2003年04月22日

横書きと符号(Yeemar)

skidさんが別スレッドでご指摘になっていたことと関連しますが、横書きと「くの字点」の関係について触れているものとして楳垣実『日本外来語の研究』がありました。
 9 表字符と表語符――「つゝ」「毎日々々」「よろしく\/」などと、横書きにこの種の符号を使ふことも、特に最後の場合には感心しない。近頃の学生の答案には、この表語符をよく見かける。表字符の方はさほど不便でも目障りでもないが、行がかわつて〔ママ〕最初へ「ゝ」や「々々」が来る時は、なるべくこれらの符号を使はない方がよいと思ふ。(p.386、原文横書き)
横書きの受験参考書に古文が載る場合、「\/」のように書かれていたのを記憶しています。活字を組むとなると単純に90度回転するのでそのようになるのでしょう。手書きの場合は、「/\」を使用していた高校の時の同級生を知っています。

「〜」という符号が、縦書きと横書きとで単純な90度回転ではなく、裏返しになるのであるということは、長い間気づきませんでした。横書きの場合は「N」のようになり、縦書きの場合は「S」のようになります。しかし、マイクロソフトの「Excel」で資料を作成していると、「〜」は「И」のごとく表示されます。この理由がちょっとわかりません。

いけいけギャル


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 22日 火曜日 12:50:16)

上の楳垣実の本は昭和十八年七月発行です。


skid さんからのコメント
( Date: 2003年 04月 25日 金曜日 00:52:24)

縦組と横組で違うものには、オンビキもありますね。
なんだか、どこかの続きになりそう。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 05月 19日 月曜日 00:21:45)

消えてしまったものが回復できずに申し訳ありません。

かつて、パソコンではなくワープロ専用機を使っていて、データを他機種でよむなどということを考えていない頃に、「くの字点」に「く」の倍角文字を使っていたことがありました。ディスプレイでは横書きしか出来ずにまるでクレッシェンドのように見えているのですが、縦書きで印刷すると「くの字点」のようになるというものでした。(後年パソコン用にデータ変換した際、普通の「く」と区別が付かなくなって面倒でした。「くの字点」と「く」が区別が付かないことはOCR認識でもあることです)

さて、今なぜか見当たらないのですが、ここ数日の学会前後に目にした資料で、横書きの際の「くの字点」に、「へ」の横倍角を使っていると思しきものをみつけました。
なお、国語学会の発表予稿集では、/\と\/の両方がみられました。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 06月 23日 月曜日 08:00:19)

佐竹秀雄編『言語生活の目』(筑摩書房)p.379に

▼次の如き小さな看板が電柱の上部に貼ってあった。
 マ|パ
長音符は下のように図の横に引いた方がわかりやすいのではないか。
 マーパ
(東京都 藁谷降純さん)
とあります。「マ|パ」「マーパ」の部分だけ横書きになっています。前者は右横書きに縦の長音符が入った例であり、「横に引いた方がわかりやすいのではないか」というのは現代的な感覚ですね。

『言語生活の目』の索引が不十分というのは前に触れたと思いますが、「パーマ」も引けません。また、ページ数に誤植が多く往生します。ページ数が正確でなくては索引の用をなしません。

なお2003.04.27ごろでしたか、skidさんがご報告になり、クラッシュで飛んでしまった情報は:

岡倉由三郎『新英和大辞典』(研究社、昭和2年3月5日)の巻末広告に「英語発音練習カード」というのがあり、それが左横書きにもかかわらず「英語発音練習カ|ド」と長音符号が縦になっていたということであったと思います。


佐藤 さんからのコメント
( Date: 2003年 09月 21日 日曜日 10:49:21)

今日再放送した『プロジェクトX』で、木村秀政の終戦直後の日記の画像が出ました。横書きの日記ですが、くの字点は次のように縦書き風。

  いよ失職か

木村秀政を検索すると歴史みらいパーク木村秀政ホールに。そこで使われている「〜」が「И」型。エクセル文字?

