2000年08月05日

森首相と日本語(Yeemar)

さきの衆議院予算委員会質疑(2000.08.02)で社民党の横光克彦氏が

「単に閣僚をコウソウすればですね、それで済むという問題ではないと思うんです」

 前後何回か〈コウソウ〉を連発。日本語にうるさい森首相(*注)は答弁でさっそくにやにやしながら

「(前不明)コウソウではなくコウテツ(更迭)でございますが……」(笑声起こる)

横光氏、首相の指摘の意味がよく分からないようで、なおも〈コウテツかもしれませんが、私はあくまで事実上のコウソウ、と言っているんですよ〉と意味不明の発言、それ以後も

「コウソウに追い込まれるような形を……」

と〈コウソウ〉を用い続けました。

(「 」内は、私が中継を聞きつつ書き取ったものです。)

--
*注 日本語にうるさい森首相

その1 首相は先月、番記者に対し「コメント拒否」をしていたが、7月12日に記者のやり取りを再開、次のようなやり取りがあった。

 記者 ご質問に答えていただけるか。
 首相 (笑いながら)自分の質問に「ご」をつけちゃだめじゃない。日本語をちゃんとしないと。(2000.07.13 朝日)

この「ご質問」の用法が正しいかどうかは議論が分かれるところでしょう。「お電話をさしあげてよろしいでしょうか」などというときの「美化語」ともいえましょう。

その2 森首相は、さきの所信表明演説で

「……循環型社会形成推進基本法等に基づき、大量生産、大量消費、大量廃棄という経済社会の在り方を根本的に見直し、廃棄物の再生再利用を進める「静脈型産業」の発展を図るなど、ゴミ・ゼロ社会を目指すとともに、……」(2000.07.28 朝日夕刊)

の「静脈」を「セイミャク」と読み、マスコミでからかわれていると聞きます。朝日新聞ではその読み間違いを扱った記事を見つけることが出来ませんでした。


蛍(沢辺治美) さんからのコメント
( Date: 2000年 8月 09日 水曜日 16:27:25)

「せいみゃく」とおっしゃたのは、確かなようです。
「ミレアニム」という発言もありましたし、
「IC担当大臣」とか、クリントン大統領に
「Who are you?」と言ったりとかもあったらしいですが、
これは、日本語ではないので、仕方ないですかね。
サミット会場の「津梁館」の事は「しょうりんかん」でしたっけ?
どれも、普通のオジサンだったら、笑って済むようなことなんですけどね。


言魔 さんからのコメント
( Date: 2000年 8月 12日 土曜日 9:00:48)

実は、6月の衆議院選挙では、とある候補者の選対の人事局次長なんぞという役職に
就いておりました。候補者が、後輩で、頼まれた部分も強かったのですが...頼まれた
時に、「先輩は、『言葉尻』を捉えさせたらニホンイチですから、対立候補の失言を
聞き漏らさないんじゃないかと...」

街宣活動の際のいわゆる「叫び文句」を選定することが、これほど楽だとは思いません
でしたねぇ...でも、選挙というのは、所詮、揚げ足取りでして、私が使ったのは
「寝ててくれと言われて寝ていて良いのですか!」が一番多かったかもしれません。

そういえば、森さん、ITのことを...「インターナショナル..え〜っと...
なんだっけ...」と言っていたことがあったと記憶しております。別に知らなくても
恥であるとは思いませんがねぇ..

言葉のよろずや


後藤斉 さんからのコメント
( Date: 2000年 8月 28日 月曜日 16:59:56)

>さきの衆議院予算委員会質疑(2000.08.02)で社民党の横光克彦氏が
>「単に閣僚をコウソウすればですね、それで済むという問題ではないと思うんです」
> 前後何回か〈コウソウ〉を連発。

議事録では、きれいになるものなのですね。「(発言する者あり)」というところに痕跡があるのでしょうか。

下のリンクはうまくたどれるでしょうか。だめなら、国会図書館からたどってみてください。


後藤斉 さんからのコメント
( Date: 2000年 8月 28日 月曜日 17:03:00)

すみません。リンクをもう一度。

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KOKUMIN/www_doc#SS1?SESSION=18118&EXEID=2&RESID=1&POSID=2&PAGE1=0&JUMP=NEXTS&MSIE3=0&MACIEJAV=0&MACIE=967449294240


後藤斉 さんからのコメント
( Date: 2000年 8月 28日 月曜日 17:03:33)

>さきの衆議院予算委員会質疑(2000.08.02)で社民党の横光克彦氏が
>「単に閣僚をコウソウすればですね、それで済むという問題ではないと思うんです」
> 前後何回か〈コウソウ〉を連発。

議事録では、きれいになるものなのですね。「(発言する者あり)」というところに痕跡があるのでしょうか。

下のリンクはうまくたどれるでしょうか。だめなら、国会図書館からたどってみてください。

衆議院議事録から


後藤斉 さんからのコメント
( Date: 2000年 8月 28日 月曜日 17:04:19)

あれあれ、何度もすみません。


さんからのコメント
( Date: 2000年 9月 03日 日曜日 8:22:45)

森首相ではないのですが、先日宮沢蔵相が、扇建設大臣の防災服について
「何をお着になっても…」とおっしゃてましたが、それを言うなら
「お召しになっても」か「着られても」だと思ったのですが、
どうなのでしょう?


