2005年10月17日

暑さが和らぐ

【439】
暑さが和らぐ
 畠中敏彦
 - 04/10/6(水) 21:57 -
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今日、某局のアナウンサーが
「“暑さが和らぐ”って表現おかしいんじゃない、“寒さが和らぐ”っては言うけど」と言ってました。
なるほどと思いましたが、両者に明確な区別があるんでしょうか?




「〜やん」の呼称

【343】
「〜やん」の呼称
 畠中敏彦
 - 04/9/7(火) 22:27 -
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人を呼ぶとき、様、さん、君・・・を使うように、「やん(orあん)」を使う場合があります。たとえば、金田元投手をカネやんのように。
この「やん」は、自分からみてどの程度の地位(目上、同等、目下・・・)の人に対して、あるいはどのような場合に使うのでしょうか?
呼ばれたほうは、不快感を持つのではないかと、思っていましたが、どうもそうでもないような気がしております。



【345】
Re:「〜やん」の呼称
 道浦俊彦
 - 04/9/8(水) 16:27 -
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『大阪ことば事典』(牧村史陽)には、

「やん」=サン(様)の転訛したもの。親しい間柄に用いる。(例)竹ヤン・源ヤン・おちょヤン(色町の少婢)・あんにゃん(兄さん)

とありました。



【350】
Re:「〜やん」の呼称
 畠中敏彦
 - 04/9/9(木) 8:59 -
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▼道浦俊彦さん:
>『大阪ことば事典』(牧村史陽)には、
>親しい間柄に用いる。


道浦さん、ありがとうございます。

大阪がルーツとは知りませんでしたね。
親しさを表す反面、かしこまった時や目上・上司などには、使わないほうが無難ということでしょうか。



【351】
Re:「〜やん」の呼称
 岡島昭浩
 - 04/9/9(木) 12:21 -
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▼畠中敏彦さん:
>大阪がルーツとは知りませんでしたね。


大阪に限ったわけではなく、全国いろんなところで行われているようです。
熊本の「おてもやん」が有名ですが、『日本方言大辞典』では、福島市が最北です。

方言によって使い方が異なることは充分考えられますが、いずれにせよ、「さん」が変化した(崩れた)ものであると思われますので、あまり立派な物言いではなかろうと思われます。



【353】
Re:「〜やん」の呼称
 かねこっち
 - 04/9/11(土) 0:43 -
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話題とは関係ないでしょうが、韓国では(おそらく朝鮮半島では)、
未婚の女性を呼ぶ時に「〜ヤン」をつけますね。
チェ・ジウさんなら「ジウヤン」のように。
「ヤン」は「嬢」の朝鮮語読みのようです。



【356】
Re:「〜やん」の呼称
 UEJ
 - 04/9/11(土) 14:42 -
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>大阪に限ったわけではなく、全国いろんなところで行われているようです。


でも大阪の呼称というイメージは強いですね。
藤子不二夫のパーマンに出てくるパーマン4号は
大阪出身という設定でしたが、愛称は「パーヤン」でした。



【357】
Re:「〜やん」の呼称
 道浦俊彦
 - 04/9/11(土) 18:29 -
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田端義夫=「バタヤン」も。三重県松阪市出身。



【358】
Re:「〜やん」の呼称
 岡島昭浩
 - 04/9/12(日) 20:09 -
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カネやんは愛知県ですね。いつごろからカネやんなのでしょう。でも、スワローズもジャイアンツも東京だから、愛知県時代なのかもしれません。
(金田正一投手です)



【361】
Re:「〜やん」の呼称
 KS
 - 04/9/13(月) 11:22 -
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〜やん 懐かしい言葉を聞きました。
 私の子どものころ、田舎(播州)で日常的に耳にしました
 タケやん(竹二さん)
 ブイッたん(武市さん)
 ヨネさん(米次さん)
 の三種が日常的に使われていました。ただ、使い方の一般例では「タケやんが参加できへんゆう(云う)てたで」というふうに、第三者を指して使う例が多く、当人に直接云う場合は「さん付け」が普通でした。当人に直接「タケやん」「ブイったん」なんて云うのは相当横柄な言い方で一般的じゃなかったですね。
 「〜やん」「〜ったん」の言い方は、一定年齢以上の人(親の世代の人)を指して云う言葉で、子供を指してはあまり使わなかった様に記憶しています。 ドラえもんの「ジャイやん」は子供に対して使ってますがね…



【378】
Re:「〜やん」の呼称
 岡島昭浩
 - 04/9/16(木) 22:01 -
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▼KSさん:

> ドラえもんの「ジャイやん」は子供に対して使ってますがね…


同様の、疑似「やん」の例としては、サロやん、カラやん、イタリやん、ボヘミやん、などがありますね。



【379】
Re:「〜やん」の呼称
 落合
 - 04/9/17(金) 14:38 -
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>ドラえもんの「ジャイやん」は子供に対して使ってますがね…


がんばれ、ジャイやんツ、でよろしいでしょうか。



【380】
Re:「〜やん」の呼称
 KS
 - 04/9/17(金) 16:23 -
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▼落合さん:
>がんばれ、ジャイやんツ、でよろしいでしょうか。


 落合さんですから「くたばれ!ジャイやんツと云ってほしいですね。ははは」

 ところで、「〜やん」について考えに考えたのですが「目上に対する尊称なんですよ」きっと。「兄やん」と云います「おとうとやん」とは云わないですから。はい。



【381】
Re:「〜やん」の呼称
 落合
 - 04/9/17(金) 19:17 -
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▼KSさん:
すみません。言葉たらずでした。

http://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/contents/chara/gian.html

ジャイやんではなく、ジャイアンです。



【427】
Re:「〜やん」の呼称
 岡島昭浩
 - 04/10/4(月) 23:11 -
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小林信彦『おかしな男 渥美清』(新潮文庫2003.8.1)に引用されている、関敬六の文では、「渥美やん」が使われています。p48,p387

方言によるものかどうかは判りませんが、関氏は栃木県出身とのことです。


みたよな

【346】
みたよな
 道浦俊彦
 - 04/9/8(水) 18:21 -
----
宇野千代「おはん」の中に、
「小説みたよな」
という一説があるという文を読みました。意味は「小説みたいな」ということでしょうが、そうすると「〜みたいな」という言葉は、
「見たような」→「見たよな」→「みたいな」
と変化してできた言葉なんでしょうか?もしそうだとすると、
「よ」→「い」
という音韻転換が起きたと考えていいのでしょうか?そういった例は、ほかにもたくさんあるのでしょうか?



【347】
Re:みたよな
 岡島昭浩
 - 04/9/8(水) 20:16 -
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▼道浦俊彦さん:
>宇野千代「おはん」の中に、
>「小説みたよな」
>という一説があるという文を読みました。意味は「小説みたいな」ということでしょうが、そうすると「〜みたいな」という言葉は、
>「見たような」→「見たよな」→「みたいな」
>と変化してできた言葉なんでしょうか?


はい、そうです。
「〜をみたような」から変わってきたことが判っています。

もしそうだとすると、
>「よ」→「い」
>という音韻転換が起きたと考えていいのでしょうか?そういった例は、ほかにもたくさんあるのでしょうか?


そ(ん)なような→そないな
とか、
そがような→そがいな(→そげな)
とか。



【348】
Re:みたよな
 道浦俊彦
 - 04/9/9(木) 5:10 -
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岡島様
ありがとうございます。ところで、「そないな」「そがいな」「そげな」は、どれも方言(関西弁)のニュアンスがありますが、「みたいな」にはありません。なぜでしょうか?



【349】
Re:みたよな
 岡島昭浩
 - 04/9/9(木) 7:45 -
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▼道浦俊彦さん:
>岡島様
>ありがとうございます。ところで、「そないな」「そがいな」「そげな」は、どれも方言(関西弁)のニュアンスがありますが、「みたいな」にはありません。なぜでしょうか?


同様な〈音の変化〉をあげたまでで、「そないな」「そがいな」のような言い方は、西日本を中心に起こったのに対し(東北の一部にもあると思います)、「みたような」は東京で起こったからでしょう。

「よう」→「い」は、他に、さようなら→さいなら、もありますね。これは東京も含めて全国的だと思います。



【355】
Re:みたよな
 道浦俊彦
 - 04/9/11(土) 13:57 -
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平成ことば事情1884に「みたよな」、書かせていただきました。



【422】
「……ぞ」みたいな
 岡島昭浩
 - 04/10/4(月) 14:19 -
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ここに繋げるのはよくないのかもしれませんが、「みたような」のなれの果て、ということで。

〈「……ぞ」みたいな〉という言い方の、比較的古い例にあたるかもしれないと思いました。ギョーカイ風の言い方としては古くからあったのだろうけれど、活字化されているということで。
それは、小林信彦『おかしな男 渥美清』(新潮文庫)p317-8に引用される、「第六作が封切られるころ発売された「キネマ旬報」増刊「男はつらいよ 大全集」」での山田洋次と渥美清の対談。
寅は全然気がつかないけれども、映画館のお客が「寅、刺されるぞ」みたいな(笑)。これはこわいね。


第六作「男はつらいよ・純情篇」は、一九七一年一月十五日封切りの由。


弁慶の泣き所

【332】
弁慶の泣き所
 岡島昭浩
 - 04/9/4(土) 15:11 -
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某所より尋ねられ、気になって調べては見たものの、連絡するのは面倒だというこの私。

そのまま打ち捨てると、忘れてしまい、もったいないので此処に書き付けます。

『日本国語大辞典』では、「すね」を指す用例がありません。私もようやくそれらしいものを見つけましたが、向こうずねであると断定は出来ません。
巨石の乱積された上を伝わる時、浅市ののった巨石が不安定であったのでグラグラとゆるぎ出したため荷を負ったまま巨石の間に倒れて石に足を挾まれた。苦痛の叫びに驚き早速岩をずり動かして引き出すと、幸いに大したこともない。跛足を引きつつ剛気なだけに「弁慶の泣きどころだ」と言いながらついて来る。(大島亮吉『山―随想―』中公文庫による、p16。もと『山 研究と随想』岩波書店、昭五。大正九年七月二十二日の記録)
くるぶしやらアキレス腱であるのかもしれません。

