はじめまして、櫻井と申します。映画の美術の仕事をしている者です。只今昭和20年から25年までを舞台とした作品を準備しています。
ポスターなどの作りに関して、いつから右表記にしてよいものか解らないでいます。また、現在のような表記になったゆえんも教えていただければとおもいます。宜しくお願いいたします。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 22日 火曜日 08:01:33)
「右表記」とおっしゃっているのは、〈左からの右への横書き〉のことでしょうか。
これは、ある時を境にパッと右横がきから左横がきに変わったというものではないのです。ご関心はポスターではどうか、ということのようですが、これはよく存じません。映画ポスターを集めたような本を御覧になるのが早いのではないでしょうか。
横書き一般については、岩波書店のPR誌『図書』に、一昨年から昨年に掛けて連載されていた、屋名池誠氏の「横書きの歴史」がとても詳しいです(岩波新書に入る予定と聞きました)。
国語協会横書問題研究委員会『横書きするなら左から』という、昭和14.5.26に出た本がありまして、この本の中に、町に左横がきと右横がきが混在していることが写真入りで報告されています。
また、佐藤貴裕さんの「気になることば」もご参照下さい。
→ 気になることば第2集
skid さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 22日 火曜日 09:27:14)
戦前の映画ポスターでも左横書きのものがありますね。
それより、当時のタイトルはまだ縦書きのほうが多かったと思います。
朝日新聞を見ますと、昭和22年1月1日から横書きの見出しを左からにしたようです。
縦組の本文に横組の見出しをつける場合、縦組の行が右から左へ行くため、見出しも右からになったままでした。
本文自体の左横書きは、英語や数学の本が明治の半ば頃から始めています。
それまでは縦書き主体でした。
skid さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 22日 火曜日 22:59:36)
朝、慌てて書いたせいか、分かりにくい文章になりました。
つまり、縦組本文に横組みの見出しを組み合わせる場合は、右からの横書きの習慣がすぐには改まりにくかったということです。
縦組1字詰めの感覚だったのですね。
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 23日 水曜日 21:10:34)
>縦組1字詰めの感覚だったのですね。
原則ないし基本的にはそうなのですが、周縁的な例を見てみると、一筋縄では
いきません。もちろん、少数の例外に過ぎない、と言ってしまってもよいので
すが、そう一刀両断するには惜しい。
一行一字縦書き(?)の長音記号
http://www.gifu-u.ac.jp/~satopy/kini010.htm#5
縦書きと横書きのはざまで
http://www.gifu-u.ac.jp/~satopy/kini080.htm#5
面白いのは、縦書きを左から右へと書きつらねたものもあること。
徹底? 妥協?
http://www.gifu-u.ac.jp/~satopy/kini083.htm#5
これと同趣の例は、岡島さんが、もっと古い別の例の画像を早くから掲げて
らっしゃいました。
skid さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 24日 木曜日 01:13:21)
今、ちょっと寝ぼけているので、理解不足かもしれません。
右からの横書きで音引(長音符号)も縦のままにしているものもありますよね。
漢字の「一」のようになっているというのは、筆の入り具合を表しているのでしょうか。
活版の場合は、縦組用の音引を右へ寝かせれば右からの横書きに合った書き方になります。
左からの横書きに合わせた音引の活字は戦後になっても用意していない印刷所があり、縦組用を左へ寝かせて使用していたので、筆の入りが下向きになっていました。
また、漢数字で「十・百・千」を使った表記の場合、縦書きでも空いている位に「○」を入れることがありました。
横になった音引も「○」の使用も、縦組と右からの横組と、どちらが先だったのでしょうか。
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 24日 木曜日 19:03:37)
>右からの横書きで音引(長音符号)も縦のままにしているものもありますよね。
はい。始めは「縦組1字詰め」ないし「一行一字の縦書き」でしょうからあるでしょう。ただ、ご指摘のような場合は、横書きというより、縦書き(の一種・変形)とみたいですね(もちろん、横書きか縦書きか弁別できる例はかなり少ないことになりますが)。
>漢字の「一」のようになっているというのは、筆の入り具合を表しているのでしょうか。
