オ段の伸びる言葉の送り仮名は 基本的には ”う” と書き 例外として 氷(こおり)、通り(とおり)、覆う(おおう)等 と 書くように 学校 で習いましたが
発音を基準に送り仮名を書いたら すべて ”お” に なると思うのですが なぜ
”う”と ”お” とに 書き分けるのでしょうか?(文部省が決めた事とは思いますが)。
また 例として ”高騰”は ”こうとう” という 文字 が先にあり それを読む時
”こおとお” と 読むのか 、それとも ”こおとお” と 読むが 送り仮名を書く時は ”こうとう” と 書くのか 教えてください。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2000年 4月 30日 日曜日 14:14:22)
現代仮名遣い(昭和六十一年内閣告示第一号)では、
ウ列の長音となっています。つまり、「オー」と延ばす場合は、「おう」と書くのが原則であるのはr-chiefsさんのお習いになったとおりですね。
ウ列の仮名に「う」を添える。
例 おさむうございます(寒) くうき(空気) ふうふ(夫婦)
うれしゅう存じます きゅうり ぼくじゅう(墨汁) ちゅうもん(注文)オ列の長音
オ列の仮名に「う」を添える。
例 おとうさん とうだい(灯台)
わこうど(若人) おうむ
かおう(買) あそぼう(遊) おはよう(早)
おうぎ(扇) ほうる(抛) とう(塔)
よいでしょう はっぴょう(発表)
きょう(今日) ちょうちょう(蝶々)
現代仮名遣いは、「語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とし、一方、表記の慣習を尊重して一定の特例を設けるもの」(前書き)です。かならずしも発音通りではなく、読みやすいように特別の規則を設けてあります。
たとえば、「わたしわ」とせず「わたしは」として、助詞を明示するなど。
「おとおさん」とせず「おとうさん」とするのも、読みやすさを顧慮してのことなのでしょう。(「お」は語頭によく使い、「う」は語中で長音によく使うなどの役割分担を意図したのでしょう。)
ただし、下記の語については「表記の慣習を尊重して」、「お」と書くことになっています。このことが、ダブル・スタンダードだとして評判がよろしくない。
おおかみ おおせ(仰) おおやけ(公) こおり(氷 郡) こおろぎ ほお(頬 朴) ほおずき ほのお(炎) とお(十)これらの語は、歴史的仮名遣いでは「ほ」と書いたものです。たとえば「ほお(頬)」は「ほほ」と書いたし、今でも「ホホ」と発音する人もいます。「ほのお」も、「火の穂」という語源を考えると、「ホノ・オ」と発音したくなる。
いきどおる(憤) おおう(覆) こおる(凍) しおおせる とおる(通) とどこおる(滞) もよおす(催)
いとおしい おおい(多) おおきい(大) とおい(遠) おおむね おおよそ
これらの語は、長音であるという意識が乏しい人もいるので、「おうかみ」のような書き方はしないことにした。
もっとも、語源意識は人によって違うので、当然混乱は起こります。中学3年のときの「公民」の教科書には「友だちどおし」(同士=どうし)とあったし、手もとの本でも「感情移入がうっとおしくなる」(うっとうしく)、「型紙のとうりフェルトをチョキチョキ」(とおり)など、よく見かける表記です。
「高騰」は、中国から輸入したころに kautong (←これ不正確)とかいう発音だったのを日本風に「カウトーン」とか「カウトウ」(←これも不正確)とか発音していたのが、やがて「コートー」と発音するようになったものでしょう。歴史的仮名遣いの「かうとう」は、昔の発音を反映していると思われます。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2000年 4月 30日 日曜日 22:28:53)
>これらの語は、歴史的仮名遣いでは「ほ」と書いたものです。
上のうち「とお(十)」は、「とを」と書きました。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 5月 01日 月曜日 9:33:51)
「おお/おう」について、発音の違いがある、とした人が居ます。Yeemarさんがお書きになった、「(「おお」が)長音であるという意識が乏しい人」ということになります。
オをwoと発音する場合(地方・時代)などに、「おう」が「woo」であるのに対し、「おお」が「wowo」であるようなことがあったようです。
しかし、ずっと以前のことですが、NHKの『クイズ面白ゼミナール』で、鈴木健二氏が東京語の発音においてもこの区別があるかのように説明していたのには、首を傾げました。これをやると、アクセントによって書き分けようとする人が出て来かねないのです。「高低」を「おう」と書き、「低 高」を「おお」と書きたくなるわけです。
ちょっとご質問の意図から外れました。