なお、『日本国語大辞典』の初版では、方言辞典から、「むこうずね」の意味を引いてきていますが(大分県959・秋田市154)、二版ではこれを削っています。初版の出典一覧がちょっと見当たらないので(二版の番号とは違うようです)、年代がすぐに出せません。

『日本国語大辞典』で目を引くのが、(3)中指の最高関節から先の部分をいう。
これは、〔東京語辞典〕による、というもので、『広辞苑』も4版から、『大辞林』は最初からこの意味を取っているようです。また、柴田武『知っているようで知らない日本語1』(ごま書房 1987)にも、その意味が書いてあります。『日本国語大辞典』では、
(折りまげて力を入れても力がはいらないところからとも、人さし指と薬指とを直立させた間に中指をはさんでこれを第二関節から曲げ、第一関節から先を動かされると痛いところからともいう)
としていますが、『東京語辞典』は、こうです。
べんけい・の・なき・どころ〔弁慶泣所〕食指と薬指とを直立せしめたる間に、中指を挿みて、之を中関節より屈して、最高関節より先の所を動かさるゝ時は、弁慶の如き大男の猛者と雖も、屈従せられざるはなし。弁慶も泣くとの意。転じて他人の前に屈従する者をいふ。(『近代庶民生活誌7』による。また『隠語大辞典』にも引用される)

ここでは、中指の最高関節より上を指すのではなく、「弁慶にも泣き所がある」というような意味で書かれています。そうすると、「中指」云々は、別の根拠があるのでしょうか。存疑です。

『日本国語大辞典』の二版で、初版になかったのが、「ぼんのくぼ」を指すという、群馬伊勢崎040。040は「現地採録または報告」ので机上探索はストップ。『日本方言大辞典』でも取られています。

「こめかみ」あたりを指すと思われるのが、二つありました。
横笛を持ち変へて弁慶の泣所といふ頬のあたりをポカツと突かれた。此時弁慶痛いの痛くないのつて炭団のやうな涙を二ツの眼からコロ/\と溢して
 「百花園」十四巻百三十七号(明治28年)
 「橋弁慶」(禽語楼小さんロ演)
  『口演速記 明治大正落語集成』(講談社、全7巻)による
と、
 おきあがつて、おてんとうさまを見ようとすると、あたまがずきんずきんして、おでこがあつくつて、べんけえ《こめかみ》のなきどころがびくびくして、気もちがわるいから「あたまいたくなつたから、かへるよ。」といふと
「かにとり(特選)」 東京市向島区第二寺島小学校尋二 田村光雄
(『赤い鳥』昭和十年八月号入選)鈴木三重吉『綴方読本』角川文庫p26、講談社学術文庫p177
です。「べんけえ」の横に、傍注として「こめかみ」とあるのですが、「べんけえのなきどころ」に掛かるものでありましょう。

『日本方言大辞典』には、「べんけーなかせ」に「ふくらはぎ」「足の親指の毛をひっぱること」まで、あります。ともに静岡県志太郡535。
痛いところならどこでも(どういうことでも)「弁慶の泣き所」になりそうな勢いです。


『日本方言大辞典』の「べんけーなかせ」に広く見られる意味は、植物の「なぎ(梛)」のようです。これが「なぎなた」だったら、すぐに「すね」に結びつくのになぁ、と思って、そういえば、弁慶となぎなたには深い関係があることに思い至ったのでした。(ぎなた
もちろん、弁慶→なぎなた→すね、というは冗談の「連想する言葉」であります。



【333】
Re:弁慶の泣き所
 岡島昭浩
 - 04/9/4(土) 18:38 -
----
落語の「橋弁慶」というのは、あまり演じられないもののようです。これをいくつか見てみると、「弁慶の泣き所」が違ったりしないか、と思ったのですが。
柴田武『知っているようで知らない日本語1』に、
俗説によると、五条大橋の決闘の折、牛若丸は“弁慶の向こうずね”を執拗に攻めたてたというが、
とあるのも、これか、と思ったのですが、講談などの方を当たるべきなのかも知れません。

それから、書き忘れていたこと。『九州方言研究会報告書』(1996)の「九州方言広城調査項目(案)」で、「弁慶のなきどころという言い方を御存じですか。どの部分を指しますか。」という項目がありました。



【334】
Re:弁慶の泣き所
 岡島昭浩
 - 04/9/4(土) 21:42 -
----
三浦竜『ものしり大語源』知的生きかた文庫1996の説明には、最初、首を傾げました。
弁慶の泣き所【べんけいのなきどころ】進退きわまること。衣川の合戦で、弁慶が満身に矢を受け、立ちながら死んだことによる。弁慶にはもう一つ「弁慶の立ち往生」という有名な言葉がある。意味は、弁慶ほどの強者でも蹴られると痛がる「むこうずね」のことである。転じて、唯一の弱点の意にもなった。

読んでいる途中で気付くのですが、なんと、「弁慶の立ち往生」の説明と、「弁慶の泣き所」の説明とが入れ替わっているのです。

それはそうと、これは他の書でも似たような説明なのですが、
  ・「むこうずね」が転じて弱点の意味になった
というのは、どうなのでしょうかね。単に「泣き所」という場合のことを視野に入れて説明せねばならないと思いますが、どうもすっきりしない気が致します。



【360】
Re:弁慶の泣き所
 岡島昭浩
 - 04/9/13(月) 11:08 -
----
〈「弁慶の泣き所」は、すね以外にもある〉というテーマは、かつてNHKテレビの「日本人の質問」でも出たことがある、という情報を、学生さんから頂きました。

正解は「中指の……」だったようですが、不正解とされたものの中に、こめかみなどが入っていなかったかが気になります。



【362】
Re:弁慶の泣き所
 佐藤
 - 04/9/13(月) 21:08 -
----
▼岡島昭浩さん:
>正解は「中指の……」だったようですが、不正解とされたものの中に、こめかみなどが入っていなかったかが気になります。


書籍版だと公立図書館にありそうだなと思って岐阜県図書館と池田市立図書館で検索したら出て来ました。後者、「日本人の質問」で検索すると6件出て来ます。岐阜のは雄鶏社というのも出て来ました。
http://www.wombat.zaq.ne.jp/ikedatoshokan/



【375】
Re:弁慶の泣き所
 岡島昭浩
 - 04/9/16(木) 12:37 -
----
▼佐藤さん:
>書籍版だと公立図書館にありそうだなと思って


ありがとうございます。
量的に見て、書籍になっているのは一部なのでしょうね。

http://www.ashiya-city-library.jp/sogo/
(阪神広域図書館網 蔵書検索窓集合!)
ここで、見つけましたので、そのうち寄って、眺めてみます。


#このネタ、ボツですかねぇ。



【421】
Re:弁慶の泣き所
 岡島昭浩
 - 04/10/4(月) 12:26 -
----
『日本人の質問』書籍版、2冊だけ見ることが出来ましたが、弁慶は見当たりませんでした。

#洒落的解釈で「弁慶の薙ぎ所」というのを思いつきました。なぎなたで〈なぐ〉所、そこはスネです。バンザーイ。


ローマ字 #

【363】
ローマ字 #
 佐藤
 - 04/9/13(月) 22:50 -
----
旧会議室「ローマ字」の続きです。

ヤフーのオークションの品。出品者によれば「日本軍・将校用双眼鏡」だそうですが、メーカー名が

EARTH
KOGAKU K.K.

(「地球光学」?)とありました。正確な年代が知りたいところですが、とりあえず古そうなので記しておきます。ついさきほど終了したので、しばらくすると画像が見られなくなるかもしれません。↓
http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k6997990



【365】
Re:ローマ字 #
 岡島昭浩
 - 04/9/14(火) 0:03 -
----
▼佐藤さん:
>EARTH
>KOGAKU K.K.


「アース光学」というところがあったようですね。
カメラ会社 一覧


古めのピアノのロゴでも、Hを使った長音表記を、テレビで見かけて、googleで検索した覚えがあるのですが、その名前が思い出せませんし、探し出すこともできません。
情なや。



【366】
Re:ローマ字 #
 佐藤
 - 04/9/14(火) 0:36 -
----
▼岡島昭浩さん:
>古めのピアノのロゴでも、Hを使った長音表記を、テレビで見かけて、


こちらかなぁ。値段の左の画像をクリックすると、「OHHASHI」が確認できます。創業当時(昭和33?)から使っていたロゴなのかどうか。
http://www.rakuten.co.jp/m-shinwa/637698/656424/



【367】
Re:ローマ字 #
 岡島昭浩
 - 04/9/14(火) 0:52 -
----
▼佐藤さん:
>▼岡島昭浩:

>>古めのピアノのロゴでも、Hを使った長音表記を、テレビで見かけて、

>こちらかなぁ。値段の左の画像をクリックすると、「OHHASHI」が確認できます。


ありがとうございます。それですそれです。
私が確認したのは、
このページでした。

テレビで映っている感じでは、かなり古いものかと思ったのですが、金田一氏の論文以後だったのでここに載せなかったのだと思うのですが、佐藤さん御発見のものは古そうですね。



【369】
Re:ローマ字 #
 佐藤
 - 04/9/14(火) 17:21 -
----
2匹目のドジョウで光学関係を。リコーが旧社名・理研光学工業株式会社の略なら対象になるかと。「K」ではなく「C」なのは気になりますが。

で、古いカメラに「RICOH」がないかと思ったら、ありました。
http://www.ricoh.co.jp/camera_lib/library/1936b.html

他にリコールという機種もあるのですが、画像が小さくて確認できず。リコール、現代なら縁起でもない名前で、それこそ、あり得ない商品名ですね。



【371】
Re:ローマ字 #
 岡島昭浩
 - 04/9/14(火) 22:48 -
----
▼佐藤さん:
>2匹目のドジョウで光学関係を。リコーが旧社名・理研光学工業株式会社の略なら対象になるかと。「K」ではなく「C」なのは気になりますが。
>
>で、古いカメラに「RICOH」がないかと思ったら、ありました。
>http://www.ricoh.co.jp/camera_lib/library/1936b.html