右から左に引いたように見える、というのが趣旨です。これだと一行一字の縦書きではなく、右からの横書きと認めてよい(認めざるを得ない)ので。なお、地図中の地名表示なので手書きのようです。手書きでも活字に似せる訳ですが、活字を回転するような二次的な対処ではなく、筆記者の意図がより反映されやすいように思います。そこが興味深いと思っています。
>活版の場合は、縦組用の音引を右へ寝かせれば右からの横書きに合った書き方になります。左からの横書きに合わせた音引の活字は戦後になっても用意していない印刷所があり、縦組用を左へ寝かせて使用していたので、筆の入りが下向きになっていました。
御教示、ありがとうございます。特に後者、是非、見てみたいです。
>また、漢数字で「十・百・千」を使った表記の場合、縦書きでも空いている位に「○」を入れることがありました。横になった音引も「○」の使用も、縦組と右からの横組と、どちらが先だったのでしょうか。
「どちらが先」という問われ方ですと、準備もないことなので、答えにくいですね。むしろ、漢数字の縦書きなのに空いている位を「〇」で埋めるという発想が何に由来するのかを考えたいと思います。また、長音記号が横向きになるのが、一般的な縦書きのなかで起こるとは少々考えにくいように思います。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 24日 木曜日 22:03:43)
縦組用の長音符号を左へ寝かせて使用した結果、筆の入りが下向きになっている出版物はけっこう最近ものにもみられますね。たとえば1960年初版の三上章『象は鼻が長い』(くろしお出版)の巻末の横書き部分がそうです。手もとのものは1987年第17版ですが、「インドヨーロッパ語」「ハンガリー語」などの長音符号がそのようになっています。
くろしお出版は近年、出版物を洗練された装丁に直しているので、今売られている本は電算写植になっているのではないでしょうか。
skid さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 24日 木曜日 22:50:15)
御返事ありがとうございます。
やはり寝ぼけて変な書き方をしていました。
オンビキが右からの横書きで縦になっていることはあるものの、それほど多く目にすることがないものですから、もしかしたら横に寝かせることより後に行われた可能性もあるかもしれないと思ったのです。
右からの横書きでオンビキが横になっていれば、縦1字詰めではなく横書きと認めてよい、と言われて目を開かれた思いがいたしました。
たとえば、図版や写真のキャプションでも昔は右からのものがありましたが、長い場合は2行以上になっています。
これを縦1字詰めと捉えると、2段組、3段組といったことになりますね。
ただ、地図の手書き文字を疑えば、活字で多く見かける横向きのオンビキを真似ただけではないのでしょうか。
括弧や句読点なども右からの横書きでは、読む方向へ沿うように付けられ、縦組と同じ向きにしたものはないようです。
このへんは、わたしも調査不足なので最初からそうなのかどうか、はっきりしません。
左からの横書きで縦用のオンビキを使った例は、昭和三十年代頃なら大蔵省印刷局によるものがそうでした。
国立国語研究所の刊行書などで、わりあい簡単に見つかると思います。
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 24日 木曜日 22:59:52)
Yeemarさん、ご教示感謝します。明日にでも仕事場で確認してみます。
自宅内に何かないかと探してみたら、色川大吉『明治の文化』(日本歴史叢書、岩波書店。「理想社印刷」とあります。1970第1刷です)の索引もそのようでした。本文は縦書きですが、索引は横書きで「ガンジー」「ゴーガン」「ケーベル」などなど、長音記号は縦組み活字の左倒しでした。
岩波のものでもこうだとすると、私も、かつては実見していたのを、当時の組み方の常識と見て、意識に上すことがなかったもののようです。お手数をおかけしました。
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 24日 木曜日 23:15:29)
skidさん、ご教示ありがとうございました。蔵書をひっくり返していて行き違いました。ごめんなさい。で、1970年初版の例も出てきてしまってびっくりしているところです。いつまで下れるものか、これはこれで興味深いですね。
ところで私が書き込んだばっかりに、このスレッドの方向が脱線してしまったような気がします。申し訳ありません。お詫びにリンクしておきます。
↓
→ 戦中紙芝居の横書き
NISHIO さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 25日 火曜日 03:46:42)
『横書き登場 ―日本語表記の近代―』(屋名池 誠著、岩波新書、2003年11月20日)
という新刊書を購入しました。
まだパラパラめくった程度ですが、今までにないテーマで結構面白そうです。
→ 横書き登場 ―日本語表記の近代―