ぜんぜん大丈夫? #
Yeemar
- 05/9/20(火) 2:00 -
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ぜんぜん大丈夫?
の続きです。
「全然」のあとには、むかしから、肯定も否定も来ることが出来た、というのは今や定説であろうと思います。放送などでも耳にします。最近では、「全然可愛い」は、単なる肯定ではないということも指摘されています。つまり、「あなたは自分では可愛くないと思うかもしれないが、そんなことは全然ない、可愛いのである」という語感、いわば、広義の否定表現に変わりないというわけです。
研究上、なぞとされているのは、昔から肯定・否定形の両方があるにもかかわらず、なぜ「全然〜肯定」の形が批判の対象になったのか、ということ、また、批判されるようになったのはいつごろからか、ということであろうと思います。これについては、いくつか説が出されているものの、まだ霧がはれたとは行かないようです。
それに関連して――石坂洋次郎『青い山脈』〔1947年発表〕に、こういう部分があります(手元の新潮文庫 昭和43年1月47刷改版 昭和62年10月87刷では p.292)。
「全然同意ですな」石坂洋次郎は、「全然同意」というこの言い方に、1947年当時、「変な」という語感、かつまた、「軍隊用語」だという認識を持っていたことが分かります。おもしろい例だと思います。
沼田は変な軍隊用語で、ポカンと気が抜けたように答えた。