「ことぶき」という言葉を、ずっと「誰でも知ってるけど、使い方のわからない言葉」と認識してました。
実際に会話に現れるのは、「壽屋」「しりあがり寿(^^;)」のような固有名詞、
「寿曽我対面」「寿退社」のような、めでたい意味を表す形態素、
それに「寿」という字そのものを示すメタな用法しか聞いたことがなく、
「ことぶき」が名詞なり形容動詞なりの用法で単独で使われる例はないと思ってました。
辞書でも『日本国語大辞典』『広辞苑』には現代語での用法を見いだすことができず、
わずかに『大辞林』で「寿を保つ」という、「長寿」の意味でのやや古めかしい例を見出しただけでした。
それが、昨夜見ていたテレビ番組の中で、とうとう「ことぶき」が会話の中で独立語として使われる例に出くわしました。
TVスタッフが、一般人へのインタビューの時、確か相手が来年いいことがあるとほのめかしたとき、
「すると来年ことぶきですか?」
と言ったのです。
この「ことぶき」は、前後の文脈から「結婚」という意味だとわかりました。
これって、結婚退社の意味の「寿退社」から、「寿」が「めでたい→結婚」の要素と認識されたのでしょうか?
それとも祝儀袋の表書きの「寿」の字からでしょうか?
故郷の町の広報に毎月、冠婚葬祭に関わる届け出が載ってました。
そのうち「出生」「死亡」の欄は「おめでた」「おくやみ」になってましたが、
唯一漢語だった「結婚」も、そのうち「ことぶき」になるのかと、ちょっと期待してます。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 11月 05日 木曜日 14:32:17)
「壽屋」(ん? なんでこの字体が登録されているのでしょう)のことを、「すしや」と読んだやつが昔いました。中学時代だったかな。それだけ「ことぶき」が知られていない、ということですね。
サントリーは「壽屋」でしたっけ。九州のスーパーチェーンは「寿屋」。
半端ですみませんが、とりいそぎ。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 11月 05日 木曜日 14:35:25)
>この字体が登録されているのでしょう
「この字体で」ですね。IMEはwx3です。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 1998年 11月 05日 木曜日 20:26:01)
ご無沙汰しております。
gooで見てみますと、「○○年の寿(を保つ)」というの
は結構ありますね。「来年ことぶきですか」と似た用例は:
●婚礼や元服といった寿への出席には、交通の便のよくない
昔に遠路から参加者もあるため、長期にわたるのはやむを
得ないことだったかもしれません。
原典
●幾つで産むかより、誰の子を産むかが大切なのよと、ア
ムロちゃんの「寿」を聞いて思った シングルグル でした
原典
などはどうでしょうか。
ののまる さんからのコメント
( Date: 1998年 11月 05日 木曜日 20:53:31)
Yeemarさん、こんばんは。
お返事ありがとうございます。
検索エンジンで「寿」を探すと、余計なものがぼろぼろ出てくるだろうな、とか、音読みかもしれない、と思い、
「ことぶき」と、ひらがなで検索してみただけでした。結果はほとんど固有名詞でした。
寿司のところの「寿」は、めでたいこと一般って意味ですね。
しかしこの語源説はいただけません。言葉の歴史も漢字の歴史も寿司の歴史も...。
アムロちゃんの「寿」は、時期的には結婚の頃ですが、
これが指すのは結婚(の話)か、"Can you celebrate?" の歌かどっちかですね。
どのみち、私の拾った例と似てますね。
案外、もう少し調べると、おもしろい例があるかもしれません。
コーパス言語学的な意味の考察もできそうですね。
ののまる さんからのコメント
( Date: 1998年 11月 06日 金曜日 17:13:04)
重大な訂正です。
例の「寿ですか?」の発言ですが、家に帰ってメモを見返したら
「では来年、ことぶき?」
でした。
「ですか」の部分が現れていないので、語法上は問題あるのではないかと思い、
訂正いたします。
意味については変わらないと思います。