2002年09月10日

せざるおえない(田島照生)


最近、「〜せざるを得ない」を「〜せざる、をえない」と切って言っている人をしばしば見かけます。テレヴィジョンでも、著名なタレントやアナウンサーまでもが、「せざる、をえない」と言っています。

これはあるいは「異分析」と呼ばれる現象ではないでしょうか? もしかすると「『習い性』となる」とか「『綺羅星』の如く」とかのように、「せざる負えない」と分析して発言しているのではないかと考えておるのですが、私の考え方は正しいでしょうか? それとも、また別のアイディーアがあるでしょうか。御知恵をお借りしたく存じます。



Yeemar さんからのコメント
( Date: 2002年 09月 10日 火曜日 11:56:16)

私も、テレビの音声を聞いていてご同様に「はてな」と思うことがあります。しかし、アクセントが変わるわけではなく、力の入れ方が微妙に違うだけなので、音声の例として確証を得られる例にまだ行き当たっていません。


「ざる終えない」などと考えている場合も多そうです。Googleで検索してみますと


 ざるを得ない 約223,000(75.9%)

 ざるをえない 約62,400(21.2%)

−−−−−−−−−−−−−−−−−

 ざるおえない 約4,280(1.5%)

 ざる終えない 約1,760(0.6%)

 ざる負えない 約1,230(0.4%)

 ざろう得ない 約462件(0.2%)

 ざろうえない 約310(0.1%)

 ざる追えない 約206(0.1%)

  他 ざる生えない・ざる逐えない若干


となっていて、上記であらゆる語形・表記を網羅していると仮定すれば、97%は正用、残りの3%ほどが誤解していることになります。


「ざろうえない」とは何だと思いますが、あるのですね。私の大学時代の友人(日本文学科)が、レポートに「ざろうえない」と書いていたのを見て仰天したことがあります。それを指摘すると、「ああそう」と言って、服のごみでも払うように無造作に「ざるをえない」に直しました。どっちでも大差ないと思われたようです。


岡島さんには「やもうえず」と書かれた出版物をご教示いただいたことがあります。



Yeemar さんからのコメント
( Date: 2002年 09月 10日 火曜日 12:26:52)

> しかし、アクセントが変わるわけではなく、


「せざる・負えない」ならば「LHL・LHHH」、「せざる・終えない」ならば「LHL・LHHL」となるはずなので、その場合は当然アクセントは変わるわけです。正確には道浦さんにお伺いしたいところです。


しかし、私の聞いた例では、「せざる・おえない」と切っているらしい場合でも、アクセントは「LHL・LHLL」(Lは低く、Hは高い)となっていて、ふつうの切り方「せざるを・えない」(LHLL・HLL)と結果的に同じになっているようだったという意味です。もっとも、その「私の聞いた例」が、実際どうだったかあやふやなのです。



Yeemar さんからのコメント
( Date: 2002年 10月 17日 木曜日 08:14:19)

2002.01.17 「NHKニュースおはよう日本」のロシアと中国の国境問題に関するニュースで、記者リポートではっきり「向き合わざる・おえなくなっいます。」と切って発音していました。アクセントは「LHL・LHLL」でした。


もっとも、「向き合わざる、を得なくなっています」(「向き合わない、そういうことを得なくなっています」)のつもりである可能性もありますが、現代では「ざるを得ない」でひとつの連語なので、やはり切るのはへんでしょう。



Yeemar さんからのコメント
( Date: 2002年 10月 17日 木曜日 08:16:29)

> アクセントは「LHL・LHLL」でした。


意味不明のことを書いてしまいました。「ざる・おえなく」の部分のアクセントは「HL・LHLL」でした。



田島照生 さんからのコメント
( Date: 2002年 10月 20日 日曜日 01:13:23)

>Yeemarさん


懇切丁寧に教えて下さり、有り難うございます。

「ざろうえない」が存在することは存じませんでした。

そういえば、民放のアナウンサーが、「ざるを得ない」を「LHL・LHHL」と発音しているのは何度か聞いたことがあります。


ところで余談なのですが、私は幼いころから青年期に至るまで、『ゴンドラの唄』の「命短し恋せよ乙女」の部分を、どういうわけか「命短し恋せよお留」とばかり思い込んでおり、大正期は「お留」という人名が一般的であったのかなどと考えて納得しておりました。聞き違えとは恐ろしいものです。



岡島 さんからのコメント
( Date: 2003年 02月 17日 月曜日 13:22:51)

「と思いきゃ」というのは、文字の大きさの間違いかと思いきや、「と思いきゃあ」「と思いきゃー」というのがあるんですね。



岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 02月 17日 月曜日 23:11:29)

「と思いきゃあ」の語源意識としては、「〜〜と思ったが、キャー、驚いたことに」なのでしょうか。しかしgoogleでは「思いキャー」で引っかかるのは、「思い」と「キャー」の間に切れ目があるものだけのようです。


「思いきゃあ」と「思いきや」の両方でかかるページが一つありますが、この言い方に触れたわけではなく、単なるミスタイプなのでしょうか。omoikiya omoikyaa? でも「思いきぃあ」omoikyiaじゃないし。ローマ字のカスタマイズによるものでしょうか。


posted by 岡島昭浩 at 01:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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