岡島さんの「目についたことば」1996.08.14「オーサカサカイシ」に関連しますが、都道府県名をいうとき「〜都」「〜道」「〜府」「〜県」(これらを一括して何と称すればよいのでしょうか)をつけることができるかどうかは、それが「〜都」「〜府」か「〜県」かによって繊細な違いがありそうだということを、最近感じております。
・北海道の「〜道」は常につける。これはいうまでもない。
・「〜都」「〜府」は、生活語としては略した方が自然な場合がありそうです。対して、「〜県」はつけても違和感がない場合が多いようです。
例1)? 東京都の人は気が短い。
○ 東京の人は気が短い。
○ 香川県の人はのんびりしている。
○ 香川の人はのんびりしている。
例2)? 大阪府に旅行に行きませんか。
○ 大阪に旅行に行きませんか。
○ 徳島県に旅行に行きませんか。
○ 徳島に旅行に行きませんか。
例3)?〜○ わたしの出身地は、東京都の目黒です。
○ わたしの出身地は、東京の目黒です。
○ わたしの出身地は、香川県の高松です。
? わたしの出身地は、香川の高松です。
例3のような場合、香川県出身の私はまずおそらく「香川県の高松です」と言うはずです。特に相手が香川県になじみがうすいと思われる場合はなおさらです。単に「香川です」と言うと、「それ、どこ?」と言われそうだからです。相手が四国の人であったり、同県人であったりする場合は、県名を略して単に「高松です」と言うので、「香川です」という言い方はどっちにしろ使わないと思います。
東京の場合、「府→市→都」と変遷してきたので、「〜都」は生活語として定着度が弱いということがあるでしょうか。また、ただ単に「東京」と言った場合、それは23区であって、市部は含まれないというようなことがあるのでしょうか。しかし
例4)? 東京都の小平市に叔母がおりまして。
○ 東京の小平市に叔母がおりまして。
という文を比べると、下の方が自然であるように思われます。
ニュースの「オーサカサカイシ」は、こうした生活語に基づいた言い方であるのかとも思います。
私だけの語感でしょうか。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2002年 08月 30日 金曜日 17:21:14)
なるほど、そういうことはありそうですね。
ただ「府」でも京都の場合は、いささか事情が変わってきそうに思います。
非京都市部を「京都」と呼ぶことに臆病になる(京都市への遠慮といいますか、怒られるのが怖いといいますか)という事情があるからです。
「京都府の福知山」は言えても、「京都の福知山」は言いづらい気がします。
県名と県庁所在地名が違う場合と同じ場合とでも違うような気もいたします。ちょっと逸れますが、「秋田県秋田市」は冗長と感じても「宮城県仙台市」はさほど冗長とも思わない、とか。でも「兵庫県神戸市」や「愛知県名古屋市」は情調と感じ(NHKで聴取者からのお便りはそのように言っているように思います)、「神戸市○○区」と言った方が情報量が増えて良いのではと感じたりします。