おお。年代の特定できそうなものでは古そうな所ですね。

リンクされたページに「ドイツ製品の模倣」とありまして、それで長音hなのだろうか、と思いました。いやしかし、CよりはKの方がドイツ語らしいか、と思ったのですが、ライカはLeicaとCですね。やはりドイツカメラ的綴りなのでしょうか。



【373】
Re:ローマ字 #
 佐藤
 - 04/9/15(水) 18:07 -
----
▼岡島昭浩さん:
>リンクされたページに「ドイツ製品の模倣」とありまして、それで長音hなのだろうか、と思いました。


なるほど。こちらはドイツ語起源かもしれませんね。野球などはアメリカ経由で。もちろん、野球のもドイツ語まで遡れるのかもしれませんが……

>いやしかし、CよりはKの方がドイツ語らしいか、と思ったのですが、ライカはLeicaとCですね。やはりドイツカメラ的綴りなのでしょうか。


「ドイツカメラ的」というのが含蓄ですね。ライカは商標・商品名で、作った会社はドイツのエルンスト・ライツ社。で、「カメラ」はもちろんラテン語の「カメラ・オブスキュラ(camera obscura=暗い部屋)」。したがって、ライツのカメラで「ライカ」であって、ドイツ語とラテン語の混成なのでしょう。ラテン語(ギリシア語も?)に遡れるカメラ用語・写真用語は多そうですし。



【396】
Re:ローマ字 # mizkan(ミツカン)
 佐藤
 - 04/9/24(金) 0:01 -
----
 もう少しふさわしいスレッドがあったようにも思いますが、とりあえずこちらで失礼します。
 お酢製品で有名なミツカンのロゴが「mizkan」になったようですが、zが気になる、母音がないのが気になる。「mitkan」だったら、「おお、舌内入声音!」と感激する(?)ところですが。
http://www.mizkangroup.com/

「ミツカン」の由来は端折りに端折ると「三勘」といことらしいです。
http://www.dik.co.jp/seken/GOGEN/gennzai.html



【398】
Re:ローマ字 # mizkan(ミツカン)
 Yeemar
 - 04/9/25(土) 0:23 -
----
▼佐藤さん:
> もう少しふさわしいスレッドがあったようにも思いますが、


JEUGIYA(JEUGIA)ですね。



【400】
Re:ローマ字 # mizkan(ミツカン)
 NISHIO
 - 04/9/25(土) 23:36 -
----
▼佐藤さん:
> お酢製品で有名なミツカンのロゴが「mizkan」になったようですが、


道浦俊彦さんの『平成ことば事情』にも取り上げられていますね。
◆ことばの話1885「mizkan」 2004/9/10

>「ミツカン」の由来は端折りに端折ると「三勘」といことらしいです。
>http://www.dik.co.jp/seken/GOGEN/gennzai.html


田中ひろみ著『社名商品名の謎』(日本文芸社)にも、商標条例(明治18年)以前は「酢の製造業者はどの製造元も一般に「丸勘」と呼ばれていた」とあります。

一方、神戸の「マルカン酢」の社史には、創業者の「酢屋勘三郎」に因む主旨の記述があります。

「丸勘」が一般名詞なのか固有名詞なのか、気になるところです。
(ミツカン酢もマルカン酢も出自は愛知)



【401】
Re:ローマ字 # mizkan(ミツカン)
 佐藤
 - 04/9/26(日) 1:34 -
----
▼NISHIOさん:
>道浦俊彦さんの『平成ことば事情』にも取り上げられていますね。
>◆ことばの話1885「mizkan」 2004/9/10


http://www.mizkangroup.co.jp/logo/logo.html ですね。ありがとうございました。


>田中ひろみ著『社名商品名の謎』(日本文芸社)にも、商標条例(明治18年)以前は「酢の製造業者はどの製造元も一般に「丸勘」と呼ばれていた」とあります。
>「丸勘」が一般名詞なのか固有名詞なのか、気になるところです。


同感です。
醸造業つながりで思いつくのはドイツワインの銘柄。一つの銘柄が別の会社から遠慮会釈なく販売される・・・ 実際どんな風なのか「リープフラウミルヒ」という銘柄で醸造元の数を調べましたが(=別会社と見るや、買っては飲み買っては飲み(笑))、20社だか30社だかまでやったところであきらめました。でも、酒屋で見覚えのない醸造元のを見かけるといまだについ買ってしまいます。



【406】
Re:ローマ字 # mizkan(ミツカン)
 道浦俊彦
 - 04/9/27(月) 7:56 -
----
>醸造業つながりで思いつくのはドイツワインの銘柄。一つの銘柄が別の会社から遠慮会釈なく販売される・・・ 実際どんな風なのか「リープフラウミルヒ」という銘柄で醸造元の数を調べましたが(=別会社と見るや、買っては飲み買っては飲み(笑))、20社だか30社だかまでやったところであきらめました。でも、酒屋で見覚えのない醸造元のを見かけるといまだについ買ってしまいます。



イタリアの白ワイン「エスト!エスト!!エスト!!!」もいろんなところから出ていますね。



【407】
Re:ローマ字 # mizkan(ミツカン)
 佐藤
 - 04/9/27(月) 10:31 -
----
▼道浦俊彦さん:
>イタリアの白ワイン「エスト!エスト!!エスト!!!」もいろんなところから出ていますね。


「リープフラウミルヒ」のほかに、「ツェラー・シュバルツェ・カッツ」「オッペンハイマー・クルテンブルネン」「ピースポッター・ミヒェルスベルク」などが複数の会社から出されています(読み方、現地のと小異するかもしれません)。商標権侵害とかにはならないのでしょうね。初めは固有名だったのが、現在ではワインのタイプ名のようになっているのか…… そうした状況がイタリアワインにもありそうですか?


馬から落馬 #

【376】
馬から落馬 #
 Yeemar
 - 04/9/16(木) 19:39 -
----
馬から落馬
の続きです。
SMART FOOD STYLE
am/pm+{プラス}news DELI
もっと楽しく
食事を食べこなそう
(「am/pm」店頭広告 2004.09.15 西池袋1丁目で採集、ホームページはこちら
有名レストランと協力してうまい弁当を売り出す予定なので期待してください、ということらしい。「食事を食べる」という言い方が重言。

「食べる」に「こなす」をつける造語法も注目される。「こなす」=「技術を習得して、うまく○○する」。「着こなす」「使いこなす」「(漢字を)書きこなす」「(洋書を)読みこなす」あたりの動詞ならば思いつきます。



【377】
Re:馬から落馬 #
 Yeemar
 - 04/9/16(木) 19:42 -
----
am/pmの当該ページのアドレスが間違っていました。ただしくはこちら。
http://www.ampm.jp/menu/newsdeli/



【393】
Re:馬から落馬 #
 Yeemar
 - 04/9/23(木) 11:25 -
----
以下は重言というよりは、「もぐったり沈んだり」「閉じるかしめるか」「キッチンに台所」のたぐいの例です。しかも長い例です。

2004.09.22 クローズアップ現代「学力格差拡大をくい止めろ」(NHK)で国谷裕子キャスターが
先ほど、そのー、勉強熱心な家庭と、塾に行かせてる学校……家庭がその、その差が二極化しているというふうにおっしゃったんですけども、これまでは、今きびしくても教育に熱心にあることが将来の明るさにつながったという考え方が広がってましたよね。
「勉強熱心な家庭と、塾にさえ行かせない家庭との差」とか「勉強熱心でない家庭と、塾に行かせてる家庭との差」とか言おうとして誤ったものとみえます。


携帯メール談義(絵文字・要約)

【382】
携帯メール談義(絵文字・要約)
 岡島昭浩
 - 04/9/17(金) 21:10 -
----
こんな説がある――あるいは携帯談義の続きです。

>>「サザエさんうちあけ話」のように――という比喩は長谷川町子ファンにしか分かりませんが

>藤田保幸ファンにもわかるかな。


これの補足です。
藤田保幸「引用研究史管見」第124回近代語研究会(1995.5.26 龍谷大学)
かつて朝日新聞に連載された「サザエさん打ち明け話」には、この種の表現方法が数多く見られた。

とありました。


時代劇・時代小説のことば

【131】
時代劇・時代小説のことば
 岡島昭浩
 - 04/6/5(土) 11:57 -
----
時代劇で目についたことばに続くもの、という位置づけです。

 旧会議室の最後に、過剰なサ行イ音便のことを書きましたが、直木三十五にもそれが見られます。改造社版全集の『源九郎義経』に、「〜〜まいた」というのが出てきます。

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/naoki01.pdf



【374】
Re:時代劇・時代小説のことば
 岡島昭浩
 - 04/9/16(木) 9:24 -
----
「役目なれば言葉を改め申す」などと、忠臣蔵で言います。多門伝八郎などがいうようですが、例えば、講談全集3(講談社 昭和4)の32ページ、赤穂義士本伝(一龍斎貞山)

こうしたものの、江戸期の用例はあるのでしょうかね。『旧事諮問録』の第四編 第六回 明治二十四年六月十五日「御側御用取次、外国奉行の事」に、
で御質問の前に当りて二言申し上げて置きますが、幕府中の御話をしまするに、現今の言葉に改めて御話をいたすと、情の移らぬ事がある。それ故、やはり公方様|益《ますます》御機嫌能恐悦奉存候という調子で、御の字が付かぬと情合が移らぬようであります。しかし中には、そのままに御話をすると甚だ現今の人の御存知のない事もあります。速記の方も、洋語を筆記なさるよりも難しいこともあろうと存じます。
というのならありました。

#「史談会速記録」に全部目を通したいと思いながら、まだやっていません。そういえば、現在の勤務校では雑誌も短期間ならば貸し出しが出来るはずなので、やろうと思えば出来るのでした。


