1997年03月19日

濁点雑感(Yeemar)

 「田一枚植て」は私の目にもヨゴレかなにぞのように見えるのであります。他の個所、たとえば19丁オの

>>ごてんはやぶさなと云おそろしき難所有

の「ご」「ぶ」などをみれば、今日われわれが書くごとく左右に点が付されていますが、「田一枚植て」のところでは点が縦に連なっているからであります。

 話はややそれますが、「いろはうた」の「あさきゆめみし」はどう読まれてきているのでしょうか。小松英雄氏の『いろはうた』などでは「浅き夢見じ」ですし、係り結びから言っても「し」は助動詞キの連体形ではないほうがいいように思いますが、マンガの『あさきゆめみし』を書店でみるたびに気になってしまいます。

「て」「で」


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1997年 3月 19日 水曜日 16:54:09)

 Yeemarさん、どうも。
 「目についたことば」のほうで、出典をちゃんと書いてませんでした。
 『日本古書通信』1997-3(通巻812)の、佐藤良雄「思い出すままに(110)」でした。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 14日 土曜日 8:53:44)

拙ホームページで、「て・で」について触れさせていただきました。

出典不明示の部分が多い、アヤシい内容になっていますが、ご批正を
いただけますれば幸いです。

「すむと濁る」


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 16日 月曜日 15:56:40)

 直接は関係しませんが、Yeemarさんの文章を読んで思い出したこと。

 文庫本が好きな私は、古本屋で文庫本をよく見ます。福岡のある本屋でのことでしたが、わざわざ白い紙でカバーをして手書きで題名が書いてある文庫本がありました。背表紙は日焼けしてよく見えませんが、「ーー抄」と見えます。え、抄物か? 毛詩抄かな、ともうすこし目を近づけてみると、「集石抄」とあります。抄物じゃないか、なにか随筆かな。「鶏肋」とか「鼠璞」とか「燕石」とかそうしたところからの連想です。
 手にとって、開いてみてびっくり。右から「沙」「石」「集」と書いてあったのです。つまり「沙石集」。岩波文庫でした。古本屋のやったことか旧蔵者のやったことかは知りませんが、背表紙に縦書きで「集石抄」ですからね。参りました。

 「墓・馬鹿」の改訂には座布団を差し上げたいです。
 「世の中はすむと濁るの違いにて」シリーズでもやりましょうか。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 25日 水曜日 19:35:04)

 コメントありがとうございました。書き込みが遅くなりまして申し訳あ
りません。

 「集石抄」のエピソードありがとうございます。岩波文庫「沙石集」の
初版は戦局が悪くなってきた1943年のことのようなので、紙質も最悪だっ
たのではないでしょうか。

>>「墓・馬鹿」の改訂には座布団を差し上げたいです。

 とのおことばに調子に乗りまして、別ツリーで「すむと濁る」を試み
たいと存じます。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 24日 水曜日 17:32:23)

「日国.NET」の「小林祥次郎の 発掘日本のことば遊び」第11回、「名歌のパロディ」を見ると、私が知りたいと思っていた(そして特に調査もしなかった)「松枯れて竹たぐひなき朝かな」という文句の出典が書かれていました。『要篋辨志』にあるということだそうで、私のホームページの文章「すむと濁る」に「追記」しました。


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 24日 水曜日 17:34:25)

失礼しました、上のリンクはローカル(私のコンピュータ内のファイル)へのリンクでした。

あらためて、「追記」は下記です。

すむと濁る


Yeemar さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 09日 火曜日 12:55:45)

濁点の有無で意味が変わるという話ではありませんが、漢字に濁点を振るという話です。

これがどのくらいさかのぼれるものか、くわしく知らないのですが、近松の浄瑠璃によく出てくるのは見たことがあります。例、「ひぞりしなをし上゛下をばんにかけてうちけるが。」(「今宮の心中」東北大学図書館狩野文庫16オ『近松全集7』p.239)、「それはそもたれ人゛の馬なるぞ。」(「薩摩守忠度」文楽協会山城少掾文庫 巻1 4オ『近松全集7』p.282)

これが現代にも行われるという例については、『しにか』2004.02「街の中の逸脱した漢字」で豚カツ店の名「とん加゛亭」(新宿区若松町)、新宿駅西口のそば店の品書き「天婦゜羅 そば うどん」(これは半濁点)というのを紹介しました。

きのう(2004.03.08)放送の「HEY! HEY! HEY! MUSIC CHAMP」(フジテレビ)を見た人から、「晴晴゛」(はればれ)なるバンドが出演していたことを教えられました。

公式ホームページ(Flash使用)を見ると、2003年3月に命名されたとのことです。ロゴマークでは2字目の「晴゛」の「日」が太陽の絵になっています。

また、下に添えられているローマ字では「hare_h"are」と、「h」に濁点(ダブルクオーテーションマーク)が打たれています。なるほど、「h」にテンテンのほうが「B」を書くよりも日本人の音韻意識には合っているかもしれないと思います。以前「日本語の音韻は欧文字で書けるか」というへんなテーマをポストしたことを思い出します。


岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2004年 03月 09日 火曜日 14:10:12)

 漢字への濁点ですが、音読みの漢字に濁点を付すのであれば、発生当初の形であり、何時から、ということにはなりにくいのですが、訓読みの漢字に濁点を付すとなると、これは濁点の新しい用法となり、いつ頃からであろうか、と気になるところです。

さて、いつ頃でしたっけ。平曲譜本などにも見られたと思れますが、近松とそれほど時代差はありませんね。


posted by 岡島昭浩 at 03:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック