1999年07月20日

浅野信『巷間の言語省察』メモ(Yeemar)

 浅野信『巷間の言語省察』に見える語句を抜き書きしました。

 校正が十分でないため、このまま何かに引用するには危ういもの
ですが、アタリをつける役ぐらいには立つかと思います。原文の誤
りと思われる個所は〔ママ〕としてあります。

 ご不審の点についてはコメントを付けていただければ幸いです。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 20日 火曜日 15:29:42)

 浅野信『巷間の言語省察』(中文館書店、1933.11.05発行)抜書
                   飯間 浩明

*以下同書ニ所載ノ語及ヒ語法ヲ抜萃シテ検索ニ供ス
*漢字ハ新字体ニ改ム
*〔 〕内ハ本文ノ説明ノ抜萃若クハ之ヲ適宜要約セルモノ
*^ハ繰返シ符号
*同書ノ説クトコロ広汎必シモ時事流行ノ語ニ止ラスト雖モ姑ク時事語以外ハ多ク省略ニ従フ
*校正ハ未タ十分ナラス

(p.4)〔これは小使対女学生の些小な言語である〕
o「小使さん、お茶をもつてきて下さい」(二十年前―明治四十四五年頃)
o「よう、景気はどうだい」「おやぢ、お茶を頼むよ」(約十年前―大正八九年頃)
o「おぢさん、お早う」(と二本の指で敬礼などする)「おぢさん、お茶」(現今―昭和七年)
(p.6)〔青少年〕のす/たゝむ〔徹底的にきめつけること〕/……でゐや(りや)がる/「テヨダワ」「ノヨダワ」言葉
(p.7)o随分チャツカリしてるわねえ/o随分ガツチリしてやがるなあ
(p.8)o大廉売/大乱売/超乱売/超重宝/o爆弾的投売/殺人的安値/俄然/断然/インチキ
(p.9)〔雅俗折衷〕o……を思ふとき、うたゝ感慨に堪へざるものがある。/o君がさういふことをするならば、……せざらんと欲すと雖も豈得べけんやだ。/oどうか諸君、この点を御考察の上、揮つて御賛同あらんことを。/o豈図らんや、それは鼠だつたのさ。/o現在の……は……せざるべからざる状態にさまよひつゝあるのである。/「早く出づべし―早く出でるべし」
(p.10)「出来うる限り……―出来える限り」「かしましゝ」と「嬉しゝ」(歌謡上にのみ)「丹念にして―丹念して」「緊密にして―緊密して」
〔外国語の語法〕o今年の暮は、各工場は文字通りの忙しさだ。
(p.11)o彼はさうした非難を受けるには余りに善良すぎる。/o此の品は堅牢善美なる所に特色をもつ。/o彼氏無帽主義を始めたな。〔彼氏〕/o可愛さうに、やがては身自らを破滅に導くだらうところの冒険をなしてゐるのだ。/oダンスに於ける罪科は撞球に於けるそれのやうなもんだ。
「この頃は路地や巷によぶ/ とうがん とうなす とうがらし/といふ頭韻を踏む苗売爺のこゑもたえてきかなくなつて了つた。」〔文藝春秋「随筆欄」〕
(p.12)〔子供の世界〕ナガコチヤン アソビマシヨ……アートーデ……ソーオーオ マタクルワ/アバヨ チバヨ マタクルヨ……アバヨ チバヨ マタオイデ/オドロキ モモノキ サンシヨノキ
(p.16)出るな線路へ 遊ぶな道路〔交通事故防止標語〕/ネオンライトについ誘はれて今日も銀座のアスフアルト〔流行歌〕/押すな入口越〔ママ〕すな定員〔警視庁エレーベー〔ママ〕事故防止標語〕
(p.18)「惨害目もあてられないもの」を「惨・惨・惨」などと表示するやうなもの
(p.20)インチキ・モボ・モガ・相等〔ママ〕なもんだ・断然・もち・やだ〔以上嫌な語・中村武羅夫氏〕/インチキ〔嫌な語・金子彦二郎氏〕/トテモ・モチ・ダンチ・ガゼン〔以上嫌な語・市川源三氏〕インチキ・生命線〔以上よい語・同氏〕
(p.21)パパ・ママ・何々デー・〔野球の〕盗塁〔以上嫌な語・高島米峰氏〕/モガ・モボ・エロ・グロ・ナンセンス・ルンペン・ハンスト・インチキ・クサツタ・カレシ〔以上嫌な語・赤神良譲氏〕
(p.22)インチキ・エロ・テロ・デマ・モボ・モガ〔以上嫌な語・三輪田元道氏〕自力更正・認識〔以上よい語・同氏〕/インチキ・相当なもの・トタン〔以上嫌な語・長田幹彦氏〕認識不足・優越感〔さう悪くはない語〕
(p.23)グロ・エロ〔以上嫌な語・大妻コタカ氏〕スマート・シーク〔以上よい語・同氏〕
(p.27-28)〔昔は〕「切符を切ります」「乗換を切ります」〔今は〕「切符をお切らせ願ひます」「切符を切らせていたゞきます」「乗換をお切りいたします」「乗換を切らない方はお切らせ願ひます」
(p.28)某地へ何名様御招待/何々廻り何名様御招待の何円券何万冊売出し/市民は家族、市は一家、乗物召すなら電車バス〔標語〕
(p.29)〔昔は〕「本日休業」「毎月定休日 十日 二十五日」/〔今は〕「本日は休ませて戴きます」「本日は休ませて戴きます、明日は早朝よりおいでを願ひます」
爆弾的投資・殺人的安値・超特作・断然値下・値下断行・超重宝・超満員
(p.30)〔前段略〕一、認められたる悦びに遇ひて、更にソースの製造に精進して居ります。何卒御愛顧の程御願申上ます。〔キユーピーマヨネーズ広告〕
(p.36)お幅・お蓋・お鼻緒
(p.41)大衆・大衆のために・大衆の名に於て・大衆文学・大衆娯楽
(p.42)我々は……
(p.43)俄然・断然・果然・モチ・トタンに・トテモ
(p.44)俄然腹がへりやがつた・断然飯くはう・果然うんまい・断然テニスをしよう・断然つかれた/モチ・モチサ/エロ・グロ・ナンセンス・テロ・モボ・モガ・ダンチ・彼氏〔カレシ〕・意味深〔イミシン〕・チエツ・イツト
