若い人のことば #
Yeemar
- 04/8/8(日) 15:31 -
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若い人のことば
を継承するものです。
■なるほどですね
最近、たてつづけに耳にしました。職種の異なる男性と女性から。どちらも推定20代後半〜30代。うなずくときに「ああ、なるほどですねー」「なるほどですね、なるほどですね」と言う。
「ですね」は間投助詞的な語です。「だからですね、もう少しですね、はっきりとですね、回答をですね、しなければですね」と、文節のおわりなら何でもつきます。ところが、感動詞にはつかない。「はいですね、わかりました」「よしですね、やりましょう」などとは言わない。なぜなら、感動詞と間投助詞とは役目がほぼ同じだから、感動詞に屋上屋を架すようにして間投助詞をつける必要はない。
ところで、「なるほど」は感動詞です。感動詞に間投助詞的な語がついている。それで注意を引くのでしょう。似たような例として「あのですね」「ええとですね」があります。これもむかしはへんだったのでしょう。
【286】
Re:若い人のことば #
岡島昭浩
- 04/8/8(日) 19:23 -
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▼Yeemarさん:
>ところで、「なるほど」は感動詞です。感動詞に間投助詞的な語がついている。それで注意を引くのでしょう。似たような例として「あのですね」「ええとですね」があります。これもむかしはへんだったのでしょう。
「あのですね」については、九州人の言い方である、と指摘する人が何人か居ます。
九州大学の通い教授だった高橋義孝(文庫にもなっていた随筆)。タモリ。
他にも居たし、メモを取っていた(大学ノートに)のに、忘れてしまい、見当たらなくなってしまいました。
「ええっとですね」も同様、という人も居たような気がします。
九州人の私は、「あのですね」「ええっとですね」を使いますし、四十代ながら、「なるほどですね」を使います。
「ですね」は「ね」の丁寧な形、という感覚です。「なるほどね」の丁寧か形が@なるほどですね」。
【287】
Re:若い人のことば #――なるほどですね
Yeemar
- 04/8/8(日) 20:41 -
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伊丹十三監督「マルサの女2」(1988)で、査察官の正岡徹が、風俗嬢が「あのですね」を使うのを聞いて「君は九州出身?」と聞くところがあります。観察が細かいと思いました。つまり伊丹十三の観察があらわれているのでしょう。
「なるほどですね」は、すると、きのうやきょう言われはじめた言い方ではないのですね。だいぶ古いのでしょうか。私はこのことばを聞いて軽い驚きをおぼえたのでしたが。
旧会議室「「です」の拡張」とも関連します。とりわけ「いってらっしゃいです」「がんばです」とつながりそうです。(こちら)
感動詞に間投助詞がついているからすなわちへんだ、ということにはならないかもしれません。「なるほどね」は、感動詞に間投助詞もしくは終助詞の「ね」が直接ついていて、しかもへんな感じはしません。
「あのですね」はむかしはへんだったのだろう、と申しましたが、はたしてそうか。「あのね」はへんな感じがしません。方言では、名古屋市で「あのなも」と使います。筒井康隆氏は『言語姦覚』の中で「あのですね」がおかしい、と言っています。
【288】
Re:若い人のことば #――なるほどですね
KS
- 04/8/9(月) 10:16 -
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▼Yeemarさん:
>「なるほどですね」は、すると、きのうやきょう言われはじめた言い方ではないのですね。だいぶ古いのでしょうか。私はこのことばを聞いて軽い驚きをおぼえたのでしたが。
>旧会議室「「です」の拡張」とも関連します。とりわけ「いってらっしゃいです」「がんばです」とつながりそうです。(こちら)
「ですます体」という表現方法がありますね。柔らかくて平易で丁寧な表現方法として使われますね。これを口語体で使うときに「ね」が馴染み易いようですね。 「…ですね」「…しますね」などとですが、本来丁寧な「ですます体」に「ね」をつけて「より丁寧な言い方」として使われている例多い様に思います。(本来はへんなつかいかたなのでしょうか)
こう云う言い方、まんがサザエさんのタラちゃん言葉や天才バカボンなどにもよく出てきました。やや幼稚な言い方として使われていたのではないかと思っています。
