1999年11月27日

「手の平」 「掌」(harada)


みなさん初めまして。原田といいます。
ずっと気になっていることがありまして、「当て字」のような言葉です。
タイトルの通り、「手の平」は「掌」とも書きます。
他に今わかっているものは・・・

二度     再び
先駆け    魁
敷居     閾
紐解く    繙く
片寄る    偏る
心良い    快い

があります。
このほかに何か思いつきますでしょうか?
また、このような例の呼び方は特にありますか?
では、また遊びに来ます。



Yeemar さんからのコメント

( Date: 1999年 11月 28日 日曜日 1:49:50)


「このような例の呼び方」があるかどうか知りませんが、
「朝」を「あさ」と読むのは〈単純語の和語による訓〉、
「旭」を「あさひ」と読むのは〈複合語の和語による訓〉と
言えば区別できるでしょうか(築島裕『平安時代の漢文訓読
語につきての研究』p.210の表現などを参考にしました)。

現代語の例として、『岩波国語辞典』には次のようなものが
ありました。

*複合語を、その各構成要素に対応する漢字で表す場合と、
全体に相当する漢字で表す場合とがある例:

 朝日・旭、  足萎え・蹇、 穴蔵・窖、  兄嫁・嫂、
 甘酒・醴、  粗金・鉱、  石弓・弩、  馬屋・厩、
 大鹿・麋、  面影・俤、  瘡蓋・痂、  形木・模、
 片寄る・偏る、唐鋤・犂、  櫛笥・匣、  頸木・軛、
 木枯らし・凩、木霊・谺、  言付け・託け、言葉・詞、
 言祝ぐ・寿ぐ、先駆け・魁、 枝折り・栞、 敷瓦・甃、
 仕付け・躾、 四手・垂、  竹叢・篁、  仲立ち・媒、
 生臭い・腥い、花房・英、  火打ち・燧、 火切り・燧、
 日照り・旱、 人屋・獄、  紐解く・繙く、太藺・莞、
 船端・舷、  矛先・鋒、  火照る・熱る、目映い・眩い、
 眉墨・黛、  物憂い・懶い、裳抜け・蛻、 屋形・館、
 矢倉・櫓、  屋敷・邸

*それ以外の例として:

 無駄・徒、  真木・槙、  土鳩・鴿、  海里・浬、
 正木・柾、  麻呂・麿

など。

「手の平・掌」の類例は「竹の子・筍」しか見つかりません
でした。歴史的にはいくらでもあるでしょう。



Yeemar さんからのコメント

( Date: 1999年 11月 28日 日曜日 2:23:04)


余談ですが、こういう例もありました。


藤井紋太夫は完全に言葉を失った。やがて、紋太夫はオロオロとその場に崩折れた。(童門冬二「水戸の三人」『平成六年度 代表作時代小説』光風社出版、1994.05.30発行 p.369)

これは「崩折れる・頽れる」のペアとはならない。なぜなら、「頽れる」は「くづほれる」であって、「折れる」とは関係がないから。



森川知史 さんからのコメント

( Date: 1999年 11月 28日 日曜日 21:57:31)


「玉子・卵」なんてどうでしょう?



森川知史 さんからのコメント

( Date: 1999年 11月 28日 日曜日 22:02:55)


「静寂・黙(しじま)」なんてのもありますね。



Yeemar さんからのコメント

( Date: 1999年 11月 29日 月曜日 0:49:16)



>>「玉子・卵」なんてどうでしょう?

なるほど、これは『岩波国語』では「卵・玉子」の順で
載っていました。見落としていました。

 銅・赤金、 毳・毛羽、 畷・縄手、 羽・羽根
 再び・二度、白金・銀

 店・見世

これらも『岩波国語』に載っています。「こころよい」
は「快い」のみでした。



かねこっち さんからのコメント

( Date: 1999年 11月 30日 火曜日 21:30:35)


(Yeemar さん)
> 「手の平・掌」の類例は「竹の子・筍」しか見つかりません
> でした。歴史的にはいくらでもあるでしょう。

木の子・茸、目の子・眼(まなこ)なんかがその(歴史的)でしょうか。
朽縄・蛇、稲妻・電は現代語とはいえませんか。 

暴走族グループで 皆殺し・鏖 ってのありませんでしたっけ。



harada さんからのコメント

( Date: 1999年 11月 30日 火曜日 22:57:49)


みなさんありがとうございます。
Yeemarさんの挙げてくださった言葉、1/3くらい自信を持って読めません(-_-;)
それに、「みなごろし」のような難解な漢字は私には出せません。(ATOK11で)
今、私もがんばってひねり出しています。
思いついたらまた書き込みます。



Yeemar さんからのコメント

( Date: 1999年 12月 01日 水曜日 0:49:03)


