1997年07月01日

【ホンコンとキングコング】

 今話題の香港だが、hongkongとkingkongが何故ホンコン・キングコングと写されるのか、という疑問がある。ホングコング・キンコンとならないのは何故かというわけである。ピンポン、ヤングソングなどと共に語られることもある。"HANG TEN"はハンテンかハングテンか、ということもちょっと関係ある。
 香港の北京音がxiangkang(シャンカン)であることから、ホンコンというのは英語である、などと書いてある本を見て驚いたことがあるが、これは「香港」の広東音である。「香」と「港」ではちょっと母音が違うのだが、これは本題ではない。

 子音、といっても摩擦音や接近音は問題になりにくいのだが、破裂音(閉鎖音と言った方がよいか)と鼻音が口のどこかで閉鎖を作ることを考えてみると、〈開放している状態から閉鎖する瞬間〉と〈閉鎖した状態から開放する瞬間〉というのが重要であることがわかる。勿論〈閉鎖した状態〉というのもあるわけだが、これは聴覚的には全く重要ではないと思われる。〈閉鎖する瞬間〉を「内破」と呼び(「入破」とも言う、と書いてある本もあるが、「入破」は別の音を示す言葉として使われているので使わない方がよい)、〈開放する瞬間〉を「外破」と呼ぶ。
 子音の後に母音が来る場合には必ず外破を伴うわけだが、子音が来たり語尾である場合は外破がないこともありうる。英語などは外破があるのが普通である(補:これは間違い。)。語尾を例に取れば cat , cap , pack などの無声子音は勿論 sad , tab , bag などの有声子音もそうだ。can , ram , song などの鼻音の場合は、外破が弱い場合もあるが、丁寧な発音では、キャンヌッ、ランムッ、ソングッ、という感じで外破がきかれる。歌唱の場合などははっきり聞える。子音が後続する際についてみると、調音位置が同じ場合には外破がないが(日本の促音も同じ感じ)、調音位置が異なる場合には外破が聞かれる。例えば dictionary の c は後に t が来ているが、c と t の間に気流が出る瞬間がある(川上蓁氏に依ればこれは「無声母音」だというのだが)。
 ところが例えば朝鮮語の場合などはこの子音連続の場合の前の子音の外破はなされないことが多いようだ。ipta などと言う時に、p は破裂せずに t へ移行する感じである。語尾の場合もそうで、あまり外破はきかれない。
 中国語の場合も朝鮮語に近いようで、後続が母音でない場合にはあまり外破することが無い。「後続が母音」といっても、韻尾が子音で次の音節が頭子音の無いものの場合、つまり、 lian'ai のような時には外破が無い(つまりリエゾンが無い)。これは朝鮮語とは異なる(ngの場合にはリエゾンすることもあるようだが)。

 さて香港だが、外破しない中国語で考えると、ホングコングではあり得ない。ホンコンである。英語ではどうか。丁寧に発音すればホンコングであろう。最初の ng は後続の k と調音位置が同じなので外破を伴わない。でホンコングである。ま、外破がはっきり聞えないで、ホンコンと聞えることもあるのでしょうが。
 ではキングコングは何? これはキングが一語であるという意識があるのでしょうね。
posted by 岡島昭浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 目についたことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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