1998年02月16日

来沢、来広(高橋半魚)

 金沢に住んでいます、高橋半魚と申します。金沢では、金沢に来ることを
来沢(らいたく)と言います。いまはあまり言わないかも知れませんが、戦後は
よく言っていたようです。有名人などが来る場合にいいます。ビートルズ来日な
どの発想と同じわけでしょう。
 僕の生れは新潟ですが、こういう言い方は聞いたこと有りませんでした。東京
でも言わないと思います。先日、「はだしのゲン」を読んでいたら、劇場の看板
の文字に「だれそれが来広!」と有りました。広島でも言ったのですね。ライコ
ウと訓むんですかね。
「都心」の話題と似ているかとも思うのですが、全国的にはどうなのでしょう
か? 心当たりのあるかた、教えてください。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 16日 月曜日 19:01:54)

 柴田武『生きている日本語』(講談社学術文庫)に、「来阪」(大阪)「来浜(ヒン)」(横浜)「来岡(コウ)」(岡山)「来福」(福岡・福島)「来高」(高松・高知)「来島・来沖」(沖縄)というのが載っています。
 それによれば、新潟に来ることは「来港」だとのことですが、今は使ってませんか。


高橋半魚 さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 18日 水曜日 22:31:17)

 早速の御教示有難うございます。

 なるほど、やっぱりあちこちで言うのですね。来阪はきいたことありますね。

僕が物を知らないということは有りますが、でも、例えば新潟日報(地元新聞)と
かでは、新潟の場合の「来港」というのを読んだことはないですね。

 ただ、思うのですが、「来港」ってのは、普通名詞に近くないですかね。
来沢や来広が、他県・他都市を意識した上での言葉であるのに対して、来港
というのは、いかにも発想がローカルですよね。
 大学の略称の話題も有りましたが、新潟大学は、地元では新大(しんだい)と
言いますが、東京なんかからは潟大(がただい)と言います。この辺、新潟はロー
カルですから(笑い)。

 来沢っていいかたも、いまはあまり使ってない、古い言い方だと思うのですが、
流行り廃りもあるのでしょうかね。兎も角、教えていただいた本、読んでみます。
有難うございました。


satopy さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 19日 木曜日 12:16:41)

「来港」、高橋さんのおっしゃるように新潟に特定せずに
使っているようですね。

ただ、gooで検索したら、「新潟に来る」の意味らしき用例も見つ
けました。多分、まちがいないと思うのですが。

でっかいぞ!新潟

生き残っていたのだな、とむしろ感動してます。



satopy さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 19日 木曜日 12:19:03)

あ、上のページ、いつ消えるか分かりませんので、下に引用しておきます。

>第三部は、新潟の子供たちと世界とのつながりを特集。
>7年前にやけどの治療で来港したロシアのアレクセイ君も出演しました。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 19日 木曜日 12:55:27)

 すごいすごい。

 ところで、2字目を持って来る言い方。金沢大阪の他にどこが有るでしょうかね。長崎は「来崎」のようですね。
 松江は「来江」じゃないかと睨みましたがハズレ。gooでは江別だけのようでした。「来松」で松山・松戸・松阪とともに引っ掛かるようです。
 大分は大学名は分大だけど、「来大」「来分」でもなさそう。「来府」ではないかと睨んだが、広島の府中だけ。大津もないなあ。

 あと、ちょっとかわったところで、鹿児島は、以前は「来麑」だったはずだけど、今は「来鹿」でした。

 ああ、またgooで遊んでしまう私。


情報言語学研究室(萩原義雄) さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 20日 金曜日 11:54:40)

北海道は「ライドウ」で、文字表記は「来道」と書きます。
3文字目というか、末の語を用いている言い方の範疇にあります。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 20日 金曜日 12:44:57)

 千葉の「来葉」、前橋の「来橋」。

 「来@」で検索すると、「〜以来、@が、」も引っ掛かり期待してしまう。

 金沢で「来金」と使っている人も居ますね。


satopy さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 20日 金曜日 12:54:35)

 浦和に来るのを「来和」と言っているのもありました。

こちらです。2例あります。

 埼玉には22年おりましたが、気がつかなんだ。
「和」が採られたのは、「浦」が音読みされることが少なく、読んでもらえないから、でしょうか。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 20日 金曜日 15:23:40)

 あれれ? このページは、和歌山みたいですよ。「和市」なんてあるのは面白いですね。


森川知史 さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 20日 金曜日 16:03:42)

誰も書いておられないようなので、書きます。
京都は「上京」です。
今では「上京」は東京へ来ること、でしょうが、今でも京都人は、「こんどこちらへ上京の折りには、うちへも寄っとぉくれやす」と言います。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 20日 金曜日 16:46:43)

京都は「入洛」も使いますね。現代でも。
デニスホッパーの入洛、というのがありました。

京都新聞インターネットインタビュー


Yeemar さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 20日 金曜日 17:57:58)