(p.45)おどろけ・負けたね・そねめ〔失礼しちやふ〕・さうでもない・ハツキリしてゐる・相当なもんだ
(p.47)インチキ
(p.52)殺人的廉売・爆弾的投資・超特価乱売・超満員・超重宝
o〔映画タイトル〕若者よなぜ泣くか(昭和五―六)・何が彼女をさうさせたか(同六)・朗らかに泣け(同五―六)・今晩は愛して頂戴な(同七―八)・生れては見たけれど(同五―六)・ご冗談でシヨ(同七―八)・落第はしたけれど(同六)
(p.67)のす・たゝむ・でゐやがる/「テヨダワ」「ノヨダワ」語・「大嫌ひ」「いやだわ」/結構
(p.72)〔外来語のうち〕o健全と思はれるもの(一)(従来のもの)インキ・ステツキ・バスケツト・レコート〔ママ〕・アクセント・エキス・ユーモア・ウヰツト・ハンドル・オアシス・オミツト・オリヂナル・ガソリン・ギヤラリイ・キムヤプ〔ママ〕
(二)(新しきもの)コンサート・スマート・シルエツト・デパート・アパート・チヤンス・テキスト・テスト・シーク・テレヴイジヨン・テンポ・プロフイール・トーキー・マネキン・ネオンサイン
(p.73)o不健全と思はれるもの エロ・グロ・テロ・オーケイ・パヽ・マヽ・イツト・チツプ・ハンスト・ギヤング・エス・フラツパー・ヤンキイ・ランデヴー・ルムペン・マダム・デモ・デマ・カムフラージユ・カツプル・オンパレード・ワイフ・オフイス・オールドミス・オーエス・エンジヨイ・エトセトラ・ウルトラ・ウヰンク・ハズ・インフレ・インカム・アンカー・アラモード・アブノーマル・アドレス・アイドル・パラソル・エネルギー
(p.78)アジ・プロ〔パガンダ〕・アナ〔ーキスト〕・エロ
(p.79)グロ・ビル・ブル・モボ・デマ・デモ
サボる・ジヤズる・モダる・デコる・ニヒる・ ダブる
アパート・デパート・オーライ・インテリ・ドンマイ・ワイシヤツ・ハンケチ・コンクリ・ハイカラ
ウナドン・ニコポン・チヤンバラ・ドウマリ〔「どうもありがたう」の約〕
タコハイ〔蛸配当〕・ギンブラ・ダラカン〔堕落幹〕・ダイヘン〔代返〕
(p.87)エロ・グロ・プロ・デマ・デモ・テロ・モガ・モマ・アジ・アナ
アリストクラシー・デモクラシー・タクシー/テクシー〔テクテク歩く〕
(p.88)テクノクラシー〔テクつてゆくこと〕・タクノクラシー〔タクシーでゆくこと〕・バスクラシー〔乗合自動車でゆくこと〕・イレクトクラシー〔電車でゆくこと〕・ソノヒグラシー〔其の日暮しー〕
アニミズム・アニマリズム・アナクロニズム・アナキズム・エゴイズム・ジヤーナリズム・レニズム・モダニズム・メカニズム・クラシシズム・リアリズム
ドーデモイイズム・テクテクズム〔「テクノクラシー」「テクる」ことを主義とする〕
(p.89)なおみズム〔谷崎潤一郎氏の「痴人の愛」の主人公「なおみ〔ママ〕」から出たもの〕
サイノロジー〔夫が甘い〕・テイノロジー〔妻が甘い〕
(p.90)イデオロ姫〔一つぱしの理論だけを喋々する浮薄極る女の意〕・オールドオス・アクセンタム〔悪銭溜む〕
カメ〔Come→犬の名〕
(p.91)ホテル〔旅館→灯籠〕・ギヤマン〔Diamond→コツプ〕
(p.97)ステンシヨ〔所を聯想〕・トラホーメ〔目を類推〕
(p.98)エロ・グロ・プロ・デマ
(p.99)レポ〔ート〕
(p.100)ダイヤ・センチ・テレヴィ・エキス〔トラクト〕・シンパ・アルス〔Ars=Art〕・アルト・プロレ〔タリヤ=俳句の場合のみにいふ〕・ガイド・オフィス・コント・クラブ・セツト・スパイ
(p.101)ゼネスト・ドンマイ・セコハン・オーライ・ハンスト・セミプロ・セラハン〔Sailor pants〕・バスコン〔Birth control〕・プチブル
(p.102)ポリメン〔Police-man〕
ニユーム〔アルミニユーム〕・ミツシヨン〔コムミツシヨン〕・タイ〔ネクタイ〕
(p.104)ウインクする・モーシヨンかける・エロ・イツト・セツクス・アツピール
(p.106)o附(現在行はれてゐる薬品化粧品名)アニマザ(ヤ)・ノーシン(ヤ)・マクニン(ヤ)・ブレーヴロール(ヤ)・ネオブルトーゼ(ヤ)・アストモリジン(ヤ)・ウロス(ヤ)・ゴルカ(ヤ)・ロート(ヤ)・大学ヤ
(p.107)どりこの(キ)・・わかもと(キ)・・米の母(キ)・・花王シヤムプー(ケ)・クレモリン(ケ)・ヨーモトニツク(ヤ)・スペルミン(ヤ)・ローヤル(ケ)・ウテナ(ケ)・ポンジーコロイドミルク(キ)・・パトローゲン(キ)・・ヘテロゲン(ヤ)・ザノール(ヤ)・風鳥メール(ケ)・中将湯(ヤ)・タンゴドーラン(ケ)・クレモリン(ケ)・アイデアル(ケ)・エビオス(キ)・・オセロ(キ)・・ケンゴール(ヤ)・フーピー(ヤ)・活力素(キ)・・美神丸(ヤ)・ヒドロアミーン(ヤ)・宇津救命丸(ヤ)・ビオラ(キ)・シン(ヤ)・蘭香(ヤ)・パミール(ヤ)・
イノール(ヤ)・トラシン(ヤ)・にんにく丸(ヤ)・ダウンチリメン(ヤ)・おほつゞら(ヤ)・ベルツ丸(ヤ)・ヘモール(ヤ)・マルニナオールナ・クレオ(ケ)・クイン(ヤ)・ヘチマコロン(ケ)・ベリガ(キ)・・シワトリーム(ケ)・ラブミー(ケ)・ゼーバルト(キ)・・ハール(キ)・・レーデリス(ケ)・白美液(ケ)・パンドラ(ケ)・マスター(ケ)・クラブ(ケ)・ライラツク(ケ)・コールド(ケ)・カンフオルミン(ヤ)・ユー(キ)・リン(ヤ)・ニード(ケ)・デピール(ヤ)
〔註 (ケ)―化粧品・(キ)―滋養強壮・(ヤ)―薬品〕


Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 20日 火曜日 15:30:59)

