2005年10月17日

「におう」について

【583】
「におう」について
 はゆ
 - 04/12/12(日) 1:02 -
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はじめまして。

数年前から、気になっていたのですが、「におう(匂う・臭う)」を
においを嗅ぐという意味で使うTVタレントさんが増えてきたように思います。

台所用洗剤のCMで洗ったお弁当箱のにおいを嗅がせるのに「におってみて」と
言ったり、異臭がする何かのにおいを嗅がせるのに「におってみぃ」など。
後者は関西弁の人だったのですが、関西では「におう」は、においを嗅ぐ意で
使うのでしょうか?

『「にほふ」は数少ない日本語の自動詞で、主に色彩や美しさ等、人以外の抽
象的なものが主語にくる珍しい言葉だ。』と昔、国語で教わった身としては、
誤用はすごく耳障りなのですが、このまま混濁していってしまうのでしょうかね?



【584】
Re:「におう」について
 道浦俊彦
 - 04/12/13(月) 11:10 -
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ははあ、言われるまで気づきませんでしたが、どうやら関西弁のようですね。自然に使っていますが。関西弁に「におぐ」という動詞はあります。「大阪ことば事典」にも載っています。それが「におう」にまで使われるようになったのですね。



【585】
Re:「におう」について
 NISHIO
 - 04/12/13(月) 20:30 -
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▼道浦俊彦さん:
>関西弁に「におぐ」という動詞はあります。「大阪ことば事典」にも載っています。それが「におう」にまで使われるようになったのですね。


「だるまさんがころんだ」の上方バージョンの
「ぼんさんがへをこいた」の続き(20まで数えるとき)が、
「においだらくさかった」だったような…。


【586】
Re:「におう」について
 道浦俊彦
 - 04/12/14(火) 10:38 -
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▼NISHIOさん:
>「だるまさんがころんだ」の上方バージョンの
>「ぼんさんがへをこいた」の続き(20まで数えるとき)が、
>「においだらくさかった」だったような…。



そのとおりです!私もそれで初めて知りました。京都で言うそうです。さらにそのあと、滋賀では「くさいのはあたりまえ」と言うそうですが。



【587】
Re:「におう」について
 Yeemar
 - 04/12/14(火) 17:47 -
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▼はゆさん:
>台所用洗剤のCMで洗ったお弁当箱のにおいを嗅がせるのに「におってみて」と
>言ったり、異臭がする何かのにおいを嗅がせるのに「におってみぃ」など。
>後者は関西弁の人だったのですが、関西では「におう」は、においを嗅ぐ意で
>使うのでしょうか?


関西を含む西日本に広がっているようです。『日本方言大辞典』にの「におう」の項に「かぐ」の意で京都府、島根県(「このお菓子をにおって見い、少し臭いぞ」)、岡山県、広島市、山口県、徳島県(「よーにおうてみー〈よくかいでごらん〉」)、高知県、熊本県、大分県、鹿児島県などにあります。

また、歴史的には「匂いをかぐ」の意で俳諧・続寒菊(1780)に「徳利匂ふて酢を買にゆく〈芭蕉〉」の句が出ています(これは『日本国語大辞典』第2版から)。

したがって、「においをかぐ」の意での用法は、歴史的・地理的に一定の位置を占めているといえるでしょう。

「におぐ」は、「におう」と「かぐ」の混淆形でしょう。



【588】
Re:「におう」について
 Yeemar
 - 04/12/14(火) 18:29 -
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▼はゆさん:
>『「にほふ」は数少ない日本語の自動詞で、主に色彩や美しさ等、人以外の抽
>象的なものが主語にくる珍しい言葉だ。』


「日本語の自動詞で、抽象物を主語にとる動詞は数が少ない」ということでしょうか。こういうことはあまり考えたことがありませんでした。そこで少し考えてみました。

主語に取る名詞の抽象度がどの程度かにもよりますが、感覚に関る自動詞と思われるものだけでも、「光る」「輝く」「映える」「照り映える」「褪せる」「鳴る」「響く」「とどろく」「香る」など、「におう」以外にもいろいろありそうです。

感覚に関することば以外となると、「増える」「減る」「広がる」「狭まる」「広まる」「高まる」「低まる」……など、抽象物を多く主語にとる自動詞は少なからず思いつきます。(これらはもちろん具体物も主語に取ります。「におう」も「にほふ黄葉」というので、この点は同じ)

――となると、国語の先生がおっしゃった真意はどういうことだったのか、気になります。



【593】
Re:「におう」について
 NISHIO
 - 04/12/15(水) 11:47 -
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▼Yeemarさん:
>関西を含む西日本に広がっているようです。『日本方言大辞典』にの「におう」の項に「かぐ」の意で京都府、島根県(「このお菓子をにおって見い、少し臭いぞ」)、岡山県、広島市、山口県、徳島県(「よーにおうてみー〈よくかいでごらん〉」)、高知県、熊本県、大分県、鹿児島県などにあります。


香川県でも使います。(ま、私の郷里は香川とは言っても元備前国ですけど。)
少なくとも最近の用法ではないし、誤用ともいえないと考えてよろしいでしょうか。



【596】
Re:「におう」について
 岡島
 - 04/12/15(水) 23:27 -
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▼Yeemarさん:
>関西を含む西日本に広がっているようです。


福岡でも使います。三谷幸喜『気まずい二人』の中でも、両親が福岡出身である三谷が使う、という話題がありました。対談相手に同意を求めていたような気がしますが、相手の出身地は覚えていません。


この記事へのコメント
敷島のやまとこころをひと問わば
朝日に におう 山桜ばな  本居宣長

小林秀雄は
この におう を 色が移る ことだと 説明しています
当方門外漢 失礼しました 
Posted by 山本正人 at 2010年11月18日 12:47
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