謝罪の意味の「スマン(すまん)」を「スマソ(すまそ)」としている表記が最近急激に増えているような気がします。お気づきでしたでしょうか。最近ではカタカナではなくひらがなで堂々と「すまそ」と表記している例も見かけます。
この現象はいつごろからでしょうか。また、他にもネット上特有の表記(顔文字は別としても)はあるのでしょうか。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 06月 14日 土曜日 12:05:45)
〈インターネットもどき〉のことを「イソターネット」と書くことは、90年代前半からあったような気がします。「木ームページ」というのはそれよりは新しそうです。
キーボード位置の対応から、NTTをミカカとするのは、〈ネット特有〉と言えるのかは不明ですが、コンピュータならではでしょう(仮名タイプ時代からあったのかもしれませんが)。
「すまそ」とひらがなで書くと言うことは、表記から語形にまで及んだ、ということになり、語形レベルでのネット特有の表現については、いろんなところで書かれていますが、一部、いつ頃から見た、という情報があるところもありそうです。今、すぐには示せませんが。
skid さんからのコメント
( Date: 2003年 06月 14日 土曜日 14:19:12)
ネット上特有の表記は、とりあえず『2典』(バーチャルクラスター発行、ブッキング発売、2002年)という2ちゃんねる辞典に‘いぱーい’載ってます。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 06月 14日 土曜日 19:39:13)
掲示板の語句は、管理プログラム等による削除を回避するために、わざと変わったことば遣いをするのですね。以下関係記事です。
悪意を探し出すことが、清水正己さん(26)の仕事の一つだ。/ 企業や個人を相手に、インターネットに関連する様々なサービスを提供している東京都渋谷区の企業ガーラで、「辞書チーム」に身を置く。/ チームは5人。犯罪につながる言葉やわいせつな表現、差別用語などを集めて、「不適切用語集」として会社のコンピューターに登録しておく。顧客企業のホームページに送りつけられる不穏な書き込みを見つけ出し、はじき返すためのキーワードにする。〔略〕/ とりわけ、過激な言葉が飛び交う「2ちゃんねる」の中の掲示板には、誹謗{ひぼう}中傷があふれている。「市んじまえ」という書き込みも9月に見つけた。「すまん」は、べつに差しさわりのあることばでもなく、言い換えの必要もないものですが、「市ね」などと尋常ならぬ言い換え表記を多用する人は、ことばを異化する趣味が「すまん」(スマソ)だの「まったり」(マターリ)だの、べつに差しさわりのないことばにまで拡張されるのでしょうか。(「朝日新聞」2001.10.19 p.38)
パソコン通信の時代にも使われた「みかか」(「今月はみかか代〔電話代〕がかかってこまる」)が何となくユーモラスな雰囲気を持っているのとは異なり、「市ね」「逝ってよし」「オマエモナー」「マターリ」などのことばは、血の通った人間の会話という感じが薄いと思います。私自身は使いたくありません。
「スマソ」の祖先にあたる用字法として、「エノケン」(榎本健一)を「エノケソ」とするなどがあります(ネットのことばではありませんが)。
とにかく、あの時代以後、喜劇の世界では、エノケンの人気は一世を風靡{ふうび}いたしまして、「喜劇の王様」なんていうふうにいわれた。エノケンのニセモノが現れまして、地方を回って歩いたそうであります。ポスターのまん中に大きく、エノケン来る! と書いてある。ところが、エノケンのンの字がよく見るとンでなくて、ソ。エノケソ。なんでありまして、客が文句をいってきても、/「あなたがよくポスターを見ないからです。そそっかしい人がいて、困るんだよネ」/なんて逆襲される。この「エノケソ」のエピソードは他の人も書いていたように思いますし、類例もあるでしょう。(小沢昭一・宮腰太郎『滋養豊富・元気の素 小沢昭一的こころ』新潮文庫 1986.02.25発行 p.271)
後藤斉 さんからのコメント
( Date: 2003年 06月 15日 日曜日 14:50:41)
>〈インターネットもどき〉の...「イソターネット」
についてはリンク先をご参照ください。発祥は1996年2月より少し前で
あるようです。下記サイトに代表されるような使い方はインターネットが
一般に普及してからでてきたものと考えられますので、1995年以前に遡る
のは難しそうです。
とりあえず見つけた早い例は1995年12月6日のものでした。
http://groups.google.co.jp/groups?hl=ja&lr=&ie=UTF-8&oe=UTF-8&threadm=DJ5x1A.2ps%40ics.tj.chiba-u.ac.jp&rnum=77&prev=/groups%3Fq%3D%25E3%2582%25A4%25E3%2582%25BD%25E3%2582%25BF%25E3%2583%25BC%25E3%2583%258D%25E3%2583%2583%25E3%2583%2588%2B%25E3%2581%2582%25E3%2581%2595%25E3%2581%25A0%26start%3D70%26hl%3Dja%26lr%3D%26ie%3DUTF-8%26oe%3DUTF-8%26scoring%3Dd%26selm%3DDJ5x1A.2ps%2540ics.tj.chiba-u.ac.jp%26rnum%3D77