(p.108)o附(屋号―喫茶・西洋料理店等)ストツプ(バ)・ウテナ(カ)・コロムビヤ(キ)・ミリオン(キ)・ミドリ(キ)・八千代(カ)・ホヅミ(カ)・マツミ(カ)・M(ヱム笑む)(カ)・スルガヤ(カ)・お富(カ)・東京(カ)・カセマサ(カ)・イケノハタ(カ)・菊屋(カ)・サンキヨー(カ)・セカイ(世界)(カ)・胡蝶(カ)・バツカス(バ)・サロン(カ)・ナルト(カ)・カトリ(香取)(カ)・ミカワヤ(カ)・バンコク(カ)・キガ(カ)・イマイ(カ)・ウヘノ(カ)・KILN(バ)・フジ(富士)(カ)・ダイアナ(カ)・ブレーズ(バ)・こがね(カ)・YAMATO(カ)・オモダカ(キ)・昭和(カ)・アオル(カ)・アース(カ)・サムライ(カ)・ノギク(キ)・泉井(カ)・ツバメ(カ)・光(キ)・お喜美(バ)・サツキ(キ)・ミハト(キ)・マダム(キ)・良子の家(キ)・春(バ)・サカエ(カ)・淑女パレス(カ)・ダルバー(バ)・コーラン(カ)・セントリア(バ)・白娥(カ)・フース(カ)
〔註 (キ)―喫茶・(カ)―カフエー・(バ)―バー〕
(p.109)ドウデモイイズム・テクテクズム
(p.110)ガンバリズム〔谷孫六の著に「ガムバリズム」といふのがある〕・なをみズム〔ママ〕〔谷崎潤一郎の「痴人の愛」の主人公。夫を虐待ししかも愛してゐるといふ変態的愛をいふ〕・日和見主義
テクノクラシー・ソノヒグラシー・タクノクラシー・バスクラシー
(p.111)イレクトクラシー
与太リスト・アルキニスト〔銀座ボーイをいふ〕・オールドオス・アクセンタム〔悪銭溜む〕・ゼニトルマン〔表面的紳士然として不正をなし金銭をとるもの〕・「とてシヤン」〔迚もシヤン〕・トラシヤン〔遠美近醜の女〕・イデオロ姫・サイノロジイ〔妻のろジイ〕・テイノロジイ〔亭のろジイ〕・シマツシング〔澄し家のこと〕・サンマンチツク〔散漫チツク〕
(p.112)モチコース〔勿論のモチ〕・ポシヤる〔擬語、崩壊の意〕
ミナトーキー〔皆トーキー〕・サイレンラブ〔昼休のサイレンの鳴るまでの短い恋愛の語らひをいふ〕
インチキ・ラムネ〔月賦〕・モチ
驚け
(p.113)そねめ・失礼しちやあわ〔ママ〕・気の毒しちやつた〔故意にさうしたり、他人の迷惑を顧みず、同情を寄せない時の意〕・恨むなよ〔苛酷なことをしておいてしかも「恨むなよ」と突放すのである〕・悪く思ふなよ・お見外れ申す〔人を蔑にしておいて、お見外れ申しちやつたわねといふのである〕・よう云はんわ
殺人的安売・爆弾的投資・決死的大売出し
(p.114)大乱売・まからずや・ぜいたくせんべい・五十銭大均一・出前速達
(p.115)微苦笑〔久米正雄氏の始めて用うるところ〕・モツトウ〔金言・標言。普通多く用うるところであるが、浜口首相の「清く正しく明るき政治」などから強い内容をもつやうになつた〕・ニコポン〔桂公からその端を発してゐる〕・善処する〔若槻首相の議会に於ける答弁からはじまる〕・心境の変化〔犬養首相の言からはじまる〕
〔映画から〕何が彼女をさうさせたか・春や春・華やかなりし頃・戦線異状なし・戦線異状あり
(p.116)闘ひとる〔無産語〕・人絹的〔人絹の流行を見てから(大正十三四年)生れた語。何でも間に合せ的なことを意味する。「……らしく」といふのである〕・是々非々〔政治家の左顧右眄をも意味する〕・解消〔無産語。鳥潟博士令嬢の結婚解消問題(昭和七年暮)が起つて更に普遍化〕・認識不足〔国際聯盟の委員が満州についての知識がないので〕
(p.117)小国側〔くだらぬ議論をする人にいふ〕・十六条〔聯盟規約の第十六条即ち経済封鎖。転じて父兄より金銭の給与を禁ぜられること〕・ジュネブる〔ジュネーブ会議の議論喧々たるのみであることから小田原評定〕
(p.126)煙立〔エンタツ=煙突・立つ〕・きくをんき〔聞く・蓄音機〕・広声器〔拡声器・広〕・トラホーメ・ステンシヨ・ブラツトホーム
(p.127)電信病〔伝染病・電信〕・便宜隊〔便衣隊・便宜〕・やぶく〔破る・裂く〕・とらまへる〔つかまへる・とらへる〕・なくなす〔なくす・為す〕・かくなす〔かくす・為す〕・めつける〔見つける・目〕・ゆすぐ〔すゝぐ・ゆする〕・うたぐる〔うたがふ・さぐる〕
(p.138)〔幼児語〕あぶらやさん(前掛)―あぶちやん・よだれかけ―およだがけ・なまいき―なまちやん・たび―たあた・あし―あんよ・おゆ―ぶぶ・たべもの―うま^・けしよう―おけけ・ねむる―ねんね・おきる―おつき・立つ―たつち・すてる―ちやい・きたない―ばつち・ちち―ぱいぱい(おつぱい)・きもの―べべ
(p.140)のす・たゝむ〔殺す或はこれに類したこと〕・たかる・しよつてゐる〔何かに憑れてゐるのでちとどうかしてゐること〕・ぬけてる・あつためる〔懐に入れること―かすめとり盗みとること〕・うがつてゐる・触れる〔要点に〕・袖にする〔蔑にすること〕・板につく
蛸配〔タコハイ=己が資本を己がくふこと〕・草分け・ぬれごと・芝居〔表面だけをつくらふ〕・コンマ以下〔一人前以下〕・うの目・シビレ〔よく^我慢すること〕・赤毛布・いが栗〔男の子供のこと〕
(p.141)海千山千
赤い〔情事と危険とを意味する〕・黒い〔死と罪悪とを意味する〕・冷い・固い〔道徳的に〕・甘い
ダー〔徹底的に参つて了ふこと〕・ヂヤン・ヂヤーン〔結末のついたこと〕・ヂャン^〔副詞にすれば鐘をうつ如く一心にすること〕・チヤツカリ・ガツチリ
(p.156)入浴〔フロ〕は生命〔イノチ〕の洗濯〔クリーニング〕〔一宣伝文〕
(p.159)十分(百パーセント)・十二分・百二十パーセント・きつと〔必定→多分〕・確か〔前同〕・とても〔到底の意にも混同。必ず否定の語を要求→甚だ〕・断然〔元来否定的語→肯定的。頽乱性をもつてゐる〕・結構・沢山
(p.168)グズる・ドヤす・ゴネる・ボヤく・ドジる
