初めて投稿します。今日、‘おやじ’
‘おふくろ’という言葉について考えて
いました。まず、‘おやじ’ですが、‘親+父’
と書いて‘おやじ’と読む。父(ちち)という音→(じ)という音へ。これはなんだか納得ができるのですが、‘おふくろの味’の‘おふくろ’はどのように説明すれば良いのでしょうか。
私の仮説:お(丁寧なお)+袋(母体の子宮という意味をこめて)ということなのでしょうか?
これに関連して、現在家族の呼び方について考え中です。例えば同じ‘父’でも、相手によって呼び方が変わってきます。私の場合は、気心が知れている相手には‘お父さん’、それほど心を許していない相手に対しては‘父’などと言っています。一般的にはどうなのでしょうか?また、性別、世代によっても変わってくるのかも知れませんが、この事について何かコメントが頂けるようでしたらよろしくお願いします。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 6月 22日 火曜日 15:03:23)
親族名称は面白いものですね。「おふくろ」はそのように言われることが多いようですが、そうではない、という考え方もあるようです。
話し掛ける相手によって呼び方がかわる、というようなことも含めて、親族名称は、文化人類学であるとか民俗学であるとかの方面との関わりも多いので、論じてあるものは多いようですね。
身内の呼び方の変化については、方言の問題も絡んで来ますね。共通語的にはチチだが、方言では「とうちゃん」だ、というような。西日本では身内を他に話すときでも敬語を付けて話す、ということのようですし。
言魔 さんからのコメント
( Date: 1999年 6月 23日 水曜日 9:21:16)
私、本家が富山県です。幼少の頃から埼玉に住んでますので記憶が
曖昧ですが、確か、長男が「おやじ」で、次男以降が「あんちゃん」
だったような...
ちなみに、私は父を「父上」と呼んでます。多分、小学校高学年まで
「パパ」と呼んでいて、その恥ずかしさからの反動でしょう。母は
「おふくろさん」と呼んでます。
→ 言魔
JIANAXIMEI さんからのコメント
( Date: 1999年 6月 23日 水曜日 10:30:58)
まず、岡本さんのコメントに関して、
>西日本では身内を他に話すときでも敬語を付けて話す
おもしろいですね。以前大阪の人に聞いた話では、自分の父親の事を‘おとっちゃん’とよんでいる、ということでしたが、今度他人に話すときについても聞いてみようと思います。
ということで、西日本の場合は分かりませんが、だいたい呼称の使い分けのポイントは公的な場であるか、そうでないか、というところにあるようです。でもそうとも限らない、という場合もあるかもしれませんね。ぜひご報告頂きたいと思います。
語魔さんのコメントに関して
>長男が「おやじ」で、次男以降が「あんちゃん」
一般的なことかどうか分からないのですが、あんちゃんというのは‘兄’に対しての呼称にしか使われないとばかり思っていました。中国では母親の事を‘娘’と書いてその発音でいうこともあるそうですが、なんだか似ていますね。逆転というか。このような逆転はもしかしたら、いろんなところで起きているのかもしれませんね。すぐには思い付きませんが。
世代による呼称の違いにも興味があります。時代の変化を反映しているのではないかと思うのですが。(多かれ少なかれ。)
森川知史 さんからのコメント
( Date: 1999年 6月 24日 木曜日 18:00:04)
「西日本では身内を他に話すときでも敬語を付けて話す」ということについて、関西人(京都市内)のひとりとして記します。
例えば、婦人が自分の夫について、「ちょっとどう思う?うちの人こんなこと言わはるねんえ」などと言うようなのがそれです。こういう発言を関西以外の人が初めて聞くと、関西ではまだ男女の力関係が旧弊なのか?と勘違いしそうですが、この種の発言は何も<妻が夫に>というような場合ばかりに見られる訳ではないのです。例えば教室で先生が出席をとりながら、「○○さんは、どうしたの?休んだはるの?」のように言うのなどを見ると分かるとおり、この「言わはる」「休んだはる」のような表現は目上・目下に関わらず使われる、ということです。
JIANAXIMEI さんからのコメント
( Date: 1999年 6月 26日 土曜日 22:21:34)
西日本の森川さん、敬語についての情報をありがとうございます。ところで、‘休んだはる’というのはもとをただせば‘休んでいらさる(いらっしゃる)’の ‘い’が抜け落ちて、‘休んでらさる’→ ‘で’と‘ら’がくっついて‘だ’となり、‘やすんださる’→さ行の‘さ’が‘は’と入れ替わり、‘休んだはる’となったものなのでしょうか?(かなり強引!?)
