厳父、尊父
道浦俊彦
- 05/3/10(木) 5:09 -
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訃報などでよくお目にかかる表記である「厳父」「尊父」ですが、これは「実父」と「義父」によって使い分けをしていると聞いたことがあるのですが、国語辞典では確認できません。実際のところどうなんでしょうか?
また、「母堂」にはそういった区別があるのでしょうか?
もうひとつ、「ご母堂様」は、「母堂」が尊敬語だとすると「ご」と「様」が付いて丁寧すぎるような気もしますがどうなんでしょうか?
【761】
Re:厳父、尊父
畠中敏彦
- 05/3/15(火) 18:14 -
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▼道浦俊彦さん:
>「ご母堂様」は、「母堂」が尊敬語だとすると「ご」と「様」が付いて丁寧すぎるような気もしますがどうなんでしょうか?
ご指摘のように「ご母堂様」は「ご」、「様」、「母堂」と3つも
尊敬語があるにもかかわらず、僕自身はあまり違和感はもちません。
一方、「様」が過剰な尊敬語?である「各位様」、「先生様」は、
かなり違和感がありますが、みなさんはどうですか。
【762】
Re:厳父、尊父
NISHIO
- 05/3/16(水) 21:57 -
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▼畠中敏彦さん:
>ご指摘のように「ご母堂様」は「ご」、「様」、「母堂」と3つも
>尊敬語があるにもかかわらず、僕自身はあまり違和感はもちません。
「母堂」の敬意がほとんど薄れているからでしょうね。
「ご母堂」では尊大な感じですし、「母堂様」は据わりが悪い気もします。
で、「お殿様」と同様の構造になったのではないかと。
あるいは「おみおつけ」の類。(これは尊敬語ではなく丁寧語の重畳ですか)
>一方、「様」が過剰な尊敬語?である「各位様」、「先生様」は、
>かなり違和感がありますが、みなさんはどうですか。
各位=「みなさま」ですし、役職名はそのまま敬称になるはずですね。
とくに、「先生様」は卑屈な感じがして背中がむずむずします。
私の職場では役職名に様は付けないことになっています。
ただ、取引先宛の文書やメールでは、たとえばたんに「総務部長」とか、
「山田部長」だけではぞんざいな気もするので、「総務部長 山田様」
のように書くこともあります。
電話で相手から「(田中)部長さんはいらっしゃいますか?」のように
言われるのは、あまり違和感を感じなくなりました。
【763】
Re:厳父、尊父
NISHIO
- 05/3/16(水) 22:36 -
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▼道浦俊彦さん:
>訃報などでよくお目にかかる表記である「厳父」「尊父」ですが、これは「実父」と「義父」によって使い分けをしていると聞いたことがあるのですが、
私もダテに歳くっていますが初耳です。
職場で回ってくる訃報(同報メール)は、「○○部○○課○○様ご尊父」の
ような件名で、「ご厳父」は見たことがありません。
# 実際には「厳父・慈母」ではなくて「慈父・厳母」かも知れません。
# 近頃は「甘父・干母」も多いようですし。それは我が家か…
# いずれにしても第三者が勝手に決め付ける表現もどうかと思います。
実父か義父かの区別については、訃報の本文中に「社員との関係:実父」と
いった事務的な項目が(発信元部署によっては)あったりしますが、かつて
紙の訃報の時代に、「岳父」(妻の父)を一度だけ見たことがあります。
夫の父は「令舅」と言うようですが、手元の辞書にはなく、実際の訃報でも
見たことがありません。
訃報や年末の喪中葉書の場合はどちらの親が亡くなったのか明確にしておく
ほうが良いでしょうが、「血縁か・義理の関係か」という主旨の区別は無用
だと思います。どちらも「親」であることには違いないので。
>また、「母堂」にはそういった区別があるのでしょうか?
あえて区別するなら、「岳母」(妻の母)、「令姑」(夫の母)でしょうか。
【784】
Re:厳父、尊父
道浦俊彦
- 05/4/4(月) 11:07 -
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そうですね、「岳父」がありましたね。ありがとうございます。
> あえて区別するなら、「岳母」(妻の母)、「令姑」(夫の母)でしょうか。
と書いていらっしゃるとおりであれば、「令姑(れいこ)」でしょうか(「令」は敬称)。しかし、「令姑」をウェブで検索しても、きわめてわずかな例(しかもこのような呼び方一覧の中に)しか使われていませんね。私なら、
「○○部○○課○○さんのご夫君(ふくん)のお母様が逝去されました」
としますが、いかがでしょう。
昔の実用書らしい、昭和3年発行の大西貞治著『現代書翰大辞典』(荻原星文館)〔昭和8年1月20日60版〕の裏見返しによれば、
(引用)
夫の父母 〔略〕相手のをいふ 御舅(姑)様、御父(母)上様
妻の父母 〔略〕相手のをいふ 御外父(母)様、御岳父(母)様、御外舅(姑)様、令舅、令姑
(引用終了)
とあって、岳母・令姑は、ともに「妻の父母」ということになっています。使い分けがありません。
本来の使い方はどうだったか、歴史的に探りたい興味はあります。それとは別に、実用上は、誤解を避けるためにも、ごくふつうのことばのほうがいいと私は思います。