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「こけし」の語源として、昔は産まれすぎた子供を抹殺したため、
その身代わりに持ったものとして「こけし」があり、当て字は「子消し」
だったという説を聞いたのですが、本当でしょうか?
Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 11月 10日 水曜日 0:30:28)
「子消し」という解釈はけっこうあるようですね。
(→1997七夕飾り)
(→幽霊の話)
また医学関係の席でも。
これは、今、こけし人形が郷土玩具になっておりますけれども、
「こけし」というのは子どもを消すという悲しい出来事の玩具で、
嬰児殺しをした子どもを偲んで「子消し」人形が出来た、こうい
うふうに解釈する場合もございます。
(大正大学文学部教授 藤井正雄)
(→第8回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録)
どこから出た語源説か、興味があります。
『日本国語大辞典』では、楳垣実『語源随筆・江戸のかたきを長崎で』
(創拓社)を参照して、〈その形を「芥子坊主」と見立て、その小さい
ものの意味「小芥子」〉その他、いくつかの説を載せています。
子どもの髪型「おけし」、かわいい意味の「こけしい」に「這子」の
ついた「こけしほうこ」の略、「木削子」、「こけら」の語幹に「し」
のついたもの、など。
「子消し」説はありませんでした。
一般向けの「語源本」では、『知っ得 日常ことば語源辞典』(日本漢
字能力検定協会)に、「小芥子」説など。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 11月 10日 水曜日 12:29:11)
楳垣実『続語源随筆・江戸のかたきを長崎で』(関書院1961.1.5)によりますと、橘文策『木形子談叢』(昭和十年、日月書院)という本があるそうで、それにいろいろ説が書いてあるそうです。他に方言形が書いてあり、鹿児島の「コケジョ」という語形についても触れていました。
「子消し」説への言及はありません。コケシボッコなどの形を見ると、「子消し」説は考えにくくなりますが(ボコケシであるのならよいが)、そう呼んでいる地方は、「子消し」という語源意識が失われているのだ、と考えることも出来ましょうから、「子消し」説を完全に葬り去るのは難しいのかもしれません。
楳垣氏はコケラとの関連に引かれるようです。