小林信彦『日本人は笑わない』(新潮文庫)に「おたく」という語について書いていますが、戦争中の会話に「おたく」を使ったのは、時代考証を経たものではないらしい、と思えます。
学生運動の頃に聞いたものらしいのです。
→ 目についたことば「おたく」
言魔上人 さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 27日 水曜日 19:55:58)
「おたく」というのは大変耳障りな二人称だとおっしゃる方が多かったけれど、
私としては、関西方面の方が二人称として使う「自分」はなにか不自然を
感じます。
ところで、昨今、40〜50歳の人が「そっち」というのを二人称で使うのですが、
私のページでも取り上げようがないのでここに書きました。少なくとも3人に
言われたのであちこちで使われている(使われはじめている?)二人称です。
さて...「中年用語の裏知識」のページでも立ち上げた方が良いのかな?
→ 言葉のよろずや「若者用語の裏知識」
岡島 さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 27日 水曜日 23:40:46)
なるほど、「そっち」、聞いたことありそうな気がします。「そちら」の非丁寧形なのでしょう。
森川知史 さんからのコメント
( Date: 1998年 6月 04日 木曜日 21:54:10)
「おたく」というのは文字通り「お宅」で、相手を呼ぶのに相手の家を指示する言い方で、こういう二人称の用い方は他にもあります。「おうち」(お家)は「おたく」と全く同様の表現ですし、「そちら」とか、言魔上人 さんが指摘しておられる「そっち」等も相手を直接指示するのを避けて、方向だけで表現しようとしたものです。
元来、日本語の二人称では、相手を直接に指示する言い方は失礼にあたる、という心理が働いていて、それを避けるためのあらゆる工夫がされてきた訳です。現在二人称として使われている「あなた」という言い方そのものが考えてみれば目の前の人を指示する表現ではないことが分かります。目の前の人を指すのなら「こなた」か「そなた」であって、「あなた」では遙か遠くの人を意味してしまう筈です(事実、時代劇などでは「そなたは何者じゃ」のように使われています)。これも、ですから、目の前の人を直接指示する表現を避けて、遠くの人を指す表現である「あなた」で代用することで失礼な感じを和らげようとした、ということでしょう。
言魔上人 さんがもうひとつ指摘しておられる、関西で使われる二人称の「自分」は、同様の例が古くから知られています。喧嘩の時などに相手を罵る表現として出てくる「おのれ」「われ」がそうです (これも関西特有の表現ですね) 。関東でも同様に「てめえ」という言い方が使われます。この表現は言うまでもなく元来「自分」を指示する表現を、相手に適応したものです。これは、先に説明した、元来、日本語の二人称では、相手を直接に指示する言い方は失礼にあたる、という心理を逆用した用法で、自分を指示する直接的な言い回しを相手に適応することで、非礼な心理(生々しく相手を指さしてみせる)を表現したものと言えます。では、現在関西で使われている「自分」も喧嘩の用法かというと、これはそうではありませんが、相手に親しさを表現するものとして、自分を指示する表現を相手に適応したものと言えるでしょう。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 6月 05日 金曜日 12:32:59)
森川さん、お久しぶりです。
いつの間にか、佐賀から大阪に移られたのですね。今後とも宜しくお願いします。