「○○さん江」の「江」って???
庚
- 05/1/11(火) 11:36 -
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昨日、テレビを見ていてふと気になったのですが。
よく、芸能関係者へ贈る花の上書き(?)や幟等々で、「○○さん江」という表記を目にすることがありますが、これは一体、いつ頃からの習慣なのでしょうか? そして、「へ」ではなく「江」と表記する理由はどんなものがあるのでしょうか?
あまりにもよくある光景なので深く考えずにいたのですが、一旦気になりだしたら止まらず、Googleで検索をかけても理由等々について言及されたページに殆どヒットしなかったこともあって、思い切って投稿させて頂きました。どうぞ宜しくお願い致します。
また。
これと対になる「○○与利」も、改めて考えてみると面白い表記だと思いました。
こちらも、いわれ等々について検索してもヒットしなかったのですが、自分の「利」を相手に「与」えることから来たシャレことばとして考えると、よくぞ思いついた! という感じがします。
【667】
Re:「○○さん江」の「江」って???
Yeemar
- 05/1/12(水) 10:00 -
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▼庚さん:
>よく、芸能関係者へ贈る花の上書き(?)や幟等々で、「○○さん江」という表記を目にすることがありますが、これは一体、いつ頃からの習慣なのでしょうか? そして、「へ」ではなく「江」と表記する理由はどんなものがあるのでしょうか?
とりあえず、ということで、大ざっぱなところをお答えします。花輪やのぼりを贈る習慣の起源は知りませんが、助詞「へ」のつもりで「江」と書きうる時代は、ずいぶん古くまでさかのぼるはずです。要するに「へ」「え」のかなの発音が同一に帰した時代(だいたい平安時代後期)よりこちらならば、助詞「へ」を「江」と書き得たでしょう。
もっとも、私が知る例はもっと新しいもので、たとえば、手元にたまたまある文明年間(15世紀)の武蔵国江古田原沼袋の合戦を記した「太田道灌状」の図版には
同十三日自江戸打出豊嶋平左衛門尉要害江致矢入近辺令放火……とあります。「江」を助詞「へ」として使っています。もっと古い例がいいのでしょうが、手元にありません。江戸時代の御触書などでも「江」は常に用いられています。
>これと対になる「○○与利」も、改めて考えてみると面白い表記だと思いました。
私は「与利」を知らず、「ひいきより」などとふつうのかなで書くか、または「より」を合字(5のような形の妙な文字)で書いてあるのしか見た記憶がありません。「与」も「利」もひらがなの字母として一般的だったので、「与利」という表記は自然に発想されたものでしょう。