第124回 9月16日放送「運命の滑走」〜日本初 人力飛行機に挑む〜 


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 09月 21日 日曜日 18:13:19)

〜ですが、ソースを見ると、

&〜
ですね。私、このあたり、ついて行けなくなりつつあります。
meta content="MSHTML 5.50.4923.2500" name="GENERATOR"
ということですが。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 09月 21日 日曜日 18:21:57)

このページでも表示されるのですね。
〜の半角。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 09月 21日 日曜日 18:46:25)

ちょっと勉強してみます。

数値文字参照が符号化方式に依存しないことに注意してください。Shift_JIS でも ISO-2022-JP でも BIG5 でも ISO-8859-7 でも UTF-8 でも、© は常に Copyright 記号を示します。もっとも、お馬鹿なブラウザは HTML4.0 のレパートリではなく、他の符号化方式に当てはめて変な文字を表示することがあります。(下記ページ)

知りませんでした。

301cというのは、なんでしょう。

HTMLで使える文字実体参照


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 09月 21日 日曜日 19:11:35)

Unicodeということで、いいようですね。
   
、 、
。 。
〃 〃
〄 〄
々 々
〆 〆
〇 〇
〈 〈
〉 〉
《 《
》 》
「 「
」 」
『 『
』 』

【 【
】 】
〒 〒
〓 〓
〔 〔
〕 〕
〖 〖
〗 〗
〘 〘
〙 〙
〚 〚
〛 〛
〜 〜
〝 〝
〞 〞
〟 〟

〠 〠
〡 〡
〢 〢
〣 〣
〤 〤
〥 〥
〦 〦
〧 〧
〨 〨
〩 〩
〪 〪
〫 〫
〬 〬
〭 〭
〮 〮
〯 〯

ゐ ゐ
ゑ ゑ
を を
ん ん
ゔ ゔ
ゕ ゕ
ゖ ゖ
゗ ゗
゘ ゘
゙ ゙
゚ ゚
゛ ゛
゜ ゜
ゝ ゝ
ゞ ゞ
ゟ ゟ


skid さんからのコメント
( Date: 2003年 09月 22日 月曜日 01:04:00)

高木弥三郎著『最新速記術講義』(京文社書店、昭和10年)は横組の活版印刷なのですが、くの字点は縦に組まれていて、下の行間へ飛び出しています。
行間がちょうど文字の大きさと同じため、下だけに出しているようなのですが、くの字点の後に読点のコンマ(,)がある場合は上下へ出して、くの字点の下に合わせた位置にコンマを組んでいます。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 10月 18日 土曜日 00:14:29)

誤植の可能性が低くはっきり左横書きに「|」(縦の長音符号)が使われている例を見つけました。

といっても、タイプ打ちの図書カードです。

早稲田大学図書館の昭和30年代に作成されたと思われる図書カードに見られます。たとえば、

へ22
8130
150〜153
名探偵登場 I至IV
早川書房編集部訳編
昭和三一年二至六月
1-4 洋小(ハヤカワミステリブツクス)

の中のカードは、すべて横書きですが、著者名・作品名に見られる長音符号がすべて縦向きです。いくつかを挙げると:
150 失くなつたネツクレ|ス(英・J.フツトレル撰・砧一郎訳)
152 総理大臣の失踪(英・A.クリステイ|撰・高橋豊訳)
153 ボ|ダ|・ライン事件(英・M.アリンガム撰・宇野利泰訳)
この「撰」というのもよくわかりません。「|」は縦向きの長音符号のつもりです。


NISHIO さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 26日 水曜日 01:44:08)

別スレッド「日本語の右表記はいつから…」に書いた、屋名池 誠『横書き登場』(岩波新書)に、横書き文で縦書き用記号を使っている例が図版入りで出ていました。

ひとつは、夏目漱石の自筆資料のうち『それから』の創作メモ。明治42年。
  「ウェ|バ|」、「へクタ|」、「ワ゛ルキ|ル」(原文は左横書き)

もうひとつは、昭和21年10月2日付『岐阜タイムス』(現岐阜新聞)の第1面写真のリード。
  「グンリ|ゲ・ンマルヘらか左」「ツツニ|デ・ル|カらか左列後ろ」など。(原文は右横書き)

日本語の右表記はいつからなのですか? 


posted by 岡島昭浩 at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック