大阪の堺市で、酪農会社が牛の死体を無許可で処分していたというニュースが流れました。その中で読売テレビでは「牛の死体」と表現したのですが、NHKは「死んだ牛」と表現していました。辞書によると、人間もほかの動物も「死体」とするとありますが、「牛の死体」には違和感があるという声もありました。「死体」と「死骸」の区別は、どのあたりで線を引けるのでしょうか?虫は「死骸」ですよね。哺乳類は「したい」でもいいのかな、とも思います。物理的な「大きさ」が基準でしょうか?でも、「食用」にするものとそうでないものは、違うようにも思いますし・・・。
最近、テレビのニュースでは、人間の場合はほとんど「遺体」を使うので、動物なども「死骸」から「死体」へと相対的にランクアップしたのでしょうか?
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 02日 火曜日 18:03:56)
かつて「8時だョ!全員集合」の食堂のコントで、客の加藤茶かだれかが「おやじさん、この○○って料理はどうやって作るの?」と聞いたのに対し、おやじのいかりや長介が「これはだな、魚(または牛、豚だったか?)の死体を切り刻んでだな……」と言っていたのがおかしかったという記憶があります。「死体」という言い方がなまなましくてギャグになるわけで、NHKの表現はそのあたりを考慮したものでしょうか。
辞書では「死骸」も人に使って問題なしであるようですね。また、べつに「死骸」→「死体」→「遺体」と「序列」があるわけではないと思います。ですが、私の感覚ではこんな感じです:
・「虫」は「死骸」
・「のら犬・のら猫」は「死体・死骸」
・「食用牛」は何とも言えず(食料だから)。言うとすれば「死んだ牛」
・「パンダ・飼い犬・飼い猫」は情がどれだけ移っているかによって「死骸・死体・遺骸」(ただし『朝日新聞用語の手引』によれば「×<遺体>パンダの遺体→○パンダの死体 *「遺体」は「死体」より丁寧ないい方で、獣には用いない」。たしかに、「遺体」は「「死体」に比べて人格性をこめていう」(大辞林)だそうだから、さすがに「パンダの遺体」は不適切だと思います)
・ふつうの「人」は「遺体」(推理小説なんかでは「死体」。報道では「遺体」。『放送で気になる言葉』改訂新版 p.31では「「この事故で、現場には死体が残されており〜」の用例で、「死体」は生々し過ぎるのではないかと指摘があった」)
用例を調べると違ってくると思います。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 02日 火曜日 18:16:50)
いや、「ゴキブリの死体」と言うから、「虫・のら犬・のら猫」は区別なく「死体・死骸」と言いそうです。
「遺骸」をパンダには使えると言いつつ人には使えないとするのはへんなようですが、私は「〜骸」は人に使いにくい感じをもちます。
NISHIO さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 03日 水曜日 02:34:04)
家畜は「屠体」が一般的だと思います。⇔「生体」
事故死や病死の場合は「死体」ですが。
ちなみに「屠体」は広辞苑、大辞林、新辞林になし。
新辞林は「屠畜」もありませんでした。
hiroy さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 06日 土曜日 06:39:04)
「死体」と「死骸」ですが、私の個人的な感覚では、以下のように使い
分けています。
・「死体」 → 死後、まだ血液や体液などの水分が相当残っている状態
・「死骸」 → 血液や体液などの水分が相当なくなり、干乾びた死体
換言すれば、「生々しいかどうか」ということでしょうか。
「死体」→「死骸」と変化することはあっても、「死骸」→「死体」と
変化することはない、ということになります。
従って私の場合、動物、昆虫など、植物以外の全ての生物に対して「死体」
「死骸」共に使用します(但し人間は例外)。例えば「ゴキブリの死体」も
使いますが、一般的に昆虫の場合はすぐに干乾びてしまうため、「死骸」
の方を使うことが多いように思います。「牛の死体」も特に違和感ありま
せん。
人間については「死体」「遺体」「遺骸」を使いますが、「遺体」と
「遺骸」の使い分けは不明確です。