1999年03月30日

「国文法(へ)の近道」?(Yeemar)


 日本語学ではない、しかし言語学がご専門の、ある先生と話し
ていたとき、

 「『国文法の近道』という本がありますね」

と言われました。「あの本は、一見、論理的に書いていないよう
に読めますが、背後に隠れた一貫した論理があって、読者にとっ
て理解しやすい」

「はいはい」と、私はあいまいな返事をしたのですが、実はその
本を知りませんでした。「国語学への道」(時枝誠記)とか「仮名
遣近道」(一条兼良)なら知っているが、「国文法の近道」とは?

 その場ですぐ「そんな本は知りませんが?」と問い返せばよかっ
たものを、見栄を張ったために後悔しています。話はそこからす
ぐ横へそれてしまったため、内容についてのヒントがこれ以上
ありません。ちょっと調べたところ、そのような書名は探し出せ
ませんでした。「国文法への近道」と「へ」が入っていたかもし
れません。

 「近道」という書名からして受験参考書のような趣でもありま
すが、有名な本なのでしょうか。

 まったくお粗末な次第ですが、お教え願えれば幸いです。



Yeemar さんからのコメント

( Date: 1999年 3月 30日 火曜日 11:13:04)


↑読み返してみて、われながらばかな内容ですが、少し恥の上塗りを。

 この書名が出たいきさつはこうです。

 およそ聞いて分かりやすい話というのは、必ずしも論理的に整った
統一体をとっていない。論文の文章は、「こうだから、こうだ」と論
理で押してゆくものだけれど、講話で同じことをやって、それが分か
りやすくなる保証はない。

「そんなものでしょうか。論理的に話したほうがよく分かるような気
がしますが」
「うーん、違うんだなあ、たとえばあなたの分野の本かもしれないが、
『国文法の近道』という本がありますね」
「はは」
「あれを読めばわかりますよ」
「成程々々」

なにが成程なものか。しかしこう書いていると、やはりこれは「国語
学への道」のような読み物のことではないかという気がしてきました。



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1999年 3月 30日 火曜日 17:50:15)


小西甚一氏が『古文研究法』と同じような感じで、つまり学習参考書風に書いたものの中に、そうしたような題名のものが有ったような気がいたします。不確かで申し訳ありません。NACSISのwebcatで、著者から引いても出て来ませんでした。



Yeemar さんからのコメント

( Date: 1999年 3月 30日 火曜日 21:18:24)


ありがとうございます。

日本書籍出版協会の検索で小西甚一氏を調べると出てきま
した。

国文法ちかみち 小西 甚一 著 1976 \981 洛陽社

「〜近道」などで方々を検索していましたが、ひらがな
とは盲点でした。

高校生向けの参考書のようです。いったいどのような論理
構造で書いているのか、(そのうちに)読んでみたいもので
す。


社団法人日本書籍出版協会



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1999年 3月 31日 水曜日 18:06:44)


 探り当てられて良かったですね。

 持っていたのじゃないかと思って、研究室に来てから文法書の置き場を見たのですが、見当たりませんでした。学参類の置き場はどこだっけな。



岡島昭浩 さんからのコメント

( Date: 1999年 4月 08日 木曜日 17:19:20)


ありましたありました。「おわりに」に、

体系ということをあまり重視しないわたくしは、理解しやすいということを主にして、いちおうばらばらに解きほぐし、あちこちに織りこみ、これまでに見てきたようなふうに説明してきた。だが、わたくしの頭のなかには、ちゃんと体系があるのだから……
というようなことが書いてありました。



Yeemar さんからのコメント

( Date: 1999年 4月 09日 金曜日 21:47:36)


するというと、やはり読んでみなければなりませんね。
注文してみます。



Yeemar さんからのコメント

( Date: 1999年 9月 25日 土曜日 18:19:32)


下記はその感想文的なものです。
疑問点だけを取り上げていますが、全体として私にとっては
おもしろく、勉強させていただきました。


昔の東大の入試問題



かねこっち さんからのコメント

( Date: 1999年 9月 25日 土曜日 21:37:35)


小西甚一「国文法ちかみち」が当掲示板で過去に話題になっていたのですね。

かれこれ、26、7年ほど前でしょうか。小生、高校時代から受験生の時までこの本にお世話になりました。

「国文法ちかみち」はYeemar さんの検索結果ですと1976年洛陽社刊となっていますが、小生の高校時分には既に定番の参考書でしたから、1976年は、おそらく初版の出版年ではないでしょう。
黄緑色に赤の帯状のカバージャケットであったかと記憶しています。
「五十音を間違いなく○分以内に書きなさい」なんていうのがはじめの方にあったはずです。
最後までマスターしたかどうかはどうも記憶に定かではありません。(笑)
同じ著者の「古文研究法」は既に当時の受験生から名著とされていました。(こちらは小生には歯が立ちませんでした)

小生、ここにお邪魔するようになったのはごく最近のことですので、数少ない「お役に立てる」チャンスを逃してしまっていたようです。
しかし、なにしろ目も記憶も「国文法ちかみち」でインプット済みですから「国文法の近道」では気がつかなかったかもしれません。

5、6年前でしょうか、年長の友人から「面白い俳句の本がある」といわれ、それが小西甚一「俳句の世界」であるとわかりましたので「その著者の参考書で昔、勉強しました」といいますと「その参考書を教えろ」と大変興味を示すものですから、件の2冊を購入し、進呈し、随分喜ばれたことがあります。

ほかにも、知り合いの息子さん(受験生)へプレゼントしたり、学生時代に家庭教師をした時の自分の「予習用」に再度購入したり「国文法ちかみち」はかれこれ、4,5冊は買っているのではないでしょうか。
今も実家にあるはずです。

出来が悪いのに、勉学をおろそかにしていたあの時を思い出し、懐かしさと後悔とが半ばするような、フクザツな心境であります(笑)


posted by 岡島昭浩 at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ■初代「ことば会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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