ホームレスの語誌

【336】
ホームレスの語誌
 Yeemar
 - 04/9/5(日) 14:48 -
----
〈「ホームレス」ということばが広まったのは1980年代後半。当初は欧米の路上生活者を指した。〉

――と考えるのは正しいか。調べてみました。「朝日新聞記事データベース」と「国会会議録検索システム」で年ごとの出現頻度をまとめました。数字は末尾に記します。結論としては、「正しい」と思いますが……

■朝日新聞記事データベースを検索して――
・国際居住年(1987年)をきっかけに「ホームレス」ということばが知られるようになったようだ。国会でも使われるようになった。
・「ホームレス」の用例数が「浮浪者」を抜くのは1989年で、1995年には両語用例数合計の90%以上を占めるに至る。
・当初「ホームレス」は欧米の路上生活者を指す用法が多かったとみられる。(私の記憶でも)
●〔アメリカ生活での観察を記した文章で〕ホームレスと呼ばれる浮浪者が物乞(ご)いするそばで、大勢の金持ちが大型ヨットを連ねてパーティーに興じる光景はどうでしょうか。〔1989.06.10 東京朝刊「声」〕

■国会会議録検索システムを検索して――
・「浮浪者」の用例が昭和58(1983)年と翌年に目立つのは、横浜で中学生による浮浪者連続殺人事件が起こったため。
・「ホームレス」について、昭和60(1985)年の2例は、「ホーム・レスポンシビリティーズ・プロテクション」という語が拾われたもの。「ホームレス」初出は昭和62(1987)年11月19日。
・「浮浪者」「ホームレス」の用例数は、昭和60(1985)〜平成4(1992)年ごろは抜きつ抜かれつという感じ。とはいえ平成元(1989)年に「ホームレス:浮浪者」が2:1で逆転してからは「ホームレス」の用例数が伸び、差を大きくしている。
●ことしは国際居住年でありますが、その目的とするところは、ホームレスの人に家を保障する、こういうことでありますけれども、逆に家からほうり出されてしまっている。〔衆 - 土地問題等に関する特別委員会 - 2号 昭和62年11月19日 中島武敏委員〕

●四月二十日の毎日新聞の夕刊社会面を大臣ごらんになりましたか。現在、立ち退きを迫られてひとり暮らしのお年寄りが施設に避難したり、あるいは駅や地下道で野宿を続ける人がかなり出てきている。長くは読みませんが、深刻な事態、ホームレスですね、日本の、これが出てきておる。〔参 - 建設委員会 - 10号 昭和63年04月21日 内藤功君〕

【朝日新聞記事データベースの検索結果】
     浮浪者 ホームレス
1984(年) 0(件) 0
1985   18    1
1986   16    4
1987   17    10
1988   41    33
1989   33    40
1990   26    57
1991   21    52
1992   22    79
1993   17    72
1994   21   122
1995   13   164
1996   12   169
1997   13   139
1998   18   143
1999   11   203
2000   12   235
2001    8   314
2002   12   318
2003    8   359
2004    6   160

【国会会議録検索システムでの検索結果】
昭和 浮浪者 ホームレス
50(年)1(件)
51   0
52   4
53   2
54   1
55   0
56   3
57   1
58   19
59   14
60   4    2
61   3    0
62   1    1
63   3    2
平成
01   1    2
02   1    3
03   0    3
04   0    1
05   0    6
06   1   15
07   2   11
08   1    5
09   0   12
10   0    6
11   0   32
12   2   17
13   2   35
14   2   46
15   3   45
16   3   24


【337】
Re:ホームレスの語誌
 道浦俊彦
 - 04/9/5(日) 16:48 -
----
関連で、「平成ことば事情147」に書いた「ホームレス」関連用語について、引き写します。2000年8月のものです。


ことばの話147「野宿者」

大阪・天王寺で、ホームレスの男性を若者が襲撃する事件が起きました。
そのニュースを伝えた新聞各紙の「ホームレス」を表わす見出しが微妙に違っていました。

読売・・・野宿者(本文では、野宿者の男性)
朝日・・・野宿者
産経・・・野宿者(本文では野宿生活者)
日経・・・天王寺の男性(本文では、野宿者)
毎日・・・路上生活男性(本文では、路上生活者の男性)

おおむね「野宿者」となっていますが、毎日は「路上生活者」となっています。また、読売は夕刊の3版では「野宿生活者」を使っていたのが、4版では「野宿者」になっています。ちなみに、読売テレビでは「ホームレス」を主に使いました。(翌日のニュースではなぜか“野宿者”を使ってましたけど。)
一般的には「ホームレス」が一番耳になじんでいると思いますが、実はこの「野宿生活者」
はお役所用語なのです。
つまり大阪市がホームレス対策を扱っている部署の名前が「野宿生活者対策室」なのです。読売が3版でこの「野宿生活者」を使っていたのに、4版で「野宿者」にしたのは、また各社「野宿者」という言い方をとったのは、お役所(=大阪市)の手垢のついた言葉(=野宿生活者)を避けた結果ではないでしょうか?
ちなみに各自治体などによって、呼び方は異なります。具体的には、
国=「ホームレス」
大阪市=「野宿生活者」
東京都=「路上生活者」
横浜市=「屋外生活者」
名古屋市=「住所不定者」
という具合です。
ちなみに「路上生活者」と言った場合は、「大阪城公園」や「長居公園」に住む人たちは含まれるんでしょうか?厳密に言葉を解釈すれば「含まれない」ことになるんですが、その場合は「公園生活者」など、具体的な「場所の名前」を「〜生活者」の前につけて呼ばなくてはならなくなり、一般名詞としては面倒くさいことになりはしないでしょうか?
ホームレスの人たちを生み出す社会状況に目を向けるけることはもちろんですが、こういった用語の使い方に目をむける事も大切だと思います。
(2000、8、8)



【338】
Re:ホームレスの語誌
 岡島昭浩
 - 04/9/6(月) 23:51 -
----
『ことばのくずかご88』では、「毎日新聞」7月17日夕刊4「ホームレスの変質」佐江衆一を挙げていますね。

また、『現代用語の基礎知識』(92年?)では、〔アメリカ問題用語〕として取り上げられ、
1987年の冬はとくに寒さが厳しく、路上での凍死者が続出したことから、ホームレスとよばれる放浪生活者が急増していることが注目された。
としていました。



【339】
Re:ホームレスの語誌 1983年の用例
 佐藤
 - 04/9/7(火) 14:57 -
----
国会図書館の雑誌記事索引だと次の例が出て来ました。
高速道路やテントにゴロゴロ--二百万人?米国のホームレス(特派員ノート) / 草野 徹 世界週報. 64(12) [1983.03.22]




【340】
Re:ホームレスの語誌 1983年の用例
 佐藤
 - 04/9/7(火) 19:35 -
----
続き。国会図書館の雑誌記事索引で年次ごとに見てみました。どれだけ普通の使用例とシンクロするか心もとないですが、参考に。1996年以降の増え方が印象的ですが、景気低迷とかかわるのでしょう。

  浮浪者 ホームレス
1980
1981
1982 1    
1983 8    1
1984 2    1
1985 1      →「浮浪者」の消滅?   
1986      1
1987      1 
1988      3
1989      3
1990 4    7
1991      2
1992      3
1993      4
1994      6
1995      3
1996 1   16 →「浮浪者」復活。
1997 2   28  わずかだが「ホームレス」
1998 4   23  の使用例に連動するように
1999 3   58  使われていくのも面白い。
2000 3   83   ↓
2001     67   ↓
2002 1  108   ↓
2003 3  112   ↓


逆方向 # (遠慮)

【330】
逆方向 # (遠慮)
 岡島昭浩
 - 04/9/2(木) 11:31 -
----
「逆方向?」と同様の例を、中島義道『私の嫌いな10の言葉』新潮文庫が指摘していました。
 あるとき、滑稽な日本語を目にしました。綺麗なそば屋なのですが、壁に「お子さまは遠慮させていただきます」とある。私はこの「させていただきます」が虫酸が走るくらい厭なのですが、このときは吹き出してしまいました。(以下略。p54)



夏休み子供電話科学相談で耳にした言葉

【323】
夏休み子供電話科学相談で耳にした言葉
 岡島昭浩
 - 04/8/30(月) 0:05 -
----
NHKラジオの夏休みは、高校野球を除くと、午前中はずっと、この科学に関する電話相談をやっていたように思います。言葉に関する電話相談などはあったりするのだろうか、などと思ったりもしますが、夏休みの自由研究は、理科に関することをしないと、どうやら優秀作でもどこにも応募しようがないようにも思えます。

さて、「だまる」というのは、辞書には、〈声を出さないでいる〉というようなことが書いてあり、『日本方言大辞典』などでも、「火勢が鎮まる」ぐらいですが、「動かずにじっとしている」という意味で使っている人がいるように思います。これが方言なのかはわかりませんが、〈沈黙〉とも〈不動〉ともとれる用例が多そうで、これぞ、という用例が欲しいところです。

電話相談で、回答者の人が、「パンダはだまってるんだね」と言っていました。これは、よい用例であるように思いました。パンダも鳴くことは鳴くようですが、そういう話ではないようでした。


もう一つ。
「動物がはえる」

これは、質問者が「また来年もはえますか」と質問したのに対して、回答者が「はえるってのは植物の場合だね。これは動物だからそうは言わないよね」と言っていましたが、質問者はたしか静岡の人ではなかったか、と。これは『日本方言大辞典』での分布にあいます。小学生にもまだ残っている方言でありました。
田圃に発生する小動物の話でした。



【325】
Re:夏休み子供電話科学相談で耳にした言葉
 KS
 - 04/9/1(水) 10:13 -
----
▼岡島昭浩さん:
>さて、「だまる」というのは、辞書には、〈声を出さないでいる〉というようなことが書いてあり、『日本方言大辞典』などでも、「火勢が鎮まる」ぐらいですが、「動かずにじっとしている」という意味で使っている人がいるように思います。これが方言なのかはわかりませんが、〈沈黙〉とも〈不動〉ともとれる用例が多そうで、これぞ、という用例が欲しいところです。
>
>電話相談で、回答者の人が、「パンダはだまってるんだね」と言っていました。これは、よい用例であるように思いました。パンダも鳴くことは鳴くようですが、そういう話ではないようでした。