(p.169)バラす〔外部に発表〕・テレる〔艶事などで本心をうばはれる〕・ヘバる・ダレる・グレる・テクる・デブる・パクる〔物をたべる〕・パクつく・ムカつく〔胸元のむか^すること〕・ポシヤる〔ポシヤツと壊れること〕
ゴロツキ・ガラクタ・グレ・ドロン・ヘツポコ〔賤俗〕・トンマ・オペチヨコガール〔軽佻な少女〕・ワンサガール〔ワンサ^とくる少女・主役を引立てるためにでる多くの俳優〕
(p.170)ジグザグ線・チヤンバラ
ヘナチヨコ〔本心の不確乎なこと〕・オドオド・オロオロ・チンプンカン・カツキリ・ドツコイ^〔優劣の分からぬ〕・オッツカッツ〔不十分ながらやつと足りること〕・チヤツカリ・シヤア^・ヘンチクリン
ヂツクリ
(p.171)ズツシリ・ペチヤンコ・タンマリ・ノコノコ・ヒヨツト・ミスミス・トツクリ・チヤント・ヂヤン^〔最大馬力でものをするやうな場合〕・キチント・ワンサ・ザツクバラン・オメオメ・ムツツリ
(p.174)味もシヤシヤラもない/恨みツラミをならべる/知らんふりのハンベイ/剣もホロ^〔マ マ〕/サンザツパラ/きり^チヨント/変チクリン/妙チクリン/邪魔ケド/嘘のヤンパチ〔万八かも知れぬが今は上のやうに云ふ〕/ソンジヨそこら/親馬鹿チヤンリン/オペンチヤラ〔ママ〕/待ちボケ/ウスツペラ/おどろきもゝのきさんしよの木
(p.191)〔幼児語〕ワンワン……犬/ニヤーニヤー…猫/モーモー……牛/ヒンヒン……馬/チンチン……電車/ガーガー……馬車/ブーブー……自動車/チーチー……鼠/デンデン……太鼓/ペンペン……三味線
トト……鳥/ブブ……水・湯/ニヤゴ……猫/チチ……小動物(虫ヤ魚)/ネネ……寝ること/ウマ……食物
(p.192)マンマ……御飯(地方によつて水をもいふ)/ゴンゴ……仝〔御飯〕/アンヨ……足・歩くこと/タータ……足袋/チンチ……睾丸/テンテ……手拭/メンメ……目/ポンポ……腹/カツコ……履物・下駄/バツチ……汚いこと
(p.199)サボる/ロケる〔ロケーション〕/モダる〔モダーン〕/ヂヤズる
(p.200)デマる/デコる〔無用の飾りをすること、デコライヴ〕/デカる〔デカダン〕/エスる〔エスケープ〕/ステクる〔散歩散策〕/バーバる〔バーバリーからきたもの 目茶苦茶に頑張ること〕/トロツトる〔フオツクストロツトからきたもの 散歩の意〕/ジゴマる/ジユネブる〔国際聯盟会議の開催地を動詞とし、くだらぬ会議・相談をいふ〕/シヨーる〔皮肉る意、バーナードシヨウ翁が皮肉なところからきた〕/ダブる
カーヴする/アンコールする/エキサイトする/エスする/エンジヨイする/カツトする/カンニングする/キツスする/キヤムプする/ドライブする/ドロツプする/デザインする
(p.201)スパイする/スパークする/タツチする/スタートする/スケツチする/ノツクする/ボイコツトする/カバーする/コーチする/サインする/ジヤムプする/チエツクする/ダンスする/リードする/チヤームする/オミツトする
〔擬声動詞〕グヅる/ガメる/ドヂる/ゴネる/ダレる/チヤメる
(p.202)ボる〔ムサボるからきてゐるが今では擬語の色強し〕/ヨタる/ジヤレる/ムヅカる/アブる〔職に〕/イビる/テレる〔艶事などであてられること〕/ヘバる/グレる〔中道から外れること、名詞「グレ」等がある〕/パクる〔食べること〕/デブる〔太ること、名詞「デブ」がある〕/シケる/シヤベる/ポシヤる〔ポシヤと破れること、脆いことをいふ〕/ホテる/チチくる/コネる/シビレる/ヌタる〔ヨタるに通じくだらぬことを長々とシヤベること〕
(p.203)クダをまく/ボヤく/マゴつく/ブラつく/ザワめく/ヒシめく/トボける/トロける/サヾめく/ハシヤぐ/オダあげる
マゴ^する/ボヤ^する/チヤンポにする/ウロ^する/セイセイする/キビ^する/ピチ^する/ヌラ^する/オド^する/ドタバタする/ドヤす/チヤカす/バラす/スカす/ザワ^いふ/グヅ^いふ/ブツクサいふ/アツといはせる/ダメをおす/ゾツとする
(p.204)ゾクゾクする
ダー〔徹底的にダメな場合に出る自然声をそのまゝ「参つた」といふ意をこめて用ゐるもの〕/ヂャーン〔万事休す、物の結末がついたことをいひ表す〕/ギヤフン〔端的に参つて了つた心意を擬声的に表現したもの〕/チエツ〔舌打の音をそのまゝ語としたもの〕
サボタージュする……サボる/料理(退治)する……料理(退治)る/チヤメをする……チヤメる
〔象徴的動詞〕あつためる〔懐に入れることから盗むことをいふ〕/たかる〔人をあてに飲食すること〕/ふくれる〔慍ること〕/ねむらす〔永久にねむらすこと、殺して了ふこと〕/のす〔たゝむと反対の表現であるが意を同じくする〕/たゝむ〔ひどくやつつけることをいふ〕/ねばる〔根気強くすること〕/あてられる〔真正面に強く打撃をうけることで艶事などの場合にいふ〕/穿つ/ぬけてる/触れる〔真理真意に到達し得てゐること〕/からむ
(p.206)まく〔連れのものを紛らかし、はぐれさせて了ふこと〕/箔がつく/目星つく/背負てる〔背に何かついてその人が動作が普通でないところから愚人をいふ〕/地で行く〔戯曲などからきてゐるもので、劇のものを実際にやること〕/御輿をすゑる/芝居をする/涼しい顔をする/ダシに使ふ/筆をおろす〔事始め、事件などの手初に言ふ〕/手をやく
(p.207)〔合成動詞〕なくなす…なくす・なす…失ふこと/かくなす…かくす・なす…隠すこと/むすぐる…くすぐる・むづく(むず^する)…所謂クスグルこと/うたぐる…うたがふ・さぐる…疑ふこと/だまくらかす…だます(だまかす)・くらます…瞞すこと/くるむ…くくる・つゝむ…包むこと/目つける…目・見つける…見つけること/やぶく…やぶる・さく…破ること/とらま


Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 20日 火曜日 15:32:23)

(p.207)〔合成動詞〕なくなす…なくす・なす…失ふこと/かくなす…かくす・なす…隠すこと/むすぐる…くすぐる・むづく(むず^する)…所謂クスグルこと/うたぐる…うたがふ・さぐる…疑ふこと/だまくらかす…だます(だまかす)・くらます…瞞すこと/くるむ…くくる・つゝむ…包むこと/目つける…目・見つける…見つけること/やぶく…やぶる・さく…破ること/とらまへる…とらへる・つかまへる…とらへること/ちらばす…ちらす・とばす…ちらすこと/まぐねる…まける〔ママ〕・つかねる…まげること〔右は正しい意味での言語ではないが、かうした民衆心理に根ざした言語力が実に大きな力をもつものなのである。〕
(p.208)こねる――こねくる/しやべる――しやべくる/がめる――がめくる
(p.213)棚ざらへ/百貨店の「棚ざらひ大売出し」に特筆大書して衆目にさらされるものである。しかし、この語法の誤れることを知つてゐる者は多くあらうが、……〕
(p.219)退治――退治る/力――力む/料理――料〔リヤウ〕る/目論――目論む/圧迫――圧迫〔アツパク〕る/意地――意地める/駄弁――駄弁〔ダベ〕る(駄句るもこの類)/縛――縛〔バク〕る/牛耳――牛耳る/漫談――漫談〔マンダ〕る
(p.220)茶目――茶目る/茶――茶かす/与太――与太る〔与太の出所未詳〕/彩色――彩色〔サイシ〕く/野次――野次る/茶――茶ずる〔茶漬を食ふこと、落語「目黒のサンマ」より〕/頑張――頑張る/皮肉――皮肉る/愚痴――愚痴る
隣→となる/血みどれ→ちみどれる/お出〔イデ〕→おいでる/俺〔オラ〕→俺〔オラ〕がる/西行〔サイギヤウ〕→西行する/意図→意図する/丹誠→丹誠する
チヤンポ→チヤンポにする/首→首になる(にする)/前提とする→前提する/結尾とする→結尾する/問題にする→問題する
(p.222)出来ないんでやがる/裏がへしでやがる/受からねいんでやがる〔「んでやがる」といふのは記述した通り、現大学生間の流行語となつてゐる。〕
〔ところが近頃では/鳥が啼けばいゝなあ/といふよりは/鳥が啼くといゝなあ/の方を余計多く用ゐてゐる。〕
(p.224)すかす〔澄ますことの誤用、澄ますは単一に統一すること〕/おやす〔終らすの転化、終ふ―終はる―終らす―終やす、これはあまり用ゐられないが新しい一傾向である。〕/かたす〔かたづけるの約、(文法的音価からは「ず」と「つ」〔ママ〕は別である)Katazukeruの「Z」の声音〔ママ〕「S」を用ゐて「ける」を省いたものか。〕/ぼる〔むさぼる〕/おさく〔おさへるの転韻的簡略化〕
(p.225)アクセンタム〔悪銭溜む〕/デモクラシイイ主義〔デモ暮ら可い主義〕/ドウデモイイズム/ナオミズム/テクテクズム/サイノロジイ/テイノロジイ/ヨーリスト〔ヨーヨーからくる、長い物には巻かれろ主義のもの〕/ロハ/ヨタリスト〔与太る人の謂である〕/トテシヤン〔頗るの美人〕/チヤンポ〔擬声語―松下博士の意画―であらう、「チヤンポ」にすると多く動詞化する、混合すること〕/パンヂユウ〔パンとマンヂウである、西洋パンと饅頭とを半々に組合せたもの(即ちチヤンポにしたもの)〕/ワンサガール/インチキ/フース〔インチキと殆んど同意、但し未だあまり一般化しない〕
(p.227)サンマンチツク〔散漫チツク〕/コウマンチキ〔高慢チキ、チキはインチキのチキと同類の或種擬声語であらう、チヤンチキランチキなどのチキと通ふ〕/オンチ〔愚なこと、擬声語であらう、愚といつてもあまりひどいのでないもの〕/オペチヨコガール〔オツシヨコチヨイなどと同じく擬声語 悪ヅレのした軽薄な女〕/ヤツチヤバ〔数へ方に市場などで一ツ二ツを一チヨヤ二チヨヤとやる、そこからきたものか 又ヤツチヤは混雑を意味するものか、とにかく青物市場をいふ〕/ドタ〔相場語、相場のガタオチにおちることをといふ〕
アカバイ〔赤自動自転車警視庁のもの〕/ゼニトルマン〔銭取マン(人)俸給者〕/ウマタケーキ〔馬太=駄菓子のこと〕/ガンバリズム/テクシー〔徒歩のこと〕/ミナトーキー〔皆トーキー〕
(p.228)テクノクラシー〔徒歩主義〕/タクノクラシー〔円タク主義及それに類するもの〕/ソノヒグラシー/トラシヤン〔テトシヤンの対、虎「トラ刈と通ず」〕/オールドオス/オダ〔気焔、オダ上げるといふ〕/スコタリ〔少し足らず―愚もの〕
ヘマ〔軽薄浅慮なこと、その失敗〕/メチヤ〔メチヤクチヤともいふ支離滅裂でまとまりのないこと、無茶ともいふ〕/ニベ〔愛相のこと、「にべなし」と用ゐる〕/ドタ/ヌーボー〔朗らかに世の荒波にふれないで育つたもの〕/チヤンバラ/オンチ/オツチヨコ^イ〔オペチヨコ等と同じ、調子に乗る軽薄なもの〕/ヘナチヨコ/オペチヨコ/ヘツポコ〔意気地のないくだらぬこと及び人〕/トンマ/ドロン〔遁走をいふ〕/ガラクタ〔擬語の熟したもの、ヨタモノよりも意味がひろくつよい〕
