1998年06月25日

審議会答申のフシギ(峰)


なぜ、「表外漢字のみ旧字」なんでしょうか? 画数の多い漢字は、(ワープロ文字でなく)活字でもかなり読みづらいものです。近視・弱視の者にとって、悲しい決定だと思います。
ちなみに、今回の発表に関して、今日現在HPにはまだUpされていません

国語審議会



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1998年 6月 25日 木曜日 17:39:47)


 わたしもあれには驚かされました。

 しんにょうはどの字も1点でよい。
 くさかんむりはどの字も続けてよい。

ぐらいにはなると思ってたのですが、構成要素ではなく、文字単位にしたのですね。

構成要素、ということになると表内でも貫かれてませんから(仏沸・独濁・竜襲など)、それに準じたのでしょうが。

地方自治体が略字で書くようにしているものでも、略字は駄目だ、というのがあるようですから、混乱は必至でしょうね。

出版社は「全面改訂・漢和辞典」や、「必携用字辞典」を出そうと身構えていることでしょう。



益山健 さんからのコメント

( Date: 1998年 6月 26日 金曜日 17:13:55)


新聞報道では「略字を39字に制限してそれ以外は伝統的な形のみをとった」かのように書いていますが, 実際の表を見るとそうなっていません。
たとえば「嘩・綬・柵」などは康熙字典の形をとらず, JIS 規格票印刷字形と同じ形になっています。私の見た限りでは朝日のみが(「餅」について)このことに言及していました。
それはともかく, 新聞各社の載せてる字の形がそれぞれ微妙に異なるのが興味深いところです。
たとえば「叱」のつくりは七に作るもの, 匕に作るもの, どっちか不鮮明なものがあります。「薇」もル,儿,几の三種類あります。「逞」とか「涜」(の印刷標準字体)のつくりの形とかに違いが見られます。
日経は「儘」のつくりの横棒が一本多く, 産経は「徽」の真ん中を「山一糸」でなくて「山系」に作ってました。



益山健 さんからのコメント

( Date: 1998年 6月 26日 金曜日 17:39:16)


もうひとつ気になるのが, 「地名・人名は対象外」としながら「蒋」が表にはいっていることです。固有名詞以外に「蒋」ってそんなに遣うものでしょうか?
援蒋ルートは普通名詞?
「鴎外」を例にあげているのはいいのですが, やはりこの点で気になります。号は人名でないのでしょうか。



小駒勝美 さんからのコメント

( Date: 1998年 6月 29日 月曜日 20:47:47)


私はこの答申は好意的な気持ちで受け取りました。
「邁」の中身を「万」にする、というような略字にすれば確かに可読性は上がりま
すが、しんにゅうの点が一つでも二つでも可読性にはそれほど違いはないような気
がします。それなら書籍のなかで見慣れている答申に挙げている字の方がいいと思
うのですが。

字体表については産経新聞と東京新聞の載せている表が全く同じなので、これがオ
リジナルなのではないでしょうか。国語審議会の議事録(4月13日分)を見ると
現物は印刷局書体のようです。
文化庁に電話して聞いたところでは200円切手を同封して申し込めば送ってくれ
るそうです。



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1998年 6月 30日 火曜日 17:56:11)


 益山さん、お久しぶりです。

 「地名・人名は対象外」というのを見落としておりましたが、「祁」の字など、奈良の都祁や鹿児島の祁答院、はたまた中国の祁連以外にはまず使いそうにありませんよね。

 小駒さん、ようこそ。

 いろいろな考え方があるものですね。

 私としては、「しんにゅうの点が一つでも二つでも可読性にはそれほど違いはない」からこそ、点1つに統一したがよいのではないか、と思うものです。
 これまでは漢和辞典などでも、常用漢字か否か、で点1つか点2つかが分れていたわけですが、これにもう一つ基準が加わるわけです。

 「教科用図書検定基準実施細則」(『ことばに関する問答集』より孫引)では「従来書写する場合に普通とされていた形をとり入れたものはさしつかえない」で「縄」を許したわけですから、しんにょうの1点なども、この際、許すのではないかな、と思ってたわけです。



益山健 さんからのコメント

( Date: 1998年 6月 30日 火曜日 22:14:55)


実際には「答申」したわけではなく, 中間報告なのでちょっとタイトルに問題あり, ですね。

小駒さんのおっしゃるように「しんにゅう 2点」に統一するとかいうのなら, それはそれで筋が通っていると思います。しかし, 国語審議会の報告はそうなっていません。以下の問題があります。

1. この表が応用のきかないものであること。しんにゅうの場合 1点を認めている字とそうでない字があるし, 并は 8画のものと 6画のものが混在していて, 215字以外がどうなるのか不明である。

2. いままで康熙字典に忠実な形を使っていた会社は草冠を 3点に減らしたり「嘩・綬」などの文字を作り直さなければならなくなる。

産経新聞と東京新聞の表が一致しているのはこの 2社が共同通信社に加盟しているため, 同じデータを使ったのだと想像しています。
(日経も加盟してますがこちらは独自。ほかの新聞で「ワープロなどの略字」と書いているところを日経だけは「ワープロや新聞などで…」と書いているのも特徴的)

願わくば 3750万字の調査結果が公開されんことを。

岡島さん, ご無沙汰しています。問答集では「教科用図書検定基準実施細則からはしんにゅうの点数が明らかでない」といっていたのは?
今回の案はあの「細則」よりは多少使い物になるかな, とは思いますが...



