かなり前から気になっていたのですが、普通、連濁の定義は「後の語の初めの清音
が濁音になる」ですが「手伝う」は「てづたう」ではなく「てつだう」と発音しま
す。この類の連濁(?)の名称とその不規則性の要因、また「手伝う」以外の例をご存知の方お教え下さい。
岡島 さんからのコメント
( Date: 2000年 5月 14日 日曜日 23:57:01)
そもそも、「てつだう」が本当に「て+つたう」なのかを確認する必要があるように思います。
後部成素の後の方に濁音があり、それで本来ならば連濁しないものが、後の濁音を清音に変えてまで連濁する例ならばあるのですが……。
たとえば「舌+鼓」で「したづつみ」など(「したづつみ」は「したつづみ」の訛った形とされがちですが)。
道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2001年 6月 18日 月曜日 19:23:53)
関西方言では「てっとうて」(=手伝って)と濁らずに言うこともありますが。
岡島 さんからのコメント
( Date: 2001年 6月 23日 土曜日 13:29:37)
その「てっとうて」ですが、「つ」が促音化することによって、次ぎの「ど(だ)」を清音にしてしまっている、ということがありえます。
福井には「松田」と書いて「まった」と読む名字の人が居ますが、ふだん「まった」と読んでても、履歴書なんかに書く時、素直に「まった」と書く人もありますが、「まつた」と書くべきか「まつだ」と書くべきか、迷う人があるようです。
天野修治 さんからのコメント
( Date: 2001年 11月 15日 木曜日 12:26:03)
皆さん、こんにちは。
「手伝う」の「不規則連濁」(?)については忘れていたのですが、他の掲示板でこの疑問が出されていたのを機に、改めて考えてみました。
「天伝う」は日にかかる枕詞(天伝ふ)で、大野晋氏は岩波古語辞典の「天伝ひ」の項で上代特殊仮名遣いから「あまつたひ」(amatutafi)としています。一方、同じマ行から「つたう」が続く「百伝ふ」(枕詞)は「ももづたふ」(momodutafu)としています。
このことから私は、「〜つたう」は連濁するものとしないもの(あるいはどちらでもいいもの)があると考えてみました。
「手伝う」は初めは連濁しなかった(=てつたう)と仮定して、以下の推測を試みてみます。
道浦さんによると、関西方言では「手伝って」を「てっとうて」と濁らずに言うこともあるそうですから、
漢字の意味から離れて、「て+つたう」の音の組を変え「てつ+たう」と考えてみるのもいいかもしれません。
(1)「てつ+たい」→「てったい(撤退)」。「てつ+つい」→「てっつい(鉄槌)」「てつ+てい」→「てってい(徹底)」。「てつ+とう」→「てっとう(鉄塔)」
などの例には、「て+つ+T音」の間の「つ」が促音化する傾向が見られます。
一方、
(2)「てつだい(鉄代)」「てつどう(鉄道)」
のように「D」音の前は「つ」を促音化しないで発音しています。
つまり、促音化を避け、「つ」をきちんと発音しようとすると「つ」のあとの「T」音は「D」音へ濁音化する傾向を類推してみたくなります。
「手伝う」がなぜ連濁の規則に沿って「てづたう」とならないか、上記のように考えてみましたが、、まだ推測の域を出ていません。皆さんのお知恵を拝借したいところです。