>何年か前には、こんなに「イソターネット・フィーバー」になって、
>個人向けプロバイダがここまで普及するとは、想像もしてませんでし
>たが…
これには、翌日付で
>>何年か前には、こんなに「イソターネット・フィーバー」になって、
>細かいギャグを…:-p
というツッコミがはいっていますので、初例に近いと言ってもいいのでは
ないかと考えられます。
→ イソターとは
後藤斉 さんからのコメント
( Date: 2003年 06月 15日 日曜日 15:24:46)
こっちにリンクを張るほうがよかったですね。
→ fj.news.usage Name yourself along with your organization's name (article and site)
skid さんからのコメント
( Date: 2003年 06月 15日 日曜日 16:39:07)
『2典』に「香具師」(ヤシ=ヤツ)が載っていないということは、ここ1年以内の流行でしょうか。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 06月 15日 日曜日 17:59:18)
イソターネットについては、私自身が、パソコン通信経由でテキストのみの情報を見ていた時代(Netnewsなども読んでいました)に、知った言葉であったように思っていましたので、1994-5年であったのかと思いましたが、95年も末なのですね。その頃の私はパソ通経由ではなくなったものの、14400bpsで繋いでいますから、たしかにイソターでした。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 09月 15日 月曜日 06:27:05)
こんにち、「奥さん」のことを「奥」と言うだろうか(『日本国語大辞典には載っています)と思い、「"彼の奥が"」でGoogleで検索してみると、わずかに数件ヒットした中の大部分が「2ちゃんねる」のサイトです。いずれも「浮気相手の彼の奥さん」で使われている模様。「奥さん」を略していう、これも2ちゃんねるのことばでしょうか。
「もしもし。わたくし、木村の奥でございますが」「あっ、奥さんですか、どうもこれはわざわざ」
などという使い方が一般にあり得るかどうか考えているところです。ちょっとなさそうですね。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 09月 21日 日曜日 23:33:57)
「連投」というのは、比喩的な表現と思ったら(「小泉続投」などと同じように)、「連続投稿」なのですね。
hiroy さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 17日 水曜日 06:16:33)
「某巨大掲示板」(とネット上では呼ばれていますね)の用語集ですが、「2典Plus」というサイトがあります。どなたも触れられていなかったので、一応リンクを掲載しておきます。2004年2月27日で開設1周年とのこと。
→ 2典Plus
booko さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 17日 水曜日 14:39:55)
「スマソ」というのは、ネット特有のことばなんですね。
私は、話し言葉でよく使われる「すんまそん」(「すみません」を
ちょっとおどけた感じで言いたいときに使う)が「スマソ」の
ように聞こえるので、それをそのまま表記したのだという印象を
受けました。
「イソターネット」があるところをみると、おそらく「ソ」と
「ン」を混同するということはあるのですね。
ローマ字入力では考えられないことですが、かな入力で最初から
カタカナにしておけば、あり得ることなのでしょう。
しかし、ちょっと見てみただけなんですが、「スマソ」を使って
いる人が、同じページ内の他の単語で同じように「ソ」と「ン」を
混ぜて使っている例は、少ないように思います。
「インストール」「コミュニケーション」「インター」「ライオン」
「ジャングル」「バージョン」「マンガ」「ネーミング」「キャンペーン」
などの言葉では、多くの人がそのまま「ン」を使っているようです。
同じページ内で「ケソ」「ゴメソ」を使っている人も、1人だけ
発見しました。(しかも半角カタカナ)
BBSの、タイトル部分では「スマソ」、本文中では「スマン」を
使っている人も1人います。
@カタカナ入力で「ソ」と「ン」を混同
A口語「すんまそん」と「スマソ」は似て聞こえる
B「スマソ」はネット用語として定着した
のように考えたのですが、いかがでしょう???