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 01日 水曜日 0:15:56)


>問答集では「教科用図書検定基準実施細則からはし
>んにゅうの点数が明らかでない」といっていたのは?

 そうですそうです。それで、そこを明らかにしてくれるはずじゃなかったの? ということです。教科書のみの閉じられた世界から、印刷物全般へとなるわけですから、もうちょっと使い物になってほしいところです。

 そういえば、常用漢字の字体説明で「活字設計上の表現の差、すなわち、デザインの違いに属する事柄」の範囲が明確になっていなかったことが浮き彫りになったようにも思います。「柿・冑」を示したことによって、「市・月」などは、「つけるか、はなすかに関する例」には入らない、ということを示したことにもなるのでしょうか。

 こうした報告が、今の細かすぎる漢字教育、常用漢字の「明朝体活字と筆写の楷書との関係について」を無視した、止めはねにこだわり過ぎる漢字教育を助長することになりはしまいかと心配です。「青の下を月に書くと間違い」なんていうのは信じられません。

#Macintoshの漢字トーク7.5のフォント、osakaの12ポは「祁」が衣へんであることに気付きました。14ポでは示へんなのに



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 01日 水曜日 0:33:17)


 「柿」にはコケラがあり、「冑」にも下を月にした別字があるから、単純ではないのですが、常用漢字表の字体説明には、他の字との区別、という観点はないのでした。



小駒勝美 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 01日 水曜日 12:07:53)


 今、国語審議会の「審議経過報告」が届きました。新聞報道では215字の表(「本表」というそうです)にしか触れていませんでしたが、そのほかに「検討対象の表外字一覧」(978字)、「表外漢字における字体の違いとデザインの違い」という表がついています。
「外字一覧」の表は五十音順なので新聞にでていた表より字が探しやすいし、どの部分が問題にされなかったかも判ります。
 一番最後の表には「表外字だけに適用されるデザイン差の例」として「牙」「漑」「芦」「虻」「茨」「灼」「樟」などが挙がっていて、国語審議会がどういう部分を検討対象にしなかったかが判ります。
 東京新聞、産経新聞の件は私の間違いでした。すみません。本物を見てみたところ「徽」の中央部はは正しく「山一糸」になっていました。「薇」は「ル」でした。ぜひ本物を入手されることをおすすめします。
 
 なお、益山健さんのコメントに「いままで康熙字典に忠実な形を使っていた会社は草冠を 3点に減らしたり「嘩・綬」などの文字を作り直さなければならなくなる。」とありました。
 くさかんむりについては「大漢和辞典」用の写研の写植文字盤を除いて、現在4画のものを使っている印刷会社を私は知りません。三省堂印刷は以前くさかんむりが4画でしたが活版から電算化するときに3画になりました。
 ほかでも特殊な用途のために特に4画くさかんむりを用意している会社はあると思いますが、通常の組版には使っていないと思います。



豊島正之 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 01日 水曜日 15:28:50)


今回の「審議経過報告」によれば、

1. 表外字は、「表外漢字字体表」に示されたものは、それによる。
2. 同表にないものは、「いわゆる康煕字典体」による。
3. 表外字のみに適用する(表内字には適用しない)デザイン差の一覧
を示し、それらは字体の違いとみなさないものとする。

という事であり、特に 3. は、大変歓迎できるものです。
(昨年の文化庁主催の公開講演会で、正にこのことをお願いしたのでした)。

審議会の報告は、多くの資料の綿密な検討を踏まえたもので、実務に当た
られた方々の御苦労も、いくらか仄聞しております。言語規範を作ると
いうのは、大変なお仕事だと思います。

今後検討を深めて頂きたい事は、

a 「いわゆる康煕字典体」の正体の研究(なにしろ、辻や嘘も含まれて
   おりますので ^^;)
「康煕字典体」だけでは、「人によって異なるイメージを持たれる
混乱」があり得ると、報告(p.18)が認めている位ですから。
b それが、「現実の文字使用の実態」(報告p.16)と一致する事の検証