 
 だまれ(黙れ)=静かに!(語源に近いのでしょうか?)
 だまって帰趨を見守る=不動、注意深く?
 だまっている方が賢く見える。だんまりをきめこむ=沈黙は金
 男はだまって勝負する=不動
 だまらっしゃい!(黄門さん)=詭弁を云うな?
一般に使うのはこんな感じしょうか。


「斜に構える」についての不審

【315】
「斜に構える」についての不審
 Yeemar
 - 04/8/22(日) 13:22 -
----
「斜に構える」(しゃにかまえる)とはどういう意味か。それは「正対する」ということである。『広辞苑』にもそう載っている――と、ことばに関る仕事の方(かりにAさん)から伺い、おどろきました。

まずその『広辞苑』を見ると、初版では
剣道で、手にしている得物をななめに構える。また、身構する。改まる。気取った態度をする。
第2版・第3版では
剣道で、刀をななめに構える。転じて、身構える。改まった態度をする。
第4版では
剣道で、刀をななめに構える。転じて、身構える。改まった態度をする。また、正面から対応せず、皮肉な態度をとる。
第5版(現在)では
剣道で、刀をななめに構える。転じて、身構える。改まった態度をする。また、正面から対応せず、皮肉な態度をとる意にもいう。
とあり、「正対する」とは書いてありません。ただし「改まった態度をする」とは書いてあり、この部分が「正対する」となんとなく通ずるようでもあります。とはいえ、この「改まった態度」は「身構えた態度」ということでしょう。

「春色梅児誉美」(1832-33)には「(此糸という花魁が)どうして恥をすゝがんと胸をいためて、湯どのより出るらう(廊)下の中の間に、しやにかまへたる彼(かの)鬼兵衛」とあります。『日本古典文学大系』の注には「ふくむ所ある姿勢をして」。にやにやしながら懐手でもしていたのか。あごでもさすっていたのか。

『三省堂国語辞典』(第5版)では、「しゃにかまえる」と「はすにかまえる」とを区別している模様。「しゃにかまえる」は、「刀をななめに構える」ものの、体の向きは(言及はないが)正面を向いているようです。一方、「はすにかまえる」は、「相手をまっすぐに見ず、からだをななめにして対する」と釈しています。

Aさんは、このあたりのことを言われたものかもしれません。真相は現時点ではよくわかりません。



【316】
Re:「斜に構える」についての不審
 佐藤
 - 04/8/23(月) 19:27 -
----
▼Yeemarさん:
>ただし「改まった態度をする」とは書いてあり、この部分が「正対する」となんとなく通ずるようでもあります。とはいえ、この「改まった態度」は「身構えた態度」ということでしょう。


「改まった態度をする」の意味があるとは知りませんでした。勉強になりました。『新明解』第5版に
(b)何かに対し、構え過ぎるほどの姿勢を取る
とあり、『新明解古語』補注版第2版に
(2)しゃちこばって構える。きちんとした態度をする
とあります。このあたりになると、「正対する」により近いニュアンスになりますね。「全力でことにあたるべく身構える」のような語釈も浮かんできますが、私自身用例に当たりきれてないので何とも。
なお『新明解古語』は元になった姿勢を次のように記します。この構えがどういう時に取られるものなのかが分かると糸口になりそうですが。
剣道用語で、刀をさげて両手で柄を持ち、刀を筋違いにして向こう斜めに構えることから




【317】
Re:「斜に構える」についての不審
 KS
 - 04/8/24(火) 14:23 -
----
▼佐藤さん:
>「改まった態度をする」の意味があるとは知りませんでした。勉強になりました。『新明解』第5版に

『新明解古語』補注版第2版に
>
(2)しゃちこばって構える。きちんとした態度をする
とあります。このあたりになると、「正対する」により近いニュアンスになりますね。


同感です。
 一般の使用例では「正面から(正攻法で)対処しないで皮肉やからかいの態度で臨む」の意(正対とは逆の用例)が多い様に思いますが、これは本来の意味とは間違った使用例なのでしょうか。
「流れに掉さす」もそのうちに流れに逆らうの意味が一般化していく?様に。
 



【319】
Re:「斜に構える」についての不審
 佐藤
 - 04/8/25(水) 22:39 -
----
▼KSさん:
> 一般の使用例では「正面から(正攻法で)対処しないで皮肉やからかいの態度で臨む」の意(正対とは逆の用例)が多い様に思いますが、これは本来の意味とは間違った使用例なのでしょうか。


↓んん、ここまで言い切れる人がいるとは……
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/200406/2004062700059.htm#0003



【320】
Re:「斜に構える」についての不審
 KS
 - 04/8/26(木) 10:38 -
----
▼佐藤さん:
この種の言葉(専門用語が一般化したもの)には本来の意味とは違う解釈や使われ方をするものがままありますね。
 「若干16歳でオリンピック出場」とか云いますが、語源は「弱冠」で20歳。「…本来「じゃっかん」は20歳であり、16歳や21歳であってはいけないのだ…」と子どもの頃国語の先生に教えられたのが印象に残っています。



【321】
斜の構え
 佐藤
 - 04/8/29(日) 16:50 -
----
実際、どんな構え方なのか。とりあえず香取神道流という流派の画像がありました。
http://members.hknet.com/~cjj/japanese/shinto/shinto.html

一方で「青眼の構え等と言われる斜の構え」といった表現もあり、(流派によっては)最も基本的な構えを「斜の構え」と言ったのか。http://www5a.biglobe.ne.jp/~ichini/bbs7/799658955847011.html

流派によって「斜の構え」で表す姿勢が異なるので、それを反映して「斜に構える」が「正対する/正対しない」両用の意味で使われるようになったのか…… この考えに拘泥するつもりはありませんが、とりあえず、可能性の幅を見極めるために挙げておきますね。



【322】
Re:「斜に構える」についての不審
 岡島昭浩
 - 04/8/29(日) 22:12 -
----
『日本国語大辞典』の「正構」のところに、「斜に構える」の用例がありました。
せい−こう【正構】[名】受太刀(うけたち)の構(かま)えの一つ。正しい構えで相手の刀を受けとめること。*浄瑠璃・道中龜山噺-六「臂を落して斜に構へるせいこうの受方も、はて能教へたものじゃよな」


また、『近世上方語辞典』では、
剣道で、剣・棒などを斜めに構える。一説、笏(しゃく)に構えるか。
としています。〈ななめに構えていないじゃないか〉という意識からそのような語源説が出てきたのでしょうか。

『嬉遊笑覧』巻四武事には、
斜に構る
○(安斎随筆)に、しやにかまへるといふ俗語剣術より出たる詞なり 立て刀を提げ両手に柄を持刀をすぢがひになして向ふを斜に構へると云なり かやうの事何のわけも知らずして人なみにいふこと多し 扇をしやにかまへ其外何にてもかまへる物ある也 さもなき空手にいふはいかヾといへり おもふに空手にて正体に居らず筋かひにかまへたらんは斜にかまふなるべし(葉子譜)【(広百川学海)癸集に収む】刻画品の骨牌に斜眼また斜歯といへるあり 其図を見るに牌の縁の黒き処上下にすぢかひて星あるは斜眼なり 歯のかたも筋かひたるは同じ斜といふ事是にて明らかなり
とありました。


技彦さん

【61】
技彦さん
 Yeemar
 - 04/5/9(日) 15:19 -
----
書店に行くと、金田一技彦監修『広技苑』という本がときどき目に入ります。コンピュータゲームの本のようです。

気になります。「技村出 監修」でないところがです。つまりは「広辞苑」は非常に有名であるが、編者新村出はあまり有名でなく、むしろ人々は“国語学者”といえばまずは金田一春彦氏の名が浮かぶためにこうなったのであろうと思いました。新村出編『広辞苑』というよりも、金田一春彦編『広辞苑』のほうが、それらしいのでしょう。

amazon.co.jpで確認すると、2000年以来、春・秋の2回ずつ新版が刊行されている模様。それ以前は?

ゲーム業界用語事典」というサイトがあり、この本の歴史を詳述。それによれば、『広技苑』は2000年春以来以前は『大技林』だったようです。「最初はファミマガの別冊付録の裏技データベースだった」「金田一技彦監修」「2000年1月に徳間書店のインターメディア部門が廃止になったため、それ以降は広技苑と名前を変えて発売される」とあります。

「ファミマガの付録の攻略本」を集めたホームページ(こちら)を見ると、金田一技彦監修『ウル技 大技林』というのがあり、さらに『ウル技 大技林'90』『ウル技 大技林'91』……と続くようです。すると、初版は1989年ぐらいでしょうか。『大辞林』の初版は1988年ですから、その翌年に時宜を得た名付けをしたのでしょう。

しかし、なぜかこれも「技村明 監修」ではないのでした。



【81】
金田一春彦氏の訃報
 Yeemar
 - 04/5/19(水) 15:25 -
----
2004.05.19 15:00のNHKニュースにて、「国語学者 金田一春彦さん死去」の報。

私がテレビで拝見したのは、1997.11.08「こんにちはいっと6けん」(NHK)のインタビュー「金田一春彦博士文化功労者に」、1999.04.15 ETV特集「金田一春彦・コトバの旋律」(NHK教育)あたりが最後となりました。

この訃報では、字幕スーパー「日本語アクセント研究の第一人者 国語辞典の編さん携わる」「琵琶{びわ}法師の旋律手がかりに 鎌倉時代のアクセントについて著書も」「昭和52年 放送文化賞 平成9年 文化功労者」。

書斎での様子に続き、「平成13年10月」と記された式典(13年度東京都名誉都民顕彰式?)のようすが映されました。車椅子で臨み、石原慎太郎知事らしき人(後ろ姿)から何かを手渡されていました。顔つきがずいぶん変わっていて、目の光がおとろえていられたことにおどろきました。

