1996年08月20日

【カメのジステンバー】

 サザンの歌を口遊んでいて「う〜こよい、カメのジステンバー」と歌い、我ながら可笑しかった。もともと「セプテンバー」を「ジステンバー」と替えて歌うことが好きで、太田裕美「九月の雨」や竹内まりや「セプテンバー」を歌うときは思わずそのように歌ってしまうのだが、サザンのこの歌はぴったりであった。
 「ぴったりと言ったってジステンバーは犬の病気で亀は関係ないだろう」と思う人もあろうが、ピンと来ている人もあろう。カメは明治語では〈洋犬〉を意味する。NHKテレビの『日本人の質問』で取り上げられたこともあるが、この時は説明が少し不足だったように思う。また諸書に取り上げられることもあるが、中途半端な説明も多い。

  • Come説 『言海』,柳田国男「方言と昔」,『大日本国語辞典』,浅野信『俗語の考察』,日下部重太郎『国語の趣味と常識』
  • Come me説 森銑三『明治東京逸聞史1』(平凡社東洋文庫)11頁
  • Come in説 石井研堂『明治事物起源』

というような説があるが、やはり下の説が妥当であろう。

  • Come here説 楳垣実『外来語辞典』(東京堂),同氏「国語に及ぼした英語の影響」,あらかわそおべえ『外来語辞典』(角川書店),亀井孝他『日本語の歴史6』(平凡社)《新村出》

なぜ「come here」からカメが生まれるのか。〈異分析〉である。「come here」を「カメや」と聞いたのである。「ノラや」という具合にである。これが一番説得力がある。『日本語の歴史6』では〈横浜で洋犬のことを「カメヤ」と呼ぶ〉と書いているが、「カメ」である。

 異分析といえば、「弁慶がな、がいな、ぎなたを」というのを想起するが、これはいつ頃から言われているのであろうか。『日本国語大辞典』の「ぎなたよみ」のところには、徳冨蘆花『思出の記』が載せられている。もっと古いものが有るのだろうと思うが。
なぎなた読みの部屋()》
posted by 岡島昭浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 目についたことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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