子供の卒園式もあったのだが、その「卒園」ということば、新しげなことばである。案の定『日本国語大辞典』『新明解国語辞典』には載っていない。『三省堂国語辞典』では、第二版からの登場となる。
一方の「入園」は『日国大』にも載せられていて、学校教育法にその用例があることが分る。
その他、「園」に関わる語をふと思い立ち調べてみた。
明解 三省堂 新明解 岩波 新 日
12 1234 1234 12 解 国
園児 ○○ −○○○ ○○○○ −− ○ ○
園舎 −− −○○○ ○○−− −− − −
園長 ○○ ○○○○ ○○○○ −− − ○
園庭 −− −○○○ −−−− −− − ※
園服 −− −○○○ −−−− −− − −
園帽 −− −○○○ −−−− −− − −
開園 −※ ※○○○ ○○○○ −− ※ ○
降園 −− −○○○ −−−− −− −
卒園 −− −○○○ −−−− −− − −
退園 −− −○○○ −−−− −− −
登園 −− −○○○ −−−− −− −
入園 −○ ○○○○ ○○○○ −− ○
閉園 −− ※○○○ ○○○○ −− −
※は意味が違う。
切りがないので、これぐらいにする。
『岩波』は実にいさぎよい。新しい版のは未調査。
『三国』に載せる「園服」「園帽」は聞いたことが無かった。『三国』では、「退園」を「登園」の対義としているが、私の語感では「登園」の対義は「降園」で、「退園」の対義は「入園」だと思う。勿論、修了せずに出るのが「退園」で修了して出れば「卒園」である。
上笙一郎・山崎朋子『日本の幼稚園』(集英社文庫1985.12.20、その後ちくま学芸文庫に入った)が自宅にあったのでみてみたが、あまり資料にはならなかった。そこで大学図書館に行って見てみたが、さすがに教員養成学部を擁する図書館だけあっていろいろと資料があった。「園長」の用例は明治時代にあることが分ったし、明治ごろにも「入園・退園」と書いてあるのが分った。
「登園」の用例としては、徳川夢声『夢声戦争日記(一)』(中公文庫1977.8.10)の昭和17.4.5の条。
今朝、坊やの初登園(?)。疑問符つきなのは、本人には馴染まないが、母親などが使っていたものであろうか。
《(三)の昭和十八年三月に幼稚園が終るようだが「卒園」などの語は見えないようだ。》
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