→テレビでの金田一氏につては、こちらもちょっと関連。「視聴記録・「この人・金田一春彦ショー」



【83】
Re:金田一春彦氏の訃報
 畠中敏彦
 - 04/5/19(水) 18:11 -
----
▼Yeemarさん:
>2004.05.19 15:00のNHKニュースにて、「国語学者 金田一春彦さん死去」の報。
>私がテレビで拝見したのは、1997.11.08「こんにちはいっと6けん」(NHK)のインタビュー「金田一春彦博士文化功労者に」、1999.04.15 ETV特集「金田一春彦・コトバの旋律」(NHK教育)あたりが最後となりました。


NHKはじめ各民放(笑っていいとも?など)に出演されているのを、私も何回か拝見しました。
ことばについて話されている時は、いわゆるハイテンションになられ、ことばの持つ奥の深さ、ことばについて論ずるときの楽しさなどを、窺い知ることができました。
ここに投稿されている方(僕も含め?)も、文面からだけですが、なにか共通項があるような気がいたします。



【101】
Re:金田一春彦氏の訃報
 田島照生
 - 04/5/24(月) 18:56 -
----
>2004.05.19 15:00のNHKニュースにて、「国語学者 金田一春彦さん死去」の報。


昨日の午後三時、NHK教育テレビで、『金田一春彦さんをしのぶ 本人が語る日本語研究の歩み』なる番組が放送されました。そのころ私は、研究発表会の末席をけがしていたので全く存じませんでしたが、家族が録画しておいてくれたので助かりました。
まだ観たわけではないのですが、金田一秀穂さんが出演されているようです。

また、今日の『日本経済新聞(朝刊)』文化面に、柴田武さんの「金田一春彦氏を悼む」という記事が掲載されています。



【106】
Re:金田一春彦氏の訃報
 Yeemar
 - 04/5/24(月) 22:51 -
----
この番組、私、「ラテ欄」で確認していながらほとんど見逃してしまいまして(よくあること)、NHKに再放送を願っておきました。「学会のため、日本語研究者の大半は見られなかったと思いますので……」と一言添えて。

秋永一枝氏、金田一秀穂氏が出ていたのは見ました。案内は柴田実氏でしたね。

おそらくETV特集「金田一春彦・コトバの旋律」(上述)の内容が大半を占めていたのではないかと思うのですが(ラテ欄の紹介に「コトバの旋律」とあったから)。

むかしの「この人・金田一春彦ショー」、「日本語再発見」などの貴重な映像が含まれていたかもしれない、と気になっています。

余談、1980年代半ばごろではなかったかと思いますが、「日本語再発見」か何かの特集で「現代仮名遣い是か非か」をテーマに研究者・識者のディベートが行われ、ほとほとつかみ合いとなり、司会のアナウンサーが半泣きになって(これは大げさ)止めに入ったというのを見た記憶があります。これはもう一度見たい番組です。これには金田一氏はご出演でなかったか?



【107】
Re:金田一春彦氏の訃報
 Yeemar
 - 04/5/24(月) 22:59 -
----
>また、今日の『日本経済新聞(朝刊)』文化面に、柴田武さんの「金田一春彦氏を悼む」という記事が掲載されています。


「朝日新聞」は2004.05.20夕刊 p.14「広い視野で実証的研究/金田一春彦氏を悼む/城生佰太郎 筑波大教授/(言語学・実験音声学)」

「読売新聞」は2004.05.20夕刊 p.4「金田一春彦さんを悼む/大野晋{おおのすすむ}/鋭い耳で平曲分析も/新領域を開拓した二代目=v

の記事がありました。



【119】
[管理者削除]
 
 - -
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この書き込みは管理者によって削除されました。(04/5/30(日) 21:24)



【120】
Re:金田一春彦氏の訃報
 田島照生
 - 04/5/30(日) 16:31 -
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Yeemarさん、どうも有難うございます。
ようやく、追悼番組を見ることがかないました。

>秋永一枝氏、金田一秀穂氏が出ていたのは見ました。案内は柴田実氏でしたね。


番組の冒頭では、甲斐睦朗さんがコメントを寄せておられました。

>むかしの「この人・金田一春彦ショー」、「日本語再発見」などの貴重な映像が含まれていたかもしれない、と気になっています。


残念ながら、ETV特集の映像のみでした。私も、Yeemarさんの書いておられる番組の映像を、ぜひとも拝見したかったのですが…。

ときにYeemarさん、『週刊新潮』(六月三日号)の「墓碑銘」にも、金田一春彦さんが取り上げられています。このコーナーでは最近も、例えば竹内均さんや高見澤潤子さんなどを取り上げていたので、「もしかすると金田一氏も…」とあたりをつけておりました。ちょっと、不謹慎な話なのですが。



【307】
Re:金田一春彦氏の訃報――語録
 Yeemar
 - 04/8/20(金) 9:44 -
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金田一春彦氏は私などにとっては雲上人でしたが、生前に1度だけ、学会の廊下で声をかけていただいたことがあります。

狭い廊下でした。金田一博士は「はい、ごめんなさい」と言ってすれ違って行かれました。

この話を研究者仲間にすると、「そんなのは小さい。自分は博士から、ご自身の見解の当否について確認を求められたことがある」と言います。

「やはり学会の廊下だった。博士は『暑いですね』と言われた。そうしてすれ違って行かれた」


しか

【278】
しか
 KS
 - 04/8/5(木) 17:32 -
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 友人と「みかんとりんご」どちらが美味か?論議になって。彼曰く「みかんしか美味いよ!」と云う。私の理解では「みかんしかりんごのほうが美味いよ!」と言う風に使うのが普通と思っているので、「りんごのほうが美味いと云うことか?」と問うと「みかんの方が美味い」と云う意味だという。
 私にが逆の意味にしか理解できません。また、比較する片方を省略するする使い方があるのでしょうか?
 ちなみに、彼は小豆島出身で、いつもそういう風に使っているよ…とのことです。
 



【279】
Re:しか
 岡島昭浩
 - 04/8/5(木) 21:35 -
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私は、「〜しか〜ない」の形でしか使わず、「みかんしか美味いよ!」「みかんしかりんごのほうが美味いよ!」のどちらも使いません。
「みかんしか美味しいものはない」「みかんしか美味しくない」という使い方です。

お友達は小豆島のご出身ということですが、KSさんはどちらのご出身なのでしょう。またお二人はお幾つぐらいなのでしょうか(お二人は同年代でいらっしゃるのですよね)。

『日本方言大辞典』の「しか」の項には次のようにあります。

しか 《助》(1)いずれか一方を取り上げて言うのに用いる。の方。和歌山県「これしかええ」690 (2)比較の規準を示す。よりも。三重県志摩郡「それしか良い」585 (3)強意に用いる。秋田県仙北郡「そでねあしか(そうでなくとも)仕事はいやなものだ」130 千葉県東葛飾郡「いくらかしか(多少)」276


KSさんは、(2)の意味でお使いになり、ご友人は(1)でお使いのようにお見受けいたします。



【280】
Re:しか
 岡島昭浩
 - 04/8/5(木) 21:38 -
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▼岡島昭浩:
>お友達は小豆島のご出身ということですが、KSさんはどちらのご出身なのでしょう。またお二人はお幾つぐらいなのでしょうか(お二人は同年代でいらっしゃるのですよね)。


「ボール箱」のところにお書きでしたね。申し訳ありません。

> 小生61歳(男) 兵庫県は播州(東播)の産です。



【281】
Re:しか
 NISHIO
 - 04/8/6(金) 1:59 -
----
>
しか 《助》(1)いずれか一方を取り上げて言うのに用いる。の方。和歌山県「これしかええ」690



わたくし小豆島の生まれ(戦争を知らない世代)ですが、(1)の使い方は知りません。祖父母や近所のお年寄りが使うのを聞いた覚えもありません。

「しか」に関して和歌山との関連があるとすれば、紀州湯浅から醤油醸造技術とともに伝のかもしれません(憶測)。



【282】
Re:しか
 KS
 - 04/8/6(金) 10:15 -
----
▼岡島昭浩さん:
>私は、「〜しか〜ない」の形でしか使わず、「みかんしか美味いよ!」「みかんしかりんごのほうが美味いよ!」のどちらも使いません。
>「みかんしか美味しいものはない」「みかんしか美味しくない」という使い方です
>『日本方言大辞典』の「しか」の項には次のようにあります。>
>
しか 《助》(1)いずれか一方を取り上げて言うのに用いる。の方。和歌山県「これしかええ」690 (2)比較の規準を示す。よりも。三重県志摩郡「それしか良い」585 (3)強意に用いる。秋田県仙北郡「そでねあしか(そうでなくとも)仕事はいやなものだ」130 千葉県東葛飾郡「いくらかしか(多少)」276

>KSさんは、(2)の意味でお使いになり、ご友人は(1)でお使いのようにお見受けいたします。


おっしゃるとおり、私は(2)比較の基準を示す使い方のつもりで使っています。しかし、「みかんしかりんごの方が美味い」(みかんよりりんごが美味いという意味で使っています)と比較する双方を並べて言うのは間違いで、比較して強調したい方だけを例示した「みかんしか美味い(みかんが美味い)」という言い方が正しいようですね。私は「みかんよりもりんごの方が美味い」(〜よりも〜)で使っていましたから、まったく逆の意味になってしまったのですね。
 ご指摘を戴いて改めて考えてみますと「〜しか」=「〜よりも」どちらも同じ使い方でいいと理解した間違いでしたか。ありがとう御座いました。助詞、副詞、副助詞難しいもんですね。
 因みに、この言葉は和歌山市に住んでいた時に初めて耳にして以来印象に残っていたので照会させて頂きました。方言大辞典に載っているのですね。ありがとう御座いました。



【283】
Re:しか
 KS
 - 04/8/6(金) 10:21 -
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▼NISHIOさん:
>>
しか 《助》(1)いずれか一方を取り上げて言うのに用いる。の方。和歌山県「これしかええ」690


>
>わたくし小豆島の生まれ(戦争を知らない世代)ですが、(1)の使い方は知りません。祖父母や近所のお年寄りが使うのを聞いた覚えもありません。

 
 小豆島ですか、そうめんがおいしい! 友人からよく戴きます。
 この言葉は、和歌山で始めて耳にしました。云った友人が小豆島出身(団塊の世代)でした。


ボール箱

【261】
ボール箱
 道浦俊彦
 - 04/7/23(金) 8:20 -
----
ニュース原稿、といってもカメラの修理工の人を取り上げたドキュメントのようなものですが、その中にカメラの部品を納めておく箱で、
「ボール箱」
というのが出てきました。「ダンボール箱」ではないのか?と思ったのですが、これは「ボール紙で作った箱」ということのようなのです。
こういう呼び方をふだん使われる方はいらっしゃるでしょうか?私の周りにはほとんどいないのですが。『日本国語大辞典』にはかろうじて載っています。方言なのでしょうか。 それともある時代にだけ使われた言葉でしょうか?
ご教示ください。よろしくお願いします。



【263】
Re:ボール箱
 道浦俊彦
 - 04/7/23(金) 11:16 -
----
各辞書に載っていました。すみません。
でも、やはり聞きなれない言葉です。今、普通に使われているのでしょうか??地域差もあるのでしょうか?



