掛け声の「せーの」とか「いっせーの」というのは、やはり、「斉の」「一斉の」なのでしょうか。確たる証拠はあるでしょうか。
天野修治 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 05日 水曜日 9:06:25)
なるほど「斉の」ですか。実は私も自分の掲示板で同じことを問い掛け、「セーノ」は「精の」かな、とも思ったのですが。「斉の」の方がよさそうですね。
いきなり話を広げて申し訳ないのですが、たしかちょっと前までは「どっこいしょ」と言って座るおじさんやおばさんを笑っていたはずの自分が、気が付いてみると座るときに同じ掛け声を口にしています。
この「どっこいしょ」はどこから来たのだろうか?
私が最初に思い起こしたのは「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」という山参り
の行者などの唱える言葉です。しかし「どっこい、そうはさせるものか」と相手の
行動を遮るときの掛け声と同じものだとすると、「どこ(何処)」から来たのかも
しれません。民謡などの囃子詞(はやしことば)の「ハアーどっこい」とたぶん同
じ根から来ているのでしょうが、どうもわからない。
他の掛け声、例えば「よいしょ(よいさ・よいやさ)」(良いしょ?)もどこから来ているのか分からない。便乗ですが、お知恵を。
http://shibuya.cool.ne.jp/brn
言魔 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 06日 木曜日 18:47:33)
埼玉県南部、昭和40年代の小学生だった私の仲間内では
「いっせーのーせ!」
という掛け声が使われておりましたが、なにか関係があれば..
森川知史 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 09日 日曜日 9:42:09)
発言者の「月読」さんの趣旨からは、少しずれますが、私は「いっせーの」というかけ声がいつ頃から使われだしたのか気になっています。私(48歳・京都市生まれ)は、「いっせーの」を使わず、「せーの」と言っています。広辞苑5版にも「いっせーの」の項目はなく、「せえの」だけが記載されています。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 09日 日曜日 23:08:52)
私のコメントは反映されていなかったのですね。また明日にでも書き込みます。寿岳論文の存在などについてでした。
月読 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 10日 月曜日 14:09:11)
「いっせーのせ」の年代については私も興味があります。また、ほかの掛け声についても、どなたかお分かりでしたら、話題を広げてください。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 11日 火曜日 15:25:35)
「せーの」報告書、という名の寿岳章子氏の論文は『国語語彙史の研究十六』所収です。
イッセーノセーは、富山県と名古屋から報告されています。報告者は、森川さんよりも年長の方だと存じますが、ご本人が幼少時に使用したものであるのかかは不明です。
読者から寄せられた情報として、日本の陸軍で使用されていたフランス語の号令のよるものではないか、という説があったそうです。
用例が探しにくい、ということですが、私の見付けた用例はまたのちほど。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 11日 火曜日 15:56:51)
まずは陸軍関連から、
徹子 池部さんは陸軍なんですよね?
池部 ええ。僕は陸軍の輜重隊――今の輸送部隊だ。
徹子 まあ。陸軍が……。それで海へ飛び込んでどうなったんですか。
池部 恐怖心がないから、「せいの、ドボーン!」つって。
(中略)
池部 ええ。それで、船の上からロープたらさせて……そしたらご存じのようにね、水からあがると、着物の中に水がしみ透るでしょう。まあ、重いのなんのって、これであがんないのよ。「せいの、せいの」ってやっとこさっとあがってきて、
朝日文庫『徹子の部屋2』(昭和60.3.20発行)昭和51.12.22放送
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 11日 火曜日 23:19:09)
上の「池部」は、池部良です。
さて、小松 左京『やぶれかぶれ青春記』 「「バカ」「アホ」の工場労働」
鋳物工場から、まっ黒けの顔をした連中が黒い鋳砂まみれの鋳物をのそのそゴロゴロ手押し車でひいてきて、黒い顔から眼をギョロリと光らせ、
「セエの!」
といって、鋳物をガラガラとあける。
(中略)
のそのそゴロゴロ、「セエの!」ガラガラ、バシャリ、シュー、チョン、ガリガリ、のそのそゴロゴロ、「バカ」「アホ」ゴトンゴトン「サボリ!」「非国民!」ゴロゴロ……
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 11日 火曜日 23:20:14)
ひょっこりひょうたん島 第七八回(昭和三九年七月三日)
図書館の回転ドアのところ。すでに牛乳びんがおいてある。そこへ新聞がドサッ! 博士、回転ドアのそばへやってくる。
博士 わア、牛乳と新聞がとどいたらしいぞ。せーの!