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 15日 木曜日 0:01:19)

 記者団に対して「日本語を勉強しない」と発言した森首相に対して、マスコミ側は大野晋氏を担ぎ出して、「国語学的に見た退陣」というのをやっているようです。国語学じゃなくて言語心理学じゃないのかな、そんなことがわかるのは。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 16日 金曜日 3:19:49)

大野晋氏を担ぎ出したマスコミというのは、ニュース番組の特集か何かでしょうか? ご教示いただければ幸いです。


森首相の「日本語をもっと勉強しないといけないよ。国語、国語(01.03.09)という発言は、私などつねに拳拳服膺し忘れてはならない金言だと思いますが、その首相の昨年末の発言はいかがなものでしょう。

「外遊というが、遊びに行くわけではない。外国出張と言い換えてほしい」(朝日新聞 00.12.30 p.4)
「遊」はむろん「遊説」「遊学」の「遊」で、〈他地へゆく〉こと。べつに物見遊山というわけではありません。森首相は自らの政策遂行能力に愧じるところがあるせいか、無用の言い換えを求めたわけ。

実際に、この要請のせいか、今年1月には福田官房長官が、首相は「(アフリカへの)出張から帰ってきて、公務がいろいろたまっている」と発言(朝日 01.01.18 p.3)。NHKも「外国出張」ということばを使い出したような気がします。これは前からでしょうか。それにしても、「外国出張」ではサラリーマンのようです。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 16日 金曜日 10:04:17)

 「中日新聞」(統合版)3/12
「国語学的には6日に決断」の見出しで談話記事として載っています。

 首相の言葉を純粋に国語学的な観点で眺めてみれば、ターニングポイントは今月六日だろう。
とはじまります。
「粛々」を使う時には、嫌だけど、もう反論ができない状況に使うことが多い。
というのはありますが、あとは「無口になる」「粗略な言い方」などの観点からのものです。
政治部・小栗康之氏の「言葉に表れた揺れ動く思い」という記事の下にあり、この小栗氏が聞いたものということです。「言葉がこれほど「注目」された首相も珍しかった」

 大野晋氏は、その後、この件でワイドショーなどにも出演されていた、という噂も聞きました。


かねこっち さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 23日 金曜日 14:13:43)

日本語ではありませんが、先日のテレビ番組で、森首相が某国の要人と面会する際、部屋へ入るなり、
”See you again!” といいながら握手を求めているところが撮されていました。
字幕ではしっかり「さようなら!・・???」と茶化されていました。

お隣の国では、金泳三元大統領が、諺や慣用句を演説やインタビューの中に引用する際に、決まったように間違ったやり方をすることで有名だったそうで、笑える話は一冊の本になるくらい多いということを韓国からの留学生から聞いたことがあります。
周旋の才に長けた方にこの種の傾向が多いような気がします。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 23日 金曜日 15:51:49)

「某国の要人」は、ブッシュ米大統領という理解でよろしいのでしょうか。クリントン前大統領に向かって発したという「Who are you?」のエピソードはでっち上げだとの説もありますが(「週刊朝日」か何かが真偽を追究していました、今不明)、出会って握手をしながら「See you again!」というお方ならば、「Who are you?」も信憑性ありでしょうか。この首相の出身大学は「See you again?」程度で入学できる所か、ということについては今週の「AERA」に書いてあります。


かねこっち さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 24日 土曜日 0:40:59)

>「某国の要人」は、ブッシュ米大統領という理解でよろしいのでしょうか。

これは、いささか私の投稿のタイミングが悪かったようです。
私がテレビでその場面を目撃したのはもう数週間前のことです。
某国と書きましたのは、私がその要人の所属する国名を失念してしまったためであります。
ただ、その番組の意図は、あきらかに「とある国の要人」を日本にて迎えた際の「森首相の応対」について、ということでありました。

>クリントン前大統領に向かって発したという「Who are you?」のエピソードはでっち上げだとの説もありますが

これが、でっち上げというのはおそらくそのとおりでしょう。
と、申しますのは、まったく同じ話が、韓国にて、クリントン=金泳三両大統領の会見の際にあったこととして、笑い話となって既に広まっていたからです(もう数年前ですね)。

