1997年03月23日

【たいこめ】

 国語学関係の論文や書籍について前年に出された分を記した『国語年鑑』というのがあるのだが、その最新の1996年版(1995年発行のものが載っている)を見ていて驚いた。山本コウタロー等編の『たいこめ辞典 複刻版』というのが載せてあるのだ。

 なぜこんなものが、と思う。今から20年ほど前に、TBSラジオ系の深夜放送であったパックインミュージックで、金曜深夜(土曜未明)は山本コウタローの担当であった。その中の「たいこめコーナー」というのを元にして出来たのが、この『たいこめ辞典』であった。「たいこめコーナー」というのは、
鯛釣(たいつ)り船(ぶね)に米(こめ)を洗(あら)う
というのを逆から読むと、深夜放送向けのネタになる、という投書を元に始まったものであった。「回文」は〈上から読んでも下から読んでも〉というものだが、これは〈下から読むと……〉という趣向であった。


 私はこの放送を福岡のRKBラジオで聞いていた。当時はニッポン放送系のオールナイトニッポンが盛んな頃で、福岡でもKBCラジオで流されていて、友人たちもこれを聞く人が多かったようなのだが、私はこのパックインミュージックを聞いていた。全国的に見てもネットしている局は少なかったと記憶している。ラジオ局が一つしかない地方ではまずオールナイトニッポンを中継しているし、大阪・名古屋といったところでは自主制作番組をやっている(そういえばRKBも自主制作の深夜放送をやっていた時期があった)。
 そんな具合で、オールナイトニッポンに比べれば聴取者は少なかったであろうパックインミュージックも、書物はいくつか出していたように思う。山本コウタローの番組にしても、「恥の上塗り」というのも本になったと思うし、木曜夜の野沢那智・白石冬美は何冊も「もう一つ別の広場」というシリーズを出している。小島一慶・林美雄はどうだったか。


 私はこの頃、「投稿マニア」とまでは行かないが、結構好きだった。『ビックリハウス』では、「教訓カレンダー」には採用されずじまいだったけど「ビックラゲーション」には一度だけ載った。『高二コース』では何度か採用され、原稿依頼が来たこともあったのだが、これは怖気付いて書けなかった。オールナイトニッポンも確か第二部(3:00-)で採用された記憶がある。
 そしてこの「たいこめコーナー」は私の好きな〈ことば遊び〉である。これに投稿しない手はない。でも投稿したのは一度だけだったと思う。ボツになったと思っていた。ところがこの『たいこめ辞典』を書店で見てぱらぱら見ていると、私の作品が載っていたのだ。ただしペンネームである。どういうペンネームであるのかは忘れた。

ミカ思いのことをしたわ

というものであった。著作権は投稿した時点であっちに譲り渡していて、すでに私のものではないのだが(だからこそ「掲載します」の連絡もないわけだ)、引用と言うことでよいだろう。


 その時は買わずにいたのだが、ここ数年、欲しい気持ちがあった。古本屋で出ないだろうかと思っていた。でもこの手のものはなかなか出ないようだ。鶴光とかあのねのねだってたまにしか見かけないのだ。何故欲しいのかというと、こういう言語遊戯関係のものをぼつぼつと集めているからだ。そしてこの「たいこめ」は、回文とは違うようだが、やはり回文に通じるものがあるのだ。例えば先程のものにしても、

ミカ思いのことをした私、男の芋を噛み

とすれば回文になるし、「鯛釣り〜」にしてもそうすることは可能だ。
 そういえばこの「うら」、聞いていた当時は、「おら」を訛らせたものだと思っていたのだが、〈私〉のことを「うら」という地方はいくつもあるのであった。そして福井もその一つだった。


 でも、1200円だ。古本で200円ぐらいなら躊躇せずに買うのだが、わざわざ注文して1200円のを買うかな。うーむ。でも、なぜ覆刻なんてしたのかが買うと分るかもしれないし。《後日



posted by 岡島昭浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 目についたことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック