1997年03月11日

【的確】

 昨日からの関連になるのだが、「確」の字を使った「的確」という語がある。これもなかなか面白い語であるように思う。

 『日本国語大辞典』で引くと、明治ごろの例が載っている。しかし中国の例として『朱子語類』も載せている。『朱子語類』といえば、禪宗の語録類と並んで、新しい中国語を日本にもたらしたものとして知られている。日本でももうちょっと古い用例があってよさそうに思う。
 記憶に拠れば、江戸時代の漢文にこの例があった。メモも取ったはずであるが、どこへ行ってしまったのだか。頼春水だったかな。
 こうした漢文の中の漢語の用例と言うものは、どれほど日本語の例として使えるのか、という疑問は当然出てくるのであろうが、日本人が使ったのは事実だ。書いてあれば記録しておくに越したことはない。訓点が施してあれば、音読したか訓読したかまで分って、漢語か否かの判定もやりやすくなるのだが。
 まあこれは、日本人の書いた漢文が日本文学であるか、とか、じゃあ日本人の書いた英語は日本文学なのかよ、とかいう問題とも絡んでくるのだが。


 松井利彦氏は「明確」という語をとりあげた訳だが、これは頼春水の子である頼山陽『日本外史』にあったということだったと思う。

 やはり日本漢文の用例をちゃんと集めなければならないと思う。

posted by 岡島昭浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 目についたことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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