1997年06月03日

【掘った芋その後】

 以前ふれた「ホッタイモイジルナ」であるが、城生佰太郎・松崎寛『日本語「らしさ」の言語学』(講談社1995.1.9)の表紙に「掘った芋・ホッタイモ・Hottaimo・What time?」と書いてあるので喜んで中を見てみると、

彼(ジョン万次郎)の書いた英語練習帳のWhat time is it now ? の傍らに、「ホッタイモイジルナ」とあるのだ。


として、さらに、

この本、単語「男子」の項を見ると、「ボヲヤ」と出ている。(中略)「女子」を見ると、「ゲロ」と書いてあったりして、


とあり、参考文献を、吉田正俊「女の子はゲロ」(『言語』12-7)としている。
 これを見れば「ジョン万次郎の英語練習帳」が何であるのか分るであろうと、見てみると、これには、

安政年間に出た漂流記には「男子をボヲヤ、女子ゲロ」と記してあったそうです。


と、これまた伝聞で、しかもジョン万次郎とは書いていない。参考文献は大田雄三『英語と日本人』とのこと。これは講談社学術文庫に入っているので見てみたが、ボヲヤ・ゲロだけで「掘った芋」はなさそうだ。
 城生佰太郎『「ことばの科学」雑学事典』(日本実業出版社1994.12.30)のp164にも、ジョン万次郎の名と、私が先日触れたテレビ番組(1984.8.29の放映)、と思われるものに言及して、「掘ったイモいじるな」と書いてある。参考文献としてEmily V. Warinner(宮永孝訳)『ジョン万次郎漂流記』(雄勝堂1991)というのが挙っているが、これは多分、

フハヤ アー ユー ゴエン


などの出典ではないのかな。このワリナーという人のは、昭和41年に田中至という人も訳しているようだ。ジョン万といえば井伏鱒二だが、パラパラ見たところ「掘った芋」はなさそうだ。そういえば『中浜万次郎集成』とかいうのが確か有ったはずだ。あの図書館にあったんだがなあ。《見たけど載ってない》


 私はこれはほとんど「伝説」であると思っています。万次郎への仮託だと思っているわけです。
posted by 岡島昭浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 目についたことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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