「ぴったりと言ったってジステンバーは犬の病気で亀は関係ないだろう」と思う人もあろうが、ピンと来ている人もあろう。カメは明治語では〈洋犬〉を意味する。NHKテレビの『日本人の質問』で取り上げられたこともあるが、この時は説明が少し不足だったように思う。また諸書に取り上げられることもあるが、中途半端な説明も多い。
- Come説 『言海』,柳田国男「方言と昔」,『大日本国語辞典』,浅野信『俗語の考察』,日下部重太郎『国語の趣味と常識』
- Come me説 森銑三『明治東京逸聞史1』(平凡社東洋文庫)11頁
- Come in説 石井研堂『明治事物起源』
というような説があるが、やはり下の説が妥当であろう。
- Come here説 楳垣実『外来語辞典』(東京堂),同氏「国語に及ぼした英語の影響」,あらかわそおべえ『外来語辞典』(角川書店),亀井孝他『日本語の歴史6』(平凡社)《新村出》
なぜ「come here」からカメが生まれるのか。〈異分析〉である。「come here」を「カメや」と聞いたのである。「ノラや」という具合にである。これが一番説得力がある。『日本語の歴史6』では〈横浜で洋犬のことを「カメヤ」と呼ぶ〉と書いているが、「カメ」である。
異分析といえば、「弁慶がな、がいな、ぎなたを」というのを想起するが、これはいつ頃から言われているのであろうか。『日本国語大辞典』の「ぎなたよみ」のところには、徳冨蘆花『思出の記』が載せられている。もっと古いものが有るのだろうと思うが。
《なぎなた読みの部屋()》
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