(p.229)ヨタモノ〔与太モノ、数があつて取得のないもの〕/グレ〔目的もなく一定の職もない目標を失つてブラ^してゐるとこと〕/グレンタイ/ゴロ〔ゴロ^からきてゐる、盛り場などにゐる無頼の徒、バンバゴロ政治ゴロ〕/ゴロツキ/ムカツパラ/ワンサガール/チヤンポ/チヤツカリヤ/ガツチリヤ/ヒヨロ〔背丈の高い人〕/チビ/デカ/ペケ〔言海参照、私見、表面のみ、或はみせかけのみよく、直ちにその内実の表れることをいふ、又ダメになつて了ふこともいふ、ヘゲる等も同種〕/ドンジリ/ダダ〔我儘をいふ〕/ヤボ/タワケ/ボンヤリ
ヂレンマ〔論理上の語が今はヂレ馬を聯想せしめ、如何とも手に負へない事態などに云ふやうになつた〕/海千山千
(p.230)癇癪玉/お先棒/山カン/鵜の目/シビレ〔辛抱することにいふ、我慢にもいふ〕/いが栗〔子供〕/大統領〔先生は茶かす意味にも用ゐられるが、これにはそれがない〕/箔/蛸配〔蛸が空腹となつて食べ物がないと自分の足をたべる、そこから、財界不況の折自分の出費を更に自分に配当するのをいふ〕/新米
(p.231)振幅〔一事件の影響する範囲等の意に云ふ〕/草分/豪華版/赤字/寵児/一くさり/しほ〔機会〕/その筋/君臨/第六感
(p.232)眉つばもの/ぬれ場/あちら〔外国〕/バツク〔背景後楯〕/とばつちり/ピカ一/オアシス〔悪中の善などにいふ〕/軟派〔硬派の対、淫蕩不良をいふ〕/さばよみ〔ごまかすこと鯖読か〕/コンマ以下〔普通以下の人間のこと〕
(p.233)カの字はゐるか〔嚊嚊の略〕/アの字はどうした(赤ちやんの略)/シャの字にばかり苦労するよ〔借金の略〕
(p.234)便宜隊/愚連隊/日もすがら〔夜もすがらには日ねもす、それが夜もすがらの類推から此の語が生れた〕/広声器/トラホーメ/煙立〔エンタツ〕/出立/ステンシヨ/電信病/きくをんき
(p.235)親切〔深切が正しい〕/丁寧/手段〔テダン〕
生チヤン〔生意気〕/アブチヤン〔涎掛は別に油ヤサン(油屋がかけるから)といふ〕/デコチヤン〔おデコの人〕/理窟屋サン/オ馬 鹿チヤン
(p.236)オ泣〔ナキ〕サン/甘チヤン/デブチヤン/ノンチヤン〔ノンキな人〕/グヅチヤン〔子供の愚図るものをいふ〕/オマセチヤン
泣き虫/弱虫
(p.237)油虫〔(1)人をよくいぢめる人(2)人に問題にされぬ人〕/ケチ虫/シワンボウ/ケチンボウ/オコリンボウ/食ひシンボウ
(p.241)スマートな/オリヂナルな/シークな/センチな/デリケートな/ルーズな/エロチツクな/モダンボーイ然とした/ゼントルマン然とした/プロフェツサー然とし
スマートボーイ/オリヂナル香水
(p.242)ガサツな/オシヤマな/コマチヤクレな/ヒヨンな/ヘボな〔やくざな、役にたゝぬ〕
オド^した/シヤア^した/ガツチリした/チヤツカリした/トボツとした〔孤独でさびしい〕
(p.244)バラ^時代/ドンチヤン騒ぎ/シヤア^顔/オロ^声/ヘナチヨコ野郎/ガラ^車/ジン^端折〔ハシヨリ〕
幅さ〔幅(名詞)に「さ」をつけたもの〕/大まか〔無活形容詞細まかの類推〕/濃い目〔多い目などともいふやうになつた〕/直径早〔チヨツケバヤ〕い〔直径がその短距離を表すところから類推したもの「チヨツカイ」ともいふ〕
〔「幅さ」といふ語は、最近小学生中学生に盛んに使用せられるが、誤りと気がつかぬらしい。〕
(p.247)油つこい/執〔シツ〕つこい/滑〔ナメ〕つこい/人懐つこい/素早〔スバシ〕つこい/苦つぽろい
子供子供しい/物々しい/騒々しい/女女しい/雄々しい
(p.248)四角い/歪〔イビツ〕い/幅つたい/窮屈〔キウクツ〕い/面倒〔メンド〕い
(p.254)超満員/超重宝/爆弾的投売/殺人的安値/超特売/奉仕的安値/人絹的世相
高慢チキな/散漫チツクな
〔映画上の語に/青の光(独語ダス・ブラウエ・リヒトの訳)といふのがある。〕
(p.260)o私は恰も豆腐屋の角で先生におあひしました。(小学生の文)/o我が軍は将に敵を敗走せしめたのであつた。
(p.262)一向〔「いつこう」……でないといふやうに否定語をとる〕/断然〔現今では「―…だ」となり、単に「急に」等の意にまで下落した〕/とても〔「非常に」の意「とても甘い」などと用ゐられるやうになつた〕/まさか〔「万一ノ」の意となり、又「ヨモヤ」…「デアルマイ」の推定否定語となつた〕
断然愉快だ/俄然腹がへつた/果然試験だ
(p.263)十二分/百二十パーセント/断然/俄然/果然
(p.264)〔副詞の不確性〕今〔現在進行形・極近未来・遠未来・現在完了・過去〕/今度〔過去・未来〕
(p.266)〔過去を表さない「た」〕そんなことが言へた義理ではない/此の品は貰つたもんだらうか/雪が降つた貌だ/さういつたものが今までなかつた/二度と見られた顔ではない/乾いた寒い風ときたらたまらない/君行つた方がいゝよ/彼は見世物の前を行つたり来たりしてゐた/ゆきつもどりつし彷徨ふ
(p.267)さあ、買つたり買つたり
(p.274)読まる……読める/走らる……走れる/行かる……行ける/害せらる……害さる/見らる……見れる/寝らる……寝れる
殿下におかせられては……おかされては
無理からぬ〔正しくは「ならぬ」〕
(p.275)得せしむ〔正しくは「得しむ」〕
下されまじ〔正しくは「下さるまじ」〕
Yeemar さんからのコメント
(Date: 1999年 7月 20日 火曜日 15:33:14)

