2003年07月30日

どうも ありがとう(角田圭子)

明治38年生まれの義父(福島県生れ/東京育ち)に「どうもありがとうございました」といったら、「どうもありがとうですか、これはこれは」と笑われた記憶があります。昔は「どうも、ありがとう」とはいわなかった、「どうもおかしい」とか「どうもいけない」とか使うモンだ、と。
「どうも〜」なんて軽く挨拶してしまう昨今ですが、いつ頃から「どうもありがとう」が普通になったんでしょう? 「全然いい」みたいな感じでしょうか?


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 07月 31日 木曜日 02:08:23)

あたかもお義父さんとおなじことを、柳田國男の、昭和初期に84歳で亡くなったおじいさんが言っていたそうです。孫たち(柳田たちということ)が「どうもありがとう」と言うと、おもしろそうに笑ったのだそうです。柳田の解説によると、「どうも」は、もともと「どうしても、いかに考えてみても」ということで、熟慮の末に使うものだったのが、「ありがとう」のような軽いあいさつに付いたのがおかしかったというのです。『毎日の言葉』に載っているエピソードです。

ずっと飛びますが、1965年に評論家三宅艶子が〈お礼なら「どうもありがとうございます」簡単にしたいのなら「ありがとう」と言って欲しい〉(「暮しの手帖」1965.12)と書いており、彼女は「どうも+ありがとう」はOKだったようです。


道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2003年 07月 31日 木曜日 07:55:31)

昭和天皇がおっしゃってなかったでしょうか?「どうもありがとう」


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 07月 31日 木曜日 12:29:48)

慶應3年生まれの夏目漱石は使用していますね。
「どうもありがとう。だれが転任するんですか」(坊ちゃん)
あと「三四郎」や「明暗」にあります。

昭和八年から使われている国定読本第四期(サクラ読本)にも見えますから、このころには文部省公認なわけです。

「イヤ、ワタシハ、モウヂキ下リルノダカラ、カマハズ、オカケナサイ。」
ト言ヒナガラ、アツチヘ行キカケマシタ。
「ドウモ、アリガタウ。」
ト、ニイサンガ言ヒマシタ。
「アリガタウ。」
ト、私モ言ヒマシタ。(三年上、電車)

また、
「どうもありがたう。ほんたうに、むりな事を言つてすまなかつたね。」(同、少彦名のみこと)


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 07月 31日 木曜日 12:37:22)

昭和八年と言えば、浅野信『巷間の言語省察』(中文館書店)で、「どうもありがとう」の略「どうまり」が載っていますから、略語の本体である「どうもありがとう」は、かなり流布していたのではないでしょうか。

浅野信『巷間の言語省察』メモ


posted by 岡島昭浩 at 15:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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