳幼児のみくるみなどは、極細2本などで柔らかく編み、色もピンク、白、薄いブルーなどにする。

アフガンあみ【アフガン編】アフガン針を使って編む技術で、棒針編とかぎ針編を混合したような編方である。→あみもの

アフガンばり【アフガン針】アフガン編に用いる。竹製のかぎ型の針のこと。→しゅげいようぐ

「あみもの」「しゅげいようぐ」の項目では更に詳しく書かれ、図や写真もあります。



【936】
Re:アフガン
 道浦俊彦
 - 05/7/15(金) 7:37 -
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皆様、ありがとうございます!
それにしても、「よだれかけ」の「スタイ」とか、この「アフガン」とか、男の私などにはよくわからない言葉が、横文字(カタカナ)語で出現しているんですねえ。別に新たに出現したわけではなく、前からあったのでしょうが・・・。



【938】
Re:アフガン
 skid
 - 05/7/15(金) 11:46 -
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田中千代編『服飾事典』婦人画報社(1957)や被服文化協会編『洋装辞典』文化服装学院出版局(1955)にも「アフガン」の項目がありました。
国会図書館の蔵書検索では、1958年に『アフガン編全書』、1959年に『鈎針編とアフガン編』があり、1960年代は5冊、1970年代は4冊、80・90年代は各1冊だけです。
『角川外来語辞典』も1958年の書名を2冊載せて出典にしています。
このあたりから流行し始めたようですが、最近では下火なのかもしれません。



【944】
Re:アフガン
 道浦俊彦
 - 05/7/16(土) 23:28 -
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たまたま(まったくの偶然で)「アフガン」について、朝日新聞の言葉のコラムでも、東京版は17日、大阪版では18日に取り上げるそうです。



【959】
Re:アフガン
 道浦俊彦
 - 05/7/28(木) 8:59 -
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「平成ことば事情2228」にアフガン書きました。


お疲れさま・ご苦労さま・お世話さま

【957】
お疲れさま・ご苦労さま・お世話さま
 Yeemar
 - 05/7/28(木) 0:28 -
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教えてください(ご苦労様)
の続きです。新会議室では、「Re:視聴記録 ##」「Re:NHK「気になることば」週間報告 ##」などでも話題になっています。

「教えてください(ご苦労様)」の中で、
▼豊島正之さん:
>野間宏「真空地帯」に、二等兵が上官に「ごくろうさん」を連発する場面があったと記憶します。

〔原発言こちら

とご指摘になっていますが、たまたま次のような場面が目に入りました。
 ふるえる安西二等兵を取りかこんでみなが上って行くと、出迎えた弓山二等兵は、「兵長殿、上等兵殿、三年兵殿、ごくろうさんでした。」といいながら安西の手をとって暗い電燈のたれさがった班内にひき入れた。(野間宏「真空地帯」第三章 九、『新潮現代文学27 真空地帯・暗い絵』p.125)

 階下の舎後の方で「ごくろうさん、別れ。」という外務週番上等兵の声がして馬手入れに行っていた初年兵と補充兵がかえってきたが、(第三章 十、p.128)
前者は部下から上官への、後者は上官から部下へのせりふですね。


何人と何名

【955】
何人と何名
 道浦俊彦
 - 05/7/27(水) 18:34 -
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人数をいう時に、放送では「何名」は使わないと教えられましたが、一般の「数え方の本」には、「リストがあるときは『名』、ないときは『人』を使う」というふうに書いてあります。
「なるほどな」と思うのですが、放送で「名」を使わない理由は、「『名』は軍隊で使われていたので、それを嫌って」というふうな話も耳にしました。

その真偽の程はどうなのでしょうか???


「前へならえ」と「前にならえ」

【950】
「前へならえ」と「前にならえ」
 道浦俊彦
 - 05/7/22(金) 7:52 -
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私は「前へならえ」だと思っていたのですが、「前にならえ」という言い方もあるようですね。本来はやはり「前へならえ」でいいんでしょうか?



