Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 05月 29日 木曜日 19:45:25)
これは何なんでしょう? 私もよく存じませんが、宮沢賢治の『猫の事務所』にこういうところがあります。
四番書記は竃{かま}猫でした。猫は暖かいところで寝るのが好きですからね。すると、「灰猫」はさしずめ、竃の中や、長火鉢か何かの中で寝る、しつけの悪い猫なのではないでしょうか?
竃猫というのは、これは生れ付きではありません。生れつきは何猫でもいいのですが、夜かまどの中にはいってねむる癖があるために、いつでもからだが煤{すす}できたなく、殊に鼻と耳にはまっくろにすみがついて、何だか狸のような猫のことをいうのです。
と思い、『大辞林』で「灰猫」を引いてみると
火を落としたかまどの中に入って暖をとり、灰だらけになった猫。かまどねこ。と、ここで俳句に詠まれる景物のひとつ(季節・冬)であることがわかります。
「―のやうな柳もお花かな/おらが春」
道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2003年 05月 30日 金曜日 07:34:08)
Yeemarさん、ありがとうございました!「一つ学問をしました」。
masakim さんからのコメント
( Date: 2003年 05月 31日 土曜日 05:34:57)
改造社版『俳諧歳時記(冬の部)』(昭和22年11月30日発行;例言・凡例は昭和8年)には次のように書かれています。(原文は正字・旧仮名です)
竃猫(かまどねこ)
[季題解説]猫は冬になると縁側の日向とか、暖炉の上とか、囲炉裏ばたとか、暖いところを追つてあるく。丁度よく温もりの残つたへつついの上などは最も好むところで、いつまでもその上に香箱を作つて目を細くしてゐるものである。時には火の落ちた生あたゝかい竃の中にもぐつてゐて、灰だらけになつて出て来ることもある。これを竃猫として新季題に入れることは言葉としても熟してゐるし、ちよつと面白い。
当時はまだ季語として認められていなかったようです。講談社版『カラー図説 日本大歳時記』(昭和58年11月24日発行)には「かじけ猫 灰猫・竃猫・へっつい猫・炬燵猫」として例句12句と共に載っていますが、解説の最後に「『竃猫』は富安風生氏の造語である」と書かれています。
寅さんの啖呵は川崎洋『かがやく日本語の悪態』(草思社 1997年5月26日)の157〜158ページに引用されています。
masakim さんからのコメント
( Date: 2003年 05月 31日 土曜日 05:55:20)
投稿してから、鈴木棠三『新版 ことば遊び辞典』(東京堂出版 昭和56年11月15日)で見たような気がしたので調べてみると、IIしゃれ むだ口(756ページ)に載っていました。
結構毛だらけ 結構結構というとき、または、結構ということばをまぜ返す戯言。〔俚言集覧〕
▽結構毛だらけ灰だらけ〔時代子供うた〕
▽結構毛だらけ猫灰だらけ〔伊豆・駿河・出雲〕
▽結構毛だらけ穴だらけ
▽結構毛だらけ猫の穴
▽結構毛だらけ猫灰だらけ、けつのまわりは糞だらけ〈伊豆〉
道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2003年 06月 01日 日曜日 10:43:42)
masakimさん、ありがとうございます。上記、二冊とも、書棚の奥にあるような気がしますので、確認してみます!昔は「猫」と人間の距離は、今より近かったのですかね・・・もちろん、猫好きの方にとっては今も昔も変わりないかと思いますが、マンション住まいでは距離も遠くなりますねぇ。住まい方の変化、というわけでしょうか。
▽結構毛だらけ猫灰だらけ、がっこの生徒は墨だらけ
というのを祖父が良く言っておりました。こういった言い回しは地方によっていろんなバリエーションがあるようですね。