OL達とランチをすると、ダメ部長やボケ課長らが、社長のことかと思いましたが、そうではなく、総合商社の各部門の長をこう言うのではないかと思います。「部門長」というほどの意味でしょうか。すると、「カンパニー」というのは、ここでは「会社。商社。商会。」(大辞林)の意ではないということになります。
「カンパニー長への報告書はこの内容でいいかな?」
と、アタフタしながら働いているといった赤裸々な話が飛び交って楽しい。〔斎藤由香・トホホな朝ウフフの夜210〕(「週刊新潮」2006.08.03 p.66)
最近は「CEO」(最高経営責任者)というのもあるそうで、昨年のライブドア騒動のときに総合金融グループ・SBIホールディングスの北尾吉孝CEOという人の登場で知りました。「デイリー 新語辞典」(Web版)によれば「日本での会長職,社長職にあたる。日本でも,経済のグローバル化,意思決定のスピード化,経営責任の明確化などから,この呼称が使われることが多くなった。」とあります。CEOのほうは「社長」の言いかえにすぎないと納得しました(「……社」という社名でない場合、「社長」と言いにくい事情もあるのかもしれません)。
では、カンパニー長も、何かの言いかえでしょうか。従来、こういう役職を何と言っていたのでしょうか。英日まぜこぜにせず、英語か日本語かどちらかで言えばよかろうという気もします。
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社内カンパニー制では、一般的に本社機能を受け持つ部門を「コーポレート」、各事業責任を受け持つ部門を「カンパニー」と呼びます。コーポレートのトップ(最高経営責任者)は従来の代表取締役社長が就き、各カンパニーのトップは「カンパニー・プレジデント」などと呼んで取締役や執行役が就くことが多いようです。社内カンパニー制は商法で規定された制度ではないので、役職名は企業によって「プレジデント」「カンパニー長」などさまざまですが、いずれにしても単純に日本語に直すとややこしいことになるのは確かです。
日本企業ではソニーが1994年に最初に導入して以来、大手メーカーが次々に導入しました。製造業以外にもかなり広まっているようです。最近は社内カンパニー制から持株会社制に移行する企業も増えていますが、なかには事業本部制に戻す企業もあります。
参考:
http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk065a.htm
http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/m_word/company.html
http://www2u.biglobe.ne.jp/~hiraki/d42.htm
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「最高経営責任者」(CEO:Chief Executive Officer)
「最高執行責任者」(COO:Chief Operating Officer)
「最高財務責任者」(CFO:Chief Financial Officer)
などの役割名称も、米国の企業統治制度に倣ったものです。
従来の日本企業は「会長・社長・専務・常務・(平)取締役・監査役」といった役職名が一般的でしたが、2002年の商法改正で大会社に「委員会等設置会社」と「執行役」という米国型企業統治に倣った制度が設けられて以来、「代表執行役・○○担当執行役」などの肩書きが主流になっています。
従来のたんなる地位を示す肩書きではなく、「最高○○責任者」(Cief x Officer)という名称で役割を明確に示すものです。チーフ・オフィサーは総称して「CxO」とも呼ばれます。
参考
http://www.president.co.jp/pre/20001016/01.html
日産のカルロス・ゴーン社長が、初め最高執行責任者(COO)として就任したとき、なぜ最高経営責任者(CEO)ではないのかと話題になった記憶がありますが、現在は代表権を持つ「取締役共同会長兼社長」兼「執行役員・最高経営責任者(CEO)」ということになっているようです。
http://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/PROFILE/EXECUTIVE/index.html
ある会社がほんとうに分社化され、子会社ができたのであれば、子会社の長は「社長」ですっきりします。しかし、子会社ではなく、「社内分社化」であるため、ややこしくなるということですね。『大辞林』の「分社」を見ると、「(2)一つの会社から事業を分けて別の会社として設立すること。また、その会社。「―化」」とありますが、実態としては、「分社」といえば「……別の会社のように権限を持たせること」にとどまる場合が多いのかと思いました。