それはたとえば、高名なロシア文学者が、じつは一昔前ジャイアンツの投手としてならしていたとか(*注2)、近代日本の文法論の基礎をつくった国語学者が、じつは民放の夕方のお笑い番組で座布団を配っている(*注3)とかいうことを聞かされたときに相当する驚きでした。
セゾングループ創設者の堤清二氏が、じつは作家・詩人の辻井喬氏であったことを知ったときも、これほどは驚きませんでした。
日本語の系統などを論じて名高い服部四郎氏の著書を読みつつ、つい「青い山脈」「東京ブギウギ」といった服部メロディーを口ずさんでしまう人が万一いるとすれば、それは心のどこかで服部良一氏と混同しているのかもしれません。
丸善の雑誌「学鐙」と学燈社の雑誌「学燈」も紛らわしい。青土社の「ユリイカ」(ギリシャ語)と大修館書店の「しにか」(ラテン語)もよく混同します。
恥ずかしい話です。
*注1 きょうのことです。まだ信じられません。
*注2 小林信彦氏のギャグ。江川卓(たく)氏と江川卓(すぐる)氏。
*注3 山田孝雄(よしお)と山田隆夫さん。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 28日 火曜日 23:26:55)
山田孝雄は演歌の作詞もしていますね。これもたぶん「やまだたかお」と読むのでしょう。
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 28日 火曜日 23:59:12)
佐藤亮一氏の話は、有名すぎますか?
・方言学者 東京女子大
・翻訳家 東奥日報
・新潮社社長(物故) 産経新聞
かねこっち さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 29日 水曜日 11:52:39)
>小林信彦氏のギャグ。江川卓(たく)氏と江川卓(すぐる)氏。
ジャイアンツもロシア文学も原と江川でした。
小林信彦のパロディに「広島の山本浩二と元ジャイアンツの山本功児の区別もつかない人が
書いた」と大まじめな批判をやって恥をかいたのは「大リーグ評論家」にして「政治学者」
の池井優氏。
昔、音楽評論家あらえびすが銭形平次の野村胡堂と同一人物と知ったときは驚きました。
ややこしいのは、作曲家服部公一は服部良一の息子かとおもえばこちらは無関係で、息子は
服部克久であるという。
ややこしくはないけれど、びっくりした憶えがあるのが、中国史の植村清二が直木三十五の
実弟であること、星のはなしをよく読んだ野尻抱影の実弟が大佛次郎であること、などです。
有名なんでしょうが、「本の雑誌」の目黒考二と評論家(?)北上二郎が同一人物というのを
しばらく知りませんでした。
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 29日 水曜日 15:42:00)
築島裕氏も。同名同人。この話をはじめて聞いたとき、やっぱり衝撃でした。
・鉄道きっぷ博物館
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 29日 水曜日 21:47:24)
驚くことばかりで……
山田孝雄氏は、「昭和枯れすすき」などの作詞家でしたか。「♪貧しさに負けた……」
服部公一氏は良一氏の息子だとばかり思っていました。
築島裕氏。これも卒倒ものですね。そういえば、以前どなたかに伺ったか、拝見したかという記憶もあります。今まで忘れていたのは、あまりのことに意識下に抑圧されていたのではないかと思います。
筒井康隆氏は、俳優の筒井道隆さんとの関係を問われて閉口したとか。政治家の筒井信隆氏(民主党)とも無関係。もっとも、筒井氏の父君(嘉隆氏)もご兄弟もすべて「―隆」というお名前だそうです。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 29日 水曜日 22:00:07)
>筒井氏の父君(嘉隆氏)も……
これでは分かりませんね。「筒井康隆氏の夫君(嘉隆氏)も……」です。
筒井康隆『笑犬楼よりの眺望』(新潮文庫) p.399に「「筒井道隆」は息子に非ず」という文章あり。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 29日 水曜日 22:01:10)
上記、訂正の訂正(^ ^;)
×夫君 ○父君
道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 30日 木曜日 8:47:28)
同名異人ではなく、同姓異人、しかも手前味噌な話ですが、よく、「歌人の道浦母都子(もとこ)さんは、お姉さんですか?御親戚ですか?」と聞かれますが、まったく血縁関係などはありません。
一度御本人にお会いした時に、その話をしましたら、むこうも「読売テレビのアナウンサーの道浦さんって、御親戚?」と聞かれていたそうです。山田、田中といった名字に比べると「道浦」は珍しいためか、姓が同じというだけで、そういうふうに思われるようです。
また、今朝出ていた小泉総理の写真集を撮影したカメラマンの方は、鴨志田孝一さんという人でしたが、漫画家の西原理恵子さんの御主人の名字も鴨志田さんでカメラマン。同一人物かな?と思ったのですが、これはどうも違うようです。