もしそうなのだったら、‘はる’は敬語だと言うことができると思うのですが、目上・目下に関わらず使われる、という使われ方から考えるとどちらかというと‘丁寧語’のような感じですね。私の勝手な想像でかなりいいたい放題なのですが、‘はる’は、もともとは‘敬語’だったものが、使われてこなれていくうちに‘丁寧語’のレベルに下っていったものなのではないか、という気がします。根拠が何もないのでどうしようも無いのですが。
それなら例えば、敬称については西日本の場合どうなんでしょうか?公的な場であったとしても自分の家族のことを他人に話す時、‘さん’‘君’‘ちゃん’‘様’などを‘父’‘母’などの言葉につけて話したりしているのでしょうか。
敬語に対する概念、(もっと言えば人間関係に対する概念)の違いがこういうところで見え隠れしているような気がしてとても興味深いと思います。また何かこの事に関する情報がありましたら宜しくお願いします。
森川知史 さんからのコメント
( Date: 1999年 6月 26日 土曜日 23:46:07)
「休んだはる」の由来は、基本的にはJIANAXIMEIさんのお考えで違っていないと思います。
「休んでいやはる」が縮まったものであることは間違いありません。共通語にすれば「休んでいられる(無論、正しくは「おられる」)」となるでしょうが、ニュアンスから言えばそれほどの敬意はなく、確かに丁寧語と言った方が当たっているでしょう。
「‘はる’は、もともとは‘敬語’だったものが、使われてこなれていくうちに‘丁寧語’のレベルに下っていったものなのではないか」とのご指摘ですが、おそらくその通りだろうと思いますが、何故、丁寧語化したのかと言えば、京都などではより丁寧な(敬意度の高い)言い回しがあるから(「休んでおいやす」「休んどいやす」等)ではないかと考えます。
そして、関係からは下の者にも「はる」のような語が使われるのは、敬語というものが第一義的には聞き手への配慮を示すものでありながら、一方で話し手の「品位」を表すという側面も持っていることがあるように思います。
お尋ねの「敬称」については、現在の関西で、公的な場面で身内に敬称を付けるということは、基本的にはないように思います(旧くはあったように記す本もあるようですが)。
JIANAXIMEI さんからのコメント
( Date: 1999年 6月 30日 水曜日 23:41:46)
>何故、丁寧語化したのかと言えば、京都などではより丁寧な(敬意度の高い)言い>回しがあるから(「休んでおいやす」「休んどいやす」等)ではないかと考えます。
>一方で話し手の「品位」を表すという側面も持っていることがあるように思います
とても興味深く思います。都のあった京都ならでは、ということでしょうか。「はる」が話し手の「品位」を表す、ということですが、この語感は私が日常使っている丁寧語「です」「ます」からは、あまり感じられるものではありません。その点で、やっぱり「はる」を一般的な丁寧語とおなじ物として扱うことはできないのかもしれませんね。「はる」をつける事によって自分の品位をアピールする、ということが、京都の方の気質(京都人気質)の一面を反映していると考えることはできないでしょうか。
>お尋ねの「敬称」については、現在の関西で、公的な場面で身内に敬称を付けるということは、基本的にはないように思います
この点では全国どこであっても同じ事がいえるのかもしれませんね。現在私の周辺の人に数人聞いた所では、やはり、家族の中で使っている呼称が一番バラエティーに富んでいるようです。面白いのは、年齢と共に、呼称が変化していることで、中学生あたりから変化する傾向があるようです。まだほんの少しに人にしか聞いていないのではっきりとしたことではありませんが。
森川知史 さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 04日 日曜日 22:23:52)
「はる」の使用例を思いつきましたので、ひとつ。
6歳になる娘が菓子の「おっとっと」を食べながら、「何で<おっとっと>
って言うの?」と問うので、「京都では魚のことを<おとと>と言うんや」
と説明した後、「池をのぞき込んで女の娘がこんな風に使うんやよ」と
取り上げた表現です。
「いやぁ、ぎょうさん、おととが泳いだはるわ」
JIANAXIMEI→のぞぞん さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 08日 木曜日 0:09:59)
JIANAXIMEIっていうのは一応中国語の音をローマ字であらわした時の私の名前なんですが、そろそろ嫌気がさしてきたので、高校の頃呼ばれていた「のぞぞん」というのに改名します。今後ともよろしくお願いします!?
