2004年03月24日

ひっぺがす(道浦俊彦)

「ひっぺがす」は、「引き」+「剥がす」がくっついたのだと思っていました。しかしそうすると、なぜ「はがす」の「は」が「ぺ」になるのかが不思議でした。でももしかしたら「へがす」あるいは「へぐ」という言葉があるのかと思って辞書をみると、あるではないですか!
でもまだ、確信がもてないのですが、「ひっぺがす」は「引き」+「へがす」なのでしょうか?
また、「はがす」と「へがす」はどちらの言葉が古いのでしょうか・「日本国語大辞典」では「はがす」は万葉集から、「へがす」は1700年代の書物から用例がありますが、「はがす」の方が古いのかどうか?「はがす」が変化して「へがす」ができたのかどうか?
「はぐ」と「へぐ」(あるいは「はがす」と「へがす」)に意味の違いはあるのか?
方言なのかどうか?
ご教示ください。よろしくお願いします!


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 24日 水曜日 18:28:54)

「へがす」の用例は新しくても、「へぐ」が古くから有るようですから、「へがす」が新しいことばである、という風に断定することは出来ないでしょうね。

「はぐ」と「へぐ」の違いなどは、調べてみないと分かりませんが、「へぐ」は「減る・減す」と関係有りそうですね。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 24日 水曜日 19:07:10)

「へぐ」ということば、方言辞典によれば、現在では静岡県、島根県などで使われているということですが、私は小さいころ、郷里の香川でしばしば聞いたような気がします。NISHIOさんならばご存じかもしれません。

使い方は、「竹ひごをへぐ(けずる)」「ゴムへらについた生クリームをへぐ」という感じでしょうか。本体と一体化した薄いものを引き離すという語感があるように思います。(今、古語辞典を見てしまったので、ちょっとその記述に引きずられているかもしれませんが、郷里ではだいたいそんな感じだったと思います。)

「こそげる」に近いのか。「こそげる」は、鍋にくっついた焦げなどを棒などで粉々にして離すもので、またちょっと違います。

「はぐ」は、「ふとんをはぐ」というように、本体と一体化していなくてもよいように思います。

「ひっぱがす」と「ひっぺがす」の違いはあまり感じませんが、「愛し合う二人をひっぱがす(ひっぺがすは密着している場合?)」「柱にくっついた千社札をひっぺがす(ひっぱがすも可)」という微妙な用法の違いがあるように思います。

あくまで私の語感です。

「はぐ」のほうが「へぐ」よりも意味が広くてよく使われてきたということは言ってよいのではないでしょうか。


NISHIO さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 25日 木曜日 02:02:50)

「へぐ」「へぎ」はよく聞きました。
木の皮をへぐのは「剥く」に近い。木材を薄くへいで「へぎおり」を作るのは、表面をカンナなどで薄く削り/剥ぎ取るイメージです。削り/剥ぎ取った薄片のほうが主役。半乾きの餅を薄くへいで「へぎ餅(かき餅)」を作るのも同様です。「竹ひごをへぐ」は、私の感覚とはちょっと違います。

「へぐ」は方言だと思っていたのですが、改めて辞書を引いてみるとふつうに載っているのが少々意外でした。

■新明解国語辞典
 ひっぱが・す【引(っ)剥がす】(他五)〔東部方言〕力を入れて(無理に)剥がす。
 ひっぺが・す【引っぺがす】(他五)〔東部方言〕ひっぱがす。
 へがす(他五)〔口頭〕〔「はがす」と「へぐ」の混合〕 はぎとる。[自動]へげる(下一)

■東京堂出版『日本俗語大辞典』
 ひっぱがす(引っ剥がす)[動](「ひきはがす」の変化した形)乱暴に引き剥がす。荒っぽい語感。
 ひっぺがす(引っ剥がす)[動]「ひっぱがす」に同じ。[江戸]
 へがす[動]はがす。[江戸]

■旺文社『全訳古語辞典』
 は・ぐ【剥ぐ】(他ガ四)(1)物の表面をむき取る。はがす。
 へ・ぐ【剥ぐ・折ぐ】(他ガ四)薄く削りとる。はがす。また、減らす。

■『広辞苑』
 は・ぐ【剥ぐ】 [一]《他五》(1)表面をむきとる。はがす。へがす。
 へ・ぐ【剥ぐ・折ぐ】 [一]《他五》(1)薄く削りとる。はがす。むく。日葡辞書「イタヲヘグ」
 はが・す【剥がす】 《他五》はぎとる。ひきむく。「ポスターを―・す」「生爪を―・す」
 へが・す【剥がす】 《他五》はがす。へぐ。
 へぎ【折ぎ・剥ぎ】 (1)へぐこと。(2)「へぎいた」の略。(3)「へぎおしき」の略。〈日葡〉(4)「へぎおり」の略。
 へぎ‐いた【折板・剥板】  杉または檜の材を薄く剥いだ板。へぎ。
 へぎ‐おしき【折折敷・剥折敷】  へぎいたで作った折敷。へぎ。
 へぎ‐おり【折ぎ折・剥ぎ折】  へぎいたで作った折箱。へぎ。「―にすしを詰める」
 へぎ‐もち【折餅・分餅】 (→)欠餅(2)に同じ。
 かき‐もち【欠餅】 (2)餅を薄く切って乾燥したもの。あぶり焼いて食す。

■東京堂出版『上方ことば語源辞典』(堀井令以知編)
 ヘギ「折」と書き、杉や桧の材を薄く剥いで作った折箱。「ヘギにご馳走入れて持っていこ」。
  〔語源〕ヘギイタの略で、室町時代から使われている。薄く板を削り取るヘグから。


道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 25日 木曜日 07:38:50)

アナウンサーの滑舌練習でやる「外郎(ういろう)売り」のセリフの中に「へぎほしはじかみ」というのが出てきますが、その「へぎ」の意味がようやくわかりました!「へぐ」ンですね。そして「干す」んですね。そうした「はじかみ」なんですね。
ところで辞書を見ると「はじかみ」は、「さんしょう」だったり「しょうが」だったりするんですが、「へぎほしはじかみ」の「はじかみ」は、どっちなんでしょうか?山椒?生姜?


posted by 岡島昭浩 at 17:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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