では、一応よみを添えておきましょう。

 皆殺しで連想するものとしては、「血塗る・釁る」とか。
 「〜の〜」は、「上の衣(うへのきぬ)・袍」とか。

 「湾」で「ミヅノホトリ」とか(図書寮本名義抄)。
 こんなものは、一般的な意味で訓といえるのかちょっと怪しくなります。


> 朝日・旭、  足萎え・蹇、 穴蔵・窖、  兄嫁・嫂、
 (あさひ)  (あしなえ) (あなぐら) (あによめ)
> 甘酒・醴、  粗金・鉱、  石弓・弩、  馬屋・厩、
 (あまざけ) (あらがね) (いしゆみ) (うまや)
> 大鹿・麋、  面影・俤、  瘡蓋・痂、  形木・模、
 (おおしか) (おもかげ) (かさぶた) (かたぎ)
> 片寄る・偏る、唐鋤・犂、  櫛笥・匣、  頸木・軛、
 (かたよる) (からすき) (くしげ)  (くびき)
> 木枯らし・凩、木霊・谺、  言付け・託け、言葉・詞、
 (こがらし) (こだま)  (ことづけ) (ことば)
> 言祝ぐ・寿ぐ、先駆け・魁、 枝折り・栞、 敷瓦・甃、
 (ことほぐ) (さきがけ) (しおり)  (しきがわら)
> 仕付け・躾、 四手・垂、  竹叢・篁、  仲立ち・媒、
 (しつけ)  (しで)   (たかむら) (なかだち)
> 生臭い・腥い、花房・英、  火打ち・燧、 火切り・燧、
 (なまぐさい)(はなぶさ) (ひうち)  (ひきり)
> 日照り・旱、 人屋・獄、  紐解く・繙く、太藺・莞、
 (ひでり)  (ひとや)  (ひもとく) (ふとい)
> 船端・舷、  矛先・鋒、  火照る・熱る、目映い・眩い、
 (ふなばた) (ほこさき) (ほてる)  (まばゆい)
> 眉墨・黛、  物憂い・懶い、裳抜け・蛻、 屋形・館、
 (まゆずみ) (ものうい) (もぬけ)  (やかた)
> 矢倉・櫓、  屋敷・邸
 (やぐら)  (やしき)
> 無駄・徒、  真木・槙、  土鳩・鴿、  海里・浬、
 (むだ)   (まき)   (どばと)  (かいり)
> 正木・柾、  麻呂・麿
 (まさき)  (まろ)
> 銅・赤金、  毳・毛羽、  畷・縄手、  羽・羽根
 (あかがね) (けば)   (なわて)  (はね)
> 再び・二度、 白金・銀
 (ふたたび) (しろがね)
> 店・見世
 (みせ)



harada さんからのコメント

( Date: 1999年 12月 15日 水曜日 22:17:04)


とうとう見つけました!
皹/赤切れ
ですっ。
ところでこういった例は単に「当て字」と片づけて良いのでしょうか?



道浦俊彦 さんからのコメント

( Date: 1999年 12月 16日 木曜日 12:37:35)


「一人・独り」
「二日酔い・宿酔い」はどうでしょう?
先日久しぶりに、これになったもので・・・。



沢辺 さんからのコメント

( Date: 2000年 1月 12日 水曜日 13:01:06)


黒子・黶(ほくろ)、笑窪・靨(えくぼ)、目尻・眦(めじり)
というのは、どうなんでしょう?



沢辺治美 さんからのコメント

( Date: 2000年 2月 08日 火曜日 15:50:40)


以前、平成教育委員会で出題された「莨」(国字らしい)が読めなかった。
「煙草」が体に「良い」とは思えないですもん。

それと、書き方が複数あるのではないのですが、例えば、
「導く」は「道引く」から来ているとか、そういうものって他に無いでしょうか?
もしかして、「瞳」は「人見」から?



沢辺治美 さんからのコメント

( Date: 2000年 2月 09日 水曜日 16:44:45)


「雀斑(そばかす)」は、「蕎麦滓」でインターネット大辞林に出ていました。
「腸(はらわた)」は、「腹(の)綿」でしょうねぇ。
「こめかみ」は、「米噛み」だけど、漢字が難しすぎる。
「頷く(うなづく)」は、「項(うな)突く」の意だそうです。



沢辺治美 さんからのコメント

( Date: 2000年 2月 14日 月曜日 14:39:23)


「甦る(よみがえる)」は、「黄泉(から)帰る」だと思います。
「茜(あかね)」は、「赤根」(根が赤の染料だった)。
「羹(あつもの)」は、「熱物」(そのまんま)。

結構この類は、多いようです。



沢辺治美 さんからのコメント

( Date: 2000年 2月 21日 月曜日 16:24:23)


「礎(いしずえ)」は、「石据え」の意。(『大辞林』も同じ。)
「泉(いずみ)」は、「出水」。(地名にもあるようです。)
「躄(いざり)」は、「居去る」から。(これも放送コードですね。)
「諺(ことわざ)」は、「語業」とありました。

 以上、『新明解国語辞典』より



沢辺治美 さんからのコメント

( Date: 2000年 2月 24日 木曜日 12:22:00)


うきくさ 【浮(き)草・萍】
いびつ  【歪・飯櫃】
いにしえ 【古】 〔「往(い)にし方(へ)(過ぎ去った方)」の意〕

 以上、『インターネット大辞林』より



沢辺治美 さんからのコメント

( Date: 2000年 2月 28日 月曜日 16:48:54)


「目蓋・瞼(まぶた)」共に変換できました。
「盲」は「目暗」でしょうねぇ。反対が「目明き」だし。



沢辺治美 さんからのコメント

( Date: 2000年 3月 15日 水曜日 17:05:40)


(やまいだれ)+(坐)→(にきび)という漢字があるらしいです。
普通は「面皰」、古くは「二禁」とも書いたらしいですが、全然ピンときません。
個人的な感覚からすると「肉黍」って感じがするのですが、どうでしょう?


posted by 岡島昭浩 at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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