【951】
Re:「前へならえ」と「前にならえ」
 NISHIO
 - 05/7/22(金) 21:45 -
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「前にならえ」は知りませんでした。地域性があるのでしょうか。
娘も「前へならえ」しか聞いたことがないとのこと(神奈川の小学校、都内の中高)。

助詞の意味・用法としてはどちらでもかまわないような気がしますが、号令としては「前へならえ!」「右へならえ!」「右へ回れ!」「前へ進め!」など、「へ」が一般的ではないでしょうか。
【へ】 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%D8&kind=jn&mode=1&base=1&row=9
【に】 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%CB&kind=jn&mode=1&base=1&row=2

と思いきや、Goole検索結果では「前にならえ」のほうが上回っています。号令とは無関係な内容も多数含まれているとは思いますが。

"前へならえ"  811 件
"前へ倣え"   217 件
"前へ習え"   433 件
"前にならえ"  964 件
"前に倣え"   203 件
"前に習え"   547 件

"右へならえ" 7,310 件
"右へ倣え"  3,610 件
"右へ習え"  5,220 件
"右にならえ" 4,830 件
"右に倣え"   920 件
"右に習え"   834 件

"前へすすめ"  186 件
"前へ進め"  8,790 件
"前にすすめ"  251 件
"前に進め" 18,700 件

"右へまわれ"   8 件
"右へ回れ"   65 件
"右にまわれ" 約 11 件
"右に回れ"   196 件


【953】
Re:「前へならえ」と「前にならえ」
 岡島昭浩
 - 05/7/26(火) 14:43 -
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私は「前にならえ」であると認識していました。「まえー、ならえ」と聞こえるのは「前、ならえ」であると捉えていたのです。「へ」を使わない九州人の内省ですが。

「○○へ倣う」(「○○へ習う」でも)という言い方は、あるのでしょうか。
「前例へならう」ではなく、「前例にならう」というと思いまして、「前、ならえ」も「前にならう」と認識してきたのかも知れません。


おまけ。
昨日読んだ、角田光代『キッドナップツアー』新潮文庫に「前ならえ」が出てきました。作者は神奈川生まれのようです。


「〜たことある?」と「〜たときある?」 #

【924】
「〜たことある?」と「〜たときある?」 #
 岡島昭浩
 - 05/7/10(日) 21:14 -
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「〜たことある?」と「〜たときある?」を受けてのものです。

これについて書いた論文を最近見たような気がするのですが、それは確認できないまま、たまたま目にした用例を掲げます。

『制度としての「女」―性・産・家族の比較社会史』のp298、山形県北村山郡長沢村の人の語りで、「言って来た時ある」というのがありました。

旧会議室でYeemarさんが言及した山形県のものです。



【946】
Re:「〜たことある?」と「〜たときある?」 #
 茂木俊伸
 - 05/7/18(月) 21:45 -
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▼岡島昭浩さん:
>これについて書いた論文を最近見たような気がするのですが、


 はじめまして,茂木と申します。
 論文ではありませんが,『問題な日本語』(北原保雄編,大修館書店)の106〜110ページに「昔、その公園で遊んだときがある」のような言い方に関する記述があります。
 ここでは,「〜たときがある」に経験を表す用法はない,とされています。

 なお,私は茨城県の大学に行っていたのですが,地元出身者は「とき」の方を自然に使うと言っていました。



【948】
Re:「〜たことある?」と「〜たときある?」 #
 岡島昭浩
 - 05/7/20(水) 0:07 -
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▼茂木俊伸さん:
> 論文ではありませんが,『問題な日本語』(北原保雄編,大修館書店)の106〜110ページに「昔、その公園で遊んだときがある」のような言い方に関する記述があります。


なるほど、多分それです、私が見たのは。

どうもご教示ありがとうございました。
また、今後共、お越し頂ければ幸いです。