2003年10月20日

ずば抜けるの「ずば」(道浦俊彦)

「ずぬける」の「ず」は、「図」か「頭」かと思って辞書を引いてみると、ともに当て字で、本来はそのどちらの漢字でもないそうで、驚きました。それで、関連の「ずば抜けて」の「ずば」とは何か?が気になります。この「ずば」は何なんでしょう?擬音語でしょうか?


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 10月 25日 土曜日 23:15:52)

素朴には擬音のように思われます。ただし、「擬音+動詞」という語構成の語がごくふつうに作られるかどうか、いちおう検証してみる価値はあります。

「擬音+居体言(つまり動詞の連用形と同じ形の名詞)」ならば、以下のような例が思いつきます。「どしゃ降り」「ざあざあ降り」「だだ漏り」「じゃじゃ漏れ」(これは『日本国語大辞典』になし)「どか食い」「びしょ濡れ」「がた落ち」「ずる剥け」「ごろ寝」また「ぱっと見」「ぽっと出」。もっとも、私の思いつく例はこのあたりでネタ切れです。

「擬音+動詞」は、なかなか思いつきませんが、脳みそをしぼってみます。「ぶら下がる」「すっぽ抜ける」古いところで「そよ吹く」「ほほ笑む」「(鷲が)かか鳴く」「(馬が)いな鳴く」「(雨が)そぼ降る」、また、特異例として「びしょぬれて」も。

「すっぱ抜く」は、「特ダネをスッパ抜く」の場合、「すっぱ」とは忍者の意、「抜く」は盗むであって、忍者が盗むように特ダネをとってくるということだと、よく説明されます(例、さくら銀行編『ことばの豆辞典第2集』知的生きかた文庫、柴田武『知ってるようで知らない日本語3』ごま新書。語源説の出所は〔松屋筆記・大言海〕らしい)。しかし、もうひとつ意味があって、「刀をすぱっと抜く」ことを「すっぱ抜く」とも言うそうです。こちらは素直に「擬音+動詞」と解していいでしょう(「特ダネをすっぱ抜く」も、本当に忍者と関係あるのかどうか、語構成から見て問題はないか。「素っ破のように抜く」のが「素っ破抜く」だとして、「韋駄天のように走る」を「韋駄天走る」と言えるか)。

「すっぱ抜き」は、また「ずば抜き」とも言うそうで、そうすると「ずば抜ける」との関連性が考えられます。

もっと「擬音+動詞」の例を多く挙げてみたいところですが、「ずば抜ける」が「ずばっと抜ける」ではないかという思いは強くなりました。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 01日 土曜日 09:05:15)

「擬音+動詞」は(「擬音+名詞」に比べて)一語化しにくいのか、しなくてもよいのか。
「どしゃーっと降る」は「どしゃーっ降る」と言えるが、
「どしゃーっとした降り」は「どしゃーっ降り」とは言えず、「どしゃぶり」と連濁して一語化せねばならない。

副詞など連用はト抜きが可能だが、連体ではそうではなく、一語化せねばならないことと並行的です。臨時一語を作ってみれば、「のんびりとした走り方」は「のんびりばしり」

何が言いたいのか、自分でもわからなくなりそうですが、Yeemarさんの「ぐるー回って」へリンク。

ぐるー回って


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 01日 土曜日 09:49:27)

「にたにた笑い」「くすくす笑い」「がはは笑い(ガハハ笑い)」も1語ですね。一方、「?しくしく泣き」「?めそめそ泣き」はあまり聞かれないので、下の居体言により造語力に差がありそうです。

また、「ぐい飲み」(杯のことをも言う)。「ぐい」は「ぐいっと」でしょう。「つるっ禿げ」も例に入れてよいかどうか。「つるつる頭」と同じく、「禿げ」に動詞の意識がほとんどなくなっているならば、例としては不適。

「擬音+動詞」の複合語の例は、なかなか追加例が見つかりません。「情態副詞+動詞」と見かけ上区別がつきにくいので、作りにくいのでしょうか。仮に作るとしても、「ぶらぶら下がる」を一語化させるためには、そのままでは「情態副詞+動詞」と区別がつかないため、「ぶら下がる」のように、「ぶら」を一つ除いて形を変えなければならない(これは「擬音+居体言」の場合もある程度まではそうですが)。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 02日 日曜日 20:58:33)

「擬音+居体言」は、「ずぶ濡れ」「ざく切り」「ぶつ切り」「べた塗り」「べたぼめ」「べた惚れ」「微酔(ほろよい)」「ぐるぐる巻き」「よちよち歩き」も。「ばら売り」は(ばらっと売るのではないので)違いますね。

「擬音+動詞」のほうは、「ちょん切る」。「ぶん回す」は「ぶんぶん回す」ではなく「打ち回す」でしょうか(「ぶん殴る」「ぶん抜く」も「打ち―」か。あるいは「分捕る」もそうか?)。

「かち割り」「かち割る」は「搗ち―」で、「かちんと割る」ではないのですね。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 02日 日曜日 22:11:47)

方言だけれど「ちょちょ切れる」はどうだろう、と思っていましたが、「ちょん切る」には思い至りませんでした。

ちょちょ切れる


道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 11日 火曜日 19:07:11)

すみません、11月2日に岡島先生が書き込まれた分の文が見られないのですが、どんな内容だったのでしょうか?


posted by 岡島昭浩 at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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