ここではきものを
Yeemar
- 04/5/10(月) 20:29 -
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ここではきものを
の続きです。いわゆる「ぎなた読み」の例などについて。
「毎日新聞」ホームページにて、「宮内庁:「皇后さまの和歌を曲解」 週刊朝日に善処要請」の記事を知りました。
要旨は:『週刊朝日』2004.04.30に掲載された皇后の和歌の切り方が間違えて解釈されていると宮内庁が指摘。1963年、当時の美智子妃が香淳皇后の誕生日を祝って
白珠(しらたま)はくさぐさの色秘むる中さやにしたもつ海原(うなばら)のいろと詠んだ。それをジャーナリスト渡辺みどりさんが「さやに・したもつ」=「はっきりと上と下とで色が違う」、すなわち「あの貴い方のお心のうちは、海原の色のように、その時々に変化し、理解するのは難しい」と意訳。そりゃあんまりだというわけで宮内庁が苦情。正解は「さやにし・たもつ」、すなわち「真珠がさまざまな色を秘めながら、清(さや)かに海の色をとどめている」とのこと。
「清に下持つ」か「清にし保つ」かという解釈の違いというわけでしょう。
「さやに」は、万葉集「笹の葉は み山もさやに さやげども」などという「さやに」ですね。副詞「さやに」+強め副助詞「し」の連続は、古代にあり得たかどうかはわかりません。近現代の文語体は、古代の文法に則って解釈しようとするとかえってわからなくなることがあります。かといって渡辺氏の「清に下持つ」もおかしいでしょう。