はじめまして。ここは「ぽち(犬の名前)」について調べている過程で知りました。私の最近の疑問について教えていただけないかと思い、お便りしました。
からい味は少なくとも「塩からい(=salty)」「唐辛子からい(=hot)」「わさびからい(=hot?)」に分類できると思われるのですが、唐辛子の辛さとわさびの辛さを言い分けるにはどういえばよいのでしょうか。
外国語でも方言でもかまいません。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2000年 5月 26日 金曜日 21:20:56)
ほかにもミントのような味を刺して「カライ」と言った例を
柴田武氏が報告しています。(『日本語はおもしろい』岩波
新書)
柴田氏の夫人が電車の中で子供に「カライかもしれないよ」
といってハーブの飴を渡した。その子供は〈口に入れた途端、
「カライ! カライ! カライ飴だ」と大騒ぎする〉。
このあたりを言い分けることは、共通語としては難しいよう
です。私ならば「ワサビのような――」などと、前に修飾語
をつけて表現し分けます。
柴田氏は
アマイ-------------------シブイ
/ \ / \
スッパイ----カライ-------エグイ----ニガイ
というような三角柱で説明しています。ここには「ショッパ
イ」がありませんが、これは地方によってないところもあり
ます。
私は香川県出身ですが、醤油の味が濃いうどんなどを食べた
ときは「カライ」というと思います。しかし、関東の人は
「ショッパイ」というのではないでしょうか。
福島 さんからのコメント
( Date: 2000年 5月 27日 土曜日 19:42:42)
日本語ではないですが、
>「わさびからい(=hot?)」
"wasaby"という形容詞があるらしいというのをなにかの本で読んだ
記憶があるのですが、どうでしょうか。
東京出身ですが、醤油の味が濃いうどんなどは「しょっぱい」ですね。
逆に、「えぐい」って使ったことがありませんが、どんな味のことな
のでしょうか。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2000年 5月 28日 日曜日 19:13:40)
「えぐい」は、柴田氏によれば「あく出しの不十分な竹の子は、
エグイと言うにふさわしい味である」ということになるようで
す。
私自身は、「えぐい」はうまく使えないと思います
キムラナオコ さんからのコメント
( Date: 2000年 5月 29日 月曜日 13:15:57)
お返事ありがとうございます。かしこくなってまいりました。
この疑問は、「このカレーからすぎる」「?甘口やけど?」「いや・・・。しょっぱい」「すっぱい?!」という会話が母となされたことによります。母は(私も)大阪人で、たしかに「しょっぱい」またはそれに準ずるという大阪弁は思い当たらないのです。
その後、「ワサビと唐辛子」(呉 善花 著)という本があるそうで、それを紹介する文章に「唐辛子のからさは英語でhotというのに対し、ワサビはcool」というようなことが書いてありました。cool。なるほど、これはイメージ通りと思ったのですが、gooの英和辞書にはでていませんでした。
しかし、ミントも確かにからいですね〜。coolでもあります。うーむ。
益山 健 さんからのコメント
( Date: 2000年 5月 29日 月曜日 20:47:35)
英語だと下のページに sharp, pungent, fiery flavor とありますね。しかしどれも唐辛子についても使える語のように思います。cool じゃさすがにわかんないでしょう :-)
→ Food Network: wasabi; wasabe
NISHIO さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 26日 水曜日 03:40:24)
3年半も前の話題を蒸し返してみます。
「JIS Z 8144 -1990 官能検査用語」(Sensory Analysis-Vocabulary)には以下の用語が定義されています。対応英語は参考(規格外)で、*印の用語を除き、国際規格「ISO 5492/6-1985 Sensory Analysis-Vocabulary」の名称と同じです。
(3)味覚・きゅう覚 [抜粋]
3006 基本味(きほんみ) primary taste
3007 酸味(さんみ) sourness, acidity
3008 苦味(にがみ) bitterness
3009 塩味(しおあじ) saltines
3010 甘味(あまみ) sweetness
3011 うま味(うまみ) umami*
3012 辛味(からみ) pungency*
3013 アルカリ味(あるかりみ) alkalinity
3014 渋味(しぶみ) astringency
「塩味」「辛味」の定義は以下の通りです。
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番号:3099
用語:塩味(しおあじ)
定義:食塩などを代表とする物質によって引き起こされる味覚。
対応英語(参考):saltiness
解説(規格外):
かんみ(鹹味)ともいう。この味を持つ呈味物質はハロゲン化アルカリ類であるが、
カリウム、マグネシウムなどの塩類は、塩味のほかに苦味などを伴う。
官能検査における標準物質としては、塩化ナトリウムを用いる。
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番号:3012
用語:辛味(からみ)
定義:トウガラシのカプサイシンなどを代表とする物質によって口内に引き起こされる味覚。
対応英語(参考):pungency
解説(規格外):
辛味物質は口内粘膜を刺激して痛覚や温感を引き起こす。
生理学では味覚から除外しているが、食生活では味覚の一つとして扱われている。
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「甘味・酸味・塩(鹹)味・苦味」(四元味)と、それに「うま味」を加えたのが「基本味」(五元味)。さらに「辛味・渋味」を加えたのが広義の「味覚」になります。「辛味」はJISの解説にもあるように痛覚や温感(「hot」の所以)とされているだけで、トウガラシもコショウもワサビもミントも用語としては区別していません。
ワサビは英名:wasabi または Japanese Horseradish、学名:Wasabia Japonica。日本独特の香辛料ですが、粉ワサビ・練ワサビの原料にもなる西洋ワサビ(Horseradish)の仲間で、辛味物質はアリル・カラシ油、通称ワサビオール。ホースラディッシュ油とも呼ばれるようなので、その味の表現は欧米にもありそうな気がします。
私の出身地(小豆島)では、塩もトウガラシもワサビも「カライ」ですが、敢えて塩味を区別するときは「シオカライ」と言います。近畿でも塩は「カライ」と「シオカライ」の両方が使われていると思います。塩味が薄いことを「アマイ」、味が全般に薄すぎるのを「ミズクサイ」、濃すぎてしつこいのは「クドイ」と言います。加賀・能登方面で「クドイ」はシオカライの意だそうで。関東の「ショッパイ」は古語の「シオハユイ」ですね。
「エグイ」も実感として理解できます。サトイモの小芋に対して親芋のことを「エグイモ」とも言います。少なくとも備讃地方では通じるはず。「えぐみ」の正体は、シュウ酸やホモゲンチジン酸。いわゆる「アク」の味と同種のようです。漢字で書けば「草冠に斂」、国語辞典には「いがらっぽい」「えがらっぽい」とありますが、「ノドがいがらっぽい」のと「エグイ」は、ちょっとニュアンスが違う気がします(私見)。