ですが、これはむしろ、国語学/日本語学研究者が取り組むべき問題である
様にも思われます。

例えば、教科書に用いられる文字の集成は、国研による20数冊の調査を除
けば、全例調査が行われた例を聞きません。

因に、現在策定中の 新JIS漢字コードは、教科書が書ける文字コードを目
指しているため、教科書悉皆調査(84教科、1500冊)を行わざるを得ません
でした。下記 URL で公開しています。

豊島正之 / mtoyo@aa.tufs.ac.jp / 東京外国語大学AA研
JCS WG2幹事



豊島正之 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 01日 水曜日 15:30:20)


あれ ? URL が出ない。

http://jcs.aa.tufs.ac.jp/jcs/

です。



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 01日 水曜日 16:52:55)


 小駒勝美 さん、有難うございます。
 「表外漢字における字体の違いとデザインの違い」というのがあるのであれば、これは是非とも取り寄せねばなりません。

 しかし新聞はどうしてそこを報道してくれないのでしょうかねえ。厳しすぎる漢字教育をしている学校の先生達に、「字体の差とデザインの差」について考えてもらうよい機会なのに。



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 01日 水曜日 16:56:11)


 豊島さん、どうも有難うございます。

 マスコミの言ってることだけで判断しちゃいけませんでしたね(サッカーの中田じゃないけど)

 反省してます。



豊島正之 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 01日 水曜日 22:54:38)


重複するといけないので、とりあえず...

http://jcs.aa.tufs.ac.jp/jcs/NLC/

に翻刻して置きました。
まだバグはあると思います。




岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 02日 木曜日 3:49:48)


 教科書の字体の件ですが、平成元年の義務教育諸学校教科用図書検定基準・高等学校教科用図書検定基準では、

常用漢字以外の漢字の字体については、慣用を尊重すること。
となっていたのに気付きました。



小駒勝美 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 02日 木曜日 13:19:02)


 新聞はどうしてそこを報道しないか、というと…………
 今回の国語審議会のやったことについて、新聞社が基本的に反対しているからだと思います。新聞社は今まで表外字も常用漢字のように字体整理をしてきました。「しんにゅう」「しめすへん」「しょくへん」は略字形にするという新聞協会のとりきめがあるという話を聞いたことがあります。
 なかでも最も積極的に表外字の字体整理を押し進めてきたのが朝日新聞社です。有名な朝日文字は「鴎」「涜」などの字に略字を積極的に取り入れてきました。もしこの報告が正式に答申になったら朝日新聞社も今まで通りの朝日文字を使い続けるのは難しいでしょう。ほかの新聞社でも多かれ少なかれ影響があることは確かです。
 そこで、各新聞社は今回の「審議会報告」の欠点を中心に報道しているように感じます。私は「偏向報道」とかいうつもりはないのですが、今回のように各新聞社の利害が完全に一致している場合には片方からみた記事が目立つようになるのでしょう。
 とくに朝日新聞は全面対決の構えで、社説にまでこの報告に対する批判を書いています。 



芝野耕司 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 02日 木曜日 15:53:52)


>そこで、各新聞社は今回の「審議会報告」の欠点を中心に報道しているように感じます。
>私は「偏向報道」とかいうつもりはないのですが、今回のように各新聞社の利害が完全に
>一致している場合には片方からみた記事が目立つようになるのでしょう。

今回の中間報告では,基礎データとして,大印刷会社のデータだけを使っている事から,逆に,今回の中間報告自体が「偏向」しているともいえるかと思います。

ところで,新聞報道での字体の比較及び康熙字典内府本,和刻本での字体との検討を豊島さんと進めています。

一文字単位で切り出しての比較は,もう少しかかりますが,新聞報道での字体資料集成については,今日中には,PDFをjcs.aa.tufs.ac.jpにアップできると思います。

この資料を見ていただければ,朝日,読売,毎日,サンケイ,日経,東京,北海道の報道での字体がどのようなものであるかを一覧できます。



芝野耕司 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 02日 木曜日 22:03:21)


頑張ったのですが,新聞発表については,読売と日経の2紙,そして,国語審議会の最終発表資料に関してだけやっと文字きりと整理ができました。

康熙字典内府本,和刻本については,約半分の画像入力が終わった段階です。

ということで,アップするのはもう少し時間がかかりそうです。もう少しお待ちください。

しかし,今回の発表によって,字体がどのくらい正確に伝わるかについての興味深い研究ができそうです。



池田証寿 さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 10日 金曜日 12:11:20)


国語審議会の中間報告とは直接関係ないですが、
江守賢治著『解説字体字典』三省堂
の普及版が出たようです。



satopy さんからのコメント

( Date: 1998年 7月 10日 金曜日 12:22:38)


これですね。

普及版 解説字体辞典(三省堂)


posted by 岡島昭浩 at 16:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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