「上洛」も現在、特にふざけるというでもなく使われているのですね。なんだか将軍が来るみたいですが。

ご上洛の際には是非一度お立ち寄りください。」(其中堂(古書店))

 下は、時代めいた語として使っているようですが、重言の例。

「10月8日から10月10日まで助田氏が京に上洛してきた。」(助田新聞11月前半号)


satopy さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 20日 金曜日 18:18:11)

> このページは、和歌山みたいですよ。

和和和っ、ごめんなさい! 勘違いでした。


高橋半魚 さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 27日 金曜日 1:44:49)

 ちょっと見てませんでした。急激にいろんな情報があって、びっくり
しています。みなさま、ありがとうございました。

>金沢で「来金」と使っている人も居ますね。

 はあ、そんな人がいましたか。縁起はよさそうですね。

 しかし、国語学者って、gooで用例検索するあたり、すごい。
正規表現は使えませんよね^^;。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 27日 金曜日 16:38:32)

ここです。

新潟の「来新」もフェイスマーク付きでなら、ありました。

新潟県民による……


情報言語学研究室(萩原義雄) さんからのコメント
( Date: 1998年 2月 28日 土曜日 0:11:26)

北海道の都市「札幌」は、「来札」って言います。
重ならない市町村はこれでいい。
そこで、都道府県から市町村へと目を転じてみると、
北海道の地名は「○○別」が多いので、どこか検討がつかない。
お隣の「江別市」は、「来別」ではなく、「来江」になる。
でも「江」も「江差」があったりで、つなひき状態になるかもしれない。
全国の町名で同じ名前の町同士がサミットを開いて集う。
そうした「清水町」や「池田町」などは、同じ表現なのだろうかと思ったりもする。


雪の さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 03日 火曜日 13:20:10)

はじめまして!

こちらは 北米なのですが
日本から 友人などが こちらに来る場合
来米 という言葉を使うことになるのかしら? 語感が 好きになれないのです。

渡米というのは こちらに来る側の人が使いますよね。
ほかに ふさわしい それ系の言葉があったら 便利だなぁ
来米 ってなんか いやぢゃ と思う時があるのです。

追伸 雑文館から うかがったのですが 岡島さんのページも
面白い上に 言葉のよろずや ものろーぐ しろくま と
面白いページを 発見して とても 嬉しうござります。ありがとうxx


むらとやよい さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 20日 金曜日 15:15:27)

福岡在住の後輩が、他所から福岡へ帰ることを「帰福」と言ってました。
北陸在住の私としては、一瞬、福井へ帰ることを思ってしまいました。
岡島さんは「帰福」って使われますか。往復とも「帰福」では混乱なさいませんか?


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 23日 月曜日 15:16:57)

 「帰福・来福」、わざと使ったりはしますが……。

 そういえば、「帰……」という言い方ですが、坂本龍馬の書翰の中で「だれそれが帰長」と使っていました。長州かなと思ったら「長崎」でした。「帰崎」じゃないのですね。

 雪のさん、いらっしゃいませ。「訪米・渡米」があるからやはり「来米」になってしまうのでしょうね。米沢ではなんて言ってるんでしょうね。来米か来沢か。どっちでも混乱しそう。

 ところで、長岡に住んでる人が「来岡ください」と手紙を寄越しました。長岡にゆかりのある半魚さんはお使いになりますでしょうか。


高橋半魚 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 29日 日曜日 22:12:01)

>ところで、長岡に住んでる人が「来岡ください」と手紙を寄越しました。
>長岡にゆかりのある半魚さんはお使いになりますでしょうか。

あー、そうですか、ふーむ。
 単に、僕がコトバ知らない人間だったのですかねー。言うんですねえ。

 こういう言い方、いつ頃からあるのでしょうか。そして、いつ頃まで?
いや、勿論、「今でもある」んでしょうけど。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 4月 02日 木曜日 20:38:22)

 古い新潮文庫の古谷綱武編『小泉八雲集』の上巻の年譜の中に(CDROMの新潮の百冊の『小泉八雲集』にはない)、明治二十三年九月十四日『松江日報』が引用してあり、そこに「当地に着松せり」「当地へ来松せられたる」とありました。
 「着〜」というのは福井や福岡では使えませんね。

>こういう言い方、いつ頃からあるのでしょうか。
 この間は坂本龍馬の「歸長」を書いておきましたが、手紙とか文書や記録などの擬漢文に淵源があるのではないか、という気がいたします。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 10月 25日 水曜日 16:02:54)

 繋げましょう。

来春


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posted by 岡島昭浩 at 13:21| Comment(1) | TrackBack(1) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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新しい情報は、
http://kotobakai.seesaa.net/article/8256581.html
こちらの方に。
Posted by 岡島昭浩 at 2020年04月28日 11:23
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