2005年10月17日

「携帯」という略語

【1011】
「携帯」という略語
 アーム・ジョー
 - 05/8/25(木) 6:27 -
----
道浦アナのHPに、携帯電話を「携電」と略さず「携帯」と略すことへの
コメントが書かれていて、興味を持ちました。他にもこういう略し方の
語があったような気がしたからです。で、思い出してみました。

そうそう、国立競技場を「国立」って言いますよね。聞くたびに、国立の
何なんだよ?とつっこみたくなります。ま、これは主にサッカー関係の
報道で使われてますが。サッカー繋がりでは、サッカー日本代表をただ
「代表」と言ったりもします(こちらは語の後半をとったパターン)。
ちょっと下世話な例では、性感マッサージを「性感」。これも携帯と
同じパターンの略し方です。風俗で語るなら、もっと王道のソープランド。
これも「ソープ」で通ってます。遡って、ソープの「先祖」であるトルコ
風呂もやはり「トルコ」でした。

他にも、複合語(合成語)の前半分または後半分をとった略語、結構あり
ます。専売公社(現JT)を「専売」。東京ドームを「ドーム」。オール・
ナイト(徹夜)を「オール」(これは「徹夜で遊ぶ」ことを指す若者語)。
軟式野球(テニス)、硬式野球(テニス)をそれぞれ「軟式」「硬式」と
呼ぶのも、似たようなことでしょう。
私と同じ50代(以上)の方なら、これご記憶ですか? その昔、トラン
ジスターを使った小型(携帯)ラジオが商品化された当時、そのトラン
ジスター・ラジオを単に「トランジスター」と言っていたように思います。

さて、私の勝手な説ですが、上記の各例は「略語」というより「象徴語」
とでも呼んだほうがいいように思います。つまり、これらは、その「物」の
本質を象徴する部分だけを呼び名として使用しているのではないか、という
意味で、ですが。
例えば東京ドーム。「東ド」などと略してもなんか語呂が悪い。かといって
「東京」じゃ意味不明なので「ドーム」。国立競技場を「国競」とやったん
じゃ、なんだかなー、ってわけで「国立」。これ、まさか「競技場」だけ
で呼ぶわけには行きませんからね。性感マッサージも「性マ」といった
略語が定着する前に、手っ取り早く「性感」だけで通されてしまった。
これも「マッサージ」だけ取るわけには行かないですよね。



【1013】
Re:「携帯」という略語
 Yeemar
 - 05/8/25(木) 23:12 -
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▼アーム・ジョーさん:
>道浦アナのHPに、携帯電話を「携電」と略さず「携帯」と略すことへの
>コメントが書かれていて、


「携電」のキーワードで、道浦さんのホームページを検索してみましたが、該当の文章が出てきませんでした。探し方が悪いのでしょうか。

私自身は、「携電」の語を新聞で見たことはあります。
それだから棺に携電入れといて
前橋市 秋山林次郎
〔略〕
五句、蘇生事件以後。〔朝日川柳〕(「朝日新聞」2002.01.27 p.14)
はやく岡島さんの報告もあります(こちら)。

「携帯」の類例は、「仮設住宅」を「仮設」、「スーパーマーケット」を「スーパー」(以上、佐竹秀雄『サタケさんの日本語教室』p.15)。また、「定期券」を「定期」、「活動写真」を「活動」、「新派劇」を「新派」(以上、相澤正夫「「ケータイ」にひとこと」『日本語学』2000.10 p.79)など。私は、「変態性欲」を「変態」というのを思いつきました(品性が表れています)。

「総理大臣」に「総理」と呼びかけるのも、おなじく、特徴をしめす部分だけを残してあとを省略したものでしょう。一方、「財務大臣」には「財務」とは呼びかけず、「大臣」というので、これは特徴をしめす省略法とはいえないでしょう。アーム・ジョーさんの挙げられた「代表」も、「大臣」と同様の省略法でしょう。



【1014】
Re:「携帯」という略語
 NISHIO
 - 05/8/26(金) 4:59 -
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▼Yeemarさん:
>「携電」のキーワードで、道浦さんのホームページを検索してみましたが、該当の文章が出てきませんでした。探し方が悪いのでしょうか。


『平成ことば事情』ウォッチャーのワタクシですが、「携電」は見覚えありません。
「ケータイ」というに略し方についてのコメントはいくつかありますね。
----------------
◆ことばの話1676「歩き電話」
でも最近は携帯電話のことを「電話」とは略さずに、「ケータイ」といいますよね。
----------------
◆ことばの話318「地上波テレビ」
携帯電話のことを「ケータイ」と呼ぶのはもうすっかり定着しました。(中略)「ケータイ」が「電話」としてよりも「携帯端末」としてメールやインターネットに使用されることが多くなった現在から考えると、「実にうまく省略したなぁ」という感じがします。
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『新明解6版』には「携帯」の項に“「携帯電話」の略”が載っています。“「ケータイ」と書かれることが多い”とも。
『デイリー新語辞典』では、「携帯」で始まる32語中の18語が携帯電話関連です。「携帯カメラ」が“携帯できるカメラ”(←ふつうか)ではなく、“カメラ付き携帯電話の俗称”というのがいかにも現代的です。「携帯端末」としての機能が増えすぎて、もはや「電話もできるケータイ」が冗談ともいい切れない模様。

ケータイ関連の略称といえば、ごく最近の朝日新聞社会面に、こんな見出しの記事がありました。
 “携帯テレ電 「ワン切り」にご注意! 有料サイトへ誘導”

Googleでも「テレ電」は相当数ヒットします。
#「テレビジョン」+「テレフォン」なら「テレテレ」ぢゃあないか、と。(英語は“TV phone”)


>「携帯」の類例は、(中略)「変態性欲」を「変態」というのを思いつきました(品性が表れています)。


# ドキッ

「特徴をしめす部分だけを残してあとを省略したもの」は、何の「特徴」を示すのか特定できないのが問題ですね。

「携帯」… 「―灰皿」か「―ラジオ」か。
「スーパー」… 「―マン」ではない。「―インポーズ」かもしれない。
「定期」… 「―検診」「―考査」ではない。「―預金」かもしれない。
「冷やし中華」… 「―丼」「―饅」ではない。
「電卓」… 「電動麻雀卓」ではない。
「デニム」… ニーム産の―?
「空き巣」… 「入られるほう(家)」か「入るほう(人)」か?

ボケネタにはなりますが。



【1017】
Re:「携帯」という略語
 アーム・ジョー
 - 05/8/30(火) 1:38 -
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▼Yeemarさん、NISHIOさん:

●レスありがとうございます。

>▼アーム・ジョーさん:
>「携電」のキーワードで、道浦さんのホームページを検索してみましたが、該当の文章が出てきませんでした。探し方が悪いのでしょうか。


●すみません! 全く私の記憶違い/思い込みでした。『平成ことば事情』には、NISHIOさんご指摘のとおり「携帯をケータイと略す」件について書かれているだけでしたね。

>私自身は、「携電」の語を新聞で見たことはあります。
>それだから棺に携電入れといて
>前橋市 秋山林次郎
>五句、蘇生事件以後。〔朝日川柳〕(「朝日新聞」2002.01.27 p.14)


●私は朝日新聞を長年購読していますが、携帯電話の普及当初より同新聞は長いあいだ、頑なに(?)「携電」という略語を使用していました。しかし世間で全く定着していないことに気が付いたのか、ある時を境にパッタリ使わなくなりました。上の記事の頃(2002年1月)は、恐らく朝日の「携電」の末期だと思われます。

>「携帯」の類例は、「仮設住宅」を「仮設」、「スーパーマーケット」を「スーパー」(以上、佐竹秀雄『サタケさんの日本語教室』p.15)。また、「定期券」を「定期」、「活動写真」を「活動」、「新派劇」を「新派」(以上、相澤正夫「「ケータイ」にひとこと」『日本語学』2000.10 p.79)など。私は、「変態性欲」を「変態」というのを思いつきました(品性が表れています)。
>「総理大臣」に「総理」と呼びかけるのも、おなじく(以下、勝手に後略)


●沢山の例を挙げていただき、喜んでおります。こんなにあったんですね!自分の引用の貧困さを恥じております。
他に、「決勝」という語。これを何の違和感もなく使っていますが、本来は「決勝戦」、「決勝の試合」というべきところ、「決勝」だけで定着したのでしょうね。「決勝」自体には「戦い」という意味は含まれませんから。


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