「〜のように、対応してございます」のような表現をヒューザーの小島社長が口にするのを聞いて、違和感を覚えました。「ございます」の接続が気になったのです。 ところが、つい先日、文部科学省の30歳代の役人3名の話を聞く機会があったのですが、彼らが3名とも同様の表現を頻発するのには、ただ呆れてしまったのです。「準備してございます」「確認してございます」「考慮してございます」というように。 これは東京辺りでは、多用されているのでしょうか?
2006-03-21 22:30
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(引用開始)
〔原子力安全・保安院 佐藤均課長〕現時点においてこの〔マグニチュード〕6.5の〔耐震指針の〕妥当性が損なわれてるというふうには◆考えてございません。〔省略あり〕妥当性うんぬんについては、あのー、おー、少なくとも現在、原子力安全委員会で、この点も含めて、えー議論がされているところでございます。〔“原発 運転差し止め”国の耐震指針は〕(NHK「ニュース7」2006.03.24 19:00)
(引用終了)
役人ことばでしょうか。
「ございます」は、『三省堂国語辞典』を見ると「「ある」のていねい語。」とあり、上の例をふつうの表現に戻すと「考えてありません」となり、違和感があります。「考えておりません」ならば、(「ております」が「ている」のややていねいな言い方なので)違和感はありません。
「お仕度が出来ましてございます。旦那様」(森茉莉「甘い蜜の部屋」)などという非常にていねいな言い方があり、これは、使用人が旦那さまに使うことばです。
与謝野晶子訳「源氏物語」にも、いくらでも出てきます。その例、「帰りましてございます」「昔の女房も半分ほどはお付きしていましてございますから」等。くわしくは見ていませんが、まあ侍女などのせりふではないでしょうか。
これらも、ふつうの言い方に戻せば、「仕度ができてあります」「帰ってあります」などとなり、へんです。独特な「侍女語」「執事語」と考えれば納得がいきます。
すると、役人の「てございます」は、公僕たる自覚に裏打ちされてのものでしょうか。ところが、(私がテレビで見た例では)表情などが必ずしもことば遣いのうやうやしさと一致せず、そこはかとない違和感をかもし出します。
ところで、「こちらの席が空いてございます」「ようやく準備が整ってございます」と、私の周辺でも頻繁に耳にするようになりました。困ったものだと思っていたら、ついこの前、自分もこの表現を使ってしまって愕然。意外に感染力が強いようです。