1997年11月19日

ボッタクリとは(ボンビ)


今朝、電車の吊り広告(週刊誌)に「・・・ボッタクリの全手口」とありました。
このボッタクリは、一般化していることばでしょうか。
友人は、ボル(=不当な料金を取る)の変形(名詞形?)ではないかと言ってお
りますが…。

はずかしながら、私ははじめて耳にしました。



小矢野哲夫(KOYANO Tetsuo) さんからのコメント

( Date: 1997年 11月 19日 水曜日 9:51:50)


「ボッタクリ」という用語は、大阪ではごく普通に使っています。「ぼる」「ぼられる」も使います。
大阪の学生用語に「ボッってる」という「てるてる言葉」があります。流通範囲は不明ですが、商売をしているものが、法外な料金を請求している状態を表しているようです。
動詞の「ぼったくる」から名詞の「ぼったくり」が派生し、さらに短縮形の「ぼる」が生じた、という経路が考えられると思います。
「ぼってる」は、動作の継続状態場面に遭遇したときに使うように思います。あるいは、「ぼったくり」の常習犯に対してなら、「あいつ、ぼってんなぁ」という言い方もするかもしれません。



satopy さんからのコメント

( Date: 1997年 11月 19日 水曜日 13:08:59)


 ボッタクリといえば、あの、その、何ですね、ほら、あれですよ、あれ。その方面の、言わば客の欲に付け込んで、どんどん金を巻き上げるっていう、あれですね。多分、関東では、その意味(全然わからないかも知れませんが)が一番よく使われるように思います。

 ボルという言い方にヒッタクルがまざって(混淆して)できた言葉だと思ってました。あるいは、関西でさかんに使われているとのことですので、それが関東に来たのかもしれません。



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1997年 11月 19日 水曜日 15:03:55)


ボルというのは、「暴利」を動詞化したことばであると、『日本国語大辞典』には出ていますが、『東京語辞典』(大正6年)には、「貪る」の略言としています。しかし「ぼりちゃや暴利茶屋」「ぼりや暴利屋」という項目も有って、「暴利」との関連も思わせます。語源説としては他に、「掘る」から来た、という説も読んだような気もします。

 一方、ボッタクリ・ボッタクルですが、こちらの方は、「追いたくる」から来ているのではないか、という気がします。『日本国語大辞典』では別の項目にしていますが。「おったくる」が「ぼったくる」に変化することはありうることです。
 あるいは、「追いたくる」の意味の「ボッタクル」に「ボル」が影響を与えたのかもしれませんね。



森川知史 さんからのコメント

( Date: 1997年 11月 19日 水曜日 22:28:18)


ボンビさんは、どちらにお住まいなのでしょうか?
「ぼったくり」を11月の19日まで御存知なかったとは、なんとやんごとない方か、と思いました。
satopy さんが詰まり詰まり説明なさっているので、もうお分かりでしょうが、「やらずぼったくり」
と関西では使います。いつ頃から使われるようになったのか、もう既に分からないくらい関西では長
らく使われている言い方です。決して品のいい表現ではありませんが。
どうして、全国に広まる関西弁というのは、品の悪い「どぎつい」ことばが多いのでしょうね?



ボンビ さんからのコメント

( Date: 1997年 11月 20日 木曜日 10:33:19)


多くの方のコメントありがとうございます。
ニュアンスとして、全く想像がつかなかったわけではありませんが…。
Satopyさん・岡島先生の言を借りれば、(ボル+ヒッタクリ+追ったくる)÷3=ボッタクリ
ということでしょうか。
また、森川さんは、やんごとない方と持ち上げ?ておられますが(気を使って)、単なるモノ知らず
でした。
でも、「フォーマルな場では使いにくい日本語の一つ」は事実のようですね。

ちなみに、私は、中国生まれ(日本人です)、1/3を九州で、以降2/3が東京暮らしです。
馬齢は結構重ねております。



Yeemar さんからのコメント

( Date: 1997年 11月 20日 木曜日 21:15:01)


 しばらくお待ちを。

 『新明解国語辞典』には、初版以来「ぶったくる」および「やらずぶったくり」が立項されていました。

>>ぶっ たく・る[4]:[4](他五)〔口頭〕(一)無理に取る。奪う。(二)
>> 法外に もうける。「バーでぶったくられる〔=非常に高い料金を取られ
>> る〕」[名]ぶったくり[0]「やらず――」(第5版より)

 ではというので『日本国語大辞典』を見てみますと、やはり「ぶったくる」「やらずぶったくり(「やる」の項に)」があって

>>ぶっ-たく・る【打手繰】《他ラ五(四)》(1)暴力などでむりにうばいと
>> る。強奪する。ふんだくる。ひったくる。*談義本・八景聞取法問-四・
>> 貧報の批判「能うも能うも大金をぶったくらうとしたな」〔以下略〕

 のように「打手繰」の表記が示されています。「やらずぼったくり」は奈良県・岡山県の方言であることも示されています。

 するというと、もともとの「ぶったくる」と「ぼる(暴利を取る)」とが混淆して出来た形が、「ぼったくる」という可能性も? 意味も、〈無理矢理奪い取る〉から〈法外にもうける〉に特化されているようです。



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1997年 11月 23日 日曜日 12:27:43)


 Yeemarさん、なるほど。「ぶったくり」ですか。この語の存在は「ぼったくり」を考える上で忘れてはならないものですね。



森川知史 さんからのコメント

( Date: 1997年 11月 23日 日曜日 15:21:33)


私もYeemar さんからのコメントを読んで、手元の5冊の辞書を調べてみました。
なるほど、「ぼったくる」の項目はどの辞書にもなく、「ぶったくる」がすべての辞書に記載されています。
これはYeemar さんの一本勝ちですね。

ただ、『日本国語大辞典』の「やらずぼったくり」が奈良県・岡山県の方言である、との記述は如何なもので
しょう?奈良と岡山ってどう理解すればいいのかな?



通行人 さんからのコメント

( Date: 2000年 7月 28日 金曜日 12:37:35)


東京都条例で「ボッタクリ」法案が今朝の新聞に載っています。



畠中敏彦 さんからのコメント

( Date: 2000年 11月 04日 土曜日 17:34:31)


通行人さん↑に関連し、
H12.11.4付朝日新聞夕刊の泉麻人の週末流行語大賞「ぼったくり」で
次のように掲載されていました。ご参考までに。

...「ひったくり」は広辞苑にも載っているが、「ぼったくり」の
方はない。「ぼっ」の部分はおそらく「ぼる」(もとは暴利の変形と
される)を意味するのだろう。...

と。



道浦俊彦 さんからのコメント

( Date: 2000年 11月 04日 土曜日 22:29:58)


「大阪ことば辞典」(堀井令以知)及び「大阪ことば事典」(牧村史陽)に、「ぼったくり」は載っておりました。



道浦俊彦 さんからのコメント

( Date: 2000年 12月 27日 水曜日 20:44:19)


ぼったくりの金額が5万円以下のものを、「プチぼった」というそうです。かわいいですね・・・って、かわいくないよ!


posted by 岡島昭浩 at 09:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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