方言で翻訳する
岡島昭浩
- 05/2/27(日) 22:24 -
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外国語などを方言で訳すのは、「役割語」に限らず、いろいろとあると思います。
『青春の和辻哲郎』所引、谷崎潤一郎が和辻の脚本「夜の宿」を評した文(『新思潮』第5号)で、
露西亜の下層社会の語を訳すのに、日本のべらんめえ言葉を以てしたのは、甚適当なことである。(p128)
としています。
和辻哲郎の劇は、明治文学全集の75にも入っていますが、これではないですね。
【749】
Re:方言で翻訳する
岡島昭浩
- 05/3/1(火) 11:40 -
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日本語倶楽部『【方言】の不思議』青春BEST文庫1993.1.5のp212-213の「『ヴェニスの商人』のシャイロックが関西弁を喋るわけ」を見ると、『ヴェニスの商人』(中野好夫訳)で、中野好夫氏がシャイロックに関西弁を喋らせているかに見える。
中野好夫訳『ヴェニスの商人』は、『シェイクスピア大全』にも入っていて、読むことが出来るが、ここでは関西弁は使われていない。
『方言の不思議』巻末の参考文献にある、木津川計『上方の笑い』(講談社現代新書 S59.1.20)が、その出典であるようだ。p53-54に見える。
これは、中野好夫『シェイクスピアの面白さ』(新潮選書)の中で書かれているもので、
ネチネイと悪がらみするように吐露していくこの件り、著者にはどうも東京弁の標準語でいくよりも、あの関西弁の上方人金貸しという映像でひそかに描いてみる方が、はるかにぴったりくるような気がするのである。とのこと。木津川氏は「大阪弁はいたく傷つけられた」と書いておられる。