確かに、「衣がない=カラ=空」という意味から考えると、もとは「空揚げ」だったのではないか、と思われますが、だとするとなぜ「唐揚げ」という表現が出てきたのでしょうか?「中華料理=中国=唐」だとしても、なぜ「中」でも「清」でも「隋」でもなく「唐」なんでしょうか?「唐」の時代に伝わったということなのでしょうか?「唐」の意味・起源は?いつごろから「唐揚げ」が使われているのでしょうか?
ご存知の方、教えください。よろしくお願いします。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2001年 4月 12日 木曜日 23:04:20)
『日本国語大辞典』初版では「空揚」のみですが、第2版で「中華風のものには「唐揚げ」の字を当てることが多い。」とあります。
語釈としては「料理の揚げ物で、ころもをつけないで、魚肉などを油で揚げること。また、その料理。」(この部分新旧共通)ですから、「空揚げ」のほうが原義を表しているように思われます。すると「唐揚げ」は当て字だから、唐代とはあまり関係ないのでしょうね。
スーパーマーケットなどでは、「唐揚げ」が多数派でしょうか?
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2001年 4月 12日 木曜日 23:32:33)
「唐(から)」は、唐代とは無関係に、中国一般(あるいは外国一般)をさす言い方のひとつとして使われたものでありましょう。
江戸時代に伝わった「からいも」もそうですね。
もともとは「から」は朝鮮を指すものであったのが、中国をもさすようになり、「唐」の字が当てられるようになったようです。
からあげの場合には、「空あげ」がもとであったとしても、「からうす」「からいも」「からかみ」「からくさ」などに影響されて、「唐」があてられたのでしょうね。
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2001年 4月 13日 金曜日 1:41:03)
「唐揚げのもと」とかいう料理の材料もありますね。上に御指摘の「中華風」のものの材料です。現代では、発音カラアゲは、中華風揚げ物をさすのが普通のようにも思います。(辞書が遅れてる)
なにも付けないで揚げること・ものを「素揚げ」とも言いますね。発音カラアゲが「唐揚げ」に多用されるようになったので、同音の「空揚げ」は「素揚げ」に言い換えられた…… となるとキレイですが。
あ、余計なことを思い出しました。江戸時代の料理法にツケアゲというのがあったと思います(いまもあるのでしょうか)。これはどういうものだったか……
道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2001年 4月 13日 金曜日 9:39:25)
皆さんありがとうございます。やはり「空揚げ」が、「中華料理風=唐ふう」なので、「唐揚げ」を当て字で使い始めたと言う事のようですね。
「唐いも」「唐紙」などは実際に「唐」というか中国大陸から来たんでしょうが、
「空揚げ」は「唐」から来たのでしょうか?そのあたり、多少生い立ちが違うのかな?
ちなみにインフォシークで「空揚げ」と「唐揚げ」を検索したところ、「唐揚げ」が1万8000件ほどあったのに対して、「空揚げ」は1900件ほどしかありませんでした。私自身も「唐揚げ」派です。
ところで、えこの「唐揚げ」は「鳥の唐揚げ」に良く使われているようですが、他のものを揚げるときは「空揚げ」というふうに使い分けも発生している・・・ということはないでしょうか?
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2001年 4月 13日 金曜日 13:50:06)
「つけあげ」は、私の知るところには2つあります。一つは所謂「薩摩揚げ」のことを、薩摩でそういう、ということ。魚のすり身(+なにがし)をあげたもの。丸天うどん(九州のうどん屋にある)にはいっている「てんぷら」は、それを平たく、丸くしたもの、と言えるでしょう。また、福井で売っている「加賀あげ」も薩摩揚げと似たようなものですが、これのことは「つけあげ」と呼ぶことはあるのでしょうか。
また、「つけあげ」の別の意味として、いわゆる天麩羅のことをそういうことがあるようです。まさに(衣を)付けて揚げる、わけでしょう。
しかし、このあたり、どうも分からないことが多いですね。以前、書いたような気もしますが、徳川家康が食べて死んだと言われる「天麩羅」ですが、当時の文献になんという名称で書かれているのかを知りたいと思ったのですが、よくわからないのです。「当時の」といいますか、それを伝えている古めの文献で、です。
中華風でない「からあげ」ってどんな感じのものなのでしょうね。中華風でない焼き飯が、いまや想像が付きにくいように(角川古語大辞典の広告にたしか書いてありました)、よくわからない。
豊島正之 さんからのコメント
( Date: 2001年 4月 17日 火曜日 0:56:49)
>徳川家康が食べて死んだと言われる「天麩羅」ですが、当時の文献になん
>という名称で書かれているのかを知りたいと思ったのですが、
一般名称としては「あぶらあげ」(日ポ辞書にあり)なんでしょうが、果たして
現在の様に衣を付けたのか知りたいものです。又、種は何を用いたのか。豆腐
のあげもの(揚げ豆腐・油揚げ・厚揚げ)は江戸中期にはポピュラーの様ですが。
「古田織部正殿聞書」(古織伝)に
油上之類不好、出家ニハ出ス也、油ケハ茶ニハサハラヌ物也、
胡麻芥子可出也(市野千鶴子1976「古田織部茶書」1,思文閣,p.240)
とあって、懐石で僧侶に出すのだから、まさか海老や穴子とは思えません :-)
「てんぷら」という言葉は、
茄子てんぷら : 疵無きなすび、へたを去り、丸にて洗ひ、生しやうゆ
にて煮る、内まで能く煮へたるとき、薄しゃうゆ煎り酒にて再び煮る、
味噌掛け、味噌は山葵、しゃうが、又は胡麻の類よし[表記私改]
(料理珍味集巻三[寳暦13[1763]]、吉井始子1979「江戸時代料理本集成」
4、臨川書店)
の様な「煮浸し」を指す事もある様なので、「てんぷら」から直ちに
現在の料理と同等のものを想起する訳にも行かないかも知れません。
「すっぽんのてんぷら」(薄醤油煮)というのもあり。
>丸天うどん(九州のうどん屋にある)
なつかしいなぁ…。氷雨のふる「しるしい」日なんか、博多駅の地下
の丸天うどんのおいしかった事…。
岡島 さんからのコメント
( Date: 2001年 6月 01日 金曜日 17:00:18)
リンクします。
→ ことばの話304「唐揚げと空揚げ」