booko さんからのコメント
重複削除
hiroy さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 18日 木曜日 05:19:14)
恥ずかしながら、当方「すんまそん」は知りませんでした。ネットで検索してみると、たくさん使用されていますね。方言、或いは若者言葉でしょうか?
「スマソ」や「イソターネット」の起源が、「ン」と「ソ」が混同されたため、とはちょっと思えませんが……。少なくともJIS配列では離れていますよね。単に字形が似ているから、ということなのだと思います。
ところでその某巨大掲示板では「俺」のことを「漏れ」と言う人がいますが、上掲の「2典Plus」によると、
漏れ【もれ】[名]
「俺」の意。
2ちゃんねる誕生以前からUG系掲示板ではしばしば使われていた単語で、誰かが「俺も俺も」を「俺漏れも」と誤変換したことが始まりと言われている。今はブームは下火だが、好きな人は今も使いつづけている。
だそうです。真偽のほどは定かではありませんが、「俺も俺も」→「俺漏れも」説には、思わず納得してしまいました。
→ 2典Plus:漏れ
道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 18日 木曜日 10:05:11)
酒井順子『負け犬の遠吠え』(講談社、2003,10初版)の42ページに、
「バーチャルな女性に萌え感を覚えるわけで」
とあります。「萌え」が使われています。
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 18日 木曜日 10:39:57)
「スマソ」「イソターネット」……
ン→ソの例が多いような気がしますが、逆に、ソとあるべきところをンで表記した
例はありますか? 多分、あるとしてもごく少数のような気がするのですが……
(どうしてそうなるのか。出現位置と頻度がカギかなと思ってますが、特殊拍という
ことはとりあえず(あくまでも「とりあえず」)置いておけると思いますが。)
佐藤 さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 18日 木曜日 13:08:12)
あ、単に、「故意にンをソに記す」というルールがあって、その逆のルールがない、
ということかもしれませんね。(ただ、そういう一方通行がルールとして認知され
た
理由を考えるなら、上に記したようなことに注意してもよい、ということか)
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 18日 木曜日 14:02:55)
「ソ」とあるべきところを「ン」にする可能性ですが、
> (どうしてそうなるのか。出現位置と頻度がカギかなと思ってますが、
ある国語辞典では、カタカナことばとして語中・語尾に「ソ」が出てくる例はわずかに30語(「メゾ・ソプラノ」のような複合語を除く)。そこから「トルソー」「シャンソン」のように長音・撥音が続く例(これらは「ソ」を「ン」にすると「トルンー」「シャンンン」のように発音できないことばになる。もっとも、字で書くぶんには「ンンブレロ」でも「トルンー」でも「シャンンン」でもかまわないわけですが)を引くとわずかに15語になってしまいます。すなわち:
アイソトープ、オーソドックス、オーソリティー、カーソル、カソリック、ガソリン、サキソホン、パーソナリティー、パソコン、パラソル、フィロソフィー、ペーソス、ペソ、ヤソ教、ラプソディー。(われながら、奇妙な調査をしてしまいました……)
この中で、「パンコソ」(ぱんこそ)という表記はネット上であり得るかと思って検索してみると、散発的にはありました。(一般的ではなく、某巨大掲示板の用語というわけでもない。)
いっぽう「ン」が語中語尾に来る語は調べていませんが、いくらでもあるでしょうから、「故意にンをソに記す」ほうが断然やりやすいということになりますね。