かねこっち さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 31日 金曜日 14:47:10)
服部良一の蘇州夜曲・・・といった話題は歌謡史にも精通していらっしゃる
Yeemarさまにおまかせすべきかもしれませんが・・・。
「蘇州夜曲」、小生は渡辺はま子が歌っていたものとばかり思っていましたが、
映画「支那の夜」の主題歌「蘇州夜曲」を歌ったのは李香蘭なんだそうですね。
渡辺はま子はレコードのほうでヒットしたそうで。
「李香蘭とは山口淑子さんのことだよ」といって若い方から「誰?両方知らない」
と言われたことがありますが、劇団四季の『李香蘭』で若い人にも随分知られる
ようになったようです。
劇団四季『李香蘭』の原作となった「李香蘭-私の半生」の共著者として山口淑子氏
と名を連ね、ノンフィクション「満洲、少国民の戦記」などの著書もあるジャーナ
リスト藤原作弥氏が現日本銀行の副総裁であるというのもビックリしました。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 31日 金曜日 16:35:49)
鴨志田さんといえば、山本直樹「極めてかもしだ」に出てくる主要人物が興津要といいます。この漫画をじっくり読んだことはないのですが、興津要なる人物が早大で近世文学を講じているシーンは出てこなかったように記憶します。ちなみに山本直樹氏は早大卒の由。
かねこっちさんの言われるようには私は歌謡史には精通していないのですが……。自分が手帳に入れて肌身離さず持っていた愛らしく悩ましいプロマイドの女優が、いつしかおそろしい政治家となって自分たちに苛政を強い、圧迫を加えるということがあるとすれば、一種の悪夢でしょうか。山口議員はそういうことはなかったでしょうし、扇千景大臣もそういうことはなさらないと信じますが。
豊島正之 さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 31日 金曜日 19:29:52)
>築島裕氏も。同名同人。この話をはじめて聞いたとき、やっぱり衝撃でした。
(旧版)「国語学辞典」(東京堂)に「切符」の立項がある(p.239下段)のは
割と有名な話では…
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 31日 金曜日 21:09:36)
>(旧版)「国語学辞典」(東京堂)に「切符」の立項がある
>(p.239下段)のは割と有名な話では…
そんなことが…… おっ、おおっ! 立項されている!
御教示、感謝!
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2001年 8月 31日 金曜日 23:28:51)
鉄道関係で言えば、こちらも同名同人ですね。何冊かありますが1冊だけあげておきます。
思い返せば、小生、大学2年の十月、教養部から初めて文学部に上がり、国語学国文学研究室で進学式があったとき、「近世文学の中野三敏先生は長沢規矩也先生がお亡くなりになったのでご欠席です」と説明があり、書誌学などということを全く知らなかった私は、「なんで漢和辞典を編纂しているような人のお葬式に近世文学の先生が駆けつけるのだろう」と思ったことでした。
→ 長沢規矩也「国鉄を叱る」
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2001年 9月 01日 土曜日 2:49:57)
堀淳一さん。
・地図研究家・エッセイスト
・鉄道ライター
・国文学研究者。後輩。
なお、鉄道ライターの堀淳一さんの著書『消えた鉄道を歩く−廃線跡の楽しみ』(講談社文庫)の「6 ナローの残影を追って 井笠鉄道跡」は、鏡味明克氏ほかと廃線跡をたどった記事です。写真あり。(122ページ)
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2001年 9月 01日 土曜日 3:53:59)
「地図研究家・エッセイスト」と「鉄道ライター」は同名同人ですね。失礼。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2001年 9月 05日 水曜日 19:58:03)
築島裕著『鉄道きっぷ博物館』、興味おさえがたく購入しました。
●旅情をさそうエッセイ風の読み物と期待して読んだ読者は裏切られるでしょう。中身は、書誌学的な厳密さで、(主として昭和期の)「切符の様式の変遷」が語られています。
すなわち、「一般式」(おもてに「…より…ゆき」、「…から…ゆき」と記載)、「矢印式」(→、近時の▼)、「両矢式」(←→、以前には――)、「地図式」、「金額式」(何円区間とあるもの。「…から何円区間ゆき」「→何円区間」なども)などのデザインが、歴史的にどう移り変わってきたかということを、著者は丹念に跡づけてゆきます。
「別に、どういうデザインでも大差ないのでは?」と、思わず疑問をいだいてしまった人は、この本を読む資格はないとえます。
●厳密な研究書といった趣の本ですが、著者の人柄を伺わせるところもあります。
たとえば、新駅開業時の「0001」番の切符を集めようとする話。榛名ロープウェイの榛名富士山頂駅で、入場券を下さいと頼んだところ、(駅員に)いらないからそのまま入場していいと言われた。記念にするから是非と言ったら、奥の戸棚の中から「0001」番を出して来て売ってくれた。開業後何年か経つのに棚ざらしになっていたらしい。(p.47)
車掌が車内で発行する「Dサイズ」というちょっと細長の切符がある。これが、昭和41年、一般の金額式の乗車券として臨時的に使われたことがある。「Dサイズが切断もされずに、そのまま旅客の手に渡ったのは、恐らくこれが最初であって、当時、切符マニアとしては狂喜したものである。発行されたのは渋谷・新大久保・四ツ谷など、幾つかの駅だけで、聞き伝えてわざわざ買いに出かけた記憶がある」。(p.115)
●切符にはミスプリントのものも往々にしてあるようで、「間違いの切符」という8ページの章があります。「分倍河原」を「分信河原」、「京都」を「京部」、「金山橋」を「金山崎」、「土気」を「士気」、「土浦」を「士浦」、「蘆花公園」を「慮花公園」、「末広町」を「未広町」、「湯河原」を「湯ヶ原」(手書き)、その他「下車前途効無」、「下車前途無行」なども。
●最後に「ことばのくずかご」ふうにいくつか。
国鉄線と社線(p.15)私鉄線のこと?
池袋駅のように硬券を窓口で売っている駅(p.19)厚紙の切符?
なお、軟券については、(p.28)自動販売機などで使われるぺらぺらの切符?
岡島 昭浩 さんからのコメント
( Date: 2001年 9月 18日 火曜日 10:14:57)
読売巨人軍の新人捕手(22歳)は、今から40年ほど前に、NHKの会長をしていたのかと思いましたが、捕手は阿部慎之助、会長は阿部眞之助でした。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 14日 月曜日 21:01:59)
近代文学研究者の前田愛について調べようとインターネットを検索していた年若の友人、いくら調べても1983年生まれのアイドルの顔写真しか出てこず、ついに途中で調べものを放り出したりとしか云ふ。
道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 15日 火曜日 17:31:10)
Googleで「前田愛」「近代読者の成立」で検索したら134件出てきました。
イメ検 さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 15日 火曜日 18:04:00)
前田愛先生のクシャクシャ頭の顔写真をイメージ検索で探すのは大変そう。「樋口一葉の世界」の表紙なら出てきたが。http://images.google.co.jp/images?q=%E5%89%8D%E7%94%B0%E6%84%9B&svnum=10&hl=ja&lr=&ie=UTF-8&oe=UTF-8&start=20&sa=N
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 07月 09日 水曜日 20:49:09)
吉川潮(作家、演芸に詳しい)、吉岡忍(作家、『墜落の夏』で講談社ノンフィクション賞)、吉田司(ルポライター、ミナマタなど取材)各氏の区別がつきません。ご本人たちには失礼なことです。
ノーム・チョムスキー『メディア・コントロール』(集英社新書)、『9・11―アメリカに報復する資格はない!』(文春文庫)などの読者は、著者が言語学者であることを知らずに、または、知っていても「副業でことばの評論でもやってるのかな」という程度に思いつつ読んでいる場合もあるのではないでしょうか。いうまでもなく、20世紀を代表する文法学者であります。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 07月 09日 水曜日 22:05:29)
安藤正次という名を持つのは、国語学者だけではなかった。戦国時代にもいたのです。
二人とも出ているページを下に。
赤堀又次郎という武人も居るんですね。
→ 安藤
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 07月 14日 月曜日 09:47:00)
我々の分野では、森重敏氏といえば「もりしげ さとし」ですが、心理学者で主に幼児児童関係の著書が多い森重敏氏は「もり しげとし」。
「同名」ではなく「同表記」ですが。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 08月 19日 火曜日 00:42:37)
長澤規矩也氏がお亡くなりになったのは、昭和55年11月21日であったので、上記の「進学式」は勘違いでした。これは、「初めて参加した卒論構想発表会」とすべきでした。
(引用開始)
金田一美奈子 気分はナイスオン!〔きんだいち みなこ ゴルフ雑誌『アルバトロスビュー』で長年ライターを務める。ゴルフ歴は約20年、ハンディは18。国語学者・金田一春彦の長女。日本ペンクラブ会員。〕(「サンデー毎日」2006.02.12 p.128)
(引用終了)