博士、回転ドアをまわす。ドア、まわるにつれて、牛乳びんと新聞を内部へ運びこむ。
『ひょっこりひょうたん島(3)』p480
一九九一年一月二十九日第一刷発行
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 11日 火曜日 23:21:23)
倉本聡『北の国から後編』p243
一九八一年十二月 第四刷 理論社
和夫「行くぞ!」
クマ「セエノ!」
一同「よッ!!」
一同、丸太を持ちあげ、下の丸太と直角に合わせる。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 11日 火曜日 23:23:15)
最後に、民謡の掛け声系。無関係かもしれないが、源流かもしれない。
今 東光「夜の客」
音頭取りは隣村から日当もらって雇われるという繁昌に、女だてらにお栄も高い桟敷にあがって、群集が、
「音頭とりよオ。こウら。どッこいしょう」
と、はやしたてると、
「エー皆さまア。たのみますウ。これからはよオ。いやせエのオ。この掛け声でエ……」
などと、いっぱし声を振りしぼった。
小駒勝美 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 12日 水曜日 11:15:22)
井上ひさし「ブンとフン」の例です
長官も偽ブンのもう一方の手をとった。
「きみにわしは、すべてを賭けとるんじゃ。さあ、悪魔ちゃん、新しいブンを外にひっぱりだそう」
「ええ。せーの!」
「どっこいさのせ!」
すっぽん!
偽ブンはひっぱられて外へとびだした。なんとなく下半身の線がたよりない。よたよたしている。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 12日 水曜日 14:37:44)
井上ひさし「ブンとフン」、有難うございます。新潮の100冊ですが、なぜか私の手元ではひっかりませんでした。なぜでしょう。
それはさておき、「せーの」の前の「ええ」は相づちなんでしょうね、「ええっせーの」じゃなくて。
小駒勝美 さんからのコメント
( Date: 2000年 7月 13日 木曜日 11:40:01)
>「せーの」の前の「ええ」は相づちなんでしょうね、「ええっせーの」じゃな
>くて。
はい。 間に「。」が入っていますから、相づちだと思って読みました。
井上ひさしさんの手書き原稿は他の作家のものと比べ物にならないほど一字一字
丁寧にはっきりと書かれています(現在はワープロになりました)。ですから、
句点と読点を見誤るようなことはまず考えられないと思います。
逆に、平岩弓枝、阿刀田高のお二人の原稿は、手書き原稿を見ても句点と読点の
区別がほとんどわかりません。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2000年 12月 07日 木曜日 12:30:10)
車中のラジオで、NHK第1放送「朗読の時間」。本日11時30分頃。「いっせーのせ」と「父」と「わたし」が声を揃えて穴からはい上がる。
どうやらエッセーらしい。高木美保『木立の中に引っ越して』とかいう本らしい。本日は第5回目の朗読とのこと。たしか女優さんですよね。舞台は那須かどこからしいのだが。「父」はどこの人なのでしょう。
岡島 昭浩 さんからのコメント
( Date: 2001年 6月 28日 木曜日 17:57:04)
『言語生活』143(1963.8)によれば(和田実氏の書評)、坂口保『方言ところどころ―ことば・兵庫県―』(のじぎく文庫S38)に、
一人が石油カンを井戸の中へ投げ込んで合図をすると、他の二人が「セェーノ」「セェーノ」(丹波のかけ声である)と威勢よく引き上げる。とあるようです。
宇野千代「淡墨桜」に言及があるとのこと。