1999年05月27日

「彳炭〒」(佐藤@岐阜大)


 別件で、芳賀剛太郎著『誤字明弁新案漢字典』(郁文舎 明治40年)というのをぱらぱらと見ていました。と、大槻文彦の序に、

近来、元素は、五行に当るとて、行の字の中に、炭の字を加へたる新字を作りて、炭素の訳字とするなど、枚挙するに遑あらず

とあるのに気づきました。

そのうち、うまく実例が見つかれば、「気になることば」の方で触れようかと思っているのですが、どなたか、御存じありませんか。

ひょっとして、組織的に「彳水〒」「彳尿〒」とかも作ったんだろうか。ヘリウム・カリウムとかはどうするんだろう…… などと想像もふくらみますね。

(あるいは紀田順一郎氏の一連のものに載っているのかしら)



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 2000年 7月 12日 水曜日 11:45:47)


『西国立志編』にあったと思ったのですが、見失ってしまいました。忘れないように書いておきます。また見付けたら書きます。



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 2000年 7月 14日 金曜日 11:58:26)


 ありました、西国立志編。第2編の5節。

これは明治9年の「改正西国立志編」です。



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 2001年 2月 21日 水曜日 1:18:59)


 ロプシャイトの『英華辞典』、gasの訳語にこれが使われていました。メドハーストの『英華辞典』も調べたいのですが、見る機会にめぐまれません(英華と思って買った復刻版は華英だった)。

 それから、上に掲げたのは活字の改正本ですが、板本の段階にもこれはあります。板本と改正本はいろいろと違う箇所もあるのですが、この字に関しては同じです。



佐藤 さんからのコメント

( Date: 2001年 2月 21日 水曜日 21:40:31)


ありがとうございます! しかし、よくご存じでしたね。スバラシイ!
私も院生時代に演習でやったのに…… 心掛けの違いですね。

あわてて、『英華字彙』(明治32年再版)で確認しました。炭素をたよりに
あちこち見ていたら、いろいろ出て来ましたので、以下にリンクしておきますね。

このたびは、まことにありがとうございました。

炭化水素・行+藍・行+養?

行+緑




岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 2001年 3月 15日 木曜日 0:29:18)


 沈国威「大阪外大図書館蔵の『英華字典』」国語学170に、言及がありました。

 CD-romの底本などには入っていない、Paart4のLobscheid序に、これはLobscheidが提案した方法であると書いてあるとのこと。

行水 hydrogen
行光 phosphorus
行炭 carbon
行緑 chlor


posted by 岡島昭浩 at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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