(p.276)〔西洋式の語法や直訳文を真似て〕o彼がするのも当然だらうぢやないか。/oやがて招来されるだろうところのものは苦難である。/o復問題にされるだらう此の種事件は、かなりにデリケートだ。/o貫之が古今集撰進の中心勢力であつたらうことは一般に言はれてゐるところだ。
(p.280)oようこそいらつしやいました。/o内容こそ価値を定める最大の条件だ。/o今日こそは雨はふらんだらう。
(p.281)oいまだ学術的根拠こそないが、立派な提唱だ。/o今度こそ君がゆけ。/oよくぞ申した。
o形こそ違へ、中味は同じものだ。/o大変失礼いたしました。いゝえ、私こそ。
o「烏合の集〔ママ〕」つてどういふこと?
(p.282)oフアッシヨつて何?/oこんな犬つたらありやしない。/o鯨つてものを初めて見た。/o道路工事つてなか^面倒なもんだな。/o「面白い」つてほどでもないがつまらなくもない。
(p.283)o遺産てほどのものではないが少しはある。/o活動写真てつまらないものさ。
o今日は雨降りだが、扨て何をしようか。/o東京は去る十月大東京になつたが、人口も五百万になつた。
(p.284)oこの本は大変面白いが、どこで買つてきたかね。
(p.288)oかうなつては死ぬより外はない。/oこれよりこの種類はありません。
o今年も銀行から扇をくれた。/o田舎からこんなものを送つてよこした。
(p.290)さんざっパラ/変チクリン/無理ヤリ/尼ッチヨ/薄ッペラ/けちンボウ/朝ッパラ/しわンボウ/邪魔ツケ(ド)/待ちボケ/ちッポケ/痩せッポチ/でッカチ/食べデ/頬ッペタ
イケづうづうしい/イケすかない/ヲカッたるい/ブリかへす/ドえらい/オツたまげる/七面倒臭い/突拍子
(p.291)フンぞりかへる/フンづかまる/ケシ飛ぶ
ヂヽムサイ/しらバツクレル/泣いてンデヤガル
(p.292)〔就中中年婦人の言語に多い〕oあなた、お腰かけられますよ。/oおはじめまして、私佐藤です。
(p.293)お幅/お下駄〔どうも耳ざはりがしてならない〕
(p.295)〔文字より誤られる言語〕恩愛〔オンナイ・オンアイ〕/安穏〔アンノン・アンオン〕/因縁〔インネン・インヱン〕/善悪〔ゼンナク・ゼンアク〕/詩歌〔シイカ・シカ〕/四時〔シイジ・シジ〕
(p.296)西園寺〔サイヲンジ・サイヱンジ〕/園城寺〔ヲンジヨウジ・ヱンジヨウジ〕
洗滌〔センデキ・センジヨウ〕/発起人〔ほつきにん・はつきにん〕/熾烈〔シレツ・シヨクレツ〕/旗幟〔キシ・キシヨク〕/義捐〔ギエン・キソン〔ママ〕〕/拡声器〔カクセキイ・コウセイキ〕/一切〔イツサイ・イツセツ〕/未聞〔ミモン・ミブン〕/小児〔シヨウニ・シヨウジ〕/堆積〔タイセキ・スイセキ〕/殺生〔セツシヨウ・サツシヨウ〕/微塵〔ミヂン・ビヂン〕/伝播〔デンパ・デンパン〕/凝視〔ギヨウシ・ギシ〕/憤怒〔フンヌ・フンド〕/心地〔ココチ・ココロチ〕/湧躍〔ヨウヤク・ユウヤク〕/耽溺〔タンデキ・チンデキ〕/施行〔シコウ・セコウ〕/価値〔カチ・カチヨク〕/分別〔フンベツ・ブンベツ〕/存在〔ソンザイ・ゾンザイ〕/暫時〔ザンジ・ゼンジ〕/漸次〔ゼンジ・ザンジ〕
(p.297)稀有〔ケウ・キユウ〕/措辞〔ソジ・セキジ〕/減殺〔ゲンサイ・ゲンサツ〕/均一〔キンイツ・キンイチ〕/不一〔フイツ・フイチ〕/唯一〔ユイイツ・ユイイチ〕/齷齪〔アクセク・アクソク〕/真摯〔シンシ・シンシツ〕/獰猛〔ドウモウ・ネイモウ〕/断食〔ダンジキ・ダンシヨク〕/必定〔ヒツジヨウ・ヒツテイ〕/満腔〔マンコウ・マンクウ〕/会心〔クワイシン・ヱシン〕/会得〔ヱトク・クワイトク〕/会釈〔ヱシヤク・クワイシヤク〕/有無〔ウム・ユウム〕/知音〔チヰン・チヲン〕/福音〔フクヰン・フクヲン〕/嫌悪〔ケンヲ・ケンアク〕/憎悪〔ゾウヲ・ゾウアク〕/平等〔ビヨウドウ・ヘイトウ〕/上人〔シヨウニン・ジヨウニン〕/印象〔インシヨウ・インゾウ〕/北陸〔ホクロク・ホクリク〕/景色〔ケシキ・ケイシヨク〕
(p.300)富士山山〔フジサンヤマ〕/鉄橋橋〔テツキヨウバシ〕/大豆豆〔ダイヅマメ〕/狂犬犬〔キヨウケンイヌ〕
(p.303)〔観念移動語〕顔をそる〔髭―〕/頭をつむ〔髪―〕/空がはれる〔雲―〕/庭を掃く〔芥―〕
(p.304)一月元旦
(p.305)いぢける/とろける/ずるける/なまける/のろける/こける/とける/ねぼける/ぼける/ふける/さばける
(p.312)〔呼応の不一致〕o私にはどうしてもさう考へる/o私はどうしてもさう考へられる/oみだりに通行を禁ず/o鎖国主義は我国の進歩が遅れた/o私は上野にゆきましたら雨がふつてゐました/o私達は大勢の中から御選抜の上、入学を許可下さいまして有りがたう存じます
(p.313)〔上野鈴本亭(寄席)の広告にものした(昭和七年九月)某落語家の一文〕空と月と叢と寄席とに、いとしい秋が参りました。寄席演芸といふものに対して、色々の風評をするものもありますが、それは何かの誤解ではなからうかと、昨年も房州の海岸で発見された学者の説に基けば、日本とアメリカとの海の境目は殆んど分らんといふ程で、然し乍らトタン屋根に辷る猫は全然戻る意志がないんぢやないでせうか。尤も今年に於ける落語家の食べた焼き鳥の数に比較して、殺されたノラ犬の死亡率が不足であるといふ事は客に何の不安をもたらすか、噛んでも噛んでもチウインガムであります。単衣もの一枚では寒からうといふ事情のもとに、オーバーセーターが翌日から流行つた様に、上野鈴本亭へ行って下さい。ほんとうに色々申上げたいのですが、これ以上責任のある言葉は私の健康に失礼ですからやめます。どうぞ不悪。
(p.317)〔口語中に於ける文語〕o名こそ違へ、中味は同じだ。/o豈図らんや、さつぱり釣れないんだ/o全くあれぢや、復何をか言はんやさ/oバナナを始めて食べたときは一種言ふべからざる味がしたんださうだ/o弟の行つてゐる学校は上野さね/o行くなり何なりはつきり言ひなさい/o加藤君でさへあゝなんだ。況や僕等に於てをやだ/o降りみ降らずみ花時だといふに困つたもんだ/o一山ただの十銭だ。さあ買つたり買つたり
(p.318)
〔映画に現はれた言語〕o若者よなぜ泣くか/o朗かになけ/o生れては見たけれど/o落第はしけれど/o何が彼女をさうさせたか/o今晩は愛して頂戴な/oご冗談でシヨ/o泣くのぢやないよ/o涙の渡鳥/o百万円貰つたら