こう云う言い方(関西では)日常的に耳にします。私も使ってますね、適当な丁寧表現が出てこないときに安易に使っていまして、語彙を知らない悲しさを味わっています。
【289】
Re:若い人のことば #――なるほどですね
岡島昭浩
- 04/8/10(火) 0:11 -
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「あのですね」の九州らしさについて言及しているものには、『ことばのくずかご』『60年代ことばのくずかご』にダブって採録されている「「言語生活」69年9月号8座談会「心のふるさと九州弁」伊馬春部」がありました。
「無法松の一生」。これは伊丹万作の昭和十八年大映作品だそうですが、
「……あのですねえ松さん、君がですね、三日三晩あずった挙句ですね、急にですね、起きてですね、鯛餌をですね、十六ぱい食うたちゅうて、近所ではモツパラ評判になっとりますぜ」
皆笑う。虚無僧がすかさず「オチニの先生、あのですねえ、松さんがですね、喧嘩のですね、イチプシジューをですね――」
(『シナリオ大系1』未校正)
というのがあります。ここでも九州らしい物言いとして描かれているのでしょう。親子だから共通しているのか、映画界・演劇界ではよくあるのか。
ところで、「なるほどですね」が、九州らしい「ですね」と違う部分があることに気付きました。上記「無法松」でも、文末は「なっとりますぜ」で「なっとるですね」ではありません。(中学生の時に習った文節の分け方で「私はネ、今日ネ、本をネ、読んだヨ」というのがありましたが、なんで「読んだネ」だと落ち着かないのだろうと、中学生ゴコロに思ったのを思い出します)
「なるほどですね」は、「あのですね、これからですね、私がですね、」のように、文の途中で「ですね」というのとは違って、文末です。(「なるほど、この本は面白い」は、「*なるほどですね、この本は面白い」とはいえません)。
でも、「なろほどね」であって、「なるほどよ」ではないですね。
まとまりませんが。
【737】
Re:若い人のことば # はんぱない
Yeemar
- 05/2/27(日) 9:41 -
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旧会議室「若い人のことば」のこのあたりに続けます。
「はんぱない」の古い例が続々出てくるので驚いていましたが、1995年までは行くようですね。
〔摘記〕はんぱない(2)〔よく使っている言葉、調査対象:女子中高生170人 調査場所:渋谷〕(「ACROSS」1995.08 p.22-29)米川明彦『日本俗語大辞典』にはなし。
はんぱない【ハンパない】とてつもない。「超ハンパなく暑いよ」や、「ハンパなくイヤ」と使う。(「女性セブン」1996.09.05 p.113-116)
【952】
Re:若い人のことば #――なるほどですね
茂木俊伸
- 05/7/22(金) 23:35 -
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茂木と申します。
既にご存知かもしれませんが,糸井重里監修の『オトナ語の謎。』に,
「あのですねー」「えーとですね」「でですね」
「そうなんですねー」「なるほどですね」
の五つの項目が挙げられていました(新潮文庫版(2005年)ですと,206〜207ページです)。
「なるほどですね」は,「営業マンなどが、非常に軽い相づちのようにして使う」という解説があります。
【1070】
Re:若い人のことば # はんぱない
岡島昭浩
- 05/10/10(月) 8:55 -
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massangenaさんの「いろいろ」
「半端ない」のていねいな形
http://www2u.biglobe.ne.jp/~massange/cgi-bin/iroiro.cgi/lingua/ja/hanpaarimasen.htm
「なるほどですね」は今思えば、記載したURLの雑文に追加したい内容ですが、私の見方では、とにかく丁寧に言いたいという努力の顕れのひとつでしょう。不要なところで不思議な敬語を使いたがる割には肝心な敬語ができないと思ってしまうのはきっと昔から言われる「イマドキのワカイモノは・・・」という私のように若いうちから年寄りになってしまった人種の感性なのでしょうね。
http://www.massangeana.com/mas/cgi-bin/iroiro.cgi/lingua/ja/hanpaarimasen.htm