金泳三元大統領の場合においても、それが「真実」であるかどうかは、どうも分からないようであります。
ただ、両氏の場合、どちらもそれが本当らしく聞こえるところに面白さがあると言えるような気がしますが。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 24日 土曜日 1:15:57)

See you again! については、おもしろいマスコミの勘違いがありました。

長嶋茂雄監督(当時は「元監督」)が、日本を去りゆく外人選手に対して、See you again! といったのをスポーツ紙が茶化していたのです。それは間違いだろうって。「またお会いししたね」の意味でしょうが、って。

長嶋茂雄監督は妙な英語風言い回しを好むと見なされていて、そうしたものを笑おうと思っている記者が、ついやってしまった、ということだと思います。

ところが、その後、これと全く逆のことを記したものをみました。長嶋茂雄氏が、久しぶりに訪れた元外人選手に対してSee you again! と言ったことがある、と茶化しているのです。 長嶋茂雄伝説ですね。


かねこっち さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 24日 土曜日 17:59:16)

金泳三前大統領に関するジョークとして「Who are you?」の一件を、ソウル在住の日本の方がWebの日記に記録してあります。
昨年1月27日の日記に既に登場していますから、森首相の「Who are you?」のエピソードがでっち上げであるという一つの根拠となるかもしれません。
(森首相の肩を持つわけではありませんが)

http://members.aol.com/Seoulkeiko/back/diary9.htm


See you again!
につきましては、ジャイアンツの原コーチがNHKのスポーツ番組のキャスターであったころ、番組の中で、大リーガーのカル・リプケン選手をスタジオに招いてのインタビューを始める際に、リプケン選手ににこやかに握手を求めながらこれをやったのを目撃しております。

やはりジャイアンツの次の監督は原辰徳氏が有力ということでしょうか。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2001年 4月 18日 水曜日 4:21:06)

> さきの衆議院予算委員会質疑(2000.08.02)で社民党の横光克彦氏が
> 「単に閣僚をコウソウすればですね、それで済むという問題ではないと思うんです」

このようなものもありました。

 昔、ある大臣が記者会見で「コウソウ」「コウソウ」と言うのです。「後送」「構想」「抗争」。どうも変だ。発言を聞いているうち、「更迭(こうてつ)」のことだとわかりました。でも、だれも注意しません。で、会見が終わるまで「コウソウ」の連発が止まらなかったというわけです。(週刊朝日 1999.12.17 p.168)
 今も昔も、国会に変化なきがごとし。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2002年 1月 11日 金曜日 12:59:47)

> 外遊というが、遊びに行くわけではない。外国出張と言い換えてほしい

ちょっと前の新聞記事ですが、「外相出張、成果見えず/10日間の歴訪、仏で折り返し/日程調整難航、移動で間延び」という記事の中で

 「大臣、ご外遊の相談を」(外務省幹部)
 「外遊なんて言わないでよ」(〔田中真紀子〕外相)
 外相と事務当局が意思疎通を欠き、こんなやりとりをしながら日程は固まった。
(朝日新聞 2002.01.09 p.4)
とありました。

政治家は言語リーダーの面を持ちます。「外遊」は「外国出張」となってしまう(しまった)のでしょうか。


前田年昭 さんからのコメント
( Date: 2002年 1月 16日 水曜日 9:05:43)

政治家だけじゃないですよ、私自身だってエラそうなことは言えません。
中学2年までは「こうてつ」を「こうそう」だと信じて疑いませんでしたから。
目で見ての思いこみが正されたのは、ニュースで耳で聞いて疑問を持ったからです。
しかし最初に正しいものとして耳から入ったものは正されるきっかけになかなか出会わない。
政治家同様に「先生」と呼ばれる方々(教師、医者、弁護士)から聞くコトバはなおさら影響力が大きいですね。

東京大学総合研究博物館のある先生、昨年11月3日うらわ美術館でなさったご講演で
 「大和綴じ」を「やまとつづり」(もちろん、指しているのは「結び綴じ」のこと)、
 「角書」(つのがき)を「かどのしょ」、
 「清朝体」(せいちょうたい)を「しんちょうたい」
と繰り返し発音なさったときいて(複数の証言にもとづく)、絶句……。
その先生は書誌学や印刷史にとても造詣が深く高名な方とうかがっていたので、
聴衆のそれからの「言語意識」の行く末が気になったのでした。


岡島 昭浩 さんからのコメント
( Date: 2002年 03月 11日 月曜日 11:24:09)

 以下のページへ発展しました。

政治家と日本語


posted by 岡島昭浩 at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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