ところで、森川さんのご報告により、「はる」が一段と謎めいたものになってきてしまいました。
「いやぁ、ぎょうさん、おととが泳いだはるわ」
の発話者は、この場合誰なのでしょうか?また、「はる」は男の人でも使うのでしょうか?
それにしても、あの「おっとっと」が京都弁の「おとと」から来ていたとは初耳です。以前、テレビのCMで夫とおっとっと・・とかやっていましたね。そういえば。こうやってみるとお菓子の名前って結構おもしろいですね。「トッポ」だとか、「ハッピーターン」だとか。
森川知史 さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 08日 木曜日 14:20:13)
確かに、あの菓子の名が京都弁の「おとと」から来ている(魚の形をしているはずです)というのを知らない人は多いのかもしれませんね。
ところで、「いやぁ、ぎょうさん、おととが泳いだはるわ」との発言の主は、一応「女の娘」との設定です。男の人(年輩まで)も「はる」を使いますが、上記のような言い回しは男性のものでないのは勿論です。
のぞぞん さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 09日 金曜日 20:39:33)
「はる」は女の娘がつかうと、品が感じられて良いということのようですね。ところで、女の子が「はる」という言い方をするようになるのは年齢でいうと、何歳くらいから何でしょうか。そして、「はる」というのは標準語で考えるとどのような言葉にあたるんでしょう。意味ではなく、使われ方的に。方言でも性別によって使われやすいものと、使われにくいものってあるんですね。ぎょうさんというのは男も女も関係無いのでしょうか。しかもぎょうさんという単語を変換すると仰山というのがでてきます。うーーん・・・・?
森川知史 さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 10日 土曜日 9:58:07)
おそらく「はる」に相当することばというのは、共通語には存在しないと思います。女の子が何歳頃から「はる」を使うようになるのか、とのご質問ですが、「はる」の使用は年齢・性別を問わずかなり一般的に使われているのではないか、と思います。むしろ、「はる」を何に適用するかという点に微妙な差異があるように感じます。
「ぎょうさん」の場合も、その使用に男女差はありません。
のぞぞん さんからのコメント
( Date: 1999年 7月 14日 水曜日 22:45:17)
ご回答ありがとうございます。「はる」を何に適用するか、ということですが、具
体的にはどのような例があるのでしょう?
>「はる」の使用は年齢・性別を問わずかなり一般的に使われているのではないか、と思います。
丁寧語が自分の品位を表すということは、自分の品位を意識し始める年齢に達していないと丁寧語は正しく使いこなすことができないように思います。なんとなく。漫画の<さざえさん>で、いくらちゃんが「〜ですウ」とよく言っていますが、あれなんかもきっとそういうことなんじゃないかなあ、と。
それにしても、家族言葉はかなりおもしろいです。いままで身近な人5、6人に聞いたところ、家族内での家族の呼び方は中学生前後、または二十歳前後、等で何らかの変化が見られることが多いようです。気恥ずかしくて名前の呼び方を変えるという場合がほとんどのようです。語感について考えさせられる今日このごろです。