【266】
Re:ボール箱
 KS
 - 04/7/28(水) 14:03 -
----
▼道浦俊彦さん:
>「ボール箱」ボール紙で作った箱」ということのようなのです。
>こういう呼び方をふだん使われる方はいらっしゃるでしょうか?私の周りにはほとんどいないのですが。


 小生61歳(男) 兵庫県は播州(東播)の産です。「ボール箱」田舎を思い出して懐かしい言葉です。馬糞紙(藁半紙)で作られた紙箱です。チョッとでも水に濡れるとフニャフニャになって使い物にならない紙箱です。饅頭などの和菓子が一個ずつ入れてあった化粧箱で、語呂から来るイメージよりは高級感のある入れ物でした。当時(昭和30年頃か)は、そんな箱がいろいろな用途によく使われていていましたので、ボール箱は日常的な言葉でした。
 手元の「三省堂新明解国語辞典(96年版)」を繰ってみますと。
 ボール[board の変化] ボール紙=藁を原料とした黄色がかった厚紙。段ボール。ボール箱。 と出てます。
 前期団塊の世代の言葉でしょうか?。物がなくなると共に消えてゆく言葉の一のようです。



【267】
Re:ボール箱
 道浦俊彦
 - 04/7/28(水) 15:46 -
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KSさん,昔は「ボール箱」の「物自体」がよく使われていたのですね。
「饅頭などの和菓子が一個ずつ入れてあった化粧箱」というと、「あ、あれかな?」とちょっとイメージがわいてきました。
「物」そのものはわかっても、その名前に触れることはほとんどなくなってしまったのかもしれませんね。どうもありがとうございました。



【270】
Re:ボール箱
 NISHIO
 - 04/8/2(月) 3:43 -
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▼KSさん:
> ボール[board の変化] ボール紙=藁を原料とした黄色がかった厚紙。段ボール。ボール箱。 と出てます。
> 前期団塊の世代の言葉でしょうか?。物がなくなると共に消えてゆく言葉の一のようです。


そういえばボール紙のことを「馬糞紙」などと呼んでいましたね。小学校で図工の時間に使う厚紙といえばこれでした。ミもフタもない名前ですけど、ワラの成れの果てという意味では同じですね。業界用語では「黄板紙」「黄ボール」と呼ぶようです。わが家の現役高校生に聞いてみたら、「ボール紙は知ってるけど馬糞紙は聞いたことない」とのこと。最近のボール紙は「白板紙」「白ボール」などと呼ばれているようです。

で、「ボール紙で作った箱」ですが、物がなくなったというより、材料用紙が「黄ボール」から「白ボール」に変わっただけで、むしろ昔より用途も使用量も増えているのではないでしょうか。
紙製の箱・パッケージに入った商品は巷にあふれています。家の中にも手の届く範囲に一つや二つはあるはずです。ティッシュペーパーの箱とか、グリコジャイアントプリッツ・なにわ名物たこ焼き味(←たまたま)の箱とか。商品個装用の箱は木でもプラスチックでもなく、ボール紙製が当たり前になって、敢えて材料名を付して呼ぶ必要がなくなったとも考えられます。やや強引。

たまたまついでに、来る8月5日は紙箱(紙器)や段ボール箱に因んだ「ハコの日」です。紙箱製造の業界団体「全日本紙器段ボール箱工業組合連合会」が制定。
「この日ハコの日、ハコの日この日。8月5日はハコの日です。」がキャッチフレーズだそうです(よーわからん)。

東京紙器工業組合(http://www.mmjp.or.jp/tokyoshiki/ )では、第13回「ハコの日」コンテスト。
京都府紙器段ボール箱工業組合(http://www.kyotopandp.or.jp/ )は、十乗院 にて「ハコ供養」。
どこぞのローカルニュース番組の特集ネタで「ボール箱の謎!?」が登場するかもしれません。



【277】
Re:ボール箱
 KS
 - 04/8/5(木) 14:14 -
----
▼NISHIOさん:
>で、「ボール紙で作った箱」ですが、物がなくなったというより、材料用紙が「黄ボール」から「白ボール」に変わっただけで、むしろ昔より用途も使用量も増えているのではないでしょうか。

 商品個装用の箱は木でもプラスチックでもなく、ボール紙製が当たり前になって、敢えて材料名を付して呼ぶ必要がなくなったとも考えられます。やや強引。

 確かにそうですね。
 同様ことば(物の名前)に、紙袋→ ナイロン袋→ ビニール袋→ ポリ袋 も原料を冠したことばですが、科学的には必ずしも正確に使われてたとは思えない。進歩が早すぎて、ことば(呼び名)が変化についてゆけないのでしょうね。石油化学製品の日用品に多いような気がしますが、今では死語になったことばを思い浮かべると高度成長至上時代が何となく思い出されます…。 


図書館めぐり

【271】
図書館めぐり
 岡島昭浩
 - 04/8/3(火) 14:26 -
----
東京都立中央図書館に行きました。特別資料室です。

私は図書館よりも古本屋さんの方が性にあっているのですが、図書館で未知の資料を見るときは、やはり嬉しいものです。ちょっとしたメモを取りながら見て行くわけですが、全丁複写したら幾らになるかなぁ、などと考え出すと気が重くなってくるのでした。
古書店の場合でも、高いお金を出さなければ手に入れられないものは涙を飲まねばなりませんし、そこで買わなければ一生お目にかかれない、という切実さはありますが、買ってしまえば、全部こっちのものですからね。

都立中央図書館のある広尾から羽田空港に向かうのに、恵比寿経由で品川に出るのと、六本木経由で大門・浜松町に出るのとどっちがよいだろうと悩んだのですが、事前に調べて居らず、その時にネットで調べる暇もなく、えいやっと、六本木の方にしてしまいました。パスネットカードに残があったのも理由の一つです。

あとで調べると、やはり品川に出たほうがよかったかな、と思いました。

東京のように交通が発達していると、安く行きたい場合、楽に移動したい場合、など、さまざまな選択を考えて置かねばならないようですね。



【272】
Re:図書館めぐり
 佐藤
 - 04/8/3(火) 22:26 -
----
▼岡島昭浩さん:
>東京都立中央図書館に行きました。特別資料室です。


好きな図書館ですね。広尾から歩けば、ちょっとだけ異国の雰囲気もあり、変化のある公園があったり…… というか、公園のなかに図書館があるのかな。日曜開館も何よりですね(^^)。平日しか開かない国図ほか国立・大学系と相補的に使えますから。



【273】
Re:図書館めぐり
 岡島昭浩
 - 04/8/4(水) 0:48 -
----
▼佐藤さん:
>広尾から歩けば、ちょっとだけ異国の雰囲気もあり、変化のある公園があったり…… というか、公園のなかに図書館があるのかな。


西洋人らしき人が多いところなのですね。
公園は有栖川宮記念公園ですね。「有栖川宮」が有名なのは、この公園があるためかな、などと思いながら、公園を歩きました。

また、東京の土地鑑に乏しい私は、「南部坂」の表示を見て、赤坂から続いているのかと思いましたが、別物なのですね。

日曜日に開いている図書館としては、無窮会がありますが、こちらは玉川学園前ですから、ちょっと遠いのが難点です。


ダッシュ

【265】
ダッシュ
 道浦俊彦
 - 04/7/28(水) 0:36 -
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「ダッシュ」という言葉は、「20メートルダッシュ10本」のように「短い距離を全力で走る」ことを言いますが、「レポートの点は、Aダッシュだった」のように、評価の際に「Aには及ばない」というような意味でも使うと思います。
この二つの「ダッシュ」は同じものなのでしょうか?またそれぞれ、意味の関連性はあるのでしょうか?



【268】
Re:ダッシュ
 UEJ
 - 04/7/28(水) 22:27 -
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>この二つの「ダッシュ」は同じものなのでしょうか?またそれぞれ、意味の関連性はあるのでしょうか?


「dash」は日本語で言うと「さっと」という語感に近いかと思います。
「さっと」走るのが「短い距離を全力で走る」ことで、
「さっと」書いた一筆が「’=ダッシュ」ではないかと。
但し現在の英語では「A’」は「A prime」と呼び、
「dash」と言えば「’」ではなく「―」を指します。



【269】
Re:ダッシュ
 岡島昭浩
 - 04/7/28(水) 23:49 -
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▼UEJさん:
> 但し現在の英語では「A’」は「A prime」と呼び、
>「dash」と言えば「’」ではなく「―」を指します。


「ダーシ」と呼んでいるものですね。

過去の英語について知らなかったので検索してみましたら、

>英国育ちとおぼしき在米のB教授からコメントを受け取った。彼によると、二次大戦の頃まで英国ではA´=A dash をふつうに使ったが、戦後はA prime に変更されて、
……
>たぶんHarrap『英仏』の編者は、初版(1940)の記述をうっかり削除し忘れたのだろう。
と、
http://www.shirakami.or.jp/~eichan/oms/omsxx/oms10.html
にはありました。(「数学セミナー11―85: 渡辺正」によるものらしい)

#飼猫にダッシュとプライムと名付けているらしいページにも行き当たりました。


相手の名を覚えて語りかける

【256】
相手の名を覚えて語りかける
 Yeemar
 - 04/7/21(水) 10:57 -
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次のようなエピソードを何かで読んだ記憶があります。

学園紛争が盛んだったころ、教員が活動家の名を覚えて、団交の場で「○○君」と個人に語りかけるようにした。活動家は、初めのうちは教員に向かって「お前は」(?)などと言っていたが、教員が「○○君は……」「○○君の言われることは……」と「個人対個人」で話すというストラテジーをとるものだから、殺気立った雰囲気がなくなってきて、場がなごんだ。

これが新聞の記事であったのか、コミュニケーションの本だったのか、心理学の本か、どうしても思い出せません。朝日新聞記事をいろいろなキーワードで検索しましたが、出てきませんでした。

似た話は、下記のサイトにあります。「和達清夫元埼大学長の思い出」です。ただ、「相手の名を呼ぶことによって場を和ませる」という話にはなっていません。
 http://shomon.net/garakuta/tuitou1.htm#950108

似た話をご存じの方はご教示いただければ幸いです。


「首を振る」の使い方

【247】
「首を振る」の使い方
 佐藤
 - 04/7/12(月) 0:56 -
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 私の「首を振る」という表現の理解はこうです。

  首を振る────横に振る。拒否・否定の身振り。無標。
  首を縦に振る──うなづく。受諾・肯定の身振り。有標。

 高橋克彦の作品だと、反転した用法に出会います。次の例は、探偵役が、OLから、不倫相手の部長の安否と行方を引き出すくだり。
「絶対に金曜にはもどると言っていたのに」
「部屋には入った?」
 耿介の問いに聡美は躊躇の末に首を振った。
「どうやら遊びじゃなかったらしい」
 目くらましのために遠藤は他の女との関係を吹聴していたのに違いない。二十四、五にしては落ち着いた女性だった。
「アメリカに行った目的は?」
それには聡美も首を横に振った。
          (『春信殺人事件』光文社文庫)
 出会うたびに面白いなと思いますが、方言上の特色でしょうか。他の作家・筆者でも似たようなことがありましょうか(この話題、既出でしたら御放念・放置ください)。



【248】
Re:「首を振る」の使い方
 Yeemar
 - 04/7/12(月) 8:30 -
----
筒井康隆氏(大阪出身)は「首を(横に)振る」を使わない作家です。「かぶりを振る」と言います。『俗物図鑑』(1972)では

 首を かしげる15 すくめる2 他4
 かぶりを 振る37
 ほか、「うなずく」は多数。

筒井氏にとって、首はかしげるもの、頭(かぶり)は(横に)振るものであるようです。

北原亞以子氏(東京)も「首を振る」ではなく「かぶりを振る」を使います。川端康成(大阪)もそうでしょうか。



【249】
Re:「首を振る」の使い方――高見順の場合
 岡島昭浩
 - 04/7/12(月) 11:01 -
----
高見順「故旧忘れ得べき」
ツンと取りすまし他人の感情をまるで無視した口のきき方であった彼が、きゅうに愛想よく応対しはじめ、相手の話に絶えず小首を振って、いかにも熱心に聴き入っているように装《よそお》いはじめたのは、彼のいわゆる人心収攬《じんしんしゆうらん》のための政治的技巧であって、(第三節)

「小首を振る」は違うのかとも思いますが、
白く浮いた妻の項《うなじ》を、のぞきこむようにして、じッとみつめつつ、うん、よしよしと首を振った。(第七節)

なお、
ううんと彼女は首を横に振った。(第二回)
があります。


同「如何なる星の下に」では、
朝野は悪夢でも払うように首を振って、
「いや、違う」
 と大きな声で言って、(第四回)

また、
「いや、いや」
 と、朝野が首を振った。(同)

さらに、
「いいや」と私は首を振った。(第十回)

と、横に振るのもあります。
「あら、――倉橋先生」
 という声があった。声をたよりに眼を据えると、サーちゃんであった。
 私はこういう場合に慣れないので、とっさに言うべき言葉が浮ばず、やあ、やあと首を振ると、(第九回)

これは縦でしょうか。
 とんでもない誤解であると私は言った。言うのもあほらしいくらいであった。
「誤解?」ドサ貫が三方白の眼を私に注ぐのに、
「うん」
 私は大きく首を振ったが、ドサ貫は何も書わず、首を小刻《こきざ》みにうなずかせた。承認のうなずきではなく、そうして私の言葉を吟味《ぎんみ》している風なのに私は心|穏《おだ》やかでなく(第十一回)

これも縦であるようです。



【250】
Re:「首を振る」の使い方
 UEJ
 - 04/7/12(月) 23:17 -
----
話は逸れますが、英語だと
 nod one's head(首を縦に振る)
 shake one's head(首を横に振る)
と、単語が違うので区別がはっきりしてますね。


なので

【224】
なので
 岡島昭浩
 - 04/7/7(水) 0:19 -
----
なのでの続きです。
『88年版ことばのくずかご』の128頁に「新しい接続詞「ので」」がありました。83年の用例を示しています。接続詞「ため」も隣に載っています。

そういえば「から」という接続詞もある、と、『日本語話し言葉コーパス』を使っての研究で言っていました。第七五回語彙史研究会の小椋秀樹氏の発表でした。



【226】
Re:なので
 Yeemar
 - 04/7/7(水) 3:17 -
----
「から」の古い例は、佐藤さんの公開されている『小公子』第十六回
それに又一つ増に嫁が気に入る様になり升た。から人々がエロル夫人さへ御寵愛なさる様になつたといふも空言では有ませんかつた。
とありますね。ほかに、二葉亭四迷「浮雲」他(「からして」も)、漱石「それから」他にも。

「ので」の、より新しい例は、
私の知人の中にも百歳すぐそこの会長職が数人いらっしゃっていずれも引退どこ吹く風。おかげで毎年山海の珍味が届く。ので私は引退反対。〔時実新子〕(「週刊朝日」2004.01.2-9 p.122)

ちなみに、今私が住んでいる部屋には全身鏡がない。ので、いつも窓ガラスに映している。〔金原ひとみ〕(「朝日新聞」夕刊 2004.04.23 p.10)
など。また「なので」の新しい例は
『ダカーポ』は80年代の『朝日ジャーナル』に似ている……といってもお若い読者は「そんな比喩(ひゆ)ではわかりませーん」と思うだけだろう。なので別の言い方をすると、『ダカーポ』は組織でいえばナンバー2、家族でいえば次男の雰囲気なのだ。〔斎藤美奈子〕(「AERA」2002.08.26 p.69)

河野〔明子〕 私、兄と弟との3人きょうだいで、女は1人なんです。なので父は比較的、私には甘かったです。(「週刊朝日」2004.06.04 p.56)
などです。



【227】
Re:なので
 岡島昭浩
 - 04/7/7(水) 16:03 -
----
▼Yeemarさん:
>「から」の古い例は、佐藤さんの公開されている『小公子』(中略)ほかに、二葉亭四迷「浮雲」他(「からして」も)、漱石「それから」他にも。


存じませんでした。反省して、「なので」「ので」の用例があれば報告しようと思い手元を検索しましたが、「[、。]な?ので」では、何にも捕まりませんでした。



【229】
Re:なので
 Yeemar
 - 04/7/7(水) 16:42 -
----
「から」は「それから」の略として使われることもあるはずです。

「今回は先生にインタビューしました。から、友だちにもインタビューしました。」

のような使い方です。手元に例はありません。これは「それから」の「それ」が聞こえていないだけなのか、本人も「から」のつもりで言っているのか。

その反対に、「だから」の「から」が聞こえないこともあります。

「そういう説明では子どもは理解できません。だあ別の方法を考えないと。」

『日本語話し言葉コーパス』ではどうなのでしょうね。購入は迷います。



【232】
Re:なので
 佐藤
 - 04/7/7(水) 22:33 -
----
▼Yeemarさん:
>「から」の古い例は、佐藤さんの公開されている『小公子』第十六回
それに又一つ増に嫁が気に入る様になり升た。から人々がエロル夫人さへ御寵愛なさる様になつたといふも空言では有ませんかつた。
とありますね。


これは初出の『女学雑誌』のママですね。岩波文庫では直していますね。
それに又一つ増に嫁が気に入る様になりましたから、人々がエロル夫人さへ御寵愛なさる様になつたといふも、空言では有ませんかツた。

『女学雑誌』の版組も、結構よく組んでますが、ミスもないわけではないので……



【234】
Re:なので
 岡島昭浩
 - 04/7/8(木) 0:20 -
----
▼岡島昭浩:

>反省して、「なので」「ので」の用例があれば報告しようと思い手元を検索しましたが、「[、。]な?ので」では、何にも捕まりませんでした。


「あいまい検索」で、句読点が無視されていたのでした。

「ので」は漱石にもあるのですね。

「なので」「ので」ともに、村上春樹の『スメルジャコフ対織田信長家臣団』(2001)に何例か見えます。「なので」は、98.8.5にあります。皆、読者からの投稿です。

他に、「ので」かを、本で確認したいものはありますが、「なので」の存疑例は、なおも、見つけられません。



【235】
Re:なので
 岡島昭浩
 - 04/7/8(木) 1:48 -
----
1986年1月の「なので」
http://www.angel.ne.jp/~vacation/radio/houdan/8603.html

>山下:     おととしじゃねえか、さきおととしか?
>大滝:     か?
>山下:     そうそうそう。
>大滝:     かなり前ですね。
>山下:     3年前だ。なので、ご存知の方もたくさんいるんですけど、知らない人もいるので、