(p.319)〔音韻変化〕いぼ(疣)→えぼ/えらい→いらい/いばる→えばる/ふえる→ふいる/ゆび→いび/考へる→考いる/いふ→ゆふ/こさへる→こさいる/なでる→なぜる/なで→なぜ/など→なぞ/ふざける→ふだける/まつざかや→まつだかや/ほしい→をしい/そして→ほして/くゞる→こぐる/にほひ→によひ/うごく→よごく/いはほ(巌)→にはほ/どうぞ→どうず/すてる→ふてる/ふくむ→くくむ/あかり→あかし/ばかり→ばかし
(p.3 20)どうりで→どうれで/出くはす→出こはす/つもり→つむり/あすこ→あつく/かくれる→かくねる/なにはぶし→なみはぶし/つけねらふ→つきねらふ/得ない→いない/すます→すかす/びつくり→びつくら/すこし→しこし/する→しる/安らかに→安らくに/おかせらる→おかさる/笑はす→笑かす/無理ならぬ→無理からぬ/困ります→困りやす/ぶらさげる→ぶるさげる
こまかい→こまい/いやになる→やになる/均一〔きんいつ〕→きんち/おもしろい→おもろい/かういふ→こいふ/けれど→けど/おもふ様→おもさま/順々に→じん^/してゐる→してる/してをる→しとる/見させられる→見される/寝られる→寝れる
(p.321)からだ→かだら/手ぬぐひ→手ぐぬひ/かゝはらず→かゝらはず/ちやがま→ちやまが/さんざか→ざざんか〔ママ〕/つごもり→つもごり/あらたし→あたらし/なまいた→まないた
ちよつと→ちよつくら/そこら→そこいら/雌(め)どり→めんどり/雄どり→をんどり/濃目〔こめ〕→こいめ/幅→幅さ/葉→はつぱ/おそろし→おつそろし/四ツばひ→四ツんばひ/せずば→せずんば/放つておく→放ツたらかす
(p.322)
たゞ→たんだ/すで(に)→すんで/まゝ→まんま/思ふさま→おもさま(十分にの意)/たび→たんび/二度→にんど/ちよつと→ちつと、ちよいと、ちよつくら/少し→すこうし/いや→いやー・や/とても→とつても、とてつも(ない)/今→いまあに、いまにも/おそろし→おつそろし/ふだん→ふんだん/ふまり→たんまり/よほど→よつぽど/おなじ→おんなじ/よく→よつく/こまかい→こまつかい/あはれ→あつぱれ/やはり→やつぱり/さゞめく→さんざめく/いろいろな→いろんな/一ぱい→一ツぱい
(p.323)
誰――タレ・ダレ/近来――チカゴロ・キンライ/明日――アス・ミヨウニチ/梅雨――ツユ・バイウ/玉露――タマヅユ・ギヨクロ/白玉――シラタマ・ハクギヨク/某――ソレガシ・ナニガシ/入浴――ニユウヨク・フロ/碧空――アヲゾラ・ヘキクウ/一群――ヒトムレ・イチグン/伯父――オヂ・ハクフ
(p.324)贔屓→贔負/額縁→額椽(タルキ)/弔詞→吊詞(ツルス)
(p.325)必定(ヒツヂヨウ)→ヒツテイ  Hitudyo→Hittei/鉄道(テツドウ)→テツドウ Tetudo→Teddo
(p.328)〔これについて文部省では一方法を提示し、而も昭和八年四月の国定読本巻一から之を実施してゐる。それは促音に発音されるべき「ツ」を小さく記すことである。〕ガッカウノモンガ/ミエマス。(十六頁―十七頁)/ワタクシ ハ ハナコデス。/イマ、キヌコサン ガ キテ/イラッシャイマス/アナタモ、アソビニイラッシャイマセンカ。(二十四頁―二十五頁)
(p.333)〔「我が国歌を、漢字を適当に用ゐて記しなさい」といふ問題に対して〕〔小学校卒業生約六百五十名の中〕〔国歌の何物なるかをしらないもの二名。厳密な意味から見て、国歌になつてゐないものが二百名近く。〕〔満足に国歌が記すことの出来たものは、……百名足らず〕庭〔ニハ〕を 庭〔ニハ〕ほ にやを〔←巌〕/む臼 無臼 む牛〔←生す〕/廻〔マハ〕れ まあれ〔←まで〕
(p.338)〔東京駅頭……丸ビルの各階窓文字〕〔何時訂正されたものか、皆一様に右書きになつてゐる。……それでも七階の日魯漁業(但し東京駅正面は右書)と「丸ノ内ビルヂング」といふ東京駅正面入口の文字とは依然として左書である。〕
(p.339)〔私はそこで御徒町までの切符を求めて、省線に乗らうと東京駅地下道を歩いていつた。ところがそこにあるネオンライトが驚くなかれ区々なのである。今試みにそれを書いて見よう。(乗車口の方)〕o開札口〔ママ〕(向つて左端)の先/フイチン・ライオン歯磨……縦書/o地下道/クラブ美身クリーム・ヒゲタ醤油……右書/ポリタミン・ビオフエルミン……左書/クラブ石鹸……右書/クラブ白粉……右書/(入口からの順序通り)〔私はこの外、公なものゝ記法を調べてみたが大方は右書である。〕(p.340)スポーツランド/札の辻
〔而して出来得べくんば従来通り右書にしたいと思ふものである。〕
(終り)


Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 20日 火曜日 15:48:37)

正誤表ノ1

(p.222)記述した通り→既述した通り
(p.318)落第はしけれど→落第はしたけれど

 やはり危ういようです。
             (つゞく)


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 21日 水曜日 10:54:00)

 すごいですね。Yeemarさん、有難うございます。

 お礼に、浅野信『俗語の考察』で、『巷間の言語省察』にないものを抜き出す、という作業が出来るかもしれない、と思ってやりかけたのですが、ちょっと大変そうです。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 21日 水曜日 21:54:15)

 どうも失礼しました。

 折角場をお貸しいただきましたが、我ながら未だスッキリし
ませんので、やはりこれはβ版とさせていただき、チャント直
したものを、何か別の形で御目にかけたいと存じます。その際
は私自身のサイトの方が、随時更新出来て良い様に思います。

 私のサイトでは、今まで資料の提供と云う事は行っていなかっ
たため、少々計画を練りたいと存じます。尤もあまり材料は
ございません。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2002年 12月 09日 月曜日 14:08:28)

 以下の所にありますね。

もろもろの保管箱
posted by 岡島昭浩 at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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