こがわ(小川)
Yeemar
- 05/9/28(水) 20:44 -
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金田一春彦・安西愛子編『日本の唱歌 中』(講談社文庫)p.50所収、「故郷を離るる歌」(吉丸一昌訳詞、大正2年)の2番に「小鮒{こぶな}釣りし小川{こがわ}よ、柳の土手よ。」という歌詞があり、解説に
第二節の第二行「小川」に「こがは」と仮名が振ってあるのは不審。「をがは」の間違いではないか。一般には「をがは」と読まれていた。とあります。こういう箇所は金田一氏が書いたのではないでしょうか。
ところで、『国定読本』巻三(第1期2年上、1904〈明治37〉年から使用)には「コガハ」という唱歌が載っており、
イヘ ノ マヘ ヲバとあります。「こがは」は間違いではなさそうです。
ナガレル コガハ。
そう思って『日本国語大辞典』を見ると、当然というか、「こがわ」は載っていました。日葡辞書や、この読本のこの歌の直前の文章などが出ています。唱歌の解説文の「間違いではないか」というのは、軽い気持ちで書いたのでしょうか。
【1055】
Re:こがわ(小川)
Yeemar
- 05/9/28(水) 20:46 -
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> 「をがは」の間違いではないか。
あるいは、筆者はこう言いたいのでしょうか。〈「こがわ」ということばもあるが、この歌は一般に「おがわ」と歌われていたはずである〉と。
明治時代以降も「小川」を「コガハ」と讀むこと、振り假名を「こがは」とすることが、少なからず文献上にみえてゐる…
コガハが鴎外の「青年」に見えることは山田俊雄氏が記していますが、「CD−ROM版 新潮文庫 明治の文豪」で検索してみたところ、「壱」に、
小川[こがわ]に掛けた板橋を渡って
とありました([ ]内は原文ではルビ)。
なお、京都市の裏千家の茶道美術館の近くに「小川通」という小さな通りがありますが、これも元々はコガワドオリなのだそうです。
当会議室では、丹那ある挨拶コメントはなるべくつけないようにしたいということで、前回は無視した格好になってしまいました。
今回はコメントいたします。「壱」は、森鴎外「青年」の「壱」ですね。
「小川」から外れますが、明治42年ナイト作曲近藤朔風訳詞の「たゆとう小舟」詞があります。
この「小舟」を「コブネ」と読んでいましたが、サイト「童謡・唱歌の世界」には「オブネ」とカナがふってあり、「小」は「コ」、「オ」はどう使い分けているのでしょうか?
「小舟」の場合、「おぶね」と読むと歌語という気がいたします。百人一首の歌にもありました。
「こぶね」はそれに比べてやや口語めいた感があります。作詩者はどちらを意図していたのでしょうかね。