2002年11月10日

戦前と戦後の日本語について(すぴか)


この頃、気にも留めてなかったことが気になり、答えを探すうちにこのサイトに巡ってまいりました。

戦後、漢字やかな使いが大きく変わったのですが、(てふてふがちょうちょう、國が国など)何故なのでしょうか?どのような理由で変えられたのでしょうか?旧漢字、旧かな使いの文章を見ることも少なくなり、現在の文字形態を当たり前として使用しているわけですが、50年ほど前の比較的新しい時代に変革されたことに不思議さを感じます。

どうか、私の疑問にお答え下さいませ。宜しくお願い申し上げます。



岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2002年 11月 10日 日曜日 23:32:26)

 「日本語の表記は難しすぎるのでなんとかしなくてはならない」と、文明開化期の人々は考えました。日本語の表記を簡略化しないと教育上の効率が悪く、表音文字を使っている歐米の国々に追いつけないと考えました。

 幕末に前島密が「漢字御廃止之議」というものを徳川慶喜に提出したといいます。

 漢字廃止論は、仮名書きにしようとしたりローマ字書きにしようとしたりしました。

 漢字だけでなく仮名も問題であると考えました。本来は表音文字であるからそのまま音声化すれば日本語にならなければならないはずなのにそうならない、という、いわゆる仮名遣の問題です。


漢字廃止論はあまりに過激だと言うことか、漢字節減論が出てきました。何万もある漢字のうち、実際に使われるのは数千でもあり、ある程度の数を枠として定めようと言う考えです。


さらに、往来物で文字を覚え、行書草書が中心であった時代から、楷書中心の時代に移行すると、簡略化した字体の使用も求められるようになりました。今新字体と言われる物も、その殆どは昔からあったものです。当用漢字(字体表)では、それらの略字体を公式の字体と認めたのです。


 漢字の制限や仮名遣の改訂は明治以降ずっと問題とされてきて、何度か制定されましたが、現在のようになったのは、おっしゃるとおり50年ほど前のことです。それまで進められていた改革が一挙に出てきた感じです。



skid さんからのコメント
( Date: 2002年 11月 11日 月曜日 01:03:23)

戦争に負けて国語表記を簡単にしようという勢力が追い風を受け、仮名遣いや漢字の字体を変更することになったようです。

アメリカ側はローマ字表記にしようと考えていたわけですが、日本では昔からローマ字やカナモジの表記を主張する会もありました。

ネットでお気軽に、というより書籍をご覧になったほうがよいかと思います。



道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2002年 11月 11日 月曜日 19:54:28)

skidさんの意見に賛成。いろんな本が出てますよ。。。。。と言いながら一言。

戦後の漢字制限は、新聞社にとってはやはり「活字の量を減らす」こと、つまり「手間を省く」ということがあったと思います。しかし、コンピューター製版に変わってきたここ10数年〜20年は、昔ほど漢字制限の必要性がなくなってきました。また漢字を制限したことで生まれた「交ぜ書き」の弊害もチラホラ目立つようになったことで、漢字制限の緩和の方向に動いているのが現状と言って良いのではないでしょうか。漢字を制限する「当用漢字」から、「制限ではなく目安」である「常用漢字」に変わった1981年ぐらいがひとつの境目で、昨年秋、日本新聞協会が、表外字(常用漢字表にない漢字)39字の使用を認めたのも、大きな転換のシルシだと思います。

漢字表記に関してのみの話ですが、ご参考までに。



すぴか さんからのコメント
( Date: 2002年 11月 12日 火曜日 03:26:59)

皆様、ご丁寧な回答有難うございます。明治維新からの改定論を経て敗戦をきっかけに大きく変わったということみたいですね。詳しく知りたいと思いますので、書籍を探してみることとします。やはり敗戦の影響は大きいのでしょうか・・・と言いますのは、一部団体(あえて申せば戦前の日本を大事にされる方々)の印刷物が今のご時世にあって戦前の漢字、仮名遣いをポリシーを持って使用されているようなのです。それらの文章を目にして違和感を持ったわけですが、歴史背景から文字というものを考えてみると、奥が深いのかもしれませんね。また、使用されなくなった漢字もこの新しい時代に使用されるようになれば、文章表現を豊かにするのかもしれません。

参考になりました、御礼申し上げます。



skid さんからのコメント
( Date: 2002年 11月 12日 火曜日 08:42:04)

書籍をご覧になったほうがよいかと……なんて、不親切な書き方をしてしまいました。

でも、こういうときに図書館でいろんな本を眺めてみたり、司書に相談して調べてもらったりする探し方を知るのもよいことだと思いますので。

二十数年前、私が通った高校には、正字・正かな(旧字・旧かな、というと叱られる)で授業をする世界史の先生がいらっしゃいました。

たまたま必修クラブの顧問だったので卒業後も連絡があり、その一部団体なのか、機関誌が送られてきたり、一度だけ依頼されて原稿を書いたこともあります。

それでも、別に新字・新かなでもいいじゃないか、とずっと思っていましたが、常用漢字以外の漢字をおぼえたり、あるいは常用漢字を教えたりしていると、新字体より旧字体(いわゆる康煕字典体)のほうが関連づけておぼえやすいし教えやすいのです。

結局、新字体のおかげで複雑になり、おぼえねばならないことや教えなければならないことが多くなってしまった現状があります。



道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2002年 11月 12日 火曜日 13:30:50)

おすすめ図書。倉島長正著『国語100年〜20世紀、日本語はどのような道を歩んできたか」(小学館・2002,5)などは新しい本ですし、手に入りやすいのではないかと思います。2500円とちょっと値ははりますが。



すぴか さんからのコメント
( Date: 2002年 11月 13日 水曜日 00:34:09)

まずは「お気軽」にオンラインショップで「国語100年〜20世紀、日本語はどのような道を歩んできたか」を注文しました。届いたら早速読んでみます。

職場の近くに県下でも指折りの大図書館があることを、すっかり忘れていました。(一度も訪れたこと無いけど)行ってみよう・・・



道浦俊彦 さんからのコメント
( Date: 2002年 11月 13日 水曜日 00:55:41)

倉島さんは、小学館の『日本国語大辞典』の初版の編集長を務めた方だそうです。彼の本では、もっとお手軽な文庫本で『言葉のセンスを磨く正しい日本語101』(PHP文庫・1998、1)というのもありますが、これはエッセイのような形のものなので、日本語の歴史を見られると言うわけではありません。余談でした。




posted by 岡島昭浩 at 02:14| Comment(0) | TrackBack(